昨夜のこと。布団に入ってもなかなか寝つかず、目を爛々とさせて天井を見上げている娘のたまに、「何見てるの?」と聞くと、「ゆめみてるの」と返ってきた。布団の中で見る夢といえば、目を閉じて眠っているときに現れるものと思い込んでいる大人は、その答えにハッと目を見開かされる。日が暮れた道端で突然寝転がったときに同じ質問をして、「くもみてるの」と返事が来たとき以上に衝撃的だった。
「夢を見る」という感覚的な概念をいつの間にどのように知ったのか、最近、たまは寝ている間に見た夢のことも話してくれる。一昨日の朝、「どんな夢見たの?」と聞くと、「ちょうちょのゆめ」と答えた。「ちょうちょさん だっこしたの。ないてたの。おかあさんがいいようってないてたの」。なんだか物語の始まりみたいだ。たまの夢をヒントにして、子守話『まいごのちょうちょ』が生まれた。
子守話26 まいごのちょうちょ
たまちゃんが おはなばたけを おさんぽしていると ちいさなちょうちょが ないていました。「えーんえーん おかあさんが いいよう」。ちいさなちょうちょは おかあさんとはぐれて まいごになったようです。たまちゃんは ないているちょうちょを よしよしとだっこしてあげました。それから いっしょに おかあさんを さがしにでかけました。ちいさなちょうちょは きいろいはねに くろいみずたまもようがついていました。おかあさんちょうちょも おなじもようをしているといいます。たまちゃんと ちいさなちょうちょは きいろいはねに くろいみずたまもようのちょうちょをさがしはじめました。
しばらくあるいていくと きいろいちょうちょが とんでいるのがみえました。「あ おかあさんがいた」とちいさなちょうちょが うれしそうにいいました。けれど ちかづいて よくみると きいろいはねについているくろいもようは みずたまではなくて しましまでした。たまちゃんもちいさなちょうちょもがっかりしました。でも しましまちょうちょが「あっちに みずたまのちょうちょがいましたよ」としんせつにおしえてくれたので あっちをさがすことにしました。
しましまちょうちょにおしえてもらったばしょまでくると きいろいはねに みずたまもようのついたちょうちょが はなのみつをすっていました。「あ こんどこそ おかあさんだ」とちいさなちょうちょが いいました。けれど はなびらにかくれていた はねのしたはんぶんは きいろではなく あかいろでした。 たまちゃんもちいさなちょうちょも がっかりしました。でも きいろとあかのはねのちょうちょが おいしいはなのみつを わけてくれたので ちょっぴり げんきになりました。
たまちゃんとちいさなちょうちょは ひがくれるまで おはなばたけを あっちへいったり こっちへきたりしました。けれど おかあさんはみつかりません。とびまわってつかれたちいさなちょうちょを かたにちょこんとのせて たまちゃんはあるきつづけました。ちいさなちょうちょは たまちゃんのかたのうえで ねむってしまいました。たまちゃんも ちいさなちょうちょをかたにのせて きのしたで ねむってしまいました。
それから どれぐらいじかんが たったでしょう。「おかあさんよ。おむかえにきましたよ」とやさしいこえがして たまちゃんとちいさなちょうちょは めをさましました。きいろいはねに くろいみずたまがついたちょうちょが ひらひらと めのまえをとんでいました。「あ おかあさん」とちいさなちょうちょは おかあさんちょうちょにとびつきました。「おかあさん おんぶ おんぶ」とせがまれて おかあさんちょうちょは ちいさなちょうちょを せなかにのせてやりました。そっくりなおかあさんちょうちょとちいさなちょうちょは「たまちゃん ありがとう」とてをふるみたいにはねをひらひらさせて とんでいきました。
たまちゃんも おかあさんにあいたくなって おうちにかえりました。 |
2006年12月03日(日) マタニティオレンジ36 撮影大会
2005年12月03日(土) 第12回函館港イルミナシオン映画祭 参加2日目