無責任賛歌
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| 2005年09月15日(木) |
ソワソワアセアセ/ワークショップ『演出家・森田さんの「イッセー尾形ができるまで」』Part3 |
しげの××歳の誕生日。 12時になった直後にお祝いメールを入れたのだが、しげはくたびれ果ててよしひと嬢のウチで即寝しちゃって多らしい。張り合いのないことである。
森田雄三さんのワークショップ、三日目。 少しずつ顔見知りができてくるが、それが馴れ合いみたいな雰囲気を作ってしまつている印象で、やや停滞気味。森田さんもイッセーさんもややピリピリしている感じである。 「これまで自分が培ってきたノウハウが役に立たない」と、弱音とも聞こえる言葉を口にするが、同時に「楽しくて仕方がない」とも仰る。困ってるんだかそうでないんだか、よく分からない感じだ。今日初めて知ったのだが、前回までの公演はお金を取っていなかったとか。今回初めて「商品」として公演を打つわけで、そのためにも「芝居」として成立させることに腐心されているようである(自分が出演するかも知れないのに他人事のように書いているのは、自分の役回りを悟られないためであるので悪しからず)。 今日は、いきなり「小倉の町」を具体的にイメージさせて舞台を作る。いくつもの場所が次々に変化していくスケッチ風の構成を考えていらっしゃるようである。ただ、参加者が必ずしも小倉の住人ばかりではなく、世代も性別も分かれているために、全員が共通してイメージできる場所というものがない。参加者もまだまだ「自分がやりたいこと」を作りきれずに、森田さんの演出を「待って」いるところがあって、もうひとつハジケない。 椅子をベンチに見立てて、そこに二人の人物を座らせて会話をさせる。そこに他の参加者が様々な「風景の音」を口真似でかぶせさせる。「主役は音のほうだ。演技をするな」と、シロウト演技に陥ることを規制する。けれどそれがかえって出演者を萎縮させることになる。それを見て、「小倉の人たちはデリケートだ」と仰ったあとで、前述の「ノウハウが」の発言に繋がるのである。イッセーさんも「もっと自由になれるはず」と、ハッパをかける。 ついに明日はいつもより早く「11時集合」と言われる。昼の部の人は三時間も早く出ることになるが、夜の部の人もできるだけ早く来るようにとのこと。つまり、森田さんはぶっ続け11時間、練習しようと言うのだ。しげは「逃げ帰りたい」とか言うが、冗談じゃない。こちらは昼の部から参加できないことが悔しくてたまらんのだ。 今日は、昼の部で、あまりに森田さんのツッコミが厳しくて、泣いて帰った女の子がいたらしい(15歳だったそうだが、学校はどうしたんだろうか)。みんなシロウトだけど、言われるままに動くだけの学芸会ではないのである。自分にもそんな甘えがないかどうか、他山の石としたい。
今日はしげも、明日の午前中は通院しなければならないので、一時帰宅。けれど今日も練習時間が30分も超過して、おかげで、快速に乗り損ねて鈍行で帰ることになつた。当然バスはないので、竹下から歩いて帰る。しげが「足が痛い」とうるさい。ようやく家に帰りついたのが午後1時だが、そのあともベランダの倉庫の荷物を片付けなければならないので、ひと騒動。 明日からは私もよしひと嬢のお宅にお邪魔することになるのでその準備もしなければならない。よくこれだけ動いて、倒れないものだと自分でも感心するが、多分興奮して脳内麻薬が出っぱなしなのであろう。
そういうわけで、多分、舞台に出演することになれば明日から19日まで帰ってきません。その間、日記の更新がまたストップしますがご勘弁ください。私のナマの姿が見たいと仰る奇特な方がいらっしゃいましたら、17日から19日まで、北九州芸術劇場にいます。どうぞお気軽にご観劇を。
ああ、それにしても時間がなくていつもより短くしか書けないから、安達祐実のできちゃった結婚やロバート・ワイズ監督の死去についても触れられない。触れなきゃならんこともないってことも分かっちゃいますが。
2004年09月15日(水) みんなゴミの山に踏みこむ覚悟はあるのか/『武装錬金』4巻 2003年09月15日(月) 西手新九郎は「心の遊び」に留めておこうね/『アレクサンドロス 〜世界帝国への夢〜』(安彦良和) 2001年09月15日(土) オタクなばーすでぃ/映画?『スペースカッタ2001』in「山口きらら博」ほか 2000年09月15日(金) ネパールとサウスパークとおだてブタと/『ブタもおだてりゃ木にのぼる』(笹川ひろし)ほか
| 2005年09月14日(水) |
