2009年10月14日(水)  Macのマウスが暴走して困ります

今日10月14日は鉄道の日というのがずいぶん定着した感があるが、堺名物「けし餅」をわが家に届けに来てくれたご近所仲間で鉄道ファンのT氏は失念していた。

さて、鉄道の暴走も困るが、わたしが最近直面しているのは、Macのマウス(ポインタ?)暴走問題。何か月か前に突然、文字を打つときに画面文末に出るチカチカしている縦線(何と呼ぶのでしょう?)が上へ上へ移動するという珍奇な動きを始めた。スクロールバーも上へ上へと暴走するので、サイトを読んでいても、あっという間にページ頭に戻ってしまう。

コマンドキーを押しながらスクロールバーをつかまえると静止するのだけど、日に日に暴走が激しくなり、文章を打ってる途中で文頭や前の行にワープしたり、ひらがなを一文字打っただけで勝手に変換したりするものだから、時間がかかってしょうがない。マウスが暴走するほど、こちらの仕事にはブレーキがかかるのだった。

Macのサイトを見ても、最小限のことが文字だけで書かれていて、機械音痴のわたしには、ちんぷんかんぷん。このそっけなさが、わかる人にはほどよいのだろうけれど……。ウィルスがひどいからとWindowsからMacに乗り換えて、まだ一年半余り。先日から大文字の「O」が出なくなったし、故障するには早すぎないか? でも、走行距離の多い車と同じく、わがMacも走りっぱなしで相当お疲れだろう。暴走マウスは「休みをくれ!」の反乱なのかもと思いつつ、あの手この手でなだめなだめ働かせている。

【お知らせ】「つばさ」DVD第2弾10/2鵯発売

来週発売の「つばさ」DVD第2弾(amazonはただいま26%OFF)がひと足早く到着。特典映像は渋谷と川越でのファンミーティングのほか、ラジオぽてとの「おはなしのへや」でつばさ(多部未華子)が「まじょのなみだ」を朗読するというミニ番外編を収録。絵本の全貌はわたしも初めて観て感激。表紙にある「みやのなおこ」さんは架空の人物ではなく、絵を書かれた方のお名前でした。

2008年10月14日(火)  このごろの、たま語
2004年10月14日(木)  PLAYMATE 第5弾!『SWAP 2004』
2002年10月14日(月)  四あわせの五円玉


2009年10月13日(火)  「月の光」があふれる映画『スノープリンス』

『スノープリンス』を試写で観る。「禁じられた恋のメロディ」の副題がついているが、「禁じられた遊び」や「小さな恋のメロディ」より、チラシの見出しにあるように「日本版『フランダースの犬』」が言い得ている。『ぼくとママの黄色い自転車』を「日本版『母をたずねて三千里』だね」と言われると、他の言い換えを思いつかなくなったが、この作品は、まさに『フランダースの犬』。観ていて何度もアニメの切なさがだぶった。

初々しく微笑ましい主役の二人は、学校にも通えない貧しい少年・草太役にジャニーズJr.の森本慎太郎、ピアノが得意なお嬢様の早代役に桑島真里乃(ちりとてちんでヒロイン喜代美の少女時代を演じていたのが、彼女。ますます貫地谷しほりに似ていたのが、びっくり)。身分違いの二人の間に立ちはだかる壁は『ロミオとジュリエット』を、早代の同級生の男の子たちも加わった冒険は『スタンド・バイ・ミー』を思わせる。

『バタアシ金魚』『東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜』『歓喜の歌』などを手がける松岡錠司監督作品。脚本は『おくりびと』の小山薫堂さんのオリジナル。プレスシートによると、「ピュアな少年の物語、清貧というテーマで描きたい」という想いから企画が始まったという。『おくりびと』では石文(いしぶみ)が印象的に使われていたが、この作品に登場する「夜空色の絵の具」もファンタジー感があって、わたし好み。村に現れ、次の村へと去って行くサーカスの非日常感も好き。小山さんは相当ロマンティストな人なのかもしれない。

ドビュッシーの「月の光」が全編を彩り、さらに草太が描く絵にも月の光が射し込む。主役の平均年齢はかなり若いのだけど、二人を支えるべく香川照之、浅野忠信、中村嘉葎雄、岸恵子ら豪華実力派が顔をそろえ、しっとり大人っぽい作品に。「つばさ」で葛城清之助を演じた山本學さんは銀幕でも渋い。短い場面ながら確かな存在感を残していた。

12月12日(土)より全国ロードショー。

2008年10月13日(月)  鎌倉山の陶芸教室と『静辰』
2002年10月13日(日)  新宿のドトールにいませんでした?


