何れ程、 想いを揃えて。
其の刻を、 過ごしたとしても。
眼前に、 自身独りしか無ければ。
其れは、 虚像に過ぎず。
眼前に、 互いを映しながら。
想いと、 想いを、 重ねれば。
其れは、 虚を実に換えるに、 値するだろうか。
其れとも。
俺には視えぬ故に。
視得る可能性を有するあの子の存在が、 不可欠なのか。
明かりを落とした部屋で。
名入りの、 蝋燭に灯を入れた洋菓子を、 囲みながら。
「やっと祝えるね。」
あの子は、 一言だけ呟いた。
「そうだね。」
此れ迄は。
別々の場所で、 祝い続けて来たから。
跳び回り駈け回り。
無邪気に喜んで居る事を、 希う。
俺には。
其の姿が見えないけれど。
---------- References Aug.14 2013, 「足並みを揃えて祝いませんか」 Aug.14 2015, 「独り捕らわれれば十分でしょうか」 Aug.14 2016, 「洋菓子係は委ねませんか」
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