2009年04月20日(月)  日本°語で言葉°遊ぴ

脚本デビュー映画『パコダテ人』に登場する「函館スクープ」の記事を公開しているページが「いまいまさこカフェ」サイト更新時のミスで隠れレページになっていた。早速リンクを貼り直し、ついでにページのデザインもリニューアル。〈トップページ〉→〈 words〉→ 〈函館スクープ〉へどうぞ。このところ玄関からカフェを訪問するお客さんが減っているので、その宣伝も兼ねて。

デビュー作に作者の色がよく現れるというのは確かにそう思う。脚本家デビューのきっかけをつかんだオーディオドラマ『雪だるまの詩』はわたしがずっと考えて来た「生きるって何?」の答えだし、映画デビュー作の『パコダテ人』は「個性って何?」というこれまた大きな関心を寄せるテーマに、大好きなファッションと言葉遊びを組み合わせた。ハヒフヘホ・バビブベボをパピプペポに変換するパコダテ語の力の抜けた字面と響きには、楽しいことはより楽しく、憂鬱や悩みは吹き飛ばす明るさと軽やかさがある。角度を表す「°」マークを漢字と組み合わせて、「母°の日°」「恥°ずかしい」などと遊んだのが懐かしい。「°」の有無で響きや意味や雰囲気ががらりと変わる日本語って、やっぱり遊びの天才だ。

ちょうど4/19付けの読売夕刊に『あいうえおパラダイス「ら」 らったらった らくだのらっぱ』。という絵本が紹介されていた。ら行の言葉だけを使った物語シリーズの9巻目で、「あ」行編にはじまり「か」「さ」「た」「な」「は」「ま」「や」行編もあるらしい。調べてみると、それぞれ「ら」「り」「る」「れ」「ろ」がつく言葉で書かれた5つの話が納められているとのこと。こういうことを思いついて9巻も作ってしまった作者・二宮由紀子さんの発想とパワーに、本を手に取る前から拍手。評者ひこ・田中さんは「『無茶な展開するなあ』と笑いながら読んでみて。言葉が愛おしくなってきますよ」と紹介。不自由なルールを設けると、制約の中で自由自在に動けるしなやかさを見せ、「そんなこともできるのか」とアクロバティックな潜在能力を見せてくれる点でも日本語は天才。

わたしもならって、「あ」ではじまる言葉で今夜の子守話を作ってみようと思い立つ。すべての単語を「あ」はじまりにするのは難しく(「あまいわな」など)、「あ」ではじまる文節止まりとなった。「アラブ」と「あぶら」がきょうだいみたいに似た言葉なのが、子どもの頃から不思議だった。

子守話58 あかいろのありんこたち

あまいかおりの あかいあめだま
あれは あくまがしかけた あまいわな
あわてんぼの ありんこたちが あつまってきて
あやしむまもなく あめだまに ありついた

あれあれ あらら あわわ あーめん 
あわてて あわくって あばれて あきらめて
あっというまに ありんこたちは あくまになった

あめだまみたいな あかいろの ありんこたち
あわれ あくまになった ありんこたち

子守話59  アラブのあぶらうり

アラブのあぶらうりが 
あらしのうみこえ あらわれたのは あるいなかまち
あらあら あきれた あぶらうり 
あさからばんまで あっちこっちへ あそびあるいて
あれじゃあ あきない あがったり
あれがほんとの あぶらうり

2008年04月20日(日)  団体新婚旅行in熱海2日目
2007年04月20日(金)  マタニティオレンジ108 助産院で赤ちゃん同窓会 
2005年04月20日(水)  東京ハートブレイカーズ公演『黒くやれ』
2002年04月20日(土)  16年ぶりの再会


2009年04月19日(日)  お菓子なカップと「天使の卵」ネックレス

会ったことはないけれど、ダンナの知り合いという縁で福岡から応援してくださっているタケちゃんから楽しい贈りものをいただく。サイト「いまいまさこカフェ」にあまいもの好きで雑貨好きなわたしの好みが色濃く出ているせいか、初対面でも「こういうものお好きですよね?」と言い当てられることが多いのだけど、今回のタケちゃんセレクト雑貨は、「ケーキがマグカップになっている」という最強な組み合わせ。ひっくり返すとケーキの形だけど、飲むときはイチゴがカップの足になって立つというデザイン。

chocolat fraises(ネットで調べると「DECOLE chocolat fraises」と記されていることが多いのだけど、DECOLEのサイトには見当たらず)というシリーズのstrawberry cake mugcupという商品で、色違いのモカとストロベリー。さらにpudding cup&saucerもつけていただき、親子3人家族のティータイムに打ってつけ。わたし以上に興奮したのが2歳児娘のたまで、「すごーい。さかだちするとケーキだよ。たまちゃんはプリンね」と大喜び。

さらに、もうひとつ、「天使の卵」のネックレスをいただく。映画『天使の卵』の原作には同名のピアスが登場する。タケちゃんが店員さんに「『天使の卵』の脚本の人にあげるんです」と話したら、わたしの名前を知っていたそう。卵に羽根が生えたデザインで、朝ドラ「つばさ」を観てくれているタケちゃんは、「『つばさ』も生えていて、完璧ですね」。

【お知らせ】明日からの「つばさ」第4週は「つばさよ、あれが恋の灯だ」

周波数が見つかり、ラジオの仕事は開局に向けて加速。「川越演奏所」あらため真瀬が考えた新しい名前は「リトル・オールド・トーキョー・ウェーブ」。この名前を気に入って口ずさむ真瀬がキュート。この長ったらしい名前の反省が「ラジオぽてと」というシンプルなネーミングに落ち着くのは5週のこと。

そして、タイトルにもある翔太との「恋」も急進展。恋のときめきは隠せなくて、先っぽに出てしまうもの。この週を観れば、三十路終盤のわたしも二十歳の頃の恋を思い出し、「マスカラぐらいつけますから」(>>>2009年03月21日(土)の日記)な気分に。日本の先っぽキラキラ人口がふえますように。

今週の注目アイテムはイルミネーション。季節はクリスマス。恋の灯に彩られる川越は、ため息ものの美しさ。恋するつばさのうるうるの瞳には、ロマンティック度倍増といったところ。