2009年10月12日(月)  新幹線の車掌さん×おむつ!

昨日の夜遅く、小中学校のミニ同窓会を終えて実家に帰り、今朝は10時過ぎに出る。両親とは先月小豆島で会っているから、今回は寝に帰るだけ。

昨日の同窓会は、同級生掲示板に「10月に帰るよ」と書き込んだら、「それやったら集まろか」と実現したのだけど、メインの仕事の他に「大阪に来るついで」の打ち合わせも二つくっつけて、一粒で四倍欲張る有意義な関西出張となった。メールだけでも仕事はできてしまうけど、やっぱり顔を合わせたほうが話は早い。

メインの仕事も無事終え、ただいま新幹線で東京へ向かっているところ。551の蓬莱の行列に並んだものの、発車時刻が迫り、豚まんまであと二人のところで断念した。

最後の一席の指定を取って乗り込んだのは最新車両とのこと。「この列車にはおむつ替えシートを搭載しております」とアナウンスあり。新幹線の車掌さんが「おむつ」を高らかにアナウンスする時代が来たか、とうれしい衝撃。

ちなみに新聞によると、今日は「山手線命名の日」100周年とのこと。

2008年10月12日(日)  鎌倉で語り明かす
2007年10月12日(金)  マタニティオレンジ191  「働きマン」と「子育てマン」
2006年10月12日(木)  マタニティオレンジ18 デニーズにデビュー
2005年10月12日(水)  シナトレ3 盾となり剣となる言葉の力
2003年10月12日(日)  脚本家・勝目貴久氏を悼む
2002年10月12日(土)  『銀のくじゃく』『隣のベッド』『心は孤独なアトム』


2009年10月11日(日)  取材でユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ

作品の取材で大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ。日本上陸してずいぶん経つが、東京暮らしということもあって、なかなか行く機会がなかった。子連れで行けたら良かったのだけど、今回は単身出張。秋露弁当1300円也を食べ、原稿を読んで新幹線の車中を過ごす。


オフィスで打ち合わせを終えてから、USJ入園。思っていたより広くて、非日常を味わえる。

園内はハロウィーン一色。オレンジが好きなわたしにはうれしくなる色使い。かぼちゃがどかどか。他の季節に来るt、どんな感じなのでしょう。

ブレイクダンスっぽいショーを見守る人々。大道芸のストリートパフォーマンスも楽しかった。

名物スヌーピーまん。中はクリーム。他にキティまんもあるそう。


ジョーズやスパイダーマンのフォトスポットにはカメラを持った人の列。三連休の真ん中で、今日はお客さんがよく入っていたそう。アイスクリーム屋さんの看板もかわいい。オリジナルアイスはキャラクターの顔になってるのだろうか。スヌーピーまんでおなかが膨れて、確認できず。

おみやげにクッキーと「スヌードル(snoodle)」をいただく。スパイダーマンをもじった「スパイダー麺」という先行商品が好評で、スヌードルが誕生したそう。

電車を乗り継いで40分ほどで実家のある駅のひとつ手前の駅に到着。思ったより近い。夜はわたしの帰省にかこつけて、小中学校時代のミニ同窓会。30人ぐらい集まる予定が20人ちょっとに。4年前、2005年の10月末に大同窓会をやって以来の人がほとんど。同じクラスになったことがない子も多いし、6クラスの小学校二つが合わさって、11クラスという大きな中学校だったので、名前と顔が一致しなかったりする。「初恋の人告白大会」で盛り上がる。こういうところに名前が出る人は学年の有名人だったりする。

