無責任賛歌
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2005年10月23日(日) |
父との遭遇/『D.Gray-man(ディー・グレイマン)』6巻(星野桂) |
椎名高志の『絶対可憐チルドレン』を読み返していて、ふと、キャラクターのネーミングには何か意味があるのかなあ、と考えていて、急に脳内に電撃が走った。 何だこれ、『源氏物語』じゃん! そう、二日間、全く気がつかなかったのだが、あのマンガのキャラクター、『源氏物語』の登場人物の名前をモジって付けられていたのである。
明石 薫(あかし・かおる) → 明石君(あかしのきみ)+薫大将(かおるのたいしょう) 野上 葵(のがみ・あおい) → 葵上(あおいのうえ) 三宮紫穂(さんのみや・しほ) → 女三宮(おんなさんのみや)+紫上(むらさきのうえ) 皆本光一(みなもと・こういち) → 光源氏(ひかるげんじ) 柏木 朧(かしわぎ・おぼろ) → 柏木(かしわぎ)+朧月夜(おぼろづきよ) 桐壺帝三(きりつぼ・たいぞう) → 桐壺帝(きりつぼのみかど) 明石秋江(あかし・あきえ)&好美(よしみ) → 明石君+秋好中宮(あきごのむのちゅうぐう) 花井ちさと(はない・ちさと) → 花散里(はなちるさと) 東野 将(とうの・まさる) → 頭中将(とうのちゅうじょう) あと、1・2巻には登場していないが、兵部京介(ひょうぶ・きょうすけ) → 兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)。
ネットを見ても全員の符合がよく分かってない人も多いみたいなので、一応書き出してみた。つか、ここまであからさまなのにどうして私は二日間、この事実に気がつかなかったのだ。本気でボケてきたのか。可能性を否定できない年になってきたことがコワイ。 『源氏』は「元祖恋愛育成もの」と言えなくもないから、それで「チルドレン」の育成係が皆本さんということになるわけだなあ、とその符合のさせ方に感心。でもそうなると三人娘の中で終の相手となるのは紫穂ってことになりそうだけれど。薫の性格がオヤジなのは、薫大将がオトコなせいなのか?(笑) けれどこれで、敵対組織の名前が「普通の人々」な理由が分かった。こいつらみんな貴族だもんな。ちなみに、『源氏物語』には「磯野」や「幸楽」なんてキャラクターは出てきません(笑)。となると、これからは、六条やすみさんとか宇津瀬美子さんとか浮舟匂さんとか出てきそうだなあ。いや、楽しみだ。
『仮面ライダー響鬼』三十七之巻「甦る雷」。 殆どギャグらしいギャグもなく、シリアスに「朱鬼編」が完結。もしかしたら脚本段階ではギャグが一つや二つ、あったのかもしれないが、現場でカットされたってことも考えられなくもない。 とは言え、しょーもないギャグがなくなったからと言って、「凄く面白くなった」わけではない。つか、結局今回のエピソードはあきらの心の葛藤を描いた程度の「番外編」だったわけで、あと十何回かしか話数が残ってないってのに、何をモタモタやってやがるんだともどかしくなる。朱鬼とあきらを絡めるんだったら、朱鬼は生かしておいて、猛士の分裂を描いていく伏線にしなきゃ意味がないだろう。 でもそこまでの知恵がこのスタッフにあるとも思えないので、「平成ライダーは所詮はこの程度のレベル」と割り切って、お気楽に見るのがよかろうと思う。文句を付けようと思えば、ありきたりのストーリーだのなんだの、そりゃ、腐るほど出てくるから。 朱鬼の死に顔を見せてなお斬鬼に「美しい」と言わせるだけの現実を厳粛に受け止めさせようって度量がスタッフにあったなら「面白い」と言ってあげてもいいんだけどね。 役者さんの熱演があればこそまだ見続けているのではあるが、スタッフの首を挿げ替えてもまだこんなにストーリー展開がもたついてるのはどういうわけなのかね。
昼から父の見舞い。 休日で、特に検査もないし、主治医の先生もいらっしゃらないので、本当は見舞いを予定してはなかったのだが、朝方、父から電話がかかってきて、「今日は出かける予定はあるとや?」と聞かれたのである。 「いや、別にないけど?」 「出かける予定があるとやったら、読む本ばまた持ってきてもらおうかと思いよったとばってん……」 そんな寂しい言い方をされては、行かないと罪なような気持ちになるのである。 しょうがないので、昼メシを食いに出るついでに病院にも回ることにする(笑)。
