無責任賛歌
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2001年09月15日(土) |
オタクなばーすでぃ/映画?『スペースカッタ2001』in「山口きらら博」ほか |
9月15日、敬老の日&しげの誕生日である。 「トシヨリは大切にしなくっちゃね」と言ってしげをからかえるのも、今年までなのかな。来年からはその週の月曜日に移動するかもしれないって話だし。
誕生日のイベントということで、しげと「山口きらら博」に行くことにしているので、朝もはよから6時の起床。 お目当てのオタクアミーゴス番外公演、「きららにオタク講座」は夕方4時からなのだが、それまでにもあちこちの展事物など見ようよと、しげを説得したのだ。 だが、予想通り、しげは寝不足、機嫌がはなはだよろしくない。 「新婚旅行が『広島アニメーションフェスティバル』で、誕生日が『オタクアミーゴス』?」 なんてイヤミたらたら。 オタクの妻がそういう文句をつけるなよ(-_-;)。 でもしげは、そういうのが本気でイヤというわけではない。実際、しげ自身オタクなんだし、そういうイベントに行けば行ったで、私以上に楽しんでやがるし。 要するにしげは、自分以外のことに私が目を向けるのがジェラしいんだよね。 ……じゃあ、私は、そういうイベントでも楽しくなさそうにしてなきゃならんのかい。
窓の外を見上げると、なんとなく空模様が怪しい。 しげがプンスカしながら、 「ウソつき、天気予報昼から雨だってよ」 「ウソなんかついてね〜や、昼から晴れって昨日の天気予報で言ってたんだから」 昨日から今日にかけて、天気予報にも変化があったのだろう、そんなことまで私のせいにされちゃかなわね〜って。 実際、昼どきにはきれいに冴え渡った秋空に、気持ちよい風が吹いていたのだから、ホントに気象庁は当てにならない。
博多駅で駅弁を買って、新幹線の中で二人で分けて食べる。 もちろん、肉はしげ担当で野菜がしげ担当である。 小郡までは50分程度なので、食事して駄弁ってたら、もう着いた。……しまった、新幹線の中でちょっと寝て、体を休める計画がいきなり狂った。今日はペース配分を考えないと大変そうだなあ。
小郡駅からきらら博直通の送迎バスが10分置きに出ている。往復700円は距離のわりには割高。しかも途中道路が渋滞して、15分で着くというのが40分かかる。 おかげで会場の9時半をちょっと過ぎてしまった。
会場前は人だかりで入場ゲートがどこかすらよく解らない。 地方博はジリ貧って言ってるわりには、このきらら博は結構客入ってるらしいし、山口県はホクホクであろう。 でも入口の人だかりを見て、しげ、途端に機嫌が悪くなる。 ともかく、一定以上に人が集まるところはイヤと言うむちゃくちゃワガママなやつなので、最初は「観覧車あるかなあ」なんて言ってワクワクしてたのが、一転して苦虫噛み潰して飲み込んでオエッと言って吐き出したような顔になっていた。 ああ、こういう時のしげはヤバい。
とりあえず会場の「やまぐちホール」ってのを探しに行ってみる。 ……「ホール」? よくもまあ、そんな適当な名前を付けたもんだ。 客席は吹き抜け、ステージの壁はベニヤ板を貼り付けただけのようなペラペラな、いかにも仮設って感じのところに持ってきて、屋根のまわりを覆ってるアレは……葦簾? 通気をよくしようというアイデアのつもりかもしれないが、ちょっと強い雨でも降ってきたらどうするつもりだ。 しかも客席は背もたれもないただの長いすを並べてるだけ。 こんなのは「Hall」とは言わない。「Hole」(穴)だ。 スタッフが今回のゲストに対してどんな扱い方をしてるかがよく解る。 言っちゃなんだが、去年までのAIQの会場も相当ひどかったが(AIQのみなさん、ゴメンナサイ。でも事実です)、その上を遥かに飛び越えて月面着陸までしそうだぞ。 集まってくる連中も、いかにも穴に群れ集うような汚らしいオタクばかり……って、これは私もそうなので人のことは言えんが。 ああ、これはしげは怒る。きっと怒るぞ。
