無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年10月20日(土) 泣くなしげっちゅ/『眠狂四郎』1巻(柴田錬三郎・柳川喜弘)ほか

 オタアミ当日まであと35日! 35日しかないのだ!

 ようやく土曜日、仕事をさっさと片付けて病院に行く。
 熱は一晩寝たおかげで引いた。
 「注射はいいですね」と言われたので薬だけもらう。
 ついでに糖尿病食のレトルトパックを買いこむ。これ、いちいち計りメシしなくていいのだけれど、一食が1000円とバカ高い。半額なら、1ヶ月分買っても3万円、料理の手間が全くなくなって助かるのだが。

 帰宅すると、しげがいない。
 しかも玄関に鍵が掛かっている。
 そういや今日はしげは自動車学校の卒検だったんだなあ。って、まだ鍵なくしたまま見つけてないんだぞ!? これじゃ部屋に入れないじゃないの!?
 慌てて携帯でしげに連絡を入れる。
 「オイ、玄関に鍵掛かってるじゃないかよ!」
 「あ、鍵持ってないん?」
 「持ってないって言ったろ!」
 もともと鍵をどこかに置き忘れた私が悪いのではあるけれど、私が鍵を持ってないことをキレイサッパリ忘れたしげも、思いやりのカケラすらない。
 「でも、3時くらいまで帰れないよ?」
 「……じゃあ、天神回って買い物してくるから、博多駅あたりで待ち合わせしよう」
 本当は具合が悪いままなので、さっさと寝ていたかったのだが、家に入れないのでは居場所がない。そのまま、レトルトパックの袋を抱えたまま、バスと地下鉄を乗り継いで天神に向かう。

 いつものごとく、天神ベスト電器「LIMB」でDVDを買いこむ。
 ついでに、「オタクアミーゴス」の公演チラシ、置いてくれるかどうか、売り子さんに尋ねてみる。
 「あの、アニメコーナーに、チラシを置いて頂けますか?」
 「あ、はい。わかりました」
 「……あの、現物見なくていいんですか?」
 「あ、そうですね」
 「……これなんですけど」
 「じゃあ、お預かりします」
 「……あの、店長さんとかに許可いただかなくていいんですか?」
 「あ、そうですね」
 と、店員さん、どこぞに電話するが、つながらない様子。
 「ま、いいんじゃないですか。お預かりしますよ」
 「は、はあ、そうですか、ありがとうございました」
 なんだかえらくアバウトである。でも置いてもらえるというのをいい、と遠慮するのもヘンなので、20枚ほどお渡しする。
 まあ、毎月の面識のある方々だし、月々ン万円は落としていく客であるし、私の本職も知ってるしで、信用があるのであろう。実際、信用だけはとりあえずある職種なのである。
 さて、チラシの効果がこの「LIMB」でどの程度上がるか、実はよく分らない。
 確かにここのアニメコーナーは福岡の店の中では充実している方だ(っつーか、他がシャバ過ぎ)。「アニマップ」なきあと、いかにも濃そうなオタクな方々が寄ってる様子はある。『大巨獣ガッパ』ボックスや『宇宙大怪獣ギララ』ボックスまでよく売れてたみたいだし。
 でも、それだけのオタクなら、福家書店にもきっと寄ってる人ばっかりなのに違いないんだよな。
 どっちかと言うと、ここの店員さんに来てもらいたいくらいなんだが、どうせオタアミ当日は連休中だし、仕事だろう。けどもう、他にオタアミに興味持ちそうなオタクが寄りそうなところって、各種マンガ喫茶やインターネットカフェくらいしか思いつかないしなあ。でもそういうところって、チラシ置かせてくれなさそうな気配が濃厚。
 残り1ヶ月を切ろうかという時点では、これが私にはもう精一杯である。
 ……ああ、本職のコネ使えたら、あいつもこいつも呼べるのになあ。
 
 福家書店で新刊を買いこむ。
 ここもオタアミのチラシ、しこたま置いているのだが、なんだか枚数置き過ぎてるせいもあるのか、減ってる気配がまるでない。
 しかも、置き方がまずいのか、へにょっとしおれて、何のチラシかも解らない。一所懸命立ててみたが、やっぱりへにゃっとなる。
 ……なんだか縁起が悪いぞ。置き場所変えた方がよかないかなあ。

 天神から博多駅に向かおうってところでもしげから電話。
 声の調子がえらく暗い。
 「……ごめん、ちょっと帰りが遅れる。いったん、ウチに帰って鍵、開けとくからすぐ帰っていいよ」
 ……試験落ちたな、こりゃ。
 こうバレバレだと何も言う気になれん。


 博多駅のダイソーで数珠を二人分買う。
 明日の母の七回忌用のだが、こういう百円ショップじゃ、アクセサリー用の短いのしか置いてない。かと言って専門店で何千円もする高いの買う気は毛頭ないので、やっばりそれを買う。
 ウチに帰りつくと、しげも間もなく帰ってくる。
 「落ちたよ〜、信号一つ見落とした〜。隣の人なんか人道に乗り上げても合格したのに〜」
 「再試験、あるんだろ?」
 「ウン、火曜日」
 「ならよかったじゃんか」
 「なんで?」
 「もう一回、実際にクルマに乗る前に練習ができるんだから」
 そう言ってやってもしげはまだ不満そうな顔だ。プラス思考ができない女なのだなあ。