みんなよく飲んでよくしゃべり元気そのもの。おしとやかでかわいらしかった女の子が、すっかりたくましくなって、「ねえちゃん。食べもの遅いで」と若い店員さんをどやしつける。飲み物がなかなか来ないから飲み放題時間を延長しろと迫り、「魚民は三時間やけどねー」と言うと、店員も負けじと「それやったら魚民に行ったらどうです?」。料理の質は少々下げてもいいから酒を寄越せと交渉したら、料理はほとんど出てこなかった。大阪で生きていくのは、カロリーが要りそう。

「クローズの脚本家いて、俺を出してくれ」と中学校時代不良だった男の子が言うので、「クローズみたいな仕事はまず来ないと思うわあ」と言う。彼は『子ぎつねヘレン』のDVDを買って子どもたちに見せてくれているそう。同級生というだけで応援してくれる人たちがいることをありがたく思う。

2008年10月11日(土)  2回目の運動会
2007年10月11日(木)  Sky fish公演 Vol.6『二神(ふたかみ)』
2006年10月11日(水)  マタニティオレンジ17 再開&再会
2005年10月11日(火)  ユーロスペースで映画ハシゴ
2003年10月11日(土)  わたしを刺激してください


2009年10月10日(土)  踊らず走らずはにかみ運動会

保育園に入って三度目の運動会。毎年運動会のたびにわが子の成長を確かめ……とはいかないのが、うちのたま。連絡帳に「たまちゃんは恥ずかしいようでもじもじしていました」と書かれていたものの家ではノリノリで踊っているし、本番には強いかもと思ったら、はずかしがり屋さんは本番になお弱いのだった。

準備体操では固まったまま呆然となり、かけっこでは折り返し地点にあるおせんべいに向かってお友だちが駆け出すなか、スタートラインで棒立ちし、先生に背中を押されておせんべいのとこまで来ると、手にしたおせんべいをじっと見つめて動かなくなった。親子ダンスでは指をくわえて完全に傍観者。見事なまでに最後まで温度の上がらないままで、これには驚いた。最近はかけっこもうまくなり、末はリレー選手かダンサーかと親は勝手に盛り上がっていたのであるが。

「たまちゃん、どうしてじっとしてたの?」と聞くと、「はずかしかったから」としっかり自己分析できていて、運動会を見られなかったじいじばあばにも「たまちゃん うごかなかったの」と報告。でも、みんなはちゃんとできてたのにという引け目は感じているようで、「わかっているけど、できないのよ」という心境なのかもしれない。

大阪の母に電話でその話をしたら、「あんたが幼稚園のときもみんなが一生懸命やってるのを見物してたよ」。中学校時代には、さめているクラスメートにけしかけるようになったわたしも、昔は棒立ち傍観者だったらしい。親子だなあ。

2008年10月10日(金)  おなかの中にいたときから友だち
2007年10月10日(水)  マタニティオレンジ190 3人娘1歳合同誕生会
2004年10月10日(日)  爆笑!『イラン・ジョーク集〜笑いは世界をつなぐ』


2009年10月08日(木)  夫婦別姓に賛成ですか?

民主党政権になり、夫婦別姓の法制化が前向きに検討されているらしい。それを受けて、新聞の投書欄でも議論が活発で、待望派、慎重派、反対派、様々な意見があるのを興味深く見ている。子どもと親の姓が異なる事態を認めてしまうのは家庭の崩壊につながるから断固反対という意見に対し、名前が同じであれば円満という保証もないという反論が寄せられたりしている。たしかに、同じ苗字を名乗り、同じ家に暮らしていても、気持ちが同じほうを向いているとは限らないなと考えさせられる。

「反対ならば別姓を選択しなければいいのだ」という声もごもっともなのだけど、そもそも「旧姓を名乗り続けるか、結婚後の姓に乗り換えるかの二者択一」が前提となっているのが、わたしはとても気になる。

結婚後も旧姓のまま仕事を続ける女性がふえ、戸籍上の姓との違いから起こる不都合を解消するために、夫婦別姓を求める声が大きくなってきたのだと察する。けれど、結婚後の姓を名乗る必要がある場面も多々あり、「どちらか一つを選ぶ」となると、それはそれで不便や摩擦が生じる。子どもと母親の姓が異なることが家庭崩壊につながるかどうかは疑問だけれど、まわりを混乱させてしまうことは想像できる。保育園や小児科で「子どもの苗字は○○ですが、わたしは今井です」と説明するよりは、そろえたほうが話は早い。

