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JIROの独断的日記
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2012年03月10日(土) 東日本大震災から1年にあたって、所感。

◆無責任に「頑張ろう」というな。

今(2012年03月10日(土)17時03分)NHKで「被災地からの声」という番組を放送している。

さきほど、被災地から(多分Twitterだと思うけれど、ちょっと聞き逃しました)発せられた言葉を

分析した結果を表示していた。震災直後は、被災者からも、

頑張る

という言葉が多く見られたが、震災御5ヶ月後あたりから、減少した、という。

震災直後は、緊張状態からくる、一種の興奮状態にあり、アドレナリンが分泌されていたので、

「頑張るぞ」と言えたのだろうが、時間が経って、復興の見通しが立たないと、「頑張りようがない」

という思いにとらわれるのであろう。


自然に、頑張れる人は頑張っていいが、無力感に苛まれている人は、むやみに頑張ろうとしないほうがいい。

これは、NHKをみた結果論ではなく、私は、昨年震災後に何回か、弊ブログに書いている。
2011.04.03 NHK「ニュースウオッチ9」で報じていた「災害関連死」。←特に高齢の被災者は「頑張っ」てはいけない。

2011.04.12 「『がんばろう日本』東京タワーが太陽光発電でメッセージ」←無責任だ

2011.04.13 被災者に「頑張れ」という残酷さが、まだわかりませんかね。

全然、原因は違うが、自分がうつ病に罹患した経験から、本当に頑張りようが無い時に、「頑張れ」と言われる辛さが、

私には、多少は分かるつもりである。

無理に頑張ろうとしても、実際、この先どうなるか分からない被災地、被災者が多いのであるから、

頑張りようがない。そういう人々には、無責任に「頑張れ」と言うべきではないし、被災者は思わなくてもいい。


◆放射能汚染は、元には戻らない、とはっきりするべきだ。

被災地のうち、福島原発事故に関しては繰り返し書いているが、

放射能を無効化する技術を人類がもっていないのに、今も、核燃料は大気に剥き出しになっている。

こういう所で放射性物質が減る訳がない。また、「除染」も「移染」に過ぎない。


はっきり言って、もう、半永久的に311前の状態に戻らないほど汚染し、安全に居住することが出来ない場所が

できてしまった。それなら、それは、はっきりそう告げるべきだが、東電も国も中途半端なことをいうから、

避難しているお年寄りの中には、「除染が済めば、元の環境に戻り、住めるようになる」と思っている人がいる。


大気中、土壌の放射線は以前強く、発ガンの危険も高い。それでも生まれた所に戻りたいという人がいるならば、

小出助教が言うとおり、それはそれで一つの選択であるが、汚染は消えないことを曖昧にしておくのはよろしくない。


◆立法府、行政府の無作為。

また、立法府(国会)行政(内閣)の動きを見ると、総論を優先させるから状況が進展しないのである。

しかも、ピントがずれている。将来の年金財源確保のための消費税率引き上げ議論に時間を費やし、

さらに、それを政争の具として用いている。政治家を「私欲」を優先しているのだ。

総論ではなく、まず各論を重視するべきである。つまり、

被災地で困っている事を片っ端からリストアップし、被災地では町役場が丸ごと津波で流されてしまったり、

そうではなくても、地方自治体だけではできないことがあるのか、或いは怠慢なのか分からないが、

放射能とは関係の無い(つまり、被曝の危険が無く作業できる)場所で、震災御1年経ってもがれきが残っているとか、

仮設住宅があまりにもお粗末である、とか、医療従事者が足りないとか、

精神的に不安定になっている人のメンタルケアが足りないというのは、日本人の仕事としては遅すぎる。

国が主導してさっさと「一つずつ」対策を立てれば良いのだ。

それで予算が足りなくなったら、

「これだけのことをしたいが、これだけ予算が足りないので、赤字国債を発行するか増税します」

と説明すれば、国民に対して説得力があるが、

誰も、目の前の問題を整理してどこから手をつけるか、統合的に管理しないから、いつまでたっても

状況が変わらない。変わらない被災地の風景を見て、実際には被災地では、少なからず自殺者が出ているという噂を聞くが、

マスコミはそういうことは報じない。震災の影響を受けなかった日本の他の地域の人達は、

人間というのは残酷で、狡いもので、被災地の深刻さのことなど考えない方が「樂だから」、意識的・無意識的に

この話題に触れない。職場の人間を診ても、Twitterを眺めていても、それは、明らかである。


◆一件ずつ、処理しろ。

個人の話とは規模が違うけれども、私が社会人になり立ての下っ端で、自分の係の事務を負かされていたことがある。

あまりにも処理件数が増え、どれも同時に、一刻も速く処理しなければと思い、パニックに陥っていた私を見た先輩が、

落ちついて、「一件ずつ」処理しろ。オタオタしているだけでは、1件も処理できない。1件ずつ処理すれば、やがて全部、処理できる

とアドヴァイスしてくれた。誠に適切なアドヴァイスであった。

東日本大震災の被災地はあまりにも広範にわたり、処理すべき問題も膨大だろうが、

とにかく、リストアップして一件ずつ処理することを国家の行政府(内閣)が決定し

指示するべきなのだ。勿論、厳密な意味での行政府=内閣、つまり首相と大臣だけでは、

何もできないから、それぞれの役所のトップを集めて、内閣から直接、これをこうしろ、

と、命ずるのである。

観念的な議論、例えば「未来に向けての国家の設計」など抽象的なことは、学者の論文のネタにはなるだろうが、

実務上には、何の役にも立たない。具体的な施策がない。

だから、頑張りたくても頑張る気力がなくなるほど、被災地の状況が好転しないのである。

「一件ずつ、しかし、なるべく急いで処理できることから処理しろ」

と、日本国政府に言いたい。

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