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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年12月31日(水) --

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★ニューイヤーのお休み。

いよいよ2004年ですね。 大晦日を迎えて夢の図書館も、 冬の休暇に入りました。

新年は8日から再開させていただきます。 メールのお返事なども、8日までご了承を。

それでは、よい歳をお迎えください。

from 夢の図書館@お天気猫や

お天気猫や

-- 2003年12月30日(火) --

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『The 12Days of Christmas』

☆クリスマスは、美しい。

このPop-Up絵本は、 "On the first day of Cristmas"から "On the twelfth day of Cristmas"までの 恋人からの贈り物が美しい切り絵で綴られています。

「クリスマスの12日」は、 (私は知りませんでしたが) 古くからある有名なクリスマスソングで、 もとは、キリスト教(英国教会)の若い信者たちが教義を学ぶために、 イギリスで書かれた歌(教義問答歌)のようです。

ロバート・サブダは、その詩にあわせて、 まるで魔術か神業かのように、 真っ白な紙できっぱりと美しい世界を創り出しています。
一日目は「ヤマウズラ」
二日目は「二羽のキジバト」
三日目は「三羽の雌鳥」



十二日目は…
と、それぞれの贈り物がPop Upします。
特に七日目の「七羽の白鳥」のすばらしいこと。 スノーボールのデザインで、本物のように雪までちらつきます。


<七日目の贈り物>

どのページもロバート・サブダの造形の見事さに ただただ見とれるばかりですが、 この歌にはそれぞれ、キリスト教の意味するところがあるそうです。 贈り主である「恋人(My true love)」はもちろん「神」であり、 贈り物を受ける「私」は「洗礼を受けた信者」
贈り物の数々は、たとえば、 「二羽のキジバト」が意味しているのは 「旧約・新約聖書」であるとか、 どの贈り物もいろいろと深い意味があるようです。
興味のある方はこちら。
『Catholic Information Network (CIN) 』(英語サイト)
 ORIGIN OF "THE TWELVE DAYS OF CHRISTMAS"
 http://www.cin.org/twelvday.html

そうそう。 クリスマスソングですから、曲もあります。 目だけではなく、耳でも楽しみたい方は、 こちらにどうぞ。
『Songs of the Season』(英語サイト)
 The Twelve Days of Christmas
 http://www.night.net/christmas/12-days-txt.html

ところで、魔術師ロバート・サブダの本ですが、 日本語訳が出ているものもあります。 『ナイト・ビフォー・クリスマス』や『クリスマス・アルファベット』です。 この『クリスマスの12日』も大日本絵画から 日本語版が出ているのですが、在庫切れのようです。(シィアル)


『The 12Days of Christmas』 著者:Robert Sabuda / 出版社:Simon & Schuster

お天気猫や

-- 2003年12月29日(月) --

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『えんどう豆の 上に ねむった お姫さま』

☆飾りたいほどに、美しい絵本。

クリスマスにマーズから、アンデルセンの絵本をもらった。 絵も、文章もとても美しい本だ。

のっけから、ある意味強烈で、これはちょっとすごい本かもと、 期待が膨らんでいく。

この お話は ハンス・クリスチャン・アンデルセンさまがお書きになったのでございます(冒頭より)

とても丁寧な日本語で、物語は幕を開ける。 いつ頃読んだのだろう。小学生の頃だろうか? とても懐かしい。 子供だった私には、この上もなくロマンチックな物語に思えた。

将来のおきさきにふさわしい“ほんもののお姫さま”を捜す王子さまの前に、嵐の夜、「ほんもののお姫さまです」と名乗る びしょぬれのお姫さまが現れる。 おきさきさまは、“ほんもののお姫さま”かどうか、 ある方法でお姫さまを試すのだが…。

“ほんもののお姫さま”
数あるお姫さま方の中でも、“ほんもの”の、お姫さま探しである。 どんなお姫さまが、“ほんもの”なのか、 期待にわくわくしながら読んだ記憶がある。 ちょうど、今はディズニーのプリンセスシリーズが、 大人気のようである。 クラシックなお姫さま物語をぜひ、 小学生のめいっ子に読んであげたくなった。

蛇足であるが。
大人になった私は、“ほんもの”の証明(!)は、 それだけでいいの? 結局、このお姫さまはどういうお姫さまなの? と、小姑よろしく、気になってしまった。 ロマンティックだけでは、足りなくなってしまったのだろうか?

