出産した助産院で、同じ頃に出産・入院した人たちを集めた同窓会が開かれる。参加したお母さんは十名ぐらい。それぞれ赤ちゃんを連れていて、さらに、お兄ちゃんお姉ちゃん連れの方が半分ぐらいいるので、かなりにぎやか。自己紹介を聞いていると、第二子出産の人は、「一人目は病院で産んだけど、二人目は自分のやりたいように産みたい」と助産院を選んだ人が多い。わたしが「食べものがおいしいと聞いて、ここにしました」と自己紹介すると、「わたしも」という人が何人かいた。全食完食したのはわたしだけではなかった様子。皆さん、一様に「次もまたここで産みたい」と言っていた。同窓会に来るということは、満足しているあらわれだろうけれど、「いいお産」と言い切るのを聞くのは気持ちがいい。どのお母さんも、はつらつとしたいい顔をしていた。
おおらかな助産院の雰囲気は、わたしにはとても合っていて、近代的でない、どちらかといえばレトロな建物もあたたかみを感じて好きだった。ところが、現在建設中のビルに引っ越すのだという。「次に産むときは新しいビルよ」と助産師さんは声を弾ませていたけれど、わたしは母校の校舎が取り壊されて新校舎に建て替えられるような淋しさを覚えてしまう。自分が入院中に「あなたはこの部屋で生まれたのよ」と子どもを連れて遊びに来ているお母さんたちがいて、ほほえましかったのだけど、あれができないのは残念。
レトロといえば、助産院と提携している産婦人科さんのことが話題になった。助産院での出産でもしものことがあった場合に搬送されるのがその産婦人科なのだが、昭和初期で時間が止まっているような古めかしい建物で、設備も年季が入っている。とても味わいがあって落ち着くのだけれど、緊急時の搬送先として考えると、助産院のほうが設備が充実しているのではと思えてしまう。おかげで、わたしは「何が何でも助産院で産みきろう」と奮い立ったのだけど、同じように思った人もいたようだ。「新しくしたらもっと患者さん来るんじゃないって言ったんだけど、あそこの先生、儲けようっていう欲がないのよねえ」と助産師さん。何度か検診を受けたその産婦人科は、せめてこのままでいて欲しい。
2005年04月20日(水) 東京ハートブレイカーズ公演『黒くやれ』
2002年04月20日(土) 16年ぶりの再会