家にある本を引っ張り出すには山をまた一つ二つ崩さなきゃならないし、私の持ってる本は昔のものが多くて、概して活字が小さい。父が希望する捕物帳の有名どころはたいてい持ってはいるのだが、大きい活字版で買い直してもよかろうかと、博多駅の紀伊国屋に寄る。それに嶋中文庫から出ている『銭形平次捕物控』シリーズは、私が以前買っていた「富士見時代文庫」版とは作品のセレクトの仕方が違うのである。富士見版には何と平次第一作の『金色の処女』が収録されていない。これは多分、第一作のころは平次とお静も結婚してないし(タイトルの「金色の処女」はお静のことである!)、ガラッ八も出てこなくて、後期の平次とイメージが違い過ぎるという理由もあったのだとは思うが。 『銭形平次』の11,12巻と、同じ嶋中文庫の『人形佐七捕物帳』1巻、光文社文庫の『半七捕物帳』1巻、新潮文庫の『再会 慶次郎縁側日記』の五冊を購入、病院に向かう。
病室では父は前に貸した『銭形平次』を読みふけっていた。熱中していて、私たちの訪問に気がつかなかつたくらいである。 「あともうちょっとで読み終わるぜ」と得意げである。テレビは全く見ていないらしい。「今度は本ば読もうと思ってな」と楽しそうである。持ってきた本を見せて、「前の『桃太郎侍』とかはどうだった?」と感想を聞いてみる。「テレビと全然、違うとったろ?」 「ああ、テレビばどうしても思い出すもんやけん、何か違うとるなあって感じしかせんやった」 「『一つ人の世生き血をすすり』とかも言わんしね」 「そうたい。ドラマにする時に変えたとやろうな」 「映画は高橋英樹やなくて市川雷蔵がやっとるんよ。こっちの方が原作に近いんやね」 母の生前は、父とこんなふうに時代劇の話をすることは殆どなかった。本や映画を見ているのはいつも母だったし、私の昔の映画の知識は、殆ど母や祖母から(それこそ「目玉の松ちゃん」の昔から!)聞かされるうちに自然と身についたものである。 しかし、父もまた戦前生まれであって、父の青春時代と「映画の黄金時代」とはぴったり重なっている。父と昔の映画の話をあまりしてこなかったのは今更ながら痛恨のことで、「時代の財産」を聞き損なってきた、という忸怩たる思いに駆られてしまう。 父とこれから先、こんな他愛無い話がどれだけできるかは分からないが、本をきっかけに昔のことが聞けたらいいなと思う。もっとも父が記憶を辿ることができればの話であるが(笑)。
唐沢俊一・おぐりゆか『唐沢先生の雑学授業』(二見文庫)。 コンビニでも「〜の雑学」みたいなタイトルの雑学本が何種類も出回っていると、何かもう一つ「読ませる」コンセプトがないとなかなか手に取ってみようという気にならないものだが、これは唐沢センセイに対して「うわの空・藤志郎一座」の女優、おぐりゆかさんを生徒に仕立てるという趣向が見事に生きていて、これまでの唐沢さんの雑学本の中でも一番読みやすく楽しい一作になっている。 唐沢さんがお一人で書かれた本については「生徒」はどうしても読者になってしまうわけで、先生に対して「それ、ホントですか?」とか「○○が○○だとすると××は××なんですか?」とか聞き返すことができずに、「お説ゴモットモ」と受け入れるしかなかったわけである。雑学本というのは、専門的な知識書じゃないんだから、読者はどうしてもそういうツッコミを入れたくなるものなので、そこが弱点になってしまうが、これはおぐりさんが生徒の役目を見事に果たしていらっしゃる。この場合、生徒がバ……いやいや、素朴で基本的な疑問を発してくれればくれるほど、一問一答の面白さは弥増す。あまりに素朴すぎて虚を突かれて、唐沢センセイが咳払いで誤魔化したりケツまくって逃げたり、そのあたりのやり取りも楽しい。インテリな先生というものは、インテリだってだけで権威的で横柄で、ヒゲなんかピンと立ててるけれども、それが生徒の疑問にまるで答えられなくて返事に窮して四苦八苦する、その様子を笑って見るのが面白いのである。 雑学はその信憑性においては眉唾的なものをかなりなパーセンテージで含んでいるものだから、それを前提として、知識としての真実性よりも「話のネタ」になる程度のもので構わない。