ワクワクドキドキ/ワークショップ『演出家・森田さんの「イッセー尾形ができるまで」』Part2 |
森田雄三さんのワークショップ、二日目。 小倉に着いてしげに連絡を入れるが、全く応答がない。昼の部の練習が30分以上、長引いていたのだ。しげは昨日よりは怖さが取れたよう。
森田さんの参加者への指示、昨日より辛辣さを増す。いろんな「人」を演じさせる。上手い人あれば下手な人あるのは当然だが、「上手下手は関係ないよ。イメージを作ること、空気を作ることね」といちいちダメ出しをされていく。新宮公演では三日間で舞台に立たせたのだが、北九州では四日間でやれるので、より念入りに、ということであるようだ。 イッセーさんの「小倉は『いちゃもんと小競り合いの文化』」という言葉を受けて、参加者に「なーんそれ」を頭に付けて喋ってみる、という課題などが出される。ご当地ごとにこういうことをやっているらしい。森田さんが「新宮じゃみんな「くさくさくさくさ」言っててさ」と仰るのがおかしい。 円陣を組むのを早めにやめて、舞台に椅子を置いて何人か組で立たせてみるが、参加者が途端に「小芝居」を始めるようになってつまんなくなる。「円陣でやってた時のことを思い出して」と指示が出されるが、「芝居」をすることを禁じられてしまったみんなはなかなかうまくいかない。森田さんは「学芸会」を作るつもりはないのだ。今更ながらに「真剣」なのだということを実感して緊張する。 明日はまた円陣に戻してやり直すと言う。さあ、この森田丸はどこへ向かって航海しているのか。
夜の部も20分超過したが、今日はなんとか電車・バスに間に合う。でも、ぶっくたびれてたのでは帰宅して洗濯したら途端にバタンキュー。だもんで、日記はこの程度しか書けない。あしからず。
2004年09月14日(火) 「宅間守」という“役者”の死/『ああっ女神さまっ』29巻ほか 2003年09月14日(日) タイトルを付ける元気もね〜や(;´_`;)。 2001年09月14日(金) カリメンしげ/『モーツァルトは子守唄を歌わない』1巻(森雅裕・有栖川るい) 2000年09月14日(木) 通院と残暑と誕生日プレゼントと/『世紀末アニメ熱論』(氷川竜介)ほか
| 2005年09月13日(火) |
15万ヒット大御礼/ワークショップ『演出家・森田さんの「イッセー尾形ができるまで」』Part1 |
カウンターが調子よく回って、ついに15万ヒットとなりましたが、今回、キリ番当選の倍率を三倍(笑)にしたのに、やっぱり連絡はありません。通りすがりさんが多いのにも困ったもんです。 それだけキーワード検索に引っかかる単語が多いってことなんでしょうが、中にはサンプルの文章読んだだけで「君の欲しい情報なんてウチにはないってことが分からないのかい?」って言いたくなるような検索をかけてくる人もいて、15万ヒットと言っても、有頂天になっちゃいけないなあと自戒しているところです。私の気が付かないうちにこの日記をお気に入り登録してくださっていたり、ブックマークをしてくださっている方もかなりいらっしゃるのですが、いちいちお礼を申し上げに伺ったりはしておりませんが(それもかえってご迷惑でしょうし)、感謝しております。得手勝手な駄文ばかり書きつけているサイトですが、今後ともよろしくゴヒイキのほどをお願い申し上げます。
今日から、北九州芸術劇場で、『演出家・森田さんの「イッセー尾形ができるまで」』が開かれるので、これに参加するために職場を一時間、有給取って出かける。 しげは昼から小倉に出かけているので、小倉に着いた時点で連絡を入れて、リバーウォークで合流。お好み焼き屋でヤキソバを食べながら、「昼の部はどうだった?」と聞いても、詳しいことを教えてくれない。実際に参加してみてのオタノシミ、ということだそうだ。 開始20分前に中劇場で受付。名札を貰って、写真を撮られる。森田さんほかスタッフが顔を覚えるための写真だそうだ。しげが「犯罪者みたいでしょ?」とイヤな例えを言うが、実際、そんな感じである。係の女性の方、名札が光で反射してうまく撮れなかったらしく、三回も撮り直される。 ふと名札の山に目をやると、こないだ「応募しませんでした」と言っていた下村嬢の名札がある。さてはアンケートに答えなくても、メールを送れば登録した形になっていたのかと、慌ててしげから下村嬢に連絡を入れさせる。ところがてっきり落ちたと思い込んでいた彼女は、ヤケでオカネを使い果たしていて、参加費が払えなかった。もったいない話である。 ホールの客席でしばし待機。ややあって、車椅子に乗られた森田雄三さん、スラリと長い足がカッコいいイッセー尾形さんが舞台に現れ、参加者が舞台上にいざなわれる。車座になったクッションに、森田さんを中央に50人ほどがグルリと取り囲む。