戸籍の名前まで分ける必要はなくて、戸籍上の本名と旧姓との併用が認められるだけで、ずいぶん助かる。必要に応じて旧姓と結婚後の姓を使い分けられたらありがたいというのが、旧姓で仕事を続けるわたしの希望だ。「ひとつの家庭に二つの苗字を存在させる」夫婦別姓より、「個人の中に二つの苗字を存在させる」個人両姓(?)の発想のほうが柔軟な運用ができるように思う。家族としては夫や子どもと同姓、個人としては別姓を名乗るという風に。

わたしの場合、旧姓を筆名にしているため、所属している文芸美術国民健康保険組合の保険証には「本名」と「筆名 今井雅子」が併記されている。公的身分証に入っているおかげで、旧姓が通用する場面も多い。以前日記(>>>2007年05月01日(火) 今井雅子という人物は存在しない!?)にも書いたけれど、銀行で旧姓名義のカードの住所変更を申請したところ、「今井雅子という人物は戸籍上存在しない」と断られたことがあった。姓が変わったことで結婚前の自分が抹消されたような言い方にショックを受けたが、「筆名 今井雅子」の保険証を出すと、相手の態度が一変し、「今井雅子は存在する」ことになった。保険証やパスポートに結婚後の姓と旧姓を併記できるだけでも、ずいぶん自由度が上がるのになあと感じている。カード名義書き換えの手続きが面倒でブルーになる事態も避けられる。

ところで、母親の姓が二つあることについて、子どもはどう感じるのだろう。三歳の娘のたまに「ママのお仕事の名前は今井雅子っていってね、ママが結婚する前の名前なの。知ってる?」と聞いたところ、
「うん。たまちゃんも おしごとの おなまえ あるの。たまっていうの」と答えが返ってきた。たまにとっては、仕事の名前も旧姓もあだ名という理解らしい。それぐらいのおおらかさ、しなやかさで夫婦別姓を語るのも、いいんじゃないかと思う。

わたし「え? たま、タレント活動してるの?」
たま「うん。テラントかつどう」
わたし「テラントじゃなくて、タレントだよ」
たま「タラントかつどう」

何かが足らんと? でも、自己肯定感は足りているようだ。夕食のときに「野菜食べなきゃ、かわいくなれないよ」と言うと、「たまちゃん もうかわいくなってるもん」とうぬぼれていたけれど、「ママもかわいい」とのことだから、ハードルは低い。

わたし「じゃあ、パパは?」
たま「かっこいい」
わたし「じいじは?」
たま「しろい」
わたし「ばあばは?」
たま「むらさき」

こんな会話にも和まされ(風邪を引いたアイスクリームちゃんにガーゼのお布団をかけて寝かしつける姿にも和まされる)、お笑いタラントの素質は十分かしらなどとニヤニヤしながら、やっぱり親子の姓はおそろいがいいなと思った。

【お知らせ】あと10日で「冷凍マイナス18号」の日

冷凍(10)食品はマイナス18度以下で保存すれば、保存料を使わなくても長持ち可能。だから、10月18日は冷凍食品の日。ということを知らせるため、日本冷凍食品協会を担当していたコピーライター時代にデザイナーの古川ジュンさんと「冷凍マイナス18号」というキャラクターを提案。キャラクターデザインを久保誠二郎さんにお願いしてファミリー展開し、調子に乗ってPRソングを作り、CDつき飛び出す絵本が当たるプレゼントも実施した。いまいまさこ作詞、でこぼこフレンズの福井洋介さん作曲の「冷凍マイナス18号ソング」はyoutubeで観られ、うちのたまのお気に入り。冷凍食品の日10日前の本日、1000アクセス達成。そのうち100はたまが観てます。

2008年10月08日(水)  願えば never ever


2009年10月07日(水)  鈴木蘭々主演『サッちゃんの明日』(大人計画)