1〜3週を演出したチーフディレクターの西谷真一さんに続いて、4週、5週は大橋守さんが演出。茶の間のテーブルの角度が変わったり、こだわるポイントに個性が見えたり、演出の違いを楽しむのも面白いかも。

連続テレビ小説「つばさ」(月)〜(土)放送中
【放 送】総合・デジタル総合 8:15〜8:30
     デジタル衛星ハイビジョン 7:30〜7:45
     衛星第2 7:45〜8:00
【再放送】総合・デジタル総合 12:45〜13:00
     衛星第2 19:30〜19:45 (土)9:30〜11:00(一週間分)


NHKさいたま放送局FM番組「さいたま情報ランチ」では毎週月曜「今週の『つばさ』〜ここでしか聞けない“見どころ紹介”〜」と「『つばさ』のまち便り」を発信。サイトでも聴けるのでぜひ。

2008年04月19日(土)  団体新婚旅行in熱海1日目
2007年04月19日(木)  焼きたてのパンのにおい
2005年04月19日(火)  ありがとうの映画『村の写真集』
2002年04月19日(金)  金一封ならぬ金1g


2009年04月18日(土)  親しき仲こそ言ってはいけないこと

何気ない一言で、すうっと気持ちの底が冷えて、目の前の相手が一気にすごく遠い人のように感じる瞬間がある。今日、ひさしぶりにそれを味わった。

長年つきあっている気の置けない相手に、機嫌良く鼻歌なのか冗談なのかを発声していたら、不意打ちのように「君は声が悪いね」と言われ、面食らった。喧嘩の勢いなら憎まれ口だとわかるし、冗談を言い合っていてつい口が滑ったとしても、まだ理解できる。「私、歌手になろうっかな」「無理だよ。声が悪いもん」なら悔しくても納得はできる。だけど、いきなり真顔で冷静に告げられると、聞き流せない重みを帯びてくる。

何十年も聞かせてきたこの声をそんな風に思ってたのかというショックを受け、昔は心地よかった声が今は不快になったのだろうかと訝り、それはわたしへの気持ちを反映させているのかと悲しくなり、いじけ、口をきく気がなくなってしまった。深い意味がないのだとしたら思いやりがなさすぎるけど、意図があるとしたら、もっと怖い。

以前にも耳を疑う言葉が飛んで来て、ひどく傷つけられたことがあり、気持ちを鎮めるために日記に書いた(>>>2007年06月12日(火) 想像力という酵母が働くとき)。今日の何倍も胸に刺さる言葉で、今でもその7文字を思い出すと苦しくなるが、そのときも「どうしてこんなこと言うの?」とは聞けなかった。

応援する気になれない芸能人のことを「あいつは声が悪い」と言うことはあっても、友人や同僚に面と向かっては言わないだろう。以前、職場の上司が部下の彼女の写真を見て、開口一番「鼻が大きいね」と言ってのけたとき、周囲は一同あ然としたけど、きっとそんな反応が返ってくるはずだ。関係を壊したくないというブレーキが働けばそういう不用意なことはしないはずだけど、何をやっても許されるとたかをくくっている相手にはやってしまえるということだろうか。気の置けない相手だからこそ言ってはいけないことがあるとわたしは思うし、恋人であれ親友であれ家族であれ一生つきあっていきたい相手であるほど、治しようのないものを悪く言わないように気をつけている。その人の一部であるものを否定するということは、一緒にいたくない意思表示に聞こえる危険がある。実際そんな風に今日は聞こえて、こたえた。

【お知らせ】『鴨川ホルモー』4/18公開

試写の感想を以前の日記で紹介(>>>2009年02月04日(水) 映画になった『鴨川ホルモー』)したけど、あらためて。今井雅子と何かとご縁のある映画『鴨川ホルモー』がいよいよ4/18公開。

監督は脚本協力した『犬と私の10の約束』の本木克英さん、松竹のプロデューサーは4本目の映画『子ぎつねヘレン』でお世話になった矢島孝さんと、企画開発で本作りをご一緒したことのある野地千秋さん。さらに主役の安倍明役は3本目の映画『ジェニファ 涙石の恋』主演・荒木隆志役の山田孝之さん。安倍とあやしげなサークル青竜会に同期入部する三好ブラザーズの兄役に初の連ドラ『快感職人』で橘隼人役だった斉藤祥太さん。5本目の映画『天使の卵』で美術教師役だった甲本雅裕さんも出演。さらに舞台はわたしが学生時代を過ごした京都で、原作(万城目学)も大好き……という贔屓を差し引いても、十分楽しめる痛快青春映画。ぜひ!

余談だけれど、マキメって珍しい名字だなあと思っていたら、今読んでいる『シネマ大吟醸』(太田和彦)に万城目正という名前を発見、佐々木康監督の『純情二重奏』の作曲、同監督の『蛍の光』の作曲指導とある。「リンゴの唄」「東京キッド」もこの人が作曲。こちらは「マンジョウメ」と読むらしい。

2008年04月18日(金)  マタニティオレンジ270 おやつでごきげん延長保育
2007年04月18日(水)  マタニティオレンジ107 子どもの世界の中心でいられる時間 
2005年04月18日(月)  日比谷界隈お散歩コース


2009年04月17日(金)  2歳児の「ない」という感覚

昨日の夜、娘のたまが突然「かえる」と言い出した。「どこに帰るの?」と聞くと、「しゅがも」と言う。巣鴨のじいじばあばの家が、たまにとっては帰る先らしい。早速電話して報告したら、「まあうれしいわね」とダンナ母は大喜び。ぐずってだだをこねた勢いではなく、落ち着いているときの発言で、母としてはフクザツではあるが、それだけじいじばあばになついてくれているのはありがたい。

二つの家を持つたまは「これはしゅがもにもあるよ」「これはしゅがもにはないよ」とうちと実家(?)を比べる。少し前までは「おんなじおんなじ」を見つけて喜んでいたが、そこから少し進歩して、「ある・ない」の比較をするようになった。先月までは「たまちゃんおちんちんあるよ」と言っていたが、今は「ない」とわかっている。今週は保育園の先生に「たまちゃん おっぱいないよ。おまめなの」と言ったとか。迷言連発でたま語収穫も大忙し。

