JIROの独断的日記
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2003年06月25日(水) |
ウィ―ンフィルに日本人が入団!信じられないほどの栄誉。 |
◆記事 <ウィーン・フィル>初の東洋人団員にチューバ奏者、杉山さん
世界最高峰のオーケストラとして160年の栄光を誇るウィーン国立歌劇場管弦楽団(ウィーン・フィルハーモニー)に、初めての日本人団員として、新日本フィルハーモニーのチューバ奏者、杉山康人さん(35)が採用されることになった。フルトベングラーやカラヤン指揮の名演によって歴史に名を残すウィーン・フィルは、オーストリア人を中心にしたオーケストラで、これまで東洋人団員はおらず、「信じられない快挙」と音楽関係者も喜んでいる。同歌劇場の音楽監督に就任した指揮者の小沢征爾さんとともに、ウィーン楽壇に新風を吹きこみそうだ。
杉山さんは、小沢征爾さん主宰のサイトウキネン・オーケストラ公演に来日したウィーン・フィルのバストロンボーン奏者と共演した際、高く評価されて推薦され、オーストリア人、ドイツ人計7人とオーディションを受け、6月20日に行われた4次審査の結果、杉山さん一人の合格が決まった。歌劇場管弦楽団での試用期間1年を経てウィーン・フィルの正式なメンバーになる。今年12月からウィーンでの演奏活動を始める予定だ。
◆所感:信じられぬほどの栄誉 ウィーンフィルに・・・・日本人が・・・入団・・・・。 一瞬、我が目を疑った。がどうやら本当らしい。嬉しい。それは簡単に言葉で言い表すことができないほどだ。
それには理由がある。
ウィーンフィルというのは、世界中見回しても独特のオーケストラである。ウィーンで生まれ育ち、ウィーン音楽大学で現役のウィーンフィルの奏者から教えを受けた者、しかも、男性しか、入ることが出来ない。あくまで、オーストリアの純血にこだわっていたオーケストラである。
ウィーンフィルと並び称されることが多いベルリンフィルは世界中からメンバーが集まっている。全然違うのである。
ウィーン国立歌劇場の音楽監督には昨年のシーズンから日本人の小沢征爾氏が就任しているではないかという人がいるかもしれないが、棒振りと実際に音を出すのは別の次元の話である。それに、音楽監督といえども、オーケストラ団員の意向を無視して自分の好みの奏者を入団させる事はできないのである。オーケストラのメンバーの選考はあくまでも団員によるオーディションを経なければならない。
オーケストラのオーディションというのは、どんな楽器でも、、チューバであろうが、打楽器であろうが、ウィーンフィル全員の前で演奏するのである。チューバの音色は単にトロンボーン・チューバセクションの問題ではなく、オーケストラ全体の響きに関わる問題だからである。
そして、弦楽器奏者も、木管楽器奏者も、全員が討論して、誰を採るかを決める。普通のオーケストラならば、一番上手くて、そのオーケストラに合った音色を出せる奏者を選ぶ。国籍は問題にならない。しかし、ウィーンフィルだけは、音楽性はもちろんの事、ウィーン人であるということが大前提だったのだ。
世界からは人種差別だとか批判される事もあったが、絶対その点は譲らなかったのだ。そのウィーンフィルが、ウィーン人どころか、西洋人でもない、日本人を採用したということは、クラシック音楽の世界全体が驚嘆するような、世界的な大ニュースなのである。
これは、ウィーンフィルにその「伝統」を崩す決心をさせるほどの高い演奏能力と、音楽性を杉山さんが持っていたから、と解釈するほかはない。繰り返すが、音楽監督の政治的な関与ということはありえない。
大袈裟にいえば、日本人で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士と同じぐらいの快挙である。但し手放しで喜ぶわけにはいかない。オーディションに合格しても、テスト期間を無事に通過しなければならない。この間に、やはり不適格だ、といって、正式な入団を認められない場合もあるからだ。
しかし、やはり私は、これほどの難関を突破した、杉山さんの実力を信じよう。
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