もう声を聞かなくなってから、 もう文字すら見なくなってから、 どれくらいの時間が過ぎ去ったのだろうか。
密かに指折り数えてみたけれど、 半年も経っていない事に気付かされる。
「元気やで」
友人の携帯から漏れて来る声は、 正真正銘アイツの声。
代わって欲しさ半分。 声を聞く事への怖さが半分。
「頑張ってる?」 「俺も元気だよ」 「新しい男は出来たのか?」 「俺には大切な人が居るよ」 「またみんなで会おうよ」
出て来る言葉は、 どれもこれも地雷そのもの。
心の中で必死に伝えてみたけれど、 身体の方は一歩も動かない。
友人が電話を切った後、 初めて呼吸していなかった事に気付いた。 |