今朝のこと、ワイドショーに鈴木亜美が出ているのを観ての連想か、「鈴木蘭々って最近どうしてるんだろ」とダンナが聞いてきた。「お芝居なんかに出てるよ」と答えて、「そうそう。今日観に行く舞台の主役、鈴木蘭々なんだよ」と思い出した。

というわけで、大人計画『サッちゃんの明日』。毎度のことながら、満席の客席は「かかってこい」のお祭り歓迎体制で、のっけからよく笑い、下ネタにも反応しすぎなほど。わたしの後ろの席の男性は、早押しクイズのような素早さで食いつくように笑いの波に一番乗りしていて、その余波でわたしのまわりはとくに笑い感度が高くなっていた。

(ネタバレご注意)犬に噛まれて足が不自由になった蕎麦屋の娘サチコ(鈴木蘭々)はアル中の父(松尾スズキ)と未亡人の祖母(小松和重)との三人暮らし。母(家納ジュンコ)と祖父は近親相姦の上、駆け落ちして死んだ(が後になって母が帰ってくる)。脳性マヒの男友達で営業マンの沼田(小松和重の二役。お見事!)が連れてきた後輩のゴロウ(星野源)は、サチコを噛んだ犬の飼い主の養子。蕎麦屋に面接に来た男(皆川猿時)は刑務所上がり。シングルマザーで7か月の息子がいる友人つぐみ(猫背椿)はダンサーとしてひと華咲かせる夢を諦めきれず、ニューヨークで成功し、一時帰国中の先輩を訪ねるが、そこには覚醒剤の売人(宮藤官九郎)がいて、高額のオーディション料をふんだくられる。売人の探し物は蕎麦屋にあり、それが見つからないと命が危ない。果ては北朝鮮ミサイルが撃ち込まれたというニュースが……。

これだけのヘビーな題材を次々と繰り出しつつ、常に客席が笑いで沸いているというのがすごい。「私にはエロサイトがあるー」と高らかに歌っても清潔感がある鈴木蘭々というのもすごい。下ネタが捨て身ではなく、自然。一方、家納ジュンコと猫背椿は堂々たる捨て身っぷりが芸になっている。皆川猿時と小松和重の体を張った芝居も、役者ってすごい生き物だなあと思わせる。

大人計画の舞台を見慣れてくると、ウンコが背中に張りつくネタにも笑えるようになるが、覚醒剤ネタはタイムリーすぎて笑い飛ばすには重さを感じる。明らかに幸福○○党をパロディにしたと思われる幸福追求党も最近の話題ではあるけれど、覚醒剤のほうは脚本を書き上げてから現実が追いついてしまったのかもしれない。

生の鈴木蘭々を見ながら、カラオケで「なんで なんで ナンデ?」という彼女の歌をよく歌っていたことや、デーブ・スペクターや高田純二とともに出ていた「GHOST SOUP(ゴーストスープ)」という岩井俊二演出のドラマがすごく良く出来たクリスマスの奇跡物語だったことなんかも懐かしく思い出した。顔立ちも声も醸し出す雰囲気も好きなので、いつか作品をご一緒できたらと思う。鈴木蘭々をさん付けすると「ん」が3つ刻まれて「ヴァンサンカン」や「チリコンカン」みたいな響きになるので敬称略にした結果、今日の日記の人物名は皆さん敬称略になってしまった。

作・演出は松尾スズキ。宮藤官九郎作・演出を何本か観たのと比べてみると、クドカンカラーだと思っていたのは大人計画カラーでもあったのかもと思う。わたしには書けないし、真似できない。だからこそ毎回異種格闘技を眺めるように圧倒される、ヘアメイクは今回も大和田一美さん。コピーライターだった頃、お仕事で出会って一時期髪を切ってもらっていたので、役者さんたちの顔まわりに注目しながら、お元気かなと思いを馳せた。

大人計画『サッちゃんの明日』

2009年9月18日(金)〜10月11日(日) 
シアタートラム

【作・演出】 松尾スズキ
【出演】 鈴木蘭々 宮藤官九郎 猫背椿 皆川猿時 星野源 家納ジュンコ 小松和重 松尾スズキ

2008年10月07日(火)  朝からベランダで野良仕事
2006年10月07日(土)  マタニティオレンジ16 おっぱい出張所
2005年10月07日(金)  国民行事アンケート「国勢調査」の行方