唐沢さん自身も「雑学ブーム」については自分が仕掛け人の一人であるにもかかわらず「日本人にも知に対する好奇心がちゃんとある」とか「トリビアは真実である必要はない」とか、意見が揺れまくっていて、何が言いたいのかよく分からないくらい混乱しまくっていたのだが、おぐりゆかさんを「生徒」に選んだということは、ご自身の混乱自体もネタとしてエンタテインメントを仕掛けるだけの余裕が生まれてきたということなのだろう。それらのトリビアに関する発言の変遷も含めて読んでいくと、この本、めっぽう面白いのである。 だもんで、「青写真は冬の季語である」というトリビアについて、本文に書かれている通り、「変なもの」も多いので、そういうものは「実際には使われることが少ない」し、「入試にも出したら文句が出るので出されない」とか、「『馬鹿』という格言が中国発祥であるにも関わらず、現代の中国で通用しなくなっているのはなぜか」という疑問に対して「漢民族が一回滅亡してるから」というフォローはしなくてもいいことかもしれない。聞かれたら答えるけど、私の言ってることも眉唾だからね(笑)。
マンガ、田中圭一『鬼堂龍太郎・その生き様』2巻(集英社)。 1巻の感想を書きそびれてるうちに、2巻が出ました。いや、感想書いたからと言って、「ほう、面白そうだな、いっちょ買って読んだろか」と思う人がたくさん出てきそうなマンガじゃないんですが。ともかく、下品なギャグ、シモネタ、オヤジギャグ、ともかく下らなくてしょーもなくて、そのしょーもなさがかえって快感、なんて感じることのできるバカなアタマの持ち主でないと、これは楽しめません。田中圭一ですから。 社内抗争で平社員に格下げされた元役員の鬼堂龍太郎が、再び役員に返り咲くまでの闘争を描く……というのが基本コンセプトだというタテマエになっているけれども、実際はどんどん出てくる異常なシモネタキャラたちによって、鬼堂が翻弄されるのを笑って見る、という展開になっている……つか、それが最初からの狙い。原作者としてクレジットされている、実際に自分の降格をネタにビジネスジャンプにマンガ企画を売り込んできたという「古賀たけひこ」なんて人物は実在しないに違いない。 最近の田中圭一マンガについてはもう知ってる人は知ってると思うが、絵柄を手塚治虫、本宮ひろ志、永井豪、藤子・F・不二雄といった巨匠から拝借して、元ネタのネツレツなファンであれば激怒しかねない紙一重のギャグを展開してくれている。 こういうことを言うと、私の人格まで疑われそうだから本当は言いたくないのだが、手塚女性キャラどうしの「Hスポーツ」シリーズ、特に「ハメハメ川下り」が私は大好きだ。あと今巻新登場の鬼堂のムスメの萩菜(別名バギナ)が発明する危ないクスリの数々も。 それでも一応、これだけは言っとこう。 おいこら、そこの「ハメハメ川下り」でグーグル検索かけてきた通りすがりさんよ、俺は別にお前の同志なんかじゃねえから、間違っても「あなたもハメハメ川下り、いっぺんやってみたいとか思ってたんですね!」なんてメール、寄越してくるなよ。おりゃー、「くだらないギャグほどギャグの基本」と思ってるだけだ。 あと気に入ったギャグは、「執務室に閉じこもって『自叙伝アニメ』を製作している小泉首相」。アサハラショーコーか、おまいは。って、それをイメージしてるんだろうなあ。しそうだよ、あの人は。いやねー、小泉首相って中曽根さん以来、マンガにしやすいキャラって気がするよね。いしいひさいちのマンガでも一番生き生きしてるもの。
星野桂『D.Gray-man(ディー・グレイマン)』6巻(集英社)。 「ジャンプマンガは6巻越したら(連載1年を越したら)つまんなくなる」というのは実際にいくらでも例を挙げることができるジンクスだけれども、つまりは「1年以上連載が続くとは作者も思っていなかった」「だもんで、慌ててテコ入れの設定を考え出した」ってのが理由だったりする。 前巻で、クロス元帥を追っかけてたアレンとリナリーの前にいきなりアクマの大群が押し寄せて、実はそいつらは「咎落ち」したエクソシスト、スーマン・ダークを狙っていたのだった……って展開、まるでこれまでと繋がりがないんだけれども、その「慌てっぷり」が実に分かりやすくて、「現象」としては面白い。