蛇足ついでに。
「えんどう豆の上に寝たお姫様」について調べていて、 中国語訳にたどり着いてしまった。
中国語のタイトルは「豌豆上的公主」
学生の頃、中国語専攻だったので、懐かしさもひとしお。



ところで、絵は繊細かつ、モダンでとにかく色が美しい。 エキゾティックな絵柄は、表情をよく見ると、 ちょっと怖かったりもするけれど、 それぞれのドレスの細やかな彩色まで楽しめる絵本です。(シィアル)


『えんどう豆の 上に ねむった お姫さま』 著者:H.C.アンデルセン / 絵:ドロテー・ドゥンツェ / 訳:ウィルヘルム・きくえ / 出版社:太平社

2000年12月29日(金) ☆年末年始のお休み

お天気猫や

-- 2003年12月24日(水) --

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☆グリム童話の展覧会へ。

先日、巡回していた「永遠のグリム童話展」へ、 最終日の駆け込みでシィアルと行ってきた。

メルヘンのなんたるかについて、 ちょっと目がさめたような。

これほどの画家や編集者によって、 世界中で日々再構成され、イメージづくられてゆく 物語の存在感というもの。 そしてそれを最初に形づくったグリム兄弟の仕事。 彼らに物語を聞かせた、語り部のいたこと。

何度肖像画を見ても、どちらがお兄さんで どちらが弟かわからなくなるけれど、 先に弟が逝去したことはわかった。 (だからどうというのではないが)

はっきりとあらわれた、時代時代の香り。
「ブレーメンの音楽隊」も
「灰かぶり」(シンデレラ)も、
「白雪姫」も、
「眠り姫」も、
「ヘンゼルとグレーテル」も、
「長靴をはいた猫」も。

初期の頃は細かく写実的な線だが、 アールヌーボーのスタイルをちりばめた 流れるような植物系ラインが全体で目を惹いた。

「灰かぶり」の挿絵、よく鳥達がいっしょに いるのはなぜ?と聞くと、シィアルが教えてくれた。 もともとは、魔法使いのおばあさんに助けられるのじゃ なく、白い鳥たちが亡き親の魂の使いで、 シンデレラを助けて導いたのだそうだ。 なるほど、それで鳥がこんなに。

特に印象に残った画家は、 オットー・シューベルトと グスターク・テンググレン。

図録はシィアル文庫(仮称^^)が収蔵して くれたので、いずれまた画家たちの仕事を追って みたいと願っている。 (マーズ)

2000年12月24日(日) 『アンのクリスマス』

お天気猫や

-- 2003年12月22日(月) --

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『庭の小道から』

現実の私を知る人には なかなか信じてもらえないけれど、 私は本当のところ、外出好きでも社交的でもないうえに、 計画性というものがまるでない。

どちらかといえば、四六時中家にとじこもって、 本を読んだりしていたいし、庭だって 手入れしてみたいと思っている。

しかしこの、最後の『計画性』がなければ、 庭作りはうまくいかないらしい。

だから、今から園芸を始めたとしても、 ものになるまでには数年を要するだろうし、 しばらくは定期的に庭仕事をする時間の余裕も なさそうだ。

そういう人のためにも、この本はフィットする。 特に、庭が眠っている(ように見える)冬の夜、 本当は家にいたいのだけど、毎日出歩かねばならない人が、 ひとりで読むのに向いている。

英国生れの著者の、幼い頃からの庭への想いが ぎっしりとつまっているれど、アドバイスも 押し付けがましくはない。 英国テイストいっぱいの庭づくりへの誘いが、 ページごとに細やかなイラストとともに展開する。 鉢植えの庭、野菜の庭、夜の庭などのエッセイ、 蝶々の好きな植物のリストなど、 太陽の光にも似て、いろんな方向から心をあたためて くれるだろう。

ああ、それにしても、夏の終わりに買ったつもりだった 黄色い大きな水仙の球根は、いったいどこへ 消え去ってしまったのだろう。 これほど探してもないのなら、きっと買わなかったのだ。 ただ、その球根を手にとって、春先の庭の様子を夢見た時間は 贈りものだったのだけれど。