心配していた通り、10:00から始まった、開田裕治・増尾隆幸両氏による特撮トークショー『怪獣元気伝説』を見ている最中に、しげ、「気分が悪くなった。帰る」と言い出す。 せっかく来たんだから、となだめるが、マジで顔色が悪い。目の下にクマがくっきりである。 仕方なく、トークの最中で、席を立つ。 しげのためにヒトコト弁護しておくが、しげはバカだが、礼儀知らずなやつではない(バカなせいで結果的に失礼なことをすることはしょっちゅうだが)。 体調がもともと悪かったところに持ってきて、東宝特撮映画の予告編上映(これも、白黒版なんぞは光が当たって画面が全く分らないヒドイもの)中、前列のいかにもオタクどもが意味もなく笑うので(なぜ『地球防衛軍』とか『妖星ゴラス』とタイトルが出るだけで笑うのだ。それでオタクのつもりか)、「本当に」気分が悪くなっているのである。 トークされている開田さんには悪いが、しげをつれて空気のいいところに移動。
砂浜を歩き、観覧車に乗ると、しげの機嫌、途端によくなる。 パビリオンの類はどこも混んでいるので寄らず。 観覧車に乗る前に、「記念写真はどうですか?」と係員に請われるままにツーショットを写してもらったのだが、こういう時、しげは決して笑おうとしない。 「私の笑顔って変なんだもん」 「ったって、笑わないからニヒルに見えるわけでもあるまいし」 「……いいじゃん、ニヒル好きなんだから」 ……ニヒルなつもりだったのか。 断言するが、しげの仏頂面を見てそれを「ニヒル」なんて好意的に解釈してくれる人間は百億人に一人もいまい。 どうせアホ面なんだから、せめて愛嬌くらい見せればいいのに。 観覧車を降りると、記念写真、「1000円です」と言われる。 ボリゃあがってこんガキャ、と内心思うが、カメラの類を一切持って来ていないし、せっかくしげの誕生日なんだから、と買うことに。 出来あがった写真、やっぱりしげはいかにもつまんなそうな顔で他人行儀、日頃私にベタベタくっついてくるような気配がカケラもない。こういう写真を見たら、絶対この夫婦、不仲で離婚寸前なんて勘違いしちゃうんだろうなあ。
開田裕治さんの原画展があるというので探してみるのだがなかなか見つからない。ギャラリーの近所をぐるぐる回って、ようやくプレハブのようなスタッフルームの一角に、ちんまりと展示してあるのを見つけた。 スペースは四畳半ほどもない、向こうじゃ事務所みたいなところでスタッフがウロウロ。とても原画を鑑賞する雰囲気ではない。普通、こういう原画展になら置いてあるはずの案内のチラシだってないのだ。 ……こりゃ複製原画の即売会よりヒドイぞ。 ホールの件もそうだったが、あとで開田あやさんの日記などを見たところ、スタッフが展示会場を確保するのを忘れ、更には信じられないことに原画の扱い方も全く知らなかったそうである。 それで当日の案内のチラシにも、展示会場のことが書かれていなかったのか。 山口県人、バカの集団か。
やまぐちホールのところまで戻ってくると、AIQのみなさんとオタクアミーゴスのお三方がお話されている。 ご挨拶に行くが、アミーゴスのお三方とはお会いしたことは一度しかないし、馴れ馴れしくするのもなんだよなあと会釈のみ。多分、私がだれだかもわからなかったであろう。 眠田さんには同人誌のこともあり、お礼を申し上げたかったが、それはオタアミ公演の時に持ち越そう。 生で初めてソルボンヌK子さんのご尊顔を拝したが、冗談じゃないって言いたいくらいの美人。なんかもう、これだけで山口くんだりまで来た甲斐があったような。
ちょうどそのとき、山口名物かぼちゃのソフトクリームというのを食べていたので、「またいきなりそんなものを」とAIQの方々にからかわれる。 名物は貶すために食うもんだと思っているが、意外にこれが美味かったのだ。でも土産に持っては帰れないのがネック。 これが山口で取ったほぼ唯一の食事だったな(あとでしげとタコ焼きと焼きそばを分けて食ったが、もちろん美味いようなものではない)。