2009年10月06日(火)  台風接近!打ち合わせの話題は「藤原効果」

「台風が近づいていますねえ」「なんか、すごい勢力らしいですね」「上陸しちゃうんでしょうか」そんな雑談から打ち合わせが始まり、「藤原効果」という言葉が出て来た。二つの台風が1000キロ以内に接近すると、渦巻く両者が作用し合って動きが変化する現象だそうで、今回、それが日本のはるか南で起こり、ひとつはフィリピンへ向かい、もうひとつが本州を目指しているのだとか。後で調べると、藤原さんという気象台の方が発見したので、この名称がついたらしい。

「藤原効果、よくご存知ですねえ」とひとりが食いつき、「実は気象予報士の資格を持っているんです」と告白したことから、今度は彼が質問攻めに遭った。「あれ難しいんでしょ」「一発合格ですか?」「どんな問題出るんですか?」「なんで受けようって思ったんですか?」……。「計算問題が出るんで、数1から勉強し直しましたよ」などという答えに、オオッとなる。「やっぱり理系なんですかー」「僕は文系なので、けっこう大変でした。今だったら解けないですね」。天気の話題は場を持たせると言うけれど、見事に場が盛り上がったのが面白かった。

それで思い出したのは、カンヌ国際広告祭で見た天気予報チャンネルのCM。スポーツバーをパロディにしたWeather Bar(お天気バー)に寒冷前線ファンと温暖前線ファンがそれぞれ青と赤のフェイスペイントをして集まり、贔屓のチームを応援するように天気予報を観ながら「行け!」「その調子!」と熱狂するシリーズCMで、上映会場も大いに沸いた。気まぐれで甚大な被害ももたらしかねない空模様には、たしかに目が離せない要素がある。

すごい勢力を持った藤原効果の片割れは8日には本州に上陸するかもしれないとのこと。通勤のある人は「電車が動くか?」「行きは行けても、帰りは帰れるか?」が心配の種で、わたしは「保育園へ連れて行けるのか? 行けても帰りは連れて帰れるのか?」が気がかり。話ほどは盛り上がらず、しぼんでくれるといいのだけど。

2008年10月06日(月)  『食いタン妻』と『百均探偵』
2007年10月06日(土)  マタニティオレンジ188 フミキリン
2006年10月06日(金)  マタニティオレンジ15 がんばれ母乳部
2005年10月06日(木)  行動する芸術家・林世宝さん
2004年10月06日(水)  ローマの一番よい三流のホテル
2002年10月06日(日)  餃子スタジアム


2009年10月05日(月)  小説を書くのもまた楽し

小説を書きたいと思っているところに、短編で4、5本書いて欲しいという依頼が舞い込んだ。脚本を書くのとは文体が違うし、小説家としてバリバリ書いている人のほうがいいのではと答えると、依頼者は、まだあまり色がついていない人がいいのですと口説いてくれ、まずは一本書いてみることにした。その調子でと乗せられ、書いているうちにアイデアがいろいろ浮かんできて、4本になり、6本になり、この数日でさらに4本ふえて、10本になった。

作品はある場所を舞台にしており、今月中にそこを訪ねて取材し(脚本でいうところのシナリオハンティング、小説の場合は何と呼ぶのだろう)、細かい描写を書き込む予定。スケジュール通りに行けば、この秋、そのとある場所のサイトで公開されることになっている。

脚本は作品を仕上げるためのベースになるものだけど、小説はそのものが読み物として成立するものだから、いいところも悪いところも全面的に書き手の製造責任となる。そこが怖くもあり楽しみでもあり……。

ネットで読める小説と言えば、講談社のコミック誌「モーニング」のサイトで公開中の「おやすみなさい。良い夢を。」は独特の空気感を持った物語。著者、三山佳依の名前にピンと来る方はかなりのいまいまさこカフェ通。

小説にかまけているせいで、このところ子守話はさぼりがちで、娘のたまに聞かせるのは、もっぱら「ニュースたま」。たまもだいぶ言葉が豊かになって、お返しに「ニュースママ」を聞かせてくれるのだけど、「きょう ママは おしごとを いっぱいしました」と仕事の話が多くて、淋しい思いをさせているのかなと後ろめたくなる。「今日はたまの前でパソコンしなかったでしょ?」と反論したところ、「きょう ママは おしごとを ちょっぴりしました」と修正された。