たまの「ない」発言にヒントを得て、子守話を二つ。

ひとつめは、「ゆきねずみがいない」話。先日、カレンダーのイラストの雪だるまを二人で見ていたら、「ゆききりんがいるんだよ」とたまが言い出し、「ゆきことりもゆきしまうまもゆきうさぎもゆきらいおんもいるの」と続けた。「じゃあ雪ねずみはいるの?」と聞いたら、「ゆきねずみはいないの」ときっぱり言う。どうしてなのかは教えてくれないけれど、何が何でもいないらしい。なので、ゆきねずみがいない理由を考えてみた。
子守話56 きえたゆきねずみ

ゆきがたくさんふって つもった そのよるのこと。
のはらのまんなかに どうぶつたちがあつまりました。
おおきなからだの ゆききりん ゆきらいおん ゆきしまうま。
ちいさなからだの ゆきうさぎ ゆきねずみ ゆきことり。
こどもたちが ゆきをかためてつくったどうぶつたちが
こどもたちが ねしずまったあとに うごきだしたのです。

どうぶつたちは おいかけっこをしたり かくれんぼをしたり
おもいっきり からだをうごかして あそびました。
よるがあけて おひさまがのぼってきました。
「ひかげにかくれないと ゆきがとけて からだがなくなってしまうよ」
とあたまのいい ゆきうさぎがいいました。
「それはたいへん。いそいでひかげにいこう」とゆききりん。
「さあ ちいさなみなさんは ぼくたちのせなかにのりなさい」とゆきらいおん。
そこで ゆきうさぎは ゆきらいおんのせなかに
ゆきことりは ゆききりんのせなかに ちょこんとのっかりました。
「さあさあ はやく ゆきねずみさんも」とゆきしまうまがいいましたが
「いやだ。もうすこしあそんでいく」とゆきねずみ。
「そんなことしたら とけてしまうよ。
 ひかげでやすんで よるになったらまたあそべばいいじゃないか」
とゆきうさぎがいいましたが、ゆきねずみは
「たいようなんか こわくないよ」といって、うごこうとしません。
しかたがないので ゆきねずみをのこして みんなはひかげににげていきました。

のこったゆきねずみはどうなったかって?
あくるよる ゆきうさぎたちがのはらにやってくると
まっくろなこいしがふたつ おちていました。
ゆきがとけて ゆきねずみのめだまだけがのこっていたのでした。

二つめは、「9がない」話。たまが「1、2、3、4、5、6、7、8、10」と「9」を飛ばしたのを聞いて、「あれ、9がないよ」と言うと、「いいの。9はないの」とこれまた言い張った(強情なところはわたしに似ている)。「9がないと困るんじゃないの? だってたまの好きなアレがなくなっちゃうよ」というところから子守話が生まれた。
子守話57 9のないせかい

あるひ こわいまじょが そらとぶほうきにのってとんできて 
たまちゃんにいいました。
「0から9のあいだで ひとつだけすうじをもらっていく。
 どのすうじにしようかね?」
たまちゃんは うーんとかんがえました。
できればひとつもなくなってほしくありませんが
どうしてもひとつだけというなら 
なくなっても いちばんこまらないすうじにしよう。

たまちゃんは2さい。
0さいのときのおもいでも 1さいのときのおもいでもたいせつなので
0から2のすうじがなくなっては こまります。
3じのおやつがなくなるのも こまります。
たまちゃんのおうちは4かいだから
4がなくなっても こまります。
たまちゃんがすんでいるのは5ちょうめだから
5がなくなっても こまります。
7はママのすきなすうじなので 
なくなるとママのきげんがわるくなって こまります。
たまちゃんは8がつうまれなので 8がなくなるのもこまります。
のこったのは 6と9です。
たまちゃんは あと4ねんで6さいになるので
6か9なら 9がなくなったほうが こまらなさそうです。

「どうしても ひとつだけ すうじをもらっていくんだったら
 9にしてください」
とたまちゃんは まじょにいいました。
「9をもらっていいのかい? あたしのだいすきなすうじだよ。
 だって あたしのながいまがったはなに よくにたかたちだからね」
まじょはおおよろこびして
「ほんとうにいいんだね」とねんをおしました。
たまちゃんは「はい。しかたないです」といいました。

まじょがおまじないをとなえ そらとぶほうきをひとふりすると
せかいから すうじの9がきえました。
とけいから9じがきえ カレンダーから9がつがきえ
エレベーターから9かいがきえました。
9のないせかいは やっぱりへんでした。
9がつうまれのおともだちや 9かいにすんでいるおともだちに
わるいことしちゃったなと たまちゃんはおもいました。
もしかしたら「どんなすうじもあげない」といいはれば
まじょはあきらめてくれたかもしれません。

そして もっとこまったことになりました。
たまちゃんがだいすきなおみせ「ショップ99」もきえてしまったのです。
「ああ 6にしとけばよかった」とたまちゃんはためいきをつきました。

2008年04月17日(木)  『パコダテ人』の縁でバンタンと再会 
2007年04月17日(火)  作詞をしませんか
2005年04月17日(日)  ティッシュちりぢり映画『コーラス』


2009年04月16日(木)  ニュープリントで『むかしの歌』(1939年製作)

一昨日『絹代の初戀』を観た「昭和の原風景」特集を上映中の神保町シアターへ再び足を運び、石田民三監督の『むかしの歌』を観る。映画と鉄道を愛するご近所仲間のT氏がこの映画特集のチラシを送ってくれたのだが、添えられたポストイットに「なんと、あの『むかしの歌』を観られる! しかもニュープリントで!」という興奮した走り書きがあった。あの『むかしの歌』と言われましても……と同じくT氏より課題図書として進呈された『シネマ大吟醸』(「魅惑のニッポン古典映画たち」と副題)を紐解く。著者の太田和彦氏が紹介作品のおすすめ度を銚子2本の「大吟醸」、1本の「吟醸」、無印の3段階で表しているのだが、『むかしの歌』には銚子2本のお墨付き。「これほど深々と日本的情感を端麗に描いた映画はなかった」と大絶賛。ならばいただいちゃいましょう、大吟醸。

