無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2005年02月04日(金) 『魔女の宅急便』実写化?(゚o゚)/映画『レイ』

 先週休んでた分の仕事が押せ押せで、一日がかり。
 けど結局、完成しないまま、来週に持ち越し。まあ月曜日がシメキリだから遅れたことにはならんのだけれども、今日中に片付けておきたかったなあ。月曜日生きてるとは限らんのだから(シャレにならん)。

 帰宅してひと休憩してからキャナルシティへ。ここんとこ見たい映画が立て続けに上映されるので、追いかけるのも大変なのである。
 AMCで映画『レイ』。
 「レイ」と聞いて真っ先に綾波レイとか火野レイとかアムロ・レイを思い浮かべる人はオタクの定番ではあるけれども、ちょっとも少し趣味を広げていただきたいかな(~_~;)。レイ・ハリーハウゼンやレイ・ブラッドベリが浮かんだ人は今どきはもう病膏肓の域なんだろうねえ。私がそうだが。……『0課の女』? まあ人は好き好きですから構いませんけどね。
 もちろん映画のタイトルの「レイ」はレイ・チャールズである。ほかに誰がいるよ。
 つまらない前振りで申し訳なかったが、アメリカでは大ヒット、DVDも発売した途端に売り上げトップを記録したというのに、日本では、確かに『オーシャンズ12』とか『オペラ座の怪人』とか、強敵がいるのは分かるけれども、興行収入ベストテンにも入らないという状況。「レイ・チャールズ」って言っても、若い人は全然知らないんじゃないの? と悲しくなってしまったからである。しげも最初に知ったのは『いとしのエリー』からだって言ってるしなあ。
 とは言え、ここで「レイ・チャールズのアメリカ・ミュージックシーンにおける偉大な軌跡」を語るつもりはない。語りきれるはずもないし、語れるだけの音楽的素養も私にはない。言えることは、『レイ』が一人のミュージシャンの半生を描いた伝記映画としては殆ど稀有と言っていいくらい出色の出来だ、ということである。
 伝記映画の大半がつまらないのは、たかだか2時間か3時間程度の時間では一人の人間の人生を描くことなど到底かなうものではなく、薄味のダイジェスト版になってしまうものが殆どだということだ。だから内容を「濃く」するために、その人物の人生の一時期だけを切り取る、という手法を取った映画のほうが最近では多い。『ネバーランド』もそうである。
 ところがこの『レイ』は、レイ・チャールズの幼少期からヘロイン中毒から脱する60年代までの30年間ほどを殆どダレさせることなく見せてくれている。
 一つはもちろん、レイ自身の「音楽」の魅力による。ナット・キング・コールやチャールズ・ブラウンのモノマネに過ぎなかった彼が、「オリジナル」に目覚めるまでの苦闘、ゴスペルとの融合、カントリーへの回帰、音楽性が変容していく軌跡を克明に描いていることが「流れ」を生んでいる。
 しかし、この映画に芯が一本、貫かれているのは、ヘロイン中毒による幻覚がレイを襲ったときに現れる「水」のイメージが、彼の幼少期と直結して何度となく繰り返されているためである。観客は始めあの「水」が何を意味しているのか探ろうとし、その正体が判明したあとは、レイが中毒から脱してどのように救われるかを想像する。その間に途切れがないためにダレずに見ていられるのだ。
 レイの音楽も、愛も、苦しみも、全ては幼少期の母と弟の間で起きた出来事が底流にあってレイの人生を支配、抑圧してきた。そんなレイを本当に救えるものは家族の愛でもなければ親友でも愛人でもなく、結局、「音楽」であった。センチメンタルな要素を極力排したその冷徹な視点が、この映画を人情悲喜劇に堕することから救っているのである。


 しげのチョコレート制作が本格化。家の中はチョコ臭が充満していて空気が濃い。
 甘ったるくて気分が悪くなるが、喚起すると寒くなるし、なんで2月なんて一年で一番寒い時期にこんなイベントを仕掛けやがったんだとお菓子業界に悪態の一つもぶつけたくもなる。
 テレビで言ってたけれども、近年は、本命チョコ、義理チョコのほかに「ご褒美チョコ」で、自分で自分に贈るチョコの割合が増えてきてるんだそうな。「義理チョコ」ってのもいかにも日本人的な人間関係のしがらみを感じさせてあまり好きじゃなかったが、自分にご褒美ってのも寂しいなあ。クリスマスも「自分に乾杯」か? 「負け犬」でもいいやって開き直るんだったら、「チョコだって食わねえ」という気概が欲しいやね。