しおやさんから「『スペースカッタ2001』はご覧になりましたか?」と聞かれるが、まだであると答える。 アミーゴスのみなさんは、そそくさと見に行かれていたし、私も話のタネに見てみたいと思っちゃいたのだが(出来について期待はしていない。自治体主導のプロパガンダ映画にいいものがあるわきゃないのだ)、しげがともかく「つまんないモノを見なきゃならんのか」とブータレていたので、入り損ねていたのだ。 夕方のオタアミ公演で触れることは間違いないし、見てみたいんだけどなあ。
公演まではまだ間があるので、その場を辞去して、また会場をぐるぐる回る。 小高い芝生の上で横になっていると、眠くなってくる。 しげは、昼からの影山ヒロノブのコンサートもここで聞ければいいという。 確かに涼しいし、のんびりは出来るが、パビリオンの一つも見ないで帰るってんじゃさすがにつまらないなあという気がしてくる。 そういう雰囲気を察してか、しげがようやく「『カッタ君』……見てもいいよ」と言い出す。 どうせ私が「ああ、『カッタ君』見られなかった、見られなかった」とあとでブチブチ文句を言うだろうと見越して、節を折ったのであろうが、別にそんなことするつもりはないんだけどなあ。 ともかく、しげの元気もようやく治ってきたようだし(眼の下のクマも消えた)、『スペースカッタ2001』を見に、宇部市館に向かう。
宇部市館、まあまあの人気のようで、30分ほど待たされて入場。 最初は舞台にではなく、「宇部市の歴史」なんかをパネル展示している部屋に通される。 地方の歴史を見るのは好きなほうなのだが、本当に歴史のない街らしく、古地図がちょっと紹介されているだけ。 どこの歴史資料館でもそうだが、モノを展示するだけで、歴史をどう面白く見せるかってことに腐心していないのは営業努力が足りないと思う。 どうせなら、宇部がこれまでに(そして今も)どれだけ公害を垂れ流してきたかってこと、微に入り細に入り展示してみせりゃ、感心したのになあ。 宇部市のキャラクターでもある「カッタ君」ってのがなにかと言うと、どこぞの池で飼ってるペリカンのことなのである。セメントと公害のイメージの強い宇部って所を「自然の街」として認識してもらおうって魂胆なんだろうが、まあ、ムリな話だ。 ペリカンがなぜ「ペリ公」とか「ペンペン」でなく「カッタ君」なのかはよく知らない。多分「かった○」でも患っているのであろう。 で、ようやく入れた『スペースカッタ』、出来はどうだったかと言うと、まあ予想通りなのであった。
内容はCG特撮と着ぐるみショーを合わせたチープなもの。 宇宙の帝王だかなんだか知らないが、地球を汚染するタネを植えつけようと飛来してくるのを、カッタ君と、かぐや姫、花さかじいさん、一休さんが合体して倒すというしょーもない話なのだが、いちいちそのキャラクターに意味付けがされてるのがバカバカしい。 つまり、カッタ君は「市民」の代表、かぐや姫は「行政」、花さかじいさんは「産業者」、一休さんが「学者」の象徴だそうな。 で、宇宙の帝王が公害だとすると(このデザインがいかにも汚水で変異した魚っぽい)、「これまで環境を汚染しまくってきた歴史を、みんなでよってたかってなかったものにする」話ってことになるわけだね。 帝王を倒したあとのカッタ君のセリフがまた、「ボクたちはみんなの心の中にいるのです!」だとさ。そりゃいるだろう、過去の傷をなかったものにしたいのは人間共通の願望だものな。 ……誰だ、脚本書いたの。全く、いい根性しとるわ、宇部市。 かぐや姫だけ西村知美が地顔で演じているのだが、宇部市出身ということでの起用らしいが、ほかにいないのか、宇部のタレント。 どうせなら同じく宇部出身の庵野秀明に監督させりゃ(『スペースカッタ』の監督は川北紘一)、ラストはもう少しマシなものに……なるわけないか(^_^;)。
ちょうど同じ回を岡田斗司夫さんがご覧になっていた。 直後の何とも言えない微笑が印象深い(^^*)。
やまぐちホールでは、まだ影山ヒロノブ&遠藤正明によるアニソンライブショー「アコギな二人旅だぜinきらら」ってのをやってるが、出来るだけ空気のいい場所に座ろうと思って、早めに行くと、会場脇の休憩所で、AIQの方々とお会いする。 しげの誕生日をみなさんに拍手してもらって、しげ、照れる照れる。 しばらく談笑して、会場へ。 ぴんでんさんが、午前中、開田さんのトークを途中で退席した話を聞いて、「私なら、自分だけ残りますが」と仰って感心されていたが、別に私が特別に女房思いというわけではない。 ほかの日なら私もそうするが(笑)、今日はしげの誕生祝できらら博に来たのだから、しげの意志を優先しただけのことだ。