これが最初から計画されていた構成だとするなら、この作者、ストーリー構成力はまるでないと言い切るしかないんだが、もっともジャンプマンガの「人気がなければ即打ち切り」システム自体が、マンガ家さんから等しく「構成力」を奪ってるんで、作者を責めにくいところもある。 慌てたおかげで、これまで一面識もないアレンが、スーマンにいきなり感情移入するのが不自然極まりないなど、欠陥だらけの物語になっちゃってるんだけれど、絵がキレイでキャラだけは魅力的だから腐女子のファンはストーリーがワヤでも全然いいんだろう。この「絵とキャラだけ」の伝統も萩原一至『BASTERD!』以来のジャンプマンガの悪癖なんだが、かえってその方が腐女子には妄想を逞しくする余地が生まれるから、人気は出るということになる。 でもなー、フツーのマンガファンが読みたいのは「マンガ」なんであって、「イラスト」じゃないのよ。マンガが腐女子に支えられるような現状は、正直、いつかはマンガを滅ぼすわな。 それでも『D.Gray₋man』は今みたいな「引き伸ばし」などの迷走が収まれば千年伯爵との決戦まで物語を引っ張って行ける要素は充分持ってると思うのである。思いっきり「パクリ要素」丸出しだった一巻のころに比べれば、キャラクターがだんだん「生きて」きた。 特に千年伯爵とノアの一族、ロード・キャメロットにティキ・ミックといった「敵方」は、黒の教団のエクソシスト全員をひっくるめてもかなわないくらい、ダークな魅力に溢れている。これも言うまでもないことだけれども、主人公を「成長」させるものは魅力的な敵が主人公の心を揺さぶってこそなんでね。単純に「私は神だ」なんてほざくだけのバカを配置しちゃいかんのよ。 今巻のティキ・ミックのセリフ、「勇敢な奴は死ぬまでにほんのちょっぴり時間を与えてやった方がいい。心臓から血が溢れ出し体内を侵す恐怖に悶えて死ねる」、悪の魅力はこれくらいでないとね。 つまりはこのマンガ、決して「子供向け」なんかじゃないので、今回の「咎落ち」エピソードみたいなありきたりで余計な回り道なんかしないでいいのである。ティキ・ミックにスーマンを殺させる結末があるから、何とかキレイゴトのハッピーエンドにならずに済んだ点は評価したいが。「スーマンは助からなきゃいけなかったんじゃないか」なんてキャラのみに偏ったファンの独りよがりで腑抜けた意見なんかは無視してよい。
そう言えば、言語学の専門雑誌『言語』11月号に、ついに「腐女子」が載ったぞ(笑)。 「アニメやコミックス、コスプレなどに熱中しているオタクの女性たちが自虐的に称しているもの。(中略)男性のオタクに比べて『女性オタク』たちはファッショナブルで、コミュニケーションが上手で、美しいものに憧れているという特徴があるとされている」んだそうな。 あー、そうなんスか? ボーイズラブ系同人誌って、男の目から見るととても「美しいものに憧れている」とはとても思えないんスけど。 まあ、男のオタクがたいていキモ過ぎだから、反作用的にはそう見えるというのもあるかもしれないねえ。実際、ブログや日記開設してるオタクって、女子の方が圧倒的にハバ利かせてるもんな。 けれど、だからと言って「コミュニケーションが上手」って意見に対して首を傾げざるを得ないのは、彼女たちの見ている世界と視点が異常に狭いからなんだけどね。四十を越してるんじゃないかという女性オタクであっても、世間知や分別が感じられない人がやたらいるのだ。 やっぱさー、「自分が生まれる前にあった、小説、ドラマ、映画、マンガ、アニメなどに対しても、今あるものと同等かそれ以上の愛情と見識を持っている」人でないと、オタクとは言えないし、いつまでも「腐ってる」と自虐的な態度しか取れないんじゃないかね。
2002年10月23日(水) 『ハリポタ』ホントに面白いか?/『呪いのB級マンガ 〜[好美のぼる]の世界〜』(唐沢俊一&ソルボンヌK子監修) 2001年10月23日(火) 凡人礼賛/DVD『エイリアン9』2巻/『魔獣狩り』(夢枕獏・木戸嘉実)ほか 2000年10月23日(月) 浮かれたホークスファンは情けない/アニメ『犬夜叉』『人造人間キカイダー』第2話ほか
2005年10月22日(土) |
いそがし日記4/DVD『香港国際警察 NEW POLICE STORY』。 |