北九州でのワークショップはこれが三年目で、どうやら常連さんもいらっしゃるらしい。小学生くらいの女の子や70歳くらいのご老人に森田さんが声をかける。私は参加するのは初めてなので、否が応にも心臓が高鳴る。しげは昼の部に参加しているので、今回は後方の椅子に座って見学である。 殆どたいした説明もなく、森田さんは一人の学生っぽいメガネの男性に「何か喋って」と言う。当惑して「自己紹介ですか?」と答える男性に、「ダメ」とニベもない森田さん。次のマスクをつけた女性もロクに喋れない。いきなりの問いかけで、まだ「演劇を作る」ことの意味、「演劇のために何をどう考えるか」などに頭を巡らせる余裕がないのだ。 輪を追いながら、森田さんは「じゃあ、今度は『名詞』を言ってみて」と指示を変える。少し、発言しやすくなるが、普通の名詞では森田さんは「つまらない」と言う。ちょっと変わった名詞を挙げると、「凝ってきたね」と嬉しそうにする。 ここで私がどんな答えを挙げたか書いておきたいところだが、NHKが入っていたので、もしかしたらこれはテレビ放送されるかもしれない。今回は本名での参加でもあり、顔バレはちとマズイので、以下も私が何をしたかは一切書かないことにする。肝心なところが大雑把な文章になってしまうが、そういう事情なので諒とせられたい。 一通り「名詞」を言わせ終わったところで、今度は簡単な「会話」を回していく。「相手を困らせるような質問をして」という指示。聞かれたことには基本的に「イエス」と答える気持ちで話を回さなければ行けない。けれど、単純な名詞を思いつくよりも、こちらの方が言いやすい。 次に、「偉そうにしている人、生意気な人」の名前を挙げて、その人のイメージを思い出して声を出してみることを要求される。 「この『思い出す』ということが大事なんですよ」と仰る森田さん。ちょっと喋って黙ってしまう人には「続けて」「間を置いて別の言葉を」と次々に指示が飛ぶ。当然、言葉に詰まってしまう人もいるのだが、「困ったところから続けるのが大事なんですよ。もう分かった人もいると思いますが、これは『とっさの時の返事の仕方の訓練』なんです」ということだそうだ。 さらには、「へりくだった人」「バカをあえて演じている人」の言葉を要求され、最後はそれぞれの役柄を組み合わせて、椅子に向かい合わせてアドリブでやりとりをさせる。 「『会話』はしないようにね。それをすると下手に見えるから」。この指摘には正直、驚いた。今、私たちが演じているのは、私たちよりもちょっとだけヘンな人である。そういう人は、「いばりたい」「へりくだりたい」「バカと見られたい」、それだけの人である。けれど、そういう人の方が我々よりも面白いのだ。なるほど、「他人の言うことを聞かない」人の方が、舞台の上ではキャラクターがハッキリするのだ。目からウロコの気持ちであった。 今日はここまでであったが、参加している最中、こんなにドキドキワクワクするとは思わなかった。上手下手はあろうが、自分は演劇が好きなんだ。今更ながらにそれを実感した三時間だった。逆にしげは、すっかり怖くなってしまっている。 「自分で舞台を作る時は怖くないのに、人のところに飛び込むとどうして怖いんだろう?」 「俺も怖いよ。そうは見えない?」 「うん」 「人が怖くない人間なんていないよ。とっさのときどうしたらいいのか分からないから訓練するって、お前にぴったりの演劇じゃん。やってみなよ」 しげはそれでもまだグジグジとしていたが、私は、森田さんの演出で、しげがどんな演技をするのか、見てみたいのである。
小倉駅から電車に乗って、しげとは戸畑で別れる。しげはそのまま若松まで行って、よしひと嬢の家に泊めてもらうのである。私は、博多駅からバスに乗り換える予定であったが、最終バスに一分の差で間に合わなかった。仕方なく、家まで50分の道のりを歩いて帰る。帰宅して風呂に洗濯。久しぶりの独身の夜であるが、当然、家事は全部、私が一人でやらねばならないのであった。
2004年09月13日(月) 『スウィングガールズ』&『ヴィレッジ』を見た日。……ああそうそう、それから妻の誕生日(^o^)。 2003年09月13日(土) 言論にはリスクが伴うということ/映画『羅生門』 2001年09月13日(木) コロニー落としの報復は/『ヘブン』『ヘブン2』(遠藤淑子)ほか 2000年09月13日(水) シゲオと誕生プレゼントと009と/『遊びをせんとや生まれけむ』(石ノ森章太郎)
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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