さすがニュープリント! 一昨日の雨ザーザー(>>>2009年04月14日(火) シネマ大吟醸!神保町シアターで『絹代の初戀』)とは大違いの美しさ。ところでニュープリントとは、映画のネガフィルムから新たに上映用フィルムを現像すること。焼き直しというとリメイクみたいなので焼き増しといったほうがいいだろうか。半年ほど前、松竹のプロデューサーの榎望氏に「映画の0号、初号ってどういうことか、ちゃんと教えてください」と問い合わせ、「そんなことも知らなかったの?」と呆れられながら説明してもらったのだが、「完成して、このネガでいいねってのを焼いたのが初号」「初号に至る前にいったん焼いたのを手直しするので、それが0号と呼ばれる」ことを知った。「じゃあ2号、3号……と何号まであるんですか?」と聞いたら、「初号からさらに直したら2号になる」「オッケーとなった初号の原板をもとに上映用のフィルムを焼く。写真の現像と同じ。子ぎつねヘレンみたいに250館なら250本焼くけど、それをいちいち250号のようには呼ばない」とのことだった。というわけで、時が経って上映用フィルムが劣化した作品をニュープリントで観られるのは、映画におけるアンチエイジングのようなもの? でも、ネガフィルムは時を経ても劣化しないのだろうか。

『むかしの歌』は1939年制作。オープニングで年号が出なかった気がする。ちなみに一昨日『絹代の戀』(1940年製作)でわたしが観たと記憶した「1947」は見間違いではなく、昨日観に行ったT氏が確認。「戦後再上映したときの年号では」とのこと。スタッフロールでは「監督」ではなく「演出 石田民三」。「演出助手」に市川崑の名があるが、今なら「助監督」なのだろう。キャストは「配役」。『絹代の戀』の「役と人」のほうが古風な表現に感じる。

せっかくのニュープリントだというのにメガネを忘れてきたので、ただでさえ暗い白黒の画面がぼんやりとにじんで水墨画のよう。アップでないと表情がわからないという困った事態になったが、それも慣れてくると空白を埋めながら観るようになった。

舞台も1939年頃だと思って観ていたら「西郷さん」が出て来たりして面食らう。設定は明治10年。こうなると、映る町の風景はノスタルジーを感じるよりも時代劇となるが、大阪弁の軽妙なやりとりは古さを感じさせず、むしろ70年前とは思えないほど新鮮。原作・脚本の森本薫氏について調べてみると、『女の一生』『華々しき一族』(※『華麗なる一族』とは別物)などの代表作がある劇作家、演出家、翻訳家。京都帝国大学文学部を1937年に卒業する前から作品を発表しており、早くから才能を花開かせたが、肺結核のため34歳で亡くなっている。

親が言い出した許嫁という勝ち気な船問屋の娘・お澪(花井蘭子)と油問屋の珊次(藤尾純)の関係が面白い。お澪に振り回され、困った顔しながらもうれしそうな珊次。だけどなぜか情けないヤツに見えない。下着は自分で洗うような一本筋の通ったところがあるせいか。あるいは、お澪をありのままに受け入れている懐の大きさのせいか。自分が何を言っても耳を貸さず、一人で決めてしまうお澪の性格をわかって見守っている。手を離したら飛んで行きそうな風船の紐の端を握ってやり、お澪を安心して飛び回らせているようなところ(女にとっては、これはラク!)が、好ましい。

お澪と珊次が行きがかり上拾ったお篠(山根寿子)をお澪は妹のように可愛がるが、実は彼女は生き別れた生みの母の娘で、本当の姉妹だった。それを知ったお澪はお篠を遠ざけて棚次のところに預かってもらう。その後船問屋が没落、お澪は珊次との縁談を諦め、芸者の道を選ぶ。引き止めようとする珊次の前で精一杯強がるお澪がいじらしい。

お澪と産みの母は映画の中で二度対面する。一度目は棚次に「会わせたい人がいる」と案内され、家を訪ねたとき。二度目はお澪が芸者になるために家を出て行くとき。どちらも言葉を交わさず、交わす目線だけで母娘の心の揺れが表現されるのだけど、二つの場面の緊張感を焼き付けたところに、わたしはこの作品の価値を感じた。

90席の客席はほぼ満席。上映後、観客の一人から拍手が起こり、他に応じる人がいなくて尻すぼみになってしまったが、いいもの見たという満足感が劇場内に満ち、初老の女性二人連れが「女優さんたちがほんとおきれいでしたね」と心から惚れ惚れと言いながら出口へ向かっていた。着物の似合う細面の日本美人はわたしの好みの顔ではないけれど、昔の映画にはしっくりなじむ。

『むかしの歌』は4月17日(金)17:15がラスト上映。「昭和の原風景」特集上映は5月8日(金)まで。4月18日(土)〜24日(金)の一週間は「はたらく人たち」と題して、以下の7本を上映。
『おかあさん』と『小原庄助さん』は是非観てみたい。いずれも銚子2本の「大吟醸」。

「はたらく一家」 監督:成瀬巳喜男 昭和14年 東宝東京/白黒
「秀子の車掌さん」 監督:成瀬巳喜男 昭和16年 南旺映画/白黒
「おかあさん」 監督:成瀬巳喜男 昭和27年 新東宝/白黒
「蜂の巣の子供たち」 監督:清水宏 昭和23年 蜂の巣映画部/白黒
「小原庄助さん」 監督:清水宏 昭和24年 新東宝/白黒 16mm
「花籠の歌」 監督:五所平之助 昭和12年 松竹大船/白黒
「恋化粧」 監督:本多猪四郎 昭和30年 東宝/白黒

2008年04月16日(水)  マタニティオレンジ269 『およげ! たいやきくん』作曲家が贈る新しい童謡
2007年04月16日(月)  祖師ヶ谷大蔵で小さな旅
2005年04月16日(土)  オーディオドラマ『アクアリウムの夜』再放送中
2002年04月16日(火)  イカすでしょ。『パコダテ人』英語字幕