さて、本日のメインイベント、「きららにオタク講座」、岡田斗司夫・唐沢 俊一・眠田直、「オタクアミーゴス」でおなじみの御三方によるトークショー。 残念ながら内容については「ホームページ」等には書かないように、ということなので、書けない。でも、唐沢俊一さんの日記や開田あやさんの日記には、経緯が裏事情も含めて詳しく載っているので、そちらをご参照のほどを。 しかし2時間トークのみのぶっ通しの喋り、ご不満もいろいろあったろうに、ショーを盛り上げようというみなさんのプロ根性はさすがである。
体力も使い果たしつつあるので、公演終了後AIQのみなさんへの挨拶もそこそこに、再び慌しく新幹線に乗り込んで博多へ。 7時半過ぎに博多に着き、待ち合わせしていた父と姉と中華料理。 しげ、浴びるように酒を飲む。空腹だったせいか、あっという間に酒が回ってしげフラフラ。 バスで帰る予定をタクシーに切り換えて帰宅。 しげはいつもの笑い上戸で、うひひ、けらけらと笑いながら寝る。 ……疲れるやつだ(-_-;)。 まあ、楽しんではもらえたようだし、一応、誕生祝としては無難な線で落ちついたのではないか(でもないか)。
マンガ、富沢ひとし『エイリアン9』1巻(秋田書店・540円……でも「BOOK・OFF」で買ったんで300円)。 アニメDVDがなかなかの出来だったので、単行本も探してみた。 ヤングチャンピオンコミックスだったんだなあ、これ。道理で巷で見かけない(^.^;)。 初版が2年前の3月。そう時間が経っているわけでもないのに、『ミルククローゼット』とは絵柄が相当に違う。 っーか、驚いたのは、現在の絵よりも、遥かにデッサンがしっかりしていることだ。目の外輪線も歪んでいないし、口も鼻梁と顎を結んだ線上にある。今の絵と比較すると、随分と落ちついた印象の、可愛らしい絵だ。描線自体を美しく丁寧に描こう、そう考えていると思しい律儀さすら見える。……最初の1、2話くらいまでは。 ところが、2話の後半くらいから、『ミルク』のあの「歪み」が頻繁に現れてくる。線そのものが歪み、目と口は顔の両極離れてどんどんヒラメ顔になっていく。と同時に、エイリアンを殺す描写もどんどん残酷度を増していくのである。
友人から「このマンガ、お前さんの好みじゃないか」と言われたことがあるが、確かにアニメイトされた揺らぎのない絵柄の方は好きだと言えなくもない。けれど、マンガの方の「痛み」を連想させる絵は、作者の意図は理解できるものの、好きだと積極的には言い難い。 ……『ミルク』もそうだけど、どうしてこう、この作者は女の子が眉間にシワを寄せて怯える絵ばかり描くかな。勝手な想像だが、この人、エロマンガを相当描いてきているのではないか。それも少女強姦ものとか。 もしかしたら作者は、その「怯え」の表情を通して、「少女の心の暗部」をマンガに表そうとしているのかもしれないが、ただ単に、女の子を苛めるのが好きなだけじゃないかって気もしてくる。
次々と学校に飛来してくるエイリアンを倒していく「エイリアン対策係」。 オトナがどうしてそんな危険な係を学級委員の一環みたいな形で小学生にやらせているのかとか、どうして恐怖心の塊のような大谷ゆりにその御鉢が回ってきたのかとか、対策係の久川先生本人がエイリアンっぽいのはなぜかとか、語られていない謎はいくらでもあるのだが、残念なことに、それが物語を牽引するマクガフィンになり得ていない。 どうとでも説明が付けられる適当な謎なんて、ただの「思わせぶり」にしかならないんだけどなあ。
2000年09月15日(金) ネパールとサウスパークとおだてブタと/『ブタもおだてりゃ木にのぼる』(笹川ひろし)ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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