父の入院はひと足先にブログ日記の方に書いていたので、お読みになった方の何人かから、激励の優しい言葉をいただきました。謹んでお礼を申し上げます。
『ウルトラマンマックス』第17話「氷の美女」(宇宙古代怪獣エラーガ登場)。 三池監督の後を受けたのでは、どうしても見方が厳しくなってしまうのだが、気になる点はありつつもまあまあの水準作は仕上げて来ている。 30分番組なんだから、「どうしてニーナは氷の中に閉じ込められていたのか」とか「なんでコバ隊員はひと目見ただけで得体の知れないニーナにそこまで惚れたか」とか「怪獣一匹で世界が破壊しつくせるのか」とか「人間が失敗作って、殺戮してるお前の方がよっぽど性格破綻者じゃないのかニーナ」とか「ニーナがどうしてコバ隊員には自分を撃てないと思ったのか、そんなことまで彼のDNAを見れば分かるのか」とか「マックスであるカイトに『人間は失敗作じゃない』と言わせるなんてずるくないか」とか、そこまで突っ込まなくてもいいと思う(笑)。 一目惚れってことだってあるし、人間はやっぱり失敗作かなって人間である自分だって思うし、氷の中に何万年もいたのだって、30分では語りきれない何か深いわけがあったのだろう(笑)。多少、説明不足のところがあったって、説明過多でつまんなくなるよりはマシである。語んなきゃいけない部分以外の省略の仕方はまあまあ悪くはなかったと思う。 エラーガの活動を止める手段が定番過ぎるのにはもうちょっと工夫がほしかったかなとは思うけれども、これも間違ってるわけではない。でも、ニーナの発見者がどうして彼女に「ニーナ」と名づけたのかは本筋に関係ないけど気にはなるね。細かい点では、そのニーナが面と向かってニーナと呼ばれたり、自称したり、というシーンがなかったのはよかった。 ニーナ役の上良早紀(かみりょう・さき)のクール・ビューティーぶりはなかなかのもの。
昨日からしげを叱ってばかりいる。 いつものことで家事をサボってばかりいることは遠因としてあるが、腹が立つのは、父の見舞いに行くのに、「天神は車を停めにくいから」とかほざいて、往復を面倒くさがっていることである。おかげで父からも「無理して来んでいいぞ」と言われるし、姉も「お父さんの着替えは私が持っていくから」とか、気遣われてしまっている。見舞い客が病人の方に気遣われてどうするか。 天神の交通状態が悪いのはそりゃ分かる。だったら、バスと地下鉄を乗り継いで行けばいいのである。そう言われても出渋るのだから、ただ単にワガママを言っているだけだ。ワガママを言っていい時とまずい時のTPOが未だに分からないというのはどういうわけかねえ。 父の手が自炊しにくい状況になっているのは事実なのである。父は「レトルト買えばいいんだから」と言うが、糖尿病のことを考えれば、ちゃんとした食事を作った方がいいに決まっている。モヤシと鶏肉を茹でただけの晩飯を半年も続けるような今の手抜き料理じゃ困るので、「何か別のもの買って、練習しとけよ」と言ったのに、今日もまた同じ食材で同じ料理を作ってきたのだ。 「どうして注意したこと無視するんだよ」と叱ったら、「言われたことと、料理のことと、繋がってない」と答えるのだ。つまり、私に言われたことは理解しているのだが、いざ買い物をして、料理を作ろうとすると、たとえ直前にインプットされた情報であっても、それは忘れ去られてしまって、今までと同じ料理を機械的に作り続けることになってしまうと言うのである。しげには、こういう、「時計を見ようと思って時計を出したら、時計を出したという行為が終了して安心したので時計を見ないまま仕舞ってしまう」というクセが頻繁に、それこそ毎日何十回も起こるのだが、しげの通院している神経科の先生は、しげのこういう病状を理解しているのだろうか。
今日はしげ一人が父を見舞い、下着などを取り替えに行く。 父から「HCUから一般病棟に移るぞ」との連絡あり。回復に向かっていると判断してもいいのかも。
