金輪際。
もう逢う事は無いと、 そう、 想い極めた故に。
言の葉を、 返す力も無い。
或いは、 言の葉を想う事すら出来ぬ、 身体で在ると。
違うか。
身体すら無いかも知れぬと、 想ったが故に。
幾年も前の、 其の紙切れを引き出して。
足跡に触れた。
けれども。
其れは、 半ば執着して付きまとう雄と、 変わらぬ行為で。
今に至れば。
其れは、 執着して付きまとう行為、 其の物だ。
当時交わした宅配便の伝票を、 あの子に見せながら。
ふと、 問い掛ける。
「検索で出て来るの。」 「お母さんの名前?」 「お姉さんの名前?」
「此処にね。」 「住んでたアパートがあったと。」
「そっか。」
「流石に引いたよ。」
「やっぱり?」
もう逢えないと想ったから。
良い意味で裏切られた、 其の想いは。
きっと、 届くとは想うけれど。
もう逢えないと想ったから。
其れは、 あの子への想いでは無くて。
飽く迄、 自身の為の想いに過ぎないのも、 事実だよね。
---------- References Nov.03 2017, 「知れぬ街では他人でしょうか」 Dec.08 2001, 「気になり始めているのですか」
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