2009年04月15日(水)  カラーコーンで「なーになに」ごっこ

娘のたまが通う保育園までは大人の足で歩いて7分。いつもぎりぎりのお迎えで、走ると5分。ところが娘を連れて歩くと、15分でもきかない。なるべく自分の足で歩かせたいのだけど、定番の「だっこ」「おんぶ」「ベビーカーのる」に加えて、「じてんしゃのりたいよう」とだだをこねるようになった。道の真ん中で立ち止まったり、引き返したり、横道に入って行ったり、それをなだめては歩かせるの繰り返し。だっこしたほうが早いとは思うけれど、13キロの重さを持ち上げるよりは、なだめすかそうと思ってしまう。

先日、苦し紛れに前方を指差し、「あれ何だろ? 見に行こっか? なーになに?」と手を引くと、2歳児の無邪気な好奇心ですっかり乗せられて、「なーになに」と駆け出してくれ、大成功。そこにあるのは、ただの電柱だったり鉢植えだったりするのだが、「おや、たばこに足が生えて歩いてるね。歩きたばこ禁止だって」とステッカーを絵本風に読み解いたり、「たまちゃんのお花どれ? ママはこれにしよう」と品定めしたりして、遊びに持ち込む。いちばん喜んだのは、通行止めに使うとんがり帽子みたいなもの。たしか映画『トイストーリー2』で、逃げたおもちゃたちがこれをかぶって道路を渡っているお茶目なシーンがあった。「これはなにかな? アイスクリームかな?」「ぼうしだよ」「ツノかもしれないよ」と二人で首を傾げあい、笑いあった。

アンテナを張っていると引っかかるもので、同じものが保育園の庭にもあることを発見。色が黄色で、「これはバナナかな?」と保育士さん。さらに、買い物袋に入れて歩いている人を発見。お店で買えるという発想はなかった。その人が出て来た日曜大工店に入り、商品として積み重ねられているのを確認。「カラーコーン 498円」と札があった。color cone=色円錐?

想像力を使う遊びは大人も子どもも一緒に楽しめるのがいい。子どもに合わせて手加減する必要もなく、むしろ打ち負かされたりして痛快。たまは好物のせんべいをかじりながら、刻々と変化する形に「チューリップ」などと的確なネーミングをする。チューリップがおむつになり、おむつのゴムがゆるゆるビヨーンになり、おほしさまになり、最後はなくなる。

目に入るものすべてが遊びの対象になる「なーになに」ごっこをしていて、コピーライターとして最初に配属されたクリエイティブチームで同じ遊びが流行っていたことを思い出した。ハンガーやら肩もみ棒を手渡された人が瞬間芸で使い方を披露するというもの。ハンガーを投げる真似して「ブーメラン」、肩もみ棒(釣り針みたいな形のもの)を股にはさんで「Tバック」とか。打ち合わせ中に先輩や上司が夢中になってやっていて、入社したばかりのわたしは、仕事と遊びの境目がない職場の雰囲気にびっくりしつつもすぐに好きになった。映画やドラマの打ち合わせも雑談から入るし、「遊びのなかに発見、ひらめきがある」ということを日々感じる。アイデアの花が開くためには豊かな遊びの土壌が必要で、子どもの頃から家族や友だちとたくさん遊んで、会社員時代も遊んだことがわたしの栄養源になっている気がする。だから、自分の娘にも、何かを与えるよりも一緒に遊ぶことを大切にしたいと思う。

子守話55 なーになに

なーになに 
みちばたに あかいのっぽの さんかく

だれかのとんがりぼうしかな
うさぎさんのぼうしだったら おおきすぎる
ぞうさんのぼうしだったら ちいさすぎる
うまさんのぼうしだったら ちょうどいいかな

それともこれは アイスクリームのいれものかな
こんなにおおきなアイスクリームをたべるのは ぞうさんかな

それともこれは ゆびわをたてるものかな
こんなにおおきなゆびわをするのは だれかな
てんしのわっかかもしれないね

それともこれは つのかな
いっかくじゅうのおとしものか おにのつののかたっぽか
あかおにさんは つのまで あかいのかな

つのじゃなくて きばかもしれない
おにか おばけか きょうりゅうか
きばをおとしたら こわくなくなっているかな

なーになに
みちばたに あかいのっぽの さんかく

2008年04月15日(火)  焼きたてのバナナマフィン
2007年04月15日(日)  鎌倉で大人の休日
2005年04月15日(金)  トンマズィーノでアウグーリ!
2002年04月15日(月)  イタリアンランチ


2009年04月14日(火)  シネマ大吟醸!神保町シアターで『絹代の初戀』(1940年製作)

先日のご近所仲間の会で映画と鉄道をこよなく愛するT氏に贈呈された『シネマ大吟醸』(「魅惑のニッポン古典映画たち」と副題)を朝から読む。T氏は「今井さん、もっと昔の映画を観て勉強してください」とばかりに名画特集の案内や参考図書をせっせと寄越してくれるのだが、著者の太田和彦氏セレクトによる「昭和の原風景」と題した映画特集のチラシも先に届いていた。

「シネマ大吟醸」という面白く味のある言葉の精神は、本文の『大学の若旦那』のページを締めくくる「映画は作られた当時よりも、時を経て良くなる。それがビンテージ、大吟醸シネマである」というくだりがうまく説明している。あとがきには「ウイスキーやワイン(洋画)もいいけど、日本酒(邦画)もいいぞ、その大吟醸だ」とある。太田氏には『完本・居酒屋大全』『居酒屋かもめ唄』『東海道居酒屋五十三次』といった著書もあり、酒を語る語彙が実に豊か。酒にたとえての映画紹介は、名調子で気持ちよく酔わせてくれ、わたしも一杯という気分にさせてしまう。

そんなわけで「昭和の原風景」を上映中の神保町シアターを初めて訪ねる。こんなに立派で快適なミニシアターを本の街に作った小学館さんはエラい!と興奮するような環境(雰囲気よし、椅子よし、設備よし)で、紹介を読んだばかりの『絹代の初戀』(「恋」ではなく、糸ふたつに言がはさまれた「戀」というのがいい)をフィルム(16mm)上映でつかまえる。「姉であり母」という田中絹代演じるヒロインの設定が朝ドラ「つばさ」に重なる気がして、興味を持った。