 父から電話。
 明日のために散髪しておかないか、と誘われたが、風邪で外に出かけたくないと返事。ホントは今日のうちに果物を買って行く予定だったのだが、ヘタに外を出歩いてしまったので、体調が本気で優れない。それも含めて、明日のこまごま、結局父に頼む。
 ダルいカラダをおして、劇団ホームページのリレー小説、自分の回を書く。今日がシメキリだから、日延べってわけにはいかないのだ。
 集中力が切れそうになるのをなんとか持ち直させながら書き綴っていくので、いつもの半分くらいのペースでしか書けない。なんだか、受験勉強でもしてる気分になる。前の設定を読み返してみても、なかなか頭に入ってこない、ともかく書いて行くのが精一杯で、文章の手直しも何もあったもんじゃない。
 イライラが溜まって怒鳴りたくなるのを、かろうじて抑えている。
 なのにその間、しげはいつまでも「ちぇっ」とか「あ〜あ」とか、ブツブツブツブツうるさい。またしげの「かまってほしい」病だ。
 ワザと私が書くのジャマしてるのがミエミエ。
 ええい、未練がましい、鬱陶しい。それでも男か。女だけど。
 「いい加減にしとけ!」と怒ったら黙って部屋にすっこんでしまった。どうせ何か家事をするでもなし、引きこもっててもらってた方がずっとありがたい。
 あ〜もう、勝手に泣いてろ(-_-;)。
 

 ゼロゼロナンバー・プロジェクト編『サイボーグ009コンプリートブック』(メディアファクトリー・1785円)。
 原作・アニメ全ての情報を完全網羅、と謳ってるのに、肝心の今回のアニメ化についての情報が全くない。
 ワザと隠してるんだったら、帯に「3度目のアニメ化!」なんて書いてあるのもヘンだし、第一、それじゃ宣伝になるまい。この本を編集してる段階で情報自体がなかったと考えるのが妥当かも。
 それにしても、やっぱり原作『移民編』の改変については、一切触れないままだ。改変にやましいところがないなら、明記するに吝かではないはずなのに、こういう「事情」自体を書こうとしないというのは、ただの「ことなかれ」でしかない。
 『移民編』は改変前の「ミュータント」の設定の方が絶対に完成度が高い。アニメ版も恐らくは改訂後の設定でやるんだろうけど、だったら無理してアニメにする必要ないと思うのだが。
 石森さんのご子息の小野寺丈氏による『神々との戦い編』小説版、2002年には出版、と言ってるが、また、延びたりしないだろうなあ。ここまで来たら、駄作でもいいから読んでみたいんだが。ともかく、私が死ぬまでにはどうか出版されますように。


 マンガ、柴田錬三郎原作・柳川喜弘作画『眠狂四郎』1巻(新潮社・530円)。
 眠狂四郎のキャラクターデザインは、腰まで届くほどの長髪が原作のイメージとかけ離れている(と言うより時代劇らしさが全くない)のだが、筋運びは原作に実に忠実である。美保代が犯されるシーン、ちゃんとあるし。
 原作を読んでいる人にはご承知の通り、この作品の要は、何かとうまいこと言って狂四郎を乗せて操ってしまう武部仙十郎にあるので、こいつがただのヒネタ爺さん程度のキャラにしか描かれてないのはちょっと残念。映画シリーズはたいていこの武部の爺さんがすっ飛ばされてることが多いので(それに近い役を『眠狂四郎勝負』では加藤嘉が演じてはいたが)、実は極めつけといわれる市川雷蔵の狂四郎シリーズ、私はそれほど高く評価してはいないのである。
 それに比べると、まだこの爺さんが出てる分だけ、マンガ版の狂四郎シリーズはちょっと期待したい。でも、全シリーズマンガ化はムズカシイだろうなあ。第一シリーズの『無頼控』をマンガにするだけで2、30巻はかかるだろうし。


 マンガ、雷句誠『金色のガッシュ』3巻(小学館・410円)。
 シリアスとギャグの混ぜ合わせがなかなか楽しくなってきたが、なんかギャグのヘタレ具合がなんとも気に入ってしまっている。
 魔物たちがどうして日本にばかり現れるか、「一番勝てそうなやつと最初に戦いたい」という設定は意外と整合性があってウマイ。これなら、敵の魔物が弱くても不自然じゃないし。
 ……いやね、実際、「なんでこんな弱い敵ばかり」って思うくらい、ヘタレたヤツが次々挑戦してきやがるのよ、これが。中でも、変身能力しかないペリカンみたいな魔物キャンチョメと、ナルシストのイタリア俳優、フォルゴレのコンビは最高だ。「(自分が)弱くなる呪文」を駆使するあたり、もー、オイちゃん情けなくて涙が出るよ(T∇T)。
 こういうコメディリリーフは簡単に殺しちゃいけないのは鉄則。ちゃんと生き残った以上は、クライマックスでの再登場を期待したい。
 

 マンガ、石ノ森章太郎『気ンなるやつら』(双葉文庫・600円)。
 今はなき雑誌『平凡』に、1965年から1968年まで連載された、短目のラブコメディー。
 六ベエとマリッペ(この「ペ」って愛称が時代ですな)のケンカしたり照れたりの他愛ない恋愛模様を描いた作品なんだけど、こんな作品にまで随所に石ノ森さんが「実験」を試みてることに驚く。
 サイレントかつ縦長俯瞰のコマだけで構成した『雨の中のふたり』など、もとネタが『シェルブールの雨傘』だってことはすぐ分るけど、その換骨奪胎の技が絶妙にウマイ。
 『スペース・オペラ!?』の巻なんか、ハッキリ『サイボーグ009/超銀河伝説』の基本プロットになってるもんなあ。
 毎回ヒロインのマリッペが、表紙絵でお色直ししてくれてるのも嬉しいのであった。

2000年10月20日(金) カシューナッツと水木の世界とパーティと/『大熱血』(島本和彦)ほか



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