「わたしの心の中にある理想的な空想の庭は、永久に たどりつけない、手に入らないところにあります。 夢の中でしか通れない扉の向こうにあるのです。」(/引用)

(マーズ)


『庭の小道から』 著者:スーザン・ヒル / 絵:アンジェラ・バレット / 訳:新倉せいこ / 出版社:西村書店1992

2000年12月22日(金) 『クリスマスってなあに』

お天気猫や

-- 2003年12月19日(金) --

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『クリスマスのまえのばん』

ターシャのクリスマス絵本、とっておき。 日本では1980年に出版され、ターシャが全面的に描き直して 1999年に改訂版が出ています。 本書はさらにその後、翻訳などを一部改訂したものです。

原題は『The Night Before Christmas』、このタイトルは 猫やのハロウィーンでおなじみのティム・バートン作パペットアニメ、 『The Nightmare Before Christmas』(ナイトメア・ビフォア・クリスマス)の ネタ元ともなっています。

文章(詩)を書いたクレメント・ムアは、アメリカでは この本の作者として知られる、聖書学の教授だそう。

雪にうずもれた農場へ、 サンタクロースがやってきて、去ってゆくお話。 部屋のなかには、猫や犬やネズミやフクロウが いっぱいいて、なんともにぎやか。 暖炉はあたたかく、 すみっこは暗く、 動物たちはうれしそう。 地下のネズミにいたるまで。

ターシャの描くサンタさんは、小柄な小人のおじいさん。 だから、エントツの穴もらくらく通れるし、 8頭のトナカイたちも、軽々と屋根の上に ソリを引き上げられるのでしょう。

トナカイの名前は、
ダッシャー、
ダンサー、
プランサー、
ビクスン、
コメット、
キューピッド、
ダンダー、
そしてブリッツェン。

農場の犬たちは、ウェルシュ・コーギー種のようで、 3匹のコーギーと5匹の猫がサンタさんに すり寄って甘える場面が特に素敵。

表紙の見返しは犬が、 裏表紙の見返しでは猫が、 楽器を奏でています。

『あざみの綿毛が飛ぶように』夜空を遠ざかる サンタクロースのソリ。 月光をあびて、クリスマスの空気を 贈りものとともに残してゆきます。 (マーズ)


『クリスマスのまえのばん』 者:クレメント・クラーク・ムア / 絵:ターシャ・テューダー / 訳:中村妙子 / 出版社:偕成社2001(改訂版)

2000年12月19日(火) ☆辞書を引く。

お天気猫や

-- 2003年12月17日(水) --

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『小さな吹雪の国の冒険』

12月はじめにこちらで紹介した『羊飼いとその恋人』他、 13人の英国クラシック作家達による、珠玉短編集。

クリスマスの時期になると、 つい手にとってしまうガラスの球。 逆さにして振っただけで、 スノーボールのなかにある(かもしれない)世界へ、 もしも入り込んでしまったら? これは、そんなアクシデントが起こってしまった ある男の物語。

このミント風味のファンタジーを読みながら、 ついついキャスティングしてしまった。 その直前に観ていたNHKの海外ドラマ『ザ・ホワイトハウス2』の配役で。

以下、まったくの主観なので、ドラマを観てない方、 意見のくいちがう方も多々おられると思うものの、ご了承を。 登場するのは、ある種象徴的な人物ばかり。 自分の身の回りの人達に置き換えてみても面白いと思う。 『ザ・ホワイトハウス』のシリーズではありえないが、 主人公たちが全く別の世界を舞台にサービス篇で コスプレ劇をやるとしたら、これをお願いしたい。

主人公の中年独身弁護士は、ジョシュ・ライマン次席補佐官。 私のお気に入りだからというだけではない。 唐突にメルヘンチックな異世界に迷い込んでも、 腕力は頼らず、武器は言葉。ちょっと困った当惑気味の顔で、 きっと薄笑いを浮かべながら、インテリっぽい科白を応酬するあたり、 ジョシュのイメージがはまってしまった。