 米バラエティ誌によると、ウォルト・ディズニー社は、宮崎駿監督の『魔女の宅急便』を実写映画化することにしたとか。
 今のところ分かっている情報は、角野栄子の原作を基に、『イノセント・ボーイズ』の脚本家、ジェフ・ストックウェルが脚本を執筆するということだけれど、ここんところの「実写化」「ハリウッド映像化」の中でもこれが一番のビッグニュースってことになるんですかいね。いや、「次は何が実写化されるか」ってのはオタク間の話題によくなるところだけれども、『魔女宅』というのはちょっと思いつかなかったねえ。考えて見ればファンタジーだし、いかにもディズニー好みだし、『ナウシカ』や『ラピュタ』を実写化するよりはるかに予算がかからずにすむだろうし、ありえないことではなかったのだが。
 そうなると気になるキャストは誰やろか、ということになるのだが、アチラの若い女の子って言われてパッと思いつくのは、私ゃ、エマ・ワトソンかダヴェイ・チェイスかダコタ・ファニングくらいなんである。
 エマ・ワトソンじゃもうこれはどうしたってハーマイオニーになっちゃうわけで、魔法使い繋がりでイメージが固定されるのは本人やプロダクションも嫌う可能性が高かろう。ダヴェイ・チェイスは『千と千尋の神隠し』『リロ&スティッチ』の声アテでディズニーと縁が深いけれども、なんたって「貞子」なわけだし、顔出しするとなるとイメージがかなり違ってくる。ダコタ・ファニングはイメージ的に悪くはないけど、前二人の年齢の15歳に比べるとまだ10歳で幼い印象。もっとも、映画が実現するころにはちょうどいいトシになってるって可能性もあるから、こちらのほうがかなり有力かもしれない。けれど、『宇宙戦争』に『シャーロットのおくりもの』に『不思議の国のアリス』などなど、ちょっとこの子は映画に引っ張りだこと言うか、いささか出過ぎの感すらあるから、新鮮味は少し薄れてしまうかもしれない。……まあ、新人さんが起用される可能性が一番高いとは思うけどさ。いっそのこと、日本人から選んで安達祐実にさせるというのはどうか。こないだ初めてナマで見たけど、あの子なら、あと10年くらいは17歳で押し通せるぞ。いやマジで背丈ちっちゃいままでストップしてるんだって。グラビアとかはかなりムリしてるんだなあと驚いたんだから。あれなら続編作る場合もモーマンタイだぞ!(冗談なんで本気に取らないように)
 けど、映画化が実現するとなると、当然ディズニーランドにも『魔女宅』のアトラクとかショーとかが展開されることもありえるわけである。アニメ版と同様のクライマックスになるなら飛行船の大活劇が「体感」できるわけで、そっちの方が興味深いのである。

2004年02月04日(水) 入院日記3/またヘンな夢を見た
2003年02月04日(火) 予想通りに世の中が動くって味気ないね/DVD『パパ・センプリチータ』/『名探偵コナン 10+PLUS SDB』(青山剛昌)
2002年02月04日(月) チョコレート一本勝負/『何だかんだと』(ナンシー関)ほか
2001年02月04日(日) HOME,SWEET HOME/『犬の気持ちは、わからない』(押井守)


2005年02月03日(木) チャットルーム新設/『DEATH NOTE(デスノート)』5巻(大場つぐみ・小畑健)ほか

 チャットルームをホームページに新設。と言っても作ったのはしげだ。
 これまでのチャット部屋も廃止したわけじゃないんだが、「スピードが早いから」という理由でしげが借りてきたのである。ログは残しにくいらしいけど、「おしゃべり」は消えていくのが宿命みたいなもんだからまあいいかね。
 土曜の夜にとりあえず練習の意味でしげと二人で入ってみる予定なので、ついでに我々夫婦とおしゃべりしてみたいとお考えのもの好きな方はご遠慮なく起こし下さい。何も出ませんが(^o^)。詳細は掲示板をご参照のほどを。トップページを経由せずにいらっしゃる方は次のURLまで。
http://www.avion.co.jp/jetchat/chatpage.php3?00227728