DVD『香港国際警察 NEW POLICE STORY』。 初回限定生産で、DVD二枚組みの特典仕様。ジャッキー・チェンの最高傑作との呼び声も高い本作で、50の坂を越えてもなおアクション映画を撮り続けるジャッキーの真摯な姿勢を見ていると、こりゃ通常版は買えないというのがファンとしての心意気だろう。 でもメイキングを見ていたら、さすがのジャッキーも「もう年だよ」と呟いて、共演のニコラス・ツェーから「それを言っちゃ……」と言われてしまう一幕もあった。最近は「韓流の悪口を言った」とかデマも流されてしまったジャッキーであるが、インタビューでも答えていた通り、ハリウッドで10本以上の映画に出演することを契約し、もちろん『香港国際警察』シリーズの続行や他の企画、日本との合作などの計画もあるジャッキーには、韓流がどうのこうのなんて、そんな小さなことに拘ってるヒマはないのである。 実は本編の映画を劇場に見に行った時には、糖尿がひどくなってた時期で頻尿で、途中、二分ほどトイレに行ってて見てないシーンがあったのだが、なんと警察本部内での爆弾騒ぎの真っ只中、チャン警部(ジャッキー)が、恋人のホーイー(チャーリー・ヤン)に愛を語るところを見逃していた。ああっ、くそ、こんないいシーンの時に俺の膀胱、我慢できなかったのか。今まで私のこの映画の評価は80点くらいだったのだが、このシーンを見たら90点くらいにアップした。これこそジャッキー映画、エンタテインメントの王道だよねえ。
2002年10月22日(火) 愛の賛歌(^o^)/『金色のガッシュ』7巻(雷句誠)/『焼きたて!! ジャぱん』4巻(橋口たかし)/『眠狂四郎』5巻(柳川喜弘) 2001年10月22日(月) 野だいこ敬語/『源氏物語』第壱巻「桐壷」(江川達也)ほか 2000年10月22日(日) 時代劇なのにカップルが多いとは珍しい/映画『五条霊戦記』ほか
2005年10月21日(金) |
いそがし日記3/『絶対可憐チルドレン』1・2巻(椎名高志)/映画『チャーリーとチョコレート工場』 |
昼から、久しぶりに病院回り。本当はもっと頻繁に行かなきゃならないのだが、なかなか余裕がない。 最初は内科に回って、検尿と採血。結果が出るのが後日なので、また来なきゃならないのだが、そうやって診療費を余計に取られるのも癪なので、また一月後に来よう。 さらに眼科に回って、コンタクトレンズの試着。十年くらい前にもしたことはあるのだが、私の近視に合うだけの度数のものが開発されていなかった(裸眼では0.01を切ってるのである)。それが使い捨てでもギリギリ何とか目に合うものができてきたので、この際思い切って購入することにしたのだ。科学の進歩もようやく私に追いついてきたようである。 ところがその過程で視力検査をしていたら、老眼が進行していることが分かった。何だかどんどんジイサンになりつつあるが、心は枯淡の境地には程遠い。
病院に行くと、叔母夫婦が見舞いに来ていた。父より年下だからまだ60代のはずだが、仕事を辞めたとかで髪を染めていなくて完全に白髪である。して見るとうちの家系は早く白髪になりやすいのかな。 退屈だと言うので父に貸しておいた『桃太郎侍』、もう読み終わったそうである。検査以外は本当にすることがないところだからなあ。
博多駅の「GAMERS」で、買い損なってたマンガなどを一括して買う。 椎名高志さんの『絶対可憐チルドレン』(小学館)は、待望の1、2巻同時発売。既に略称は「絶チル」となってるそうで、「GAMERS」でも手作りのポップにそう書いてあった(笑)。椎名さんのファンならば、「GAMERS」で買えばポストカードもオマケについてくるので、そちらでの購入をお勧めする。 なんたって読みきり連載のころからもう、出るのを一日千秋で待ってたからね。10巻くらい進んでまだ人気があったら、ぜひアニメ化を望む。いや、マンガのアニメ化については基本的には反対の立場なんだが、椎名さんのファンならば、『GS美神』のアニメが打ち切られたあと、マンガの方で、おキヌちゃんが「またアニメになったりして」と言ったのに向かってヨコシマが血の涙を流しながら「それはない。ないんだよ」と呟いていたのを思い出すだろうから。 読みきりのころから椎名さんが進歩してるなあと思うのは、接触テレパスの紫穂に、皆本が心を読まれることを厭わずに手を触れることを「コトバ」で説明してるんだけれど、連載版になると、それを紫穂の「微笑」だけで表現している。ジャンプとサンデーのマンガの何が違うって、ジャンプは本当に「説明」ばっかりで絵の表現力ってものを信じてないんだよね(『デスノート』が面白いのはその「説明」を逆手に取った心理戦を展開してるからだ)。子供はジャンプばっかり読んでるとバカになるぞ。 果たしてエスパー三人娘は、成長して天使となるか悪魔となるか、何だか永井豪テイストが入ってるあたりもお気に入りなんである。……と思っていたら、おまけマンガでホントに『デビルマン』のパロディやってくれちゃってたよ。早く3巻が出ないかなあ(多分三ヶ月先である)。