そうすると、お姫様は、ジョシュの秘書ドナちゃん。 (お姫様の設定は18歳くらいですが) 悪い魔法使いにとらわれて、城に閉じ込められ、望まぬ結婚を強いられる。 という究極の窮地に立っている美女。髪型も肩のあたりまでだし、 けっこう言うことはちゃんと言うし、ドナちゃん似合いそう。

主人公を招き入れるお城の執事は、 レオ・マクギャリー補佐官。 世話役で苦労するのは同じかも。

さて、お姫様を竜に見晴らせている、 強くて悪賢い魔法使いは、もちろん(?)、 トビー・ジーグラー広報部長で。部長が悪賢いわけでは全然ありませんが、 コスプレすれば、風貌はぴったり行けそうだ。

さて、バートレット大統領は・・・、

ああ。

ガラス球のスノーボールを売っていた、 おもちゃ屋の店員さんだ。 まあ、スノーボールが白い世界だから、 ホワイトハウスというわけじゃあないけれど。 短いけれども科白は意味深長で、渋さがにじみ出そう。 (お話の店員はたぶん、若者だと思うが)

そしてホワイトハウスの矢面に立つ鉄の報道官CJ・クレッグは──、 まさか竜ではありますまい。 (マーズ)

※サム・シーボーンの役がありませんでした。


「小さな吹雪の国の冒険」(短編集『小さな吹雪の国の冒険』に収録) 著者:F・アンスティー / 訳:西崎憲 / 出版社:筑摩書房1999
※『小さな吹雪の国の冒険 / 英国短篇小説の愉しみ(2)』  18世紀から20世紀半ばまでの英国短篇小説集・全3巻

小さな吹雪の国の冒険 / パール・ボタンはどんなふうにさらわれたか / 怒りの歩道―悪夢 / アセム―東方の物語 / ピム氏と聖なるパン / 決して / 神の眼 / 悪魔法王 / 輝く顔の人 / 皇子の見た幻 / 羊飼いとその恋人 / プロメテウスを発見せること / 聖エウダエモンとオレンジの樹(『小さな吹雪の国の冒険』」収録作品)

2001年12月17日(月) 『コルシア書店の仲間たち』

お天気猫や

-- 2003年12月16日(火) --

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☆マーサと、ターシャのクリスマスブック

先日、「クリスマス」を探して、書店へ。 ポインセチアが飾られたり、 プレゼント付き絵本が並べられたり、 料理・クラフトのコーナーや児童書のコーナーは、とても賑やか。

その中で、ちょっぴり、懐かしい本を見つけました。 『Martha Stewart』のクリスマス増刊号。 8月号で『Martha Stewart』が休刊になり、 残念に思っていたところでした。 クリスマスのお料理や飾り付けのアイデアが満載で、 見ているだけで、わくわくしてきました。 なかでも、気に入っているのが、 スノーグローブの作り方。 逆さまにおいても大丈夫なように、 ギュッと口の締まるガラスの保存瓶があれば、 私にも作れそうなので、試してみようと思っています。 (瓶の中に入れるフィギュアの他に、グリッター(ラメ)や、 グリッターの落ちる速度を調節するためのグリセリンが必要です。)

『ターシャ・テューダーのクリスマス』は、 クリスマスの喜びと、ターシャの質素で豊かな暮らしが垣間見える一冊。 クリスマスの準備をするターシャの写真や クリスマスや冬の暮らしを描いたターシャの絵本の挿絵など、 ページをめくるのが楽しい本です。 ターシャとターシャの飼っているハトのハンナの茶目っ気あるエピソードが とても気に入ってしまい、写真集なので結構高い本でしたが、 ついつい買ってしまいました。

私たちにとってクリスマスというのは12月24日がメインで、 その日を楽しむ、言わば「点」なのですが、 欧米社会のクリスマスは、クリスマスまでの準備をする期間、 つまり「流れ」を楽しむのですよね。 また、12月24日で、クリスマスは終わりではなく、 1月6日までを「クリスマスタイド(12/24〜1/6までのクリスマスの期間のこと)」というそうです。

先日の海外ドラマ『ホワイトハウス』では、 クリスマス期のゴージャスで賑やかなホワイトハウスが舞台でした。 マーサも、ターシャも、 ホワイトハウスでメインのツリーを飾り付けたことがあるとか。(シィアル)