 木曜ドラマ『富豪刑事』第4話「富豪刑事のキッドナップ」。
 出来悪いなあと思いながらも1話も見逃さずに見てますよ、『富豪刑事』。決してフカキョン目当てじゃなくて、あくまで筒井康隆ファンだからなんだけれども、筒井さん、このドラマに本気で納得してるのかなあ。内心怒ってるか諦めてるかどっちかだと思うけれども。でも出演している筒井さんは、頭を打ってフラフラして倒れるというコメディアン定番の演技を、上手いとは言えないけれども実に楽しそうに演じている。ご本人は「番組がヒットしたら続編も書こうか」とか言ってるらしいけれど、本気なのかなあ。あんまり楽しそうなので、文句付けるのが憚られるんだけれど、今回もやっぱりドラマ自体はトホホな出来なのであった。

 工場経営者・高森陽一(吹越満)の息子・英一が誘拐され、犯人から一千万円が要求された。鶴岡(升毅)ほか焼畑署の刑事たちは、身代金の受け渡しに向かう陽一を尾行するが、犯人に警察の存在がばれてしまい、金も見事に奪われてしまう。犯人は緊急配備された検問を見事に突破していた。布引(寺島進)は、犯人がなぜ一千万という金額を要求してきたのか、ちょうど従業員の給料一千万円が金庫に保管されていたことから、身内による狂言誘拐と推理し、陽一の妻・歌子(星野光代)を疑う。
 犯人は警察に通報したことに腹を立て、さらに一千万円を要求してくる。神出鬼没の誘拐犯に焼畑署の刑事たちは途方に暮れるが、美和子(深田恭子)は「重くて身動きがとれないほどのお金を用意したら」と提案し、自分が一億円を用意すると言い出す。

 トリックも真犯人もバレバレで、小学生の推理クイズレベル。こんなんで騙される警察がいたらお目にかかりたい……と言いたいところだが、バカでマヌケでかつての評判も地に落ちた感のある警察だったら、焼畑署刑事たちなみのドジもやらかしそうである。つか、実際の誘拐事件でもこのドラマ以下の信じられないミスやらかしてる例、いくつもあるんだよなあ。これではどんなバカ刑事が出てきても「リアリティがない」という批判ができないのである。困ったもんだ。
 でも、『富豪刑事』シリーズならではの、「いかに大金を使って犯人を追い込むか」というアイデアもイマイチ効いていない点で、やはりマイナス。「一千万でいいんですか?」「なら一億円だ!」なんて小学生だって騙せないような誘導に乗るなよ……って、でも「降り込め詐欺」がこれだけ流行ってると、この程度の口車でも人って簡単に騙せそうだよねえ。
 現実がフィクション以上にバカげてるおかげで、リアリティ云々が言いにくくなってんだけど、だからと言ってバカばっか出してもドラマは面白くならないのだ。やっぱり話はもうちょっと練ってほしいよ。
 落ちは「上手い脚本家と演出家だったら」効果的だったと思うけれども、やっぱり使い古されたネタではあるから(つか、こないだのアレもコレだったね)、もちっと工夫が必要だったと思うんである。フェアなつもりかどうか知らんが、余計なヒント与えすぎ。もう本格ミステリはやめて倒叙形式でやった方が、まだ見られたものになるると思うけどねえ。
 夏八木勲が、昔は「篭脱け詐欺もやったもんだ」って言ってたのは映画『白昼の死角』を受けてのセルフパロディのつもりなのかなあ。こういうのもわざとらしいとシラケるんである。


