友人の男性二人と、共通の友人であるプレイボーイ(死語?)の噂をしていたときのこと。一緒に飲みに行ったとき、彼は我々そっちのけで女の子を口説いていた。
「で、ジョウジュしたのかね?」と友人1が言った。
「ジョウジュ?」と友人2が聞く。
「つまり、小さいユを抜いて……」
「情事」を遠回しに言って「成就」とは、なかなか奥ゆかしい。高校生の頃だったか、『危険な情事』という映画に誘われて、ジョージという暴れ者が活躍するアドベンチャーだと誤解して観に行ったらドロドロの不倫ホラーで困ってしまったことも思い出した。
日本語を絶賛吸収中の娘のたまが話す「たま語」も、似ている言葉に気づかせてくれる。保育園の帰りに買うコロッケを食べるとき、「はんぶんこ!」というところを「じゅんばんこ!」と言う。そのたびに「じゅんばんこじゃなくて、はんぶんこよ」と教えると「はんぶんこ!」と言い直すのだけど、翌日になるとまた戻る。「ん」と「ん」と「こ」が同じ場所に入っていて、たしかに似ている。
魚を食べていて、「たね」と言い、ブドウを食べていて、「ほね」と言う。「ほね」と「たね」、「ね」で終わる二文字の邪魔者同士。絵本のネタにもなりそうだ。
「かまくら」と「キャバクラ」が似ていることはオヤジギャグでも言い古されているけれど、「かまくら」と「かまきり」のほうがもっと似ていることも、オヤジよりぐぐっと目線を下げた子ども感覚での発見。KAMAKURAとKAMAKIRI、ローマ字にするとかなり紛らわしい。紛らわしいローマ字といえば、「CHIBA」あてのエアメールが「CHINA」に回されて、ずいぶん遠回りして着いたという笑い話が新聞の投書欄にあった。
そういえば、田園都市線で通勤していた頃、「次は〜宮前〜平〜」という車内アナウンスに突っ込みを入れるようにランドセルを背負った男の子が「見覚え〜ないか〜」と呟いたのを聞いて、ハッとしたことがあった。「ミヤマエ〜ダイラ〜」と「ミオボエ〜ナイカ〜」が似ていると、彼はいつ気づいたのだろう。
そんなことを考えていたせいか、ストリートライブがひしめく代々木公園脇の歩道を通りがかったとき、「願えば never ever」とラップバンドが歌うのが耳に飛び込んできた。「ネガエバ」と「ネバエバ」はたしかによく似ているけれど、「願えば きっと」とは真逆な意味になる「願えば never ever」はどういう文脈で使われているのか。「never ever諦めない」のように、後にネガティブな言葉を打ち消す歌詞が続いていたのか、気になる。