※ドラマ『ホワイトハウス』
 公式サイト
 http://www3.nhk.or.jp/kaigai/wh2/
 出演:マーティン・シーン / ロブ・ロウ / アリソン・ジャニー / ブラッドリー・ウィットフォード


『MARTHA STEWART Christmas −マーサのクリスマスアイディア150』 sesami臨時増刊号
『ターシャ・テューダーのクリスマス』 著者:ハリー・デイヴィス / 訳:相原 真理子 / 出版社:文芸春秋

2002年12月16日(月) 『アルケミスト』
2000年12月16日(土) 『人はなぜエセ科学に騙されるのか・下』

お天気猫や

-- 2003年12月15日(月) --

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『サンタクロースのしろいねこ』

うちの家にも、しろいねこがいます。 名前は、チットといいます。 うちにきたとき、手のひらにのるくらいの ちょっとした、 ちいさなちっちゃなちびねこだったから、チットです。

でも、いまでは、サンタさんのねことおんなじくらい、 ふくぶくしい大白猫になってしまいました。

サンタさんのねこは、スノウ。 きれいなものを見ると、どきどきするのです。 そして、サンタさんと一緒にいるのが最高に ハッピーだと思っているねこです。

そんなスノウが、クリスマスの旅のとちゅう、 サンタさんのそりから落っこちて、 ニューヨークの迷子になってしまいました! きらきらかがやくイルミネーションいっぱいの、 クリスマスイヴのニューヨークで。

スノウは何を見たでしょう? 世界でいちばんしろくて、世界でいちばんふかい みどりの眼をしたスノウは。

サンタクロースがねこを飼っている、というお話は だれいうともなく、一般的になっていますよね。 (犬もいるという説もありますが) じゃあ、サンタさんのねこって、 どんな子なんだろう? というそぼくな疑問に、ありえないほど美しく 毛の一本一本まで精密なイラストでこたえてくれる、 夢のような絵本。

そしてあちこちで、 「チットちゃんとおんなじ!」とさけぶ 私のような飼い主が、この絵本におおいかぶさって いることでしょう。 猫の毛色にかかわりなく。 (あ、もう一匹のチャイコがじいっとみている!) (マーズ)


『サンタクロースのしろいねこ』文:スー・ステイントン / 絵:アン・モーティマー / 訳:前沢明枝 / 徳間書店2003

2000年12月15日(金) 『人はなぜエセ科学に騙されるのか・上』

お天気猫や

-- 2003年12月12日(金) --

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『毒になる親』

おそらく、近いうちに、「虐待」よりも適切な日本語が、 親が子の人生を台無しにしてしまう行為に対して 与えられるのではないかと思っている。

副題は、”一生苦しむ子供”。

「この文庫版が刊行されることによって、 殺されてしまうようなきわめて痛ましいケース以外にも、 虐待にはさまざまな形があることを多くの人たちに 知っていただければと願っている。」(訳者の言葉より)

むしろ、一度の衝撃的な出来事よりも、 長期間にわたって習得させられた親(『加害者』)との対人関係が 子どもの人生を蝕む力のほうが、回復に時間がかかる。 そういった問題は、事件にならないので、新聞ネタにもならない。 『トラウマ』と簡単にかたづけられることの多い ゆがんだ成長のあとは、往々にして本人の生きづらい人生を 形づくり、さまざまな病気やあつれきの根源となる、という。 それが往々にして、ではなくて、ほとんど完全に、という著者の 心理学のプロとしての意見に、私も賛成する。

ここに登場する『被害者』は、概して30代や40代といった、 じゅうぶん社会にとけこんでいるはずの年代。 私見だけれど、おそらく、20代では「自分の人生のどこが どうしておかしくなっているのか」に気づくには、 まだ子ども時代との距離が近すぎるからではないだろうか。 特に、就職や進学、結婚などで親もとを離れる時期に当たる20代は、 『毒の家』で育った子どもたちにとって、『迷子』の心境に近いのかも しれないとすら、思う。そこにあるのは、当惑と不安である。

本書の構成は、 第一部で、『毒になる親』の正体を暴く。 第二部で、『毒になる親』と対決し、自由を獲得する方法までを アドバイスする、というもの。

あなたの親は、毒になる親でしたか? わずかばかりの毒? 猛毒を盛られましたか? それとも、そんな言い方はひどすぎると思いますか。 (マーズ)


