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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2000年12月12日(火) --

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『茶の本』

全然知らないはずの その人の人生にかつて訪れた、 なにがしかの光やら影やら。

この本を読んだのには理由がある。 数寄屋建築の資料を仕事で読み、それが きっかけで、岡倉天心という、有名なわりに よく知らない人物が英文で書いた「茶の本」に ゆきあたったのだった。 今回読んだのは文庫で、英文と邦訳が半分ずつ。

読みたかったのは数寄屋についての 天心の見解だったのだが、 「花」についての章が尋常でなくすばらしかった。 花の感受性が乗り移ったかのように 飛躍する思考の雲。

「花がなくては死ぬこともできない。」
たしかに。真理である。

茶道とは宗教、そう位置付ける潔さがここちよい。 「まことに不思議なことに、かくも相隔たった東西の 人情は茶碗の中で出会っている。東西を問わず 重んぜられているのは茶道というアジアの儀式 だけなのである」(文中より)

日本という国の背後にあって 底流のように流れてきた 茶人の提示する理想世界。 そういう世界のあることを 知らずに日本を語るのは、 マンガ文化を知らずに 日本を語るに等しい。

明治時代末期に米国で書かれた。 原題は "THE BOOK OF TEA"、 翻訳は桶谷秀昭。(マーズ)


『茶の本』(英文収録) 著者:岡倉天心 / 出版社:講談社学術文庫

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