付与された、 其の膨大な容量の内の、 極僅かしか。
用いずに済む故か。
其れとも。
其の、 識別に至る複雑な過程で。
事細かに、 細分化されて了う故か。
決して、 其処に疑念など無く。
事実を記して居る以外の、 何者でも無いのに。
視覚に与えられた筈の、 莫大な機能が。
何時の間にか重みを失い。
其の、 一文字一文字の、 軽さに惑い。
殊更、 想いを乱す。
呑み会帰り。
泥酔の記憶が、 未だ真新しい夜半に。
「歩いて帰る。」
「ちゃんと歩けてる?」
「おやすみ。」
「もう家に着いたの?」
声の無い、 無機質な文字だけの遣り取りが続き。
「着いた。」
「そんなに駅から家まで近かったっけ?」
「私と小坊主ちゃんの間柄と同じ感じぃ。」
態と応えぬ、 其の、 あの子の謎掛けの。
言の葉の真偽を。
必死に、 探り続けた。
もう忘れちゃったのかな。
忌まわしい恐怖と遭遇する、 其の可能性が。
今は、 零じゃ無いって事も。
---------- References Sep.03 2014, 「最期の約束を破れますか」 Dec.24 2013, 「賭事の様な恋愛でしょうか」 May.23 2012, 「何処かに楯は在るのでしょうか」 Apr.27 2012, 「謎掛け程度に軽い事柄でしょうか」 Apr.14 2012, 「此れで離れて行くのでしょうか」
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