『毒になる親』 著者:スーザン・フォワード / 訳:玉置 悟 / 出版社:講談社+α文庫2001

2002年12月12日(木) 『猫だましい』
2001年12月12日(水) 『バースへの帰還』
2000年12月12日(火) 『茶の本』

お天気猫や

-- 2003年12月10日(水) --

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『ふりむけばねこ』

猫って、確かに、ふっと振り向くと、そこに ちょこんと座っていたりする。 まるで、わたしはずっと前から、ここにこうして おりましたよ、とでもいうみたいに。

私の子ども時代には『こどものとも』との 友達関係はなかった(少なくても覚えてはいない)けれど、 あったらよかったのに、と残念に思っている。

絵本『ふりむけばねこ』は、 本と雑貨のセレクトショップで手に入れた。

こちらはとても薄い絵本だけれど、架空社から1994年に出ている 小さな絵本美術館シリーズの同作を、猫好きの友人に 見せてもらったことがある。 今もすぐ手に入るのは、そちらのほう。

いろんなお店に、猫がいる様子を 描いて描いて描いて、 さいごに猫の天国、猫町マタタビ通りの 全景が見わたせる絵本。

彫り跡も鮮明な版画ならではの、 ちょっとこわいけれど、『余裕』が空気のなかに 流れている町だ。 なんといっても、『はくせいやさん』にも 猫がいるのだから。 ここに出て来るお店も、なかなか てごわそうな店ばかり。 めたてやさんや、えさやさん、たまごやさん なんていうお店があったら、猫でなくても ちょっと居候してみたいではないか。

余談だが、最近のテレビCMで、野良猫らしき猫少年が とある車(宣伝する商品)に乗った女性に恋して しまうというのがあるけど、あれを見るたびに 捨て猫の現実を連想して感じてしまう居心地の悪さは、 この猫町にはない。 猫町にいる猫はすべて、一匹たりとも、 追われもしなければ、飢えることもないのだ。

いてあたりまえ、なのだ。

ところで、私には、 まだ一度も実行したことはないのだけど、 お気に入りの絵本のスペアを買って、 ページをばらして額に入れて、 部屋中に飾ってみたいという野望がある。

でもやっぱり、そんなこと(本をバラす)は、 できそうにない。 (マーズ)


『ふりむけばねこ』 著者・絵:井上洋介 / 出版社:こどものとも342号9(福音館書店)1984 or 架空社1994

2002年12月10日(火) 『しろねこ しろちゃん』
2001年12月10日(月) ☆特集:英国オヤジ刑事四人衆。

お天気猫や

-- 2003年12月08日(月) --

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『エリコの丘から』

何かになりおおせることは、 何かになることよりも、難しい。

けれどたいていの場合、 何かになることが、とりあえずの目標なのだ。 自分にそれだけの才能があるかどうか、 そして才能だけで足りるのかどうかもわからないけれど。

もしも、なりたがっていた何かに一度なったなら、 才能がないということはないのだろう。 ちょっとした才能は、あって当たり前、 他の誰かが、どれだけ練習しても身につけられない力を、 あなたはもっているのだ。 けれど、なりたかった何かのままいつづけるためには、 才能以外の何かも必要になる。

今は亡きかつての映画女優、タルーラと 知り合った『私』ことジーンマリーと マルコム・スー。 マルコムは、ジーンマリーが『クローン人間』と呼んでいる 同級生たちとは違ったつながりを感じている唯一の友人だ。

タルーラのいる場所は、 ジーンマリーが名付けた『エリコの丘』の地下に あるらしい、『ラハブの宿』という部屋。 二人の子どもたちは、そこへと招かれる時間をこよなく 大切に思い始める。 普通の大人とは違ったタルーラとともに過ごし、 彼女の昔の仲間たちのもとを訪ねる旅を楽しむ時間。

大女優になりたいと密かに願っているジーンマリーと、 論理的な大科学者になりたいマルコム少年。 二人はタルーラに呼ばれ、彼女の探偵となる。 タルーラが死んだときになくなったという 『レジーナの石』という宝石の行方を追いながら。

