JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆合理化というと、聞こえが良いですが・・・。 90年代、バブルが崩壊して景気が後退局面に入り、 (リーマン・ブラザーズを潰すとは)いくら何でも、世界経済に与える影響が大きすぎる。 と、私が知る限り、最初にコメントした政治家でした。 リーマンを潰したらとんでもないことになるのは、経済の世界に生きる人間なら、殆ど考えるまでもなく、 「反射的に」分かる筈です。我田引水ですが、私は、 2008.09.16 「米証券大手リーマン、破産法適用申請へ」←三菱UFJか三井住友か、みずほが潰れたようなものです。超一大事です。 と書きました。 その後、当時の白川日銀総裁が、講演などで何度も使った表現ですが、 あたかも、岩が崖から転げ落ちるような勢いで 世界経済が後退しました。世界中の銀行が巨大な評価損を抱え、銀行が一つ潰れたら全世界に波及しましたから、 世界中の国の中央銀行が、自国の民間銀行に公的資金を注入して、資本を増強し、国民に「銀行は潰さないから」と アピールする。そこまでをかなり迅速に実行したので、金融恐慌は免れました。今も世界経済が 回復しているのか、まだ、それほどでもないのか、非常に不安定ですけど、元はといえば、大手メディアはどこも書きませんが、 アメリカが、リーマンを潰したことが遠因になっている、と私は思います。 その所為で、各銀行、かく一般企業は「合理化」という一見正統的な理由の下に「ひどいこと」をしてます。 ◆「ひどいこと」の筆頭は「リストラ」です。 仕方が無いじゃ無いかと、言う人が多いけど、他人事(ひとごと)だから言えることです。 わかった!いい新製品のアイディアが生まれないのは、従業員が働き過ぎて、疲れてしまったからだ。 というわけで、労働時間ではなく、週休二日制を導入して、従業員の休みを増やしました。 なかなかできることではない。しかし、この発想が的中し、まもなく次々に「売れる新製品」が登場し、見事、 松下電器産業は業績を回復しました。 血も涙もないリストラという「合理化」は、恨みを買うだけではないでしょうか。 ◆もう一つの合理化。「機械化」。人を減らす事による弊害を予想できませんでしたね。 最近、東京都の中心部を移動していると、首都高速道路の掲示版に 首都高、歩行者立ち入り禁止 というメッセージが表示されているのを、しばしば目撃するのです。 不思議でした。高速道路に歩行者が入ってはいけない、などという常識を、どうしてわざわざ料金所手前に掲げなければならないのか? 先日、タクシーの運転士さんに訊いて、その謎が氷解しました。道路公団の「合理化」つまり「人件費削減」の為、 全国的に、だとおもいますが、少なくとも首都圏では、高速道路の入口、料金所は、 ETC(Electronic Toll Collection(System)=道路通行料自動徴収システム)が中心です。この方が通行料金が安いので、 一般庶民でそれほどしょっちゅう、高速に乗らないひとまで、ETC。その結果。 高速入口に人がいないので、あのゲートのすきまから、痴呆老人が徒歩や自転車で高速道路に侵入するそうです。 私にそのことを教えて下さった、タクシーの運転士さん自身、何度か夜中に、フラフラ歩いている老人を見かけ、 ギョッとして首都高事務所だか、110番に連絡したそうです。全てを機械にしてしまうとこういうことが起きます。 余談になりますが、正月の4日、私はかなり久しぶりに自分で車を運転して都内のホテルで家族と夕食を取ったのですが、 その道すがら。私は最近は殆ど高速というか、車に乗らないので、ETCを装着しておりません。 高速入口に1箇所だけ、「一般用(ETCじゃない人用)」のゲートがあり、ETCより高い800円(まあ、100円差ぐらいどうでもいいです)だから ということではないでしょう。あまりにも皆さんがETCになってしまったので、係員に直接1,000円札を渡して200円のお釣りを貰う、 ほんの少し前までは、当たり前ことが、却って貴重というか、絶対数が圧倒的にETC車よりもすくないので、 まず、入口が空いてます(本来、料金所の混雑を緩和するためのETCの筈なのですが・・・)。 そして、あの係の方もヒマなんでしょうね。なんだかものすごく応対が丁寧なんです(勿論、いいことですが)。 1,000円お預かりいたします。お待たせ致しました。200円のお釣りとなります。どうぞ、お気を付けて行ってらっしゃいませ。 あれは、30代の男性だったかな?とにかく、運転免許を取って、30年以上経ちますが、高速でこんなに丁寧な言葉をかけられたのは初めてです。 大袈裟にいうと、人と人が接する一期一会のほのぼのとした感覚、がとても懐かしい、とおもいました。 機械化によって、問題が出たもう一つの典型例は金融機関じゃないでしょうか? キャッシュカードのスキミングなんて、窓口で通帳と印鑑で預金口座から出金していたら、絶対に起こりません。 ネットバンキングとか、24時間稼働のATM。場合によっては、確かに大変便利ですけど、 客に自分で出金とか振込の手続きをさせておいて、なおかつ手数料を取る「銀行」って、図々しいですよね? まあ、それは、さておき、なんだもかんでも「合理化」の大義名分で、人出を減らし機械に任せることによる、 新たな犯罪は誰も予想出来ませんでした。だからと言って、全てを昔のようにしろ、とはいいませんが、 合理化といいながら、その為に却って非効率なことや顧客に不便な思いをさせるのはどうかなと思います。 機械にやらせても、いざとなったら全部手作業で出来る人間の技術、知識は維持しておくべきだろうと思います。 本当はもうすぉしマクロ経済的なこと。つまり日本経済全体における「合理化」も書きたかったのですが、 それは、また、後日書きます。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2013年01月13日(日) 【書評】「人生案内: ピンチをのりきる変化球 野村総一郎 (著) 」←続編です。絶対的名著です。
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