包容力の不足など、 端から自覚をしているから。
精一杯の背伸びをして、 加えて数寸だけ、 自身の器に弾力性を引き出して。
相手を想い続ける。
其れでも。
不足分を補えぬ事実と自覚が、 身体を圧迫し続けると言うのに。
余裕の無さなど、 相手に微塵も伝わる筈が無いんだ。
平然と、 悠然と、 自信満々に振る舞うから。
其の姿は、 相手への安心感を供給する代わりに、 自身の本心を犠牲にするから。
何度繰り返しても、 奴は何度も包める漢だけれど。
限度は在る。
「あなたは・・・」 「彼氏じゃなくて紐?」
「あのねぇ。」
「違うな・・・ペット!」
酔いに委せた甘えだと、 どれ程理解して居ようと。
鋭利な刃を切り刻み続ければ、 奴は自壊する。
「気にしてるんだから・・・」
「ごめん。」 「ペットは酷いよね。」
気付かぬ彼女は、 奴と愛玩動物とを比した事を、 頻りに謝罪するけれど。
奴に刺さった言葉は。
後者では無く、 前者だ。
お願いだから早く気付いて。
---------- References Sep.23 2003, 「運命は他に在るのでしょうか」 Oct.21 2003, 「足りない条件は何ですか」 |