生誕の喜びに、 春では無く冬を想い。
春を招く福豆に、 凍え震える。
一粒の福豆が招かれた、 其の日も。
名に宿した想いとは、 裏腹な日和で。
其れが余計に、 想いを刻み付ける因として、 在るのかも知れない。
毎年毎年凍える日。
毎年毎年慌ただしい日。
豆を撒き、 職場へ戻り。
肩口の雪を払いながら、 再び還った俺へ。
「ビール呑まないで待ってたんだ。」 「乾杯したいでしょ。」
姫は、 そう口にした。
そんな日が、 少しでも長続きする様にと、 希う。
「本当に寒いよね。」
「本当に。」 「明日から春なのにね。」
姫と二人、 文句を言いながら。
---------- References Feb.03 2006, 「ほのかに春が薫りますか」
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