JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事:尖閣、盗んだと思われても仕方ない…鳩山元首相(読売新聞 6月25日(火)18時44分配信) 鳩山由紀夫元首相は25日放送された香港のフェニックステレビとのインタビューで、沖縄県の尖閣諸島について、 ◆コメント:人の発言は文脈全体の中で理解されるべきです。 本稿の目的は「鳩山由紀夫氏擁護」ではありません。 ◆音楽評論家吉田秀和氏は「ホロヴィッツはヒビの入った骨董品」と発言したことになっていますが・・・。 これは、私と同年配以上のクラシック・ファンはよく覚えておられると思います。 ホロヴィッツは、ヒビの入った骨董品だ。 と答えたことになってます。このセンテンスが独り歩きをしてしまっていますが、 本当の発言は、もっとずっと長いものでした。 本来、私が自分で音声を確認しなければいけないのですが、 私の手許には映像・音声がありません。 しかし、「吉田発言」を文字起こしなさった方がおられます。 それによると、吉田秀和氏の原発言は次の通りです。 僕は、実際に聞くのは初めてでね、とても期待して聞きました。それで、やっぱり何と言ったって、今世紀の、最高級のピアニストの1人としていらしてた(?)人ですからね。だけど、、、今は、やっぱり年を取ったな。。。そして、僕、人間をそういうものに比べるのは嫌いだけども、やっぱり、一種の骨董品だと思います。骨董品だとね、好きな人はもう幾らお金を払っても好きですよね。けども、好きじゃない人はもう必要ないわけだ。そういうものの領域に入ったから、どこんとこが上手かったとか、どこんとこがまずかったとか、そういうことを言ってもしょうがないような、そういう人になりましたね。ただし、、もうちょっと早く聞きたかったねえ、やっぱりね。骨董としてもちょっとひび入ったな。 この発言から、マスコミは単語を抽出して、「ホロヴィッツはひびの入った骨董品」だ、と吉田秀和氏が発言したかのように報道するのです。 この話は、クラシックのピアニストに関することで、殆どの国民は(クラシック好き以外は)関心のない話題なので、何も 問題になりませんでしたが、このような、「メディアによる原発言のデフォルメ」が行われることはある、 ということを認識するべきです。 言うまでもなく、吉田氏の発言全体を読むのと、「ホロヴィッツは、ヒビの入った骨董品だ」では全くことなる印象を受けます。 政治家なども、時として、メディアの恣意的な報道で足元をすくわれることがあります。私がかつて取り上げた中では、 2007年1月、前回の安倍晋三内閣の柳沢伯夫厚生労働相が、「女は子供を産む機械だ」と言った、として叩かれたことがあります。 このときにも、私は「発言全体を知るべきだ」と書きました。 2007.01.31 柳沢発言は確かに不注意だが、直後、「機械といってごめんなさいね」とある。文脈を読むことだ。 このときも、メディアが伝える原発言をよく読むと、柳沢氏は「女は子供を産む機械だ」とは一度も言っていないのです。 ホロヴィッツに関する吉田発言と同様、「メディアによる原発言のデフォルメ」のおかげで、柳沢氏は散々な目に遭いました。 同様の例が、恐らく、非常に色々な人の発言に関して起きている。但し私達は原発言をしらないので、 メディア報道の通りに信じてしまいがちなのですが、それは気を付けた方がいいです。 急に思い出しましたが、以前、或る芸能人が「不倫は文化だ」と発言した、といって騒がれました。 あれなども、そんなセンテンスをいきなり単体で発するわけがないのであって、前後の文脈を知らないと何ともいえない。 そういうことです。マスコミはこのようにいくらでも、印象を操作できます。 テレビの生放送ならば編集はできないのですが、録画になれば、発言の一部を切り取ればことなる印象を 意図的に作ることができるでしょう。 ですが、やはり最も危ないのは、新聞など「活字」です。それは紙でもネットでも同様です。 マスコミをそのまま信じてはいけません。常に懐疑的に考え、大事な情報ならば複数のソースをあたり、 クロス・チェックするべきです。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2012年06月25日(月) 「ポジティブ思考」を止めるすすめ。
JIRO
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