ちょっぴり更新ペースを上げて、3日ぶりの子守話は、前々から作ろうと思っていた黄色い自転車の話。たまは小豆島のことを「ぼくとママの黄色い自転車の島」と記憶していて、小豆島で滞在したゲストハウスのことは「ぼくとママのおうち」と呼ぶ。

子守話95「たまちゃんと きいろい じてんしゃ」

たまちゃんが みつけた きいろい じてんしゃは ふしぎな じてんしゃ。

きいろい じてんしゃが はしった あとには きいろい おはなが さきます。
きいろい ちょうちょたちが あつまってきて
まってまってと きいろい じてんしゃを おいかけます。

ふわりと そらに まいあがると ことりたちが こっちこっちと さそいます。
ぐんぐん そらたかく ペダルを こいで なないろの にじに ちゃくち。 
にじの はしっこから さんぼんめ きいろい みちの うえを 
きいろい じてんしゃは すいすいと はしります。

にじの さかを くだりきると うみの うえ。
きいろい じてんしゃは ふねよりも はやく はしります。
きいろい さかなたちが すごいすごいと とびはねます。

うみの そばを はしる きいろい でんしゃと おいかけっこ。
きいろい じてんしゃも はやいけれど でんしゃは もっと はやい はやい。
えきで とまっている あいだに きいろい じてんしゃが おいこします。

きいろい じてんしゃで おうちに かえると
おやつは たまごいっぱいの きいろい プリン。
きいろい じてんしゃは ふしぎな じてんしゃ。
たまちゃんが プリンを たべている あいだに どこかへ きえてしまいました。

2006年10月05日(木)  『シュガー&スパイス』のグランマ
2000年10月05日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/12/08)


2009年10月04日(日)  おもちゃから夜景まで欲張り横浜デー

小豆島でお世話になった柳生さんと峰子さんご夫妻と横浜で再会。柳生さんと親しくされている北原照久さんのおもちゃ博物館へ。館長の北原さんにはお会いできなかったけれど、スタッフの方々にあたたかく迎えていただく。ジョン・ラセターが来館したときのエピソードを聞かせていただいたり(ここでピクサー映画『トイ・ストーリー』の着想を得たそう)、ぜんまい仕掛けのブリキのおもちゃを動かしてもらったり。

たまは「ブリキのおもちゃができるまで」に興味津々。


うちにはブリキのおもちゃはないけれど、Barnieのビデオの誕生会編でおもちゃ工場へ行く場面があり、ブリキっぽいロボットが出てくる。それに似たロボットを見つけて、「ウィアレロ(we are little)ロボットだ」。


広い庭にはアンティークのメリーゴーランド。動きを止めたその辺りの空気も、時が止まったかのよう。妖精が飛び回っていそうなこの庭で、お気に入りの本を開いて、ぼけっと半日過ごしてみたい。

別棟にはクリスマスショップ。こちらはBarnieのクリスマス編のサンタクロースの家がそのまま現実になったようで、たまもクリスマス好きのわたしも大興奮。

サンタが運転するワゴンには、サンタさんがいっぱい。

店内にはクリスマスグッズが所狭しと並び、飾られ、季節に関係なくここは年中クリスマス。わたしが品定めしている間に、たまはお店の看板犬、ゴールデンレトリーバーの「TJ」とじゃれあう。犬大好きのたまは、太いしっぽをつかんでぶんぶん振り、キャッキャと大喜び。柳生さんは気がつくと「Tジェイ」を「Tジョイ」と呼びかけていた。Tジョイは、『ぼくとママの黄色い自転車』の配給会社。

北原館長夫人の旬子さんとご挨拶させていただき、北原さんがププロデュースする横浜人形の家で今バービー展をやっていることを知らされ、徒歩で向かう。世界の人形や日本の人形の移り変わりを展示した常設展を見終えると、50周年を迎えたバービーとその衣装がずらりのバービー展。マネキンサイズのバーニーに駆け寄り、たまは「おちゅめ、きれいねえ」とピンクのマニキュアを塗った指にうっとり。