 最近は小説もマンガも含めて、読んだ本の感想を書く余裕がなくなってるんだけれども、こいつだけは書いとかなきゃなんない。なんたって今一番ホットなミステリーコミックだからね。
 大場つぐみ原作・小畑健作画『DEATH NOTE(デスノート)』5巻。
 とは言え、“人気取り”だけが目的のジャンプマンガにしては面白いと絶賛してきたけれども、さすがに連載一年を経過しようって時期になると、旧来のジャンプマンガ同様、「引き伸ばし」も顕著になってくる。第2のキラ、弥ミサに続いて、第3のキラ「ヨツバキラ」まで登場させたのはそのあたりの思惑がちょっと露骨だなあという印象。夜神月とLとの一騎打ち的緊迫感が、これでかなり薄れてしまっている。
 もちろんそれで一気につまんなくなったというわけではない。月が自らの記憶をなくすことによって、月とLに一時的に(なんだろうけれど)共同戦線を張らせ、ヨツバキラに対抗させることで「対決」要素はちゃんと残している。ヨツバ幹部8人の中の誰がデスノートを持っているのか分からなくすることで、誰がその人物か推理させるという謎解きの要素もちゃんと盛り込んではいるのだ。
 けれど1、2巻のころほどのワクワクするほどの面白さはさすがに薄らいできた。『デスノート』をしても引き伸ばしによる構成の混乱を避けることはできなかったか、という残念な思いがヒシヒシとしてくるが、こうなるとドラマの着地点をどのあたりに置くか、“本気で”考えてほしいものである。ただ「人気があるから」という理由だけでムダに連載が長期化したせいで絞りカスみたいにボロボロになっちゃった作品や作家さんをこれまでいくらでも見てきてるから。
 でも仮に『デスノート』がつまんない終わり方をしたとしても、原作者を取り替えさえすれば小畑さん自身は生き残れるだろうから、あまり心配はないのかな。

2004年02月03日(火) 入院日記2/またヘンな人に会ったよ
2003年02月03日(月) 世界は非常識でいっぱい/『ホスピタル』1・2巻(唐沢なをき)/『軽井沢シンドロームSPROUT』2巻(たがみよしひさ)ほか
2002年02月03日(日) ラーメンファイト!2/映画『ヴィドック』/『萌えろ!杜の宮高校漫画研究部 辣韮の皮』1巻(阿部川キネコ)
2001年02月03日(土) 笑いの王国/『かめくん』(北野勇作)ほか


2005年02月02日(水) ない袖まで振らせようとするな/DVD『鉄人28号』6・7巻

 2月に入ってしげがソワソワし始めている。
 お察しの方もいらっしゃるだろうが、14日のバレンタインデーが目前に迫っているからだ。
 もとはと言えば、其ノ他君との「勝負」から始まったこのバレンタイン戦争、牛乳パック大から始まってボールやパラソルチョコを実物大で作るという年々巨大化の一途を辿っていたのだが(其ノ他君もよく食ってたよな)、このまま行けば等身大チョコくらい作りかねないよなあと心配していたのである。
 ところが今年は、チョコを渡さなきゃならない相手が増えたとかで、さすがに巨大化路線を取るには予算が尽きてきたらしいのである。その代わり「ネタで勝負!」と、ない知恵をいろいろと振り絞っているようなのだが、その「ネタ」がどんなものなのか、想像するとちょっと怖い。ちゃんと「食べられる」ものなんだろうなあ。
 ……いやね、『愛エプ』見てたら、デヴィ夫人とか杉田かおるとか光浦靖子とか、トテモ人間が食えそうにないようなシロモノを作ってんだけどさ(鮟鱇鍋なんだけど、よく洗ってないから内臓の内容物がまんま鍋の中で腐臭を漂わせてるんである。……辛そうに食ってた高見盛の顔が実に哀れ)、しげの料理の腕もあれと大差ないのだ。……いや、ホント。
 今んとこ私がそこまでの被害に遭ってないのは、そんな「鮟鱇」なんて、初めから失敗すると分かっている食材をしげに使わせてないからである。
 ただ形に凝るだけならいいけどねえ、へんな「ネタ」仕込んでさあ、悲しい気持ちになるようなものは作らないでほしいと言うか、あまり悪趣味なものに走らないでほしいなあと切に願うものなのである。


 今日から出勤の予定だったのだが、トイレに行ったら便がまだ水。昨日飲んだ下剤、えらく効き過ぎである。歩いてる最中にも漏らしそうだったので、とても出勤できる状況ではない。職場に連絡を入れて欠勤。これでまた仕事が滞るなあと思いつつも、一日寝て過ごす。風邪も治っているわけではないので、音のしない部屋で咳だけが響いているのがやたら寂しい。え? しげはどうしてるのかって? そりゃ、寝てるに決まってるじゃありませんか。