ダイヤモンドシティで、映画『チャーリーとチョコレート工場』。 あえてある程度のネタバレを承知で書くけれど、これも多分、お子様や馬鹿親はあまり気がついてないことだと思う。ウィリー・ウォンカに招かれた五人の子供たちのうち、最後に四人の子供たちが助かったのは、あれ、ファミリーものとして仕方なくくっつけてるオチなんで、あれは「ないもの」として見ないと、本当の本質を見損なうからね。ウィリーの心の闇は、「親に溺愛されている子供たちを憎む」ほどに深く暗いんだから。子供たちは当然「殺されたもの」として見るのがウィリーの心を理解するよすがになるんである。 じゃあどうしてチャーリーだけが助かったかというと、彼は「溺愛されている」わけじゃないので、そこも勘違いしないように。なんにせよ、イマドキは食玩を「大人買い」してフィギュアをコンプリートしたものを子供にどんどこ買い与えるような馬鹿親は世間にゴマンといるだろうから、そういう親子はこの映画を見ればさぞや苦虫を噛み潰したような顔になるだろうことは請け合いである。 ラストの「取って付けた感」で拍子抜けした人もいるかもしれないが、メインは子供たちを次々と「殺して」いくところにあるんで、ラストをおざなりにしたのはわざとなの。えっ? ティム・バートン監督はそんなこと言ってないって? そんな、正直なこと言ってたら、映画を作らせてもらえるわけないじゃないの(笑)。 それから、もともと原作が「奇妙な味」のブラックな作家であるロアルド・ダールだってこともちゃんと理解しておいた方がいいよね。この物語が、チョコレートが本当に子供たちにとって甘美な、極上のお菓子だったころの、そしてだからこそ一種の「麻薬」として恐怖されていた時代に書かれた物語であることを考えて、チョコレートをチョコレートとして見るのではなく、子供を快楽に導くものの象徴として見ないと、その寓意は理解できないのである。だからまあ、現代のおとぎ話としてはちょっとズレは生じているかな。 『水着の女王』や『オズの魔法使』、『2001年宇宙の旅』などのパロディは好き好きでしょうねえ(笑)。
2002年10月21日(月) 今から2ヶ月後のプレゼントで悩んでいる男の愚痴/『華麗なるロック・ホーム』(手塚治虫)ほか 2001年10月21日(日) もう6年/『背後霊24時!』3巻(がぁさん)ほか 2000年10月21日(土) 仔牛のテールは美味かった。♪ドナドナ/『火星人刑事』4巻(安永航一郎)
今日も見舞いはしげだけの予定だったのだが、「キツイから行きたくない」とか言い出したんで、仕事を早引けして、予定外の見舞いに行く。 父がかえってしげを気遣って「無理して来んでもいいぜ」なんて言い出すものだから、本当に困るのである。
ドラマ『熟年離婚』第2回。 前回同様、離婚の言い分は妻側の方が筋が通ってるんだが、夫への対応の仕方、松坂慶子がやるとただの嫌がらせにしか見えない。これはまあ、渡哲也が料理に苦労したりゴミ出ししたりする日常の可愛らしさを楽しむドラマだと割り切って見よう。
マンガ、加藤元浩『Q.E.D.』22巻(講談社)。 「春の小川」と「ベネチアン迷宮」の二作を収録。 「春」は、随分単純な謎だなあと思わせておいて、あのネタで落とす。同じネタを扱ったあの作品やあの作品よりも語り口がうまいので、見事に引っかかった(笑)。考えてみれば、この作者がこんな陳腐なネタだけで勝負するわけがないのである。油断したなあ。 「ベネチアン迷宮」も、いくつかの誘拐もののネタを複合して、なかなか複雑に、さらにはアランの恋物語まで混ぜて(笑)いるにもかかわらず、見せ方がコンパクトかつスムーズなのは構成力の妙だろう。 何度も言うけど、今、ミステリーマンガで一番「読める」のは『コナン』でも『金田一』でもなくて『Q.E.D.』だからね。そろそろアニメもよかないか(笑)。