昭和15年(1940)年、松竹大船の制作。松竹のロゴは富士山ではなくダイヤモンドみたいな形。「1947」と数字が入っていた気がするが、見間違いだったか。冒頭のキャストクレジット(エンドロールはなく、最後はプツンと終わった)は「キャスト」ではなく「役と人」。その縦書きの名前が無数の細かい線で分断される。フィルムの劣化で、外の雨がスクリーンになだれ込んだかのように画面も音もザーザー。ときどきびっくりするような破裂音も混じり、「これがずっと続くのか」と最初は戸惑うが、映画の世界に入っていくと次第に雨が気にならなくなる。雨は同じように降り続けているのに、見たいものを見、聞きたいものが聞こえるようになるのが面白い。

野村浩将監督は松竹のホームドラマを多く手がけた人のようで、とても見やすくわかりやすく作られている。家からお弁当を持って行ったことがきっかけでヒロインの妹(これがデビュー作の河野敏子)は社長の御曹司(『シネマ大吟醸』に何度も登場する佐分利信。色気のあるイイ男。ダメ息子がはまっている)の目に留まり、結婚話に発展するが、彼はヒロインが一目惚れした初恋の相手だったという話。脚本(池田忠雄)の力なのか、台詞がチャーミング。弁当のおかずを御曹司が尋ね、妹がつっけんどんにあしらうところも、弁当が縁結びとは「安上がり」だと姉妹の父親が感心するところも、生活感があってよかった。妹の母親役として自分の恋を封じ、御曹司に恥じない女性として妹を嫁がせようとするヒロインの親心が切ない。

ヒロインが御曹司に一目惚れする歌舞伎座前の場面、打ち合わせで通い慣れた松竹界隈の70年前の風景にハッとなり、胸を打たれた。現在松竹本社が入っている東劇は当時すでにあったのだろうか。一瞬映った歌舞伎座から東劇を望むアングルの引き絵は、様変わりしたようで今に通じる風景だった。これなら画面の中に迷い込んでも方向を見失わずに歩けそうだ。歌舞伎座の雰囲気は今と変わらないように見え、少し前に新聞で見てげんなりとなった高層ビルの「新・歌舞伎座」の完成イメージ図を思い出し、あれはイカンとあらためて思った。家に戻って調べてみると、歌舞伎座は過去にも大改築や漏電による焼失があり、現在の建物の原形である奈良朝に桃山様式を併せた大殿堂が落成したのは大正13(1924)年12月のこと。それも昭和20年の空襲で焼失したが、昭和26年に復興し現在に続く建物の外観は大正版を受け継いでいる。ならば、今回の改築でも守り伝えて来た形に敬意を表すべきなのではと思ってしまう。今の最先端はどっちみちすぐに古くなるのだから、中途半端に新しくして伝統を断ち切る必要はない。映画人でもある石原都知事に『絹代の初戀』のこの場面を観て考え直していただけないものか。

『シネマ大吟醸』のなかにある「失われた風景を見るには映画が最適だ。しかも記録映画と違い作家の感性が入っているから、映画こそがその時代の最も美しい記録となる」にしみじみと同意しつつ、日本は失うスピードが早すぎるのではないかと思ってしまった。

『絹代の初戀』は4月15日(水)16:55、4月16日(木)13:45、4月17日(金)19:00にも上映あり。他にも味わい様々な大吟醸をそろえた「昭和の原風景」は5/8まで。『シネマ大吟醸』あとがきいわく、「日本映画は大まかに、映画誕生からサイレント期までを『大トロ』、以降戦前の作品を『中トロ』、戦後の白黒作品をまでを『レトロ』と分けられ(笑)、狙い目は昭和10〜20年の中トロだ」。その中トロ中心のラインナップ。それにしても酒にたとえたり、肴にたとえたり、太田氏は相当食べることが好きな人のよう。この人と日本酒飲みながら映画の話をしたら楽しいだろうなと想像するが、「今みたいなお粗末な勉強量では話についていけませんよ」とT氏にしかられそうだ。

2008年04月14日(月)  マタニティオレンジ268 三浦太郎の絵本で所有格の「の!」
2007年04月14日(土)  京都の青春
2005年04月14日(木)  マシュー・ボーンの『白鳥の湖』
2002年04月14日(日)  おさかな天国


2009年04月13日(月)  子どもそっちのけで親が夢中に!アイビーズ

昨日ご近所仲間の会の会場を提供してくれたK家夫人のキョウコちゃんにプレゼントしてもらって、「アイビーズ」というものの存在を知った。極細極短(直径1ミリ長さ3ミリのような小ささ!)のストロー状ビーズを突起のついた台に点描の要領で並べて行き(中が空洞なので、点描ではなく丸描?)、仕上げにアイロンをかけると、あら不思議、ビーズが溶けてくっつきあい、板状のオブジェが完成する。アイビーズはアイロンビーズの略だろうか。

面白そうだけど、この細かいビーズが床にちらばったら片付けが大変だと敬遠して、2歳児娘のたまの目につかないところに置いたのだが、めざとく見つけた上に、「これ、かたまるの?」と聞いてきた。どうやらキョウコちゃんから使い方を説明されたときにわたしが「へーえ、固まるの?」と驚いたのをばっちり覚えていた様子。たまの目は「やってみたい」の好奇心でらんらんと輝き、箱を開けるしかなくなった。

対象年齢は6歳以上で、たまはビーズをつかむことはできるが、台に立てる器用さはない。ところが、大人の無骨な指だと小回りがきかず、ビーズを立ててはなぎ倒すの繰り返しで、もどかしいほどはかどらない。顔つきが険しくなるのを自分でも感じながらムキになっていると、母親をビーズにとられて面白くないたまがちょっかいをかけてきて、振り出しに戻る。「もう、ママがやってるのに!」と思わず声を荒げ、たまは泣き出す始末。ううむ、おもちゃに親が夢中になって子を泣かせてしまうとは。昔リリアン、今アイビーズ?