 DVD『鉄人28号』6・7巻。
 第十五回『不乱拳の弟子たち』から第二十回『まだら岩の怪人』まで。
 正太郎が正義に目覚めてようやく物語がオーソドックスな冒険活劇になってくれるかと思ったら、いきなり敷島博士の乱れた性関係(^o^)が語られるというまたまた辛気臭い展開。普通のドラマとして見たら決して悪くない脚本なんだけど、やっぱり深夜アニメで子供向けではないわな。だったら横山光輝の絵柄に似せようとする必要もなかろうに。
 原作でも人気ロボットであるロビーをたった1話で使い捨てるのは贅沢と言うより考えナシだし、VL2号はやっぱり空を飛ばない。なにか思惑があってあえて鉄人に空中戦をさせまいとしてるのかね? 今川監督は。
 十七回以降はビッグファイア博士、クロロホルム探偵、ニコポンスキー、PX団と原作での人気キャラはシャネル・ファイブを除いて殆ど登場。けれどやっぱり展開は「金田博士はスパイだったのか?」なんてことで正太郎が悩むという鬱陶しいお話に。だーかーらー、そーれーはー、『ジャイアント・ロボ』んときに「フォーグラー博士は本当にバシュタールの惨劇を起こしたのか?」ってやったときの二番煎じじゃないのー? いくらビッグファイア博士にびっくりジャンプをさせたり、PX団首領に片手挙げ笑いさせても、横山光輝の表面をなぞってるだけにしか見えないのである。
 せめて千住明の重々しい音楽だけでも差し換えてくれたらまだマシになると思うんだがなあ。


 夜、父から電話。
 親戚からの借金の申し出、断わったとのこと。そりゃ、いくらなんでも「1300万貸してくれ」じゃ、借金の桁がデカ過ぎるというものである。庶民が右から左へスムーズに動かせるものじゃない、というよりはそんなカネがあると思ってるほうがどうかしている。
 仮に手持ちのカネがそこそこあったとしても、返すアテの全くない相手に親戚とは言え誰がホイホイと貸すものか。非常識を通りこしてキチガイ沙汰なんだが、それを堂々と頼み込んで来れるあたり、父が親戚からナメられてるのは一目瞭然なのである。義理とか世間体とかを考えさせれば押しきれるだろうと、アチラも甘えてねだってきたんだろうが、それが通用してきたのは父がまだ働き盛りだったころまでである。もう父だって親戚づきあいをあえてしなきゃならんトシでもないし、縁を切ったところで今後困る事態になることはない。それでも私にわざわざ相談してきたということは、最後の最後で踏ん切りがつかなかったんだろうが、そこがいいトシして情けないのである。だいたい親戚なんて、「血が繋がってるだけの他人」以外の何だというのだ。世の中、親子・兄弟でもカネが絡めば血で血を洗うがごとき醜い争いを繰り広げるのはザラだというのに、借金申し出てきた時点で縁切る覚悟ができなくて、なんで世渡りができようか。なんだかなあ、やっぱオヤジって基本的に「善人」なんだなあと思ってしまうのである(注・誉めてない)。生前、お袋から「苦労知らず」と言われてたのもムリはないのである。
 だから、借金を断ったと聞いて、ようやく「そりゃ、よかったね」で終わるかなあと思っていたら、父がまたとんでもないことを言い出した。
 「それでなあ、俺に断わられたから、今度はおまえんとこに借金申し込むって言いようったい」
 「はあ!? なんで?」
 「それくらい切羽詰まっとうってことやろう」
 「……まず、自分とこの家と土地売って借金返せばいいじゃん! でなきゃ自己破産せな!」
 思わず怒鳴ってしまったが、それこそ名字も違う、四親等も離れてる親戚から借金申し込まれる筋合いなんてない。これはつまり、「アンタが貸してくれないなら、息子にたかってやるぞ」という、父に対する「脅し」である。こんな下司な親戚とよくもまあ、これまで付き合ってきたものだと思うが、ホントにウチの親戚こんなやつらばっかりなんだよなあ。私の人格の根底に人間不信が横たわってるのも仕方ないのである。
 まあ、「脅し」である以上、私のところにホントに借金の申し出に来ることはまずないと思うが、もしホントに来たら、「まず、今までの借金、全部返してからそれ言ってね?」と静かに返事してあげようと思っているのである。

2004年02月02日(月) 入院日記1/3年ぶり
2003年02月02日(日) 閃光の意味は/アニメ『明日のナージャ』第1回/『グーグーだって猫である』2巻(大島弓子)
2002年02月02日(土) ファンタジーの地平に/映画『ハリー・ポッターと賢者の石』/『バイリンガル版 ゲゲゲの鬼太郎』(水木しげる)
2001年02月02日(金) ゆっくり休もう/舞台『人間風車』ほか



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藤原敬之(ふじわら・けいし)