お洋服を見るのが大好きなわたしにとっては、目移りしそうな楽しさ。


鏡で仕切られたケースは万華鏡のよう。

お昼は中華街で食べましょうとなり、人形の家から五分ほど歩いて、元町中華街駅近くのすぐ目についた「廣翔記(koushouki)」新館に入る。フカヒレ三昧コースを注文すると、全9品と次々に運ばれる。餃子、炒飯、杏仁豆腐に至るまで、これでもかのフカヒレ尽くし! 味はなかなか上品で満足。大人もたまもよく食べた。テーブルにお料理びっしりの写真を撮り忘れたのは、夢中で食べた証拠。

さて、今日の横浜訪問の目的は、柳生夫妻の愛娘、照美嬢が出演しているtpt(=Theater Project Tokyo)第72回公演『血の婚礼』を観ること。中華街からほど近い馬車道にあるBankARTという会場は、倉庫を改造したような天井の高いスペース。

わたしが柳生夫妻と観ている間、ダンナがたまの子守をする予定だったのだが、「僕は昨日観ましたから、僕がたまちゃんを見ます」と柳生さんが勇気ある申し出をしてくれた。ブリキのおもちゃ博物館で柳生さんが買ってくださったぜんまい仕掛けのペンギンで、柳生さんとたまが遊んでいる隙を見て、峰子さんとともに客席へ。上演数分前に、たまが入口に駆け寄ってきて、目が合ってしまい、焦ったが、たまは満面の笑顔で「みねこさーん!」。パパでもママでもなく峰子さんと呼びかけるとは、たくましい。

入口のドアが閉められ、泣いても笑ってもたまは柳生さんに託されることになった。そして、一時間半後、再びドアが開くと、満面の笑みのたまが「みねこさーん!」。さすがにぐずっているだろうと思ったこちらは拍子抜けして、大笑いとなった。柳生さんの他、スタッフの方にも遊んでもらい、たまは終始ご機嫌だったという。

tpt公演は第44回『スズメバチ』と第52回『道成寺一幕』を今はなき森下のベニサンピットで観たのだが、その印象とも共通して、演劇らしい演劇を堪能する。舞台のしつらえもそうだし、見に来ている人の雰囲気もそう。台詞で話を転がしていくタイプではなく、体全体を使っての表現のひとつに言葉がある、そんな感じ。舞台には土が敷き詰められ、裸足の役者がその上を歩き、転がり、舞うと土埃が舞い上がる。舞台下には水を張ったたらいが点在し、そこでは水しぶきがあがる。歌とダンスが全体を彩り、生演奏の奏者は舞台の一部のように会場に溶け込んで佇んでいる。観るというより浸るように鑑賞した。

若い娘役を演じた照美嬢は、パリで演劇を勉強して帰国後、初めての舞台だそうだが、「オリーブ」という言葉が劇中に何度も登場し、記念の舞台へのはなむけのように聞こえた。

tpt第72回公演『血の婚礼』

2009/10/3(sat)→18(sun) BankART Studio NYK / NYKホール

作◎ガルシア・ロルカ 台本◎広田敦郎 演出◎門井 均
美術◎朝倉 摂 照明◎笠原俊幸 衣裳◎萩野 緑
振付◎グスタヴォ・ザジャク

母親◎大沼百合子 花婿◎山田ジルソン
姑◎植野葉子 妻◎伯鞘麗名 レオナルド◎小谷真一
花嫁◎呂美 女中◎武田優子 父親◎廣畑達也
月◎濱碓 死◎加藤亜依 少女◎佐伯静香
村の女◎石榑順子 若い娘◎柳生照美 松平英子
木こり◎清水隆伍 熊本昭博 遠藤典史
若い男◎古賀信義 演奏◎かりん・綿田健一

ステージの隣にはカフェとショップのスペースがあり、そこでお茶をしてから、馬車駅の手前で柳生夫妻と別れ、たまが朝から「あれのる!」と所望していた大観覧車へ。高所恐怖症なので膝が震えたけれど、空はよく晴れて、宝石をちりばめたような眺めだった。

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