キャラクターを作れるセットになっていて、図柄見本が同封されているのだけど、デザインは自由自在。たまのリクエストに応えて「おうち」と「ハート」を作り、最後にネームプレート代わりに「タマ」を作った。ほどよくビーズ感を残して固めるアイロンがけの塩梅が難しく、くっつきが足りないとビーズがバラバラになってしまうし、溶けすぎるとのっぺりする。3作目がいちばんうまくできた。熱で変質するといえば、子どもの頃プラバン(=プラスチック板)に油性マジックで絵を描き、オーブンで焼いてアクセサリーを大量生産したけれど、あの感覚にも似ている。あとひとつぐらい作れそうな量のビーズが残ったが、つきあいきれないたまが「ねる」とぐずり、おもちゃをしまった。

最近の子守話は、たまが主人公の「ニュースたま」。テレビのヘッドラインニュースの口調を真似て今日の出来事を報道し、「♪ニュ〜スたま」とジングルをはさむと、たまはご満悦で「おもしろい」と相づちを打つ。自分が世界の中心になっていないとつまらないという性格は困ったもので、朝ドラ「つばさ」は「たまちゃんでてないから、おしまい」となる。でも、今日は初めて「あした、つばさみようね」と歩み寄りを見せてくれた。

子守話54 ニュースたま

きょうもたまちゃんはほいくえんでたくさんあそんだもようです。トイレもしっかりできて、おむつは1まいですみました。
♪ニュ〜スたま

たまちゃんはばんごはんのおでんのウィンナーひとりで3ぼんもたべました。おデブよほう、いちだんとよこにおおきくなるでしょう。
♪ニュ〜スたま

たまちゃんとママはビーズのおもちゃであそびはじめましたが、ママのほうがむちゅうになって、たいくつしてしまいました。
♪ニュ〜スたま

たまちゃんはまちくたびれて、はやくねようよとなきました。ねむかったのでおふろもはみがききもやめました。
♪ニュ〜スたま

それでは きょうはここまで。たまちゃんはたのしいゆめをみて、あしたのあさはママと「つばさ」をみるよていです。
♪ニュ〜スたま

2008年04月13日(日)  マタニティオレンジ267 子どもは遊びの天才
2007年04月13日(金)  マタニティオレンジ106 慣らし保育完了 
2006年04月13日(木)  ヘレンウォッチャー【「子ぎつねヘレン」の夕べ編】
2005年04月13日(水)  お風呂で血まみれ事件
2002年04月13日(土)  パーティー


2009年04月12日(日)  一年ぶりにご近所仲間の会全員集合

食べることとしゃべることが好きで、会うとあっという間に半日経ってしまう時間泥棒なご近所仲間の会が、メンバーのY家のロンドンからの一時帰国に合わせて開かれる。メンバーにとっては家族行司と同じぐらい優先度の高い会なので、「打ち合わせが重なったらどうしよう」と心配したが、セーフ。「日本にいる限りは駆けつける」と宣言していた大阪在住・出張続きのミキちゃんも無事参加でき、去年の春の一時帰国(2008年3月30日(日)マタニティオレンジ259 一生ものの友だち、二世代目。)以来、一年ぶりの全員集合となった。

会場は去年と同じくK家。3時スタートで、和風アフタヌーンティー。さつま揚げ、菜の花、若たけのこ、牛肉のタタキ、ふきの煮たの……といった和食メニューと、イギリス土産のクラッカー&チーズがテーブルに並ぶ。わが家が持ち寄ったのは、季節は過ぎたけれど「おでん」。近所にあるおでん種専門店でゲソやらぎんなんやらごぼうやらの練り物各種をちょこちょことビニール袋いっぱいに買い込み、行きつけの豆腐屋さん「太田屋」で、がんもどき各種を仕入れた。

うちではおでんを作ったことがないので、昨日の晩に試作。ネットで調べてみると、流派がいろいろありすぎて、「何でもいいのだ」という結論に。「薄味で素材の持ち味を引き出す」「沸騰させない」「大根など味がしみにくいものは先に」「練りものは煮すぎない」「はんぺんは火を止める直前」などのアドバイスを得て、我流で2種類作ってみる。だし醤油を薄めたバージョンと、だし+こんぶ茶+塩の関西風バージョン。これで大根と袋(これまたレシピいろいろなので我流で。合い挽き肉、細かく切ったしいたけ、たけのこ、ごぼう、すりおろした人参とれんこん、桜えびと胡麻、軽く塩と黒みつを混ぜ、油抜きした寿司揚げに詰める)をことこと煮て、味を比べると、関西風が圧勝。というわけで、あらかじめ煮た大根を持参し、あとはK家の台所で関西風おでんを作らせてもらう。ワインから日本酒に移った頃に出すと、昼間のお酒によく合って、好評だった。

株大暴落の話、イギリスでは「産むとすぐ退院」する話(Y夫人のイズミさんは第2子マイちゃんを夜中に病院で産み、歩いて帰宅したそう)、日本の幼稚園おいくらの話(東京は3万前後が多いよう)、夫婦で水着姿を見たことある・ない話……なんてことのない話題をつなげているうち日が暮れた。

食後のデザートは日本橋高島屋で買って来た村上という金沢のお店の和菓子。いろんな種類の中から、どれがいいかなと品定め。「関西の『さくら餅』は、東京では『道明寺』っていうんだよね」「じゃあ、東京の『さくら餅』は、関西では何?」という話になり、そういえば、このタイプは大阪では食べなかったなあということで、東京版さくら餅をいただく。ぎゅうひがもっちりしていて、幸せ〜。「年を取ってからは和菓子だねえ」と一同しみじみ。とくにロンドンに住んでいるY夫妻は大きくうなずいていた。

4歳から1歳まで4人の娘たちは一年前よりは打ち解けた雰囲気。うちのたまは恥ずかしがり屋なのか、一人だけ輪から外れて親をやきもきさせたが、長時間の会の終わりのほうにはキャッキャと明るい声を上げていた。ホスト役のK家のまゆたんが3歳児ながら全員に目配りして気を遣っていたのには感心。もてなし上手のK夫妻に負けないホスピタリティーを見せてくれた。帰るときは、「たまちゃん、またね」とY家の長女ユキちゃんが手を振り、たまも一生懸命振り返し、ご近所さんの会2代目の親睦も深まった様子。2世代で旅行もしたいねと話す。