スターになるために必要な三つのもの、 二人はその答えを、レジーナの石とともに見つける。

カニグズバーグの描いたこのファンタジーは、 彼女の描く他の現実世界の物語以上に、 人生の核心を突いてくる。 『才能』や『夢』が人生の目的となっている人たちにとって、 その両方を手にしたタルーラからのメッセージは、 熱くて痛いものにちがいない。 (マーズ)


『エリコの丘から』 著者:E・L・カニグズバーグ / 訳:小島希里 / 出版社:岩波少年文庫2000(新版)

2000年12月08日(金) 『オデュッセイア』

お天気猫や

-- 2003年12月04日(木) --

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『人形たちのクリスマス』

ターシャ・テューダー初期の絵本。 扉には、お人形のセサニー・アンと ナイシー・メリンダが両側から開いて支えた本が。 そこには、 「クリスマスパーティーに 顔をそろえた人形たちと 子どもたちみんなに。 手助けしてくれたロザベルへ」 と書かれている。

セサニーとメリンダ、二人の人形は、パンプキンハウスと 呼ばれる自分たちの家を持っていて、その家ときたら、 家のなかにある家といっていいくらい大きい。 人間の女の子が背伸びしても、2階に手が届かないほど。 本物の花が植わった温室までついている。 ドールハウスというと、ミニチュアのイメージだが、 こんな風な大きなドールハウスだと、 女の子が部屋に入り込むことだってできる。

女の子は、ローラとエフナー姉妹。 この家に代々受け継がれてきたセサニーとメリンダは、 人間の女の子以上にすてきなクリスマスを 祝ってもらうのが習慣になっている。 ディナーパーティーと、マリオネットショー。 女の子たちは、お人形のクリスマスを演出することで 自分たちにも、最高の魔法をプレゼントするのだった。

パーティーの準備は、ひとつひとつの仕事が てぎわよく、私たち日本人にとっても、どこかなつかしい。 文化は異なっても、お人形を外へ連れて出るときには あたたかい服に着せ替えたり、人形どうしが 話をしているように思えたりすることは、 どんな世界でも起こりうることだから。

さいごにお人形のひとりが満足してつぶやく 言葉は、ターシャ自身の思いと重なるのだろう。(マーズ)

「こころの中のなにかが、かんじるのよ。 このせかいで生きていくことは、とてもすてきな ことだと。」(/引用)


『人形たちのクリスマス』 著者・絵:ターシャ・テューダー / 訳:内藤里永子 / 出版社:メディアファクトリー2001

2002年12月04日(水) ☆東京こどもクラブ
2001年12月04日(火) 『不眠症』

お天気猫や

-- 2003年12月01日(月) --

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『羊飼いとその恋人』

『まぼろしの白馬』で知ったエリザベス・グージの名を 見つけて、手に入れた英国の珠玉作家の短編アンソロジー。

チェスタトンやマンスフィールドら、13人が顔をそろえる。 とはいっても、ほとんどは、日本ではなじみの薄い作家たちだ。

グージの作品『羊飼いとその恋人』は、 モンゴメリの短編を思い出すようなテイストに、 初めて読む作家とは思えない親しみを感じて一息に読んだ。 英国を舞台に、ミス・エイダ・ギレスピーという未婚の50代女性に 時を同じくして訪れた、人生の転機とささやかな奇跡の物語。

児童書の『まぼろしの白馬』とは主人公も タッチもちがうのだが、幸せな結末を信じさせてくれる グージの魔法には、同種の香りが満ちている。

もしも、なんの気なしに入った店で、 「これは私のために生まれてきたのだ!」と直感するような 出会いを経験したことがあれば、この奇跡はさらにリアライズ されることだろう。

そして、コッツウォルズの村の美しさにあこがれた ことのある人ならば、なおさらに。

そして、さらにそして。 あなたが、ずっと人の世話に明け暮れる日々を 心の底で愉しんできた、多忙きわまる人であるならば。 (マーズ)


『英国短編小説の愉しみ2 小さな吹雪の国の冒険』に収録 / 著者:エリザベス・グージ / 編:西崎憲 / 訳:高山直之 / 出版社:筑摩書房1999

2000年12月01日(金) 『よくわかる広告業界』

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