朝ドラ「つばさ」の脚本が届いたので、恒例の写真撮影(第9週〜26週の脚本はこちらへ)。
タイトルは「好きと言えなくて」。第15週「素直になれなくて」とちょっと似てる。「つばさ」は千代と加乃子、加乃子とつばさをはじめ、登場人物それぞれの「素直になれなくて」「好きと言えなくて」を描いていたドラマともいえる。意地を張ってしまったり、照れがあったりして、思ってもないことを言って衝突を招いたり、遠回りしたり。そんな不器用だけど一生懸命な人たちが好きだったし、スピンオフという形でまた会えるのがうれしい。
季節は最終回が終わって一年半後、川越まつりの少し前の秋という設定なので、撮影小道具に選んだのは、ハートの湯たんぽ。川越も寒くなってくる頃だし、劇中で焚き火も焚かれるし、湯たんぽのぬくもりが恋しい季節。
湯たんぽには「Love is..」と書かれている。ラジオドラマ『夢の波間』でご一緒した柳生博さんの好きな言葉で柳生さんのやっているバーの名前にもなっている「Happiness is...」に似ている。「つばさ」は「Love is..」(愛とは……)を繰り返し問いかけるドラマでもあったと思う。
最終回のその後であり、総集編の少し前。「つばさ」の世界の住人たちがどんな「愛」を見つけたのか。10分弱の短いドラマ2本だけど、観終わった後に湯たんぽのぬくもりを残せたらうれしい。
それぞれのバージョンタイトルは知秋、万里、俊輔が出演する「青春編」と真瀬、浪岡、ロナウ二郎が出演する「中年編(仮)」。中年と呼ぶのはさすがに……ということで、代案のタイトルを考案中なのかと思ったら、(仮)まで含めて正式タイトルとのこと。人を食ったようなタイトルに「つばさ」スピンオフらしさが出ている。
中年(仮)は、仮免と同じく、仮の中年、つまり中年にはなりきっていないという解釈? 38歳という設定の真瀬が中年(仮)なら、わたしも中年(仮)の資格十分。せめて、自称であっても(仮)だけはつけておきたいもの。
ところで、脚本には転売などの防止のため、一冊ごとに通し番号が振られている。「つばさ」本放送では、わたしはNo.117をもらっていた。今回は脚本ということでNo.002に浮上。脚本家と脚本協力では大違いなのだなと、この数字を見て感じた。
大違いといえば、今日届いた別な郵便物を見て「!!」となる。原稿を寄せた掲載誌だが、プロフィール欄で『子ぎつねヘレン』が『小ぎつねヘレン』に、『ぼくとママの黄色い自転車』が『僕とママの黄色い自転車』になっていた。ファックス原稿を先方が打ちかえるというので不安があったのだが、時間がないしゲラチェックはおまかせください、ちゃんと確認しますからと自信たっぷりに言われた。本文は無事だったが、タイトル二か所が見落とされていた。
「小ぎつね」という表記はもちろんあるし、童謡の「小ぎつねコンコン」は「子ぎつね」ではなく「小ぎつね」になっているのだけど、わたしにとっては、今井雅子が今井正子になるぐらいの違和感がある。「ぼく」と「僕」も、意味あいが変わってくる。主人公の大志はまだ「僕」と漢字で書けないだろうからと「ぼく」とひらがなにしているので、「僕」になると、大志のことじゃないみたいな気がしてくる。
作品はわが子だとすると、タイトルには作り手である親の思いが込められている。その思いをくんでいれば、タイトルの文字校正にはとくに注意を払ってくれたはずなのだが……。そこはこちらからも念を押すべきであったか。わたしも鑑賞作品のタイトルをうっかり間違えたり、友人の子どもの名前を勘違いしたりということはあるので、気をつけようと自分を戒める。