天樹征丸・さとうふみや『探偵学園Q』22巻(完結/講談社)。 はっきり「子供向け」を志向していたので、『金田一少年』ほどには抵抗感がなかったこのシリーズ、終わり方もまあ定番でよかったんじゃないですか、という印象。最後が館の爆発で終わるのは、江戸川乱歩の『少年探偵団』だねえ、というのはもうロートルの感覚。もちろん生死不明のキング・ハデスのおっちゃんや、これは確実に生きてるケルベロスが再登場する可能性はあるわけだが、もうこれでキリよく終わってほしいね。 それはそうとキュウ君の旧姓は分からずじまい。読者の想像におまかせ……って、ストーリーの本筋と何の関係もないそういうおまかせは意味がないよ。で、次の連載もまた『金田一少年』なわけだが、時代的にはもうひ孫の世代でおかしくなくなってるのに、まだ続けるんだから、全くお前は『ルパン三世』か、と言いたくなるね。
2002年10月20日(日) クレーマー・クレーマー(^_^;)/『COMAGOMA コマゴマ』3巻(森下裕美)/『フルーツバスケット』10巻(高屋奈月)ほか 2001年10月20日(土) 泣くなしげっちゅ/『眠狂四郎』1巻(柴田錬三郎・柳川喜弘)ほか 2000年10月20日(金) カシューナッツと水木の世界とパーティと/『大熱血』(島本和彦)ほか
忙しくなってきたので、また短めに。
森田雄三さんとイッセー尾形さんの小倉ワークショップのレポートが全てアップ。 考えてみればあれからもう一月が経っているのだが、読んでいるとあの充実の日々のことが蘇ってくる。ワークショップの中まで、あれから仲良くなれた方もあり、どうも嫌われちゃった人もあり。人生模様だね。 イッセーさんはドラマと舞台、ワークショップもありで、かけ持ちして忙しそうだ。
末次由紀の少女マンガ『エデンの花』(講談社)の中に、井上雄彦作『スラムダンク』(集英社)からの盗用シーンがあるということで、講談社は末次さんの全作品を絶版、回収。連載中の『Silver』も打ち切りを決定した。現物をテレビで見たけど、言い訳の利かないレベル。このマンガ家さんのファンだった人には気の毒だけど、処分は穏当。まあ十年もしたらどこかの出版社が改訂版を出版するとは思うけどね。
今日も仕事帰りに父の見舞い。 本当は行く予定はなかったのだけれど、昼間、見舞いに行ったしげが、入院届けを出そうとしたら、父の住所も電話番号も知らないことに気がついて出せなかったとか。 「だったら姉ちゃんに聞けばよかったじゃん」 「おお」 おお、じゃないよな。
ドラマ『相棒』第2話「殺人講義」。 サブタイトル、倒叙形式であること、犯人が心理学者であること、ストーリーの仕立て方や、犯人が自分の講義に探偵をゲストで招くオアソビまで、全部『刑事コロンボ』の影響が大。けれどこれが「盗作」にならないのは、パターンやスタイルを継承しているだけで、作品のオリジナリティを犯してるわけじゃないからなんだね。「初めからあなたが犯人だと思ってました」ってのはもうミステリーでは定番のセリフだけれど、「そう判断した理由」がオリジナルであれば、剽窃にはならないというわけ。 だから『古畑』だって「『コロンボ』のマネ」ではあっても「パクリ」「盗作」にはならないわけ。倒叙形式はそもそもオースチン・フリーマンの創始した形式だって基礎知識も知らないでミステリーを語るやつが多すぎ。
夜、東京のグータロウ君と電話。イッセーさんとこに小倉レポートがアップされたことを報告するだけの予定が、父の入院の話、『響鬼』の話、メイドカフェの話(笑)など、気がついたら一時間以上喋ってる。 しかし、なんでみんなそんなにメイドカフェが気になるのだ(苦笑)。
2002年10月19日(土) 多分今日は死にかけていた/映画『千年女優』/『ロード・トゥ・パーディション』 2001年10月19日(金) 逆探知されました(^_^;)。/『コータローまかりとおる!L』1巻(蛭田達也)ほか 2000年10月19日(木) 異端審問と放火魔タマキと消えたメールと
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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