おくりもののやりとりも互いの好みを心得ていて、親戚づきあいのよう。Y家からはイギリス土産の子ども用の手提げと紅茶、K家からはアイロンで固まるおもちゃのビーズ、鉄道と映画を愛するT氏からはレトルトカレーと絵本2冊(『おならうた』と『とこちゃんはどこ』)、『シネマ大吟醸』という本をいただく。たまのいちばんのお気に入り絵本『やこうれっしゃ』をプレゼントしてくれたT氏、鉄道以外の絵本にも目が利くらしい。たまの今のブームが「おなら」であることまで見抜いたか。『シネマ大吟醸』は著者・太田和彦氏のサイン入り。太田氏セレクトの映画作品を集めた「昭和の原風景」を神保町シアターにて4/11〜5/8まで上映。読んで、観て勉強しなさいの親心。

【お知らせ】明日からの「つばさ」第3週は「家族の周波数」

いよいよヒロインつばさがコミュニティ放送の立ち上げに巻き込まれ、お仕事が動き出します。のひに「ラジオぽてと」となる川越市初のコミュニティ放送、2週での仮称は「川越演奏所」。放送を送信所に出力する施設を演奏所と呼ぶのですね。初対面のつばさをいきなりイモ呼ばわりする高飛車な社長の真瀬昌彦(宅間孝行)とつばさのかけあいは、早くも名コンビの予感。のちにつばさの同僚となるシングルマザーの丸山伸子(松本明子)、売れない芸人のロナウ二郎(脇和弘)も初登場。ロナウ二郎の逃げた相方とは、つばさが毎朝聴いている「ベッカム一郎の朝イチ!豪快シュート」の売れっ子芸人ベッカム一郎(川島明)。ショートギャグのツンドラ級の寒さに、逃げられたのも納得!?

真瀬ら家賃滞納3人組が下宿しているのは、川越キネマという元映画館で、大家はヒロリンこと斎藤(西城秀樹)。2階が下宿で1階が共同スペース。ビリヤード台の大テーブルは、ラジオ開局後は会議机兼作業机としても活躍。

3週では開局に向けての「ラジオの周波数」探しと並行して、母・加乃子(高畑淳子)が10年ぶりに帰ってきたことで知秋(富浦智嗣)が変調をきたし、不協和音が響く玉木家の「家族の周波数」探しが描かれます。どんな人と人にも、きっとつながれる周波数がある! 赤いてぶくろ、名前の縫い取り(刺繍)などのおふくろアイテムにもご注目。

連続テレビ小説「つばさ」(月)〜(土)放送中
【放 送】総合・デジタル総合 8:15〜8:30
     デジタル衛星ハイビジョン 7:30〜7:45
     衛星第2 7:45〜8:00
【再放送】総合・デジタル総合 12:45〜13:00
     衛星第2 19:30〜19:45 (土)9:30〜11:00(一週間分)

2008年04月12日(土)  マタニティオレンジ266 保育園保護者会にパパ会長
2007年04月12日(木)  『ドルフィンブルー』と『ヘレンケラーを知っていますか』
2002年04月12日(金)  背筋ゾーッ


2009年04月11日(土)  〈学術標本の殿堂〉東京大学総合研究博物館小石川分館

小石川植物園を訪ねるたびに気になっていた赤がアクセントの白いレトロな洋風建築。人が入っていくのを見たことがなくて、てっきり使われていないと思っていた。天井は高そうだし、レストランにしたら素敵なのではと勝手に想像していたが、現役の博物館であることを今日知る。植物園の中からは行けず、いったん出て入り直す形で、入口は奥まった場所にあった。植物園は入場料330円がかかるが、博物館は無料。


「東京大学総合研究博物館小石川分館」の名称が上質の紙にエンボス加工で刻まれたリーフレットは、〈交通・通信技術の発達とともに地理的な「世界」が縮体されていく一方、知の「世界」は加速度的に拡大され、高度に細分化され、その先端的な広がりの全貌を把握することあもはや容易ならざることとなっている〉などと文章も格調高い。

元々は東京医学校(東大の前身)の中心建築で赤門の近くに建っていたのを移築した建物で、アクセントになっている赤い塗装は赤門や医学部の煉瓦校舎との視覚的な連続性を意識したものらしいとリーフレットの説明で知る。建物の中は時間が止まったような、というより時間を閉じ込めたような空気に包まれ、空間そのものが大きな展示物であるような厳かさに満ちている。余分なものはなく、置かれているひとつひとつが「そこにあるべきもの」として注意深く配置され、調和しているような感覚で、小川洋子さんが書く博物館を想像した。


「驚異の部屋-The Chambers of Curiosities」と銘打った常設展示は、「東京大学の学術標本や廃棄物を現代アートの文脈から再構成」する試みで、学術的な説明をあえて排除している。オブジェのように佇むきのこ。骨格標本のユーモラスな立ち姿。薬草を詰めた瓶の数々が息をひそめて並ぶガラスケースには、美しく重厚な存在感があり、何かを企んでいそうな危うさを漂わせる。確かに説明は要らない。見ているだけで、ドキドキし、ワクワクし、驚きと発見があり、想像をかきたてられ、「学術」と「芸術」がとても近いところに生息するものなのだと気づかされる。2歳児の娘のたまも神妙な顔と好奇心の眼で展示物のひとつひとつに見入っていた。

日曜日の午後だというのに貸し切りのようにひとけはなく、実に贅沢な時間。あの人を連れて来たら喜びそうだなと友人の顔が浮かぶ。一階のテラスに出て、目の前にひらける日本庭園をぼけっと眺めるのもいい。生ける絵画のような絶景を窓枠に納めるよう計算したような建物の立地にもアートを感じ、リーフレットにある〈学術標本の殿堂〉という表現に納得した。

東京大学総合研究博物館小石川分館
木・金・土・日・祝日 10:00-16:30開館
文京区白山3-7-1
丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩8分 都営三田線白山駅から徒歩15分

2008年04月11日(金)  マタニティオレンジ265 トントン、おっぱい入ってますか。
2007年04月11日(水)  ロバート・アルトマン監督の遺作『今宵、フィッツジェラルド劇場で』
2004年04月11日(日)  日暮里・千駄木あたり
2003年04月11日(金)  ちょっとおかしかった話
2002年04月11日(木)  ネーミング

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