無責任賛歌
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2002年02月03日(日) |
ラーメンファイト!2/映画『ヴィドック』/『萌えろ!杜の宮高校漫画研究部 辣韮の皮』1巻(阿部川キネコ) |
頑張って早起き、新番組『仮面ライダー龍騎』『おジャ魔女どれみどっかーん』『ギャラクシーエンジェル』と立て続けに見るが、なんか余り琴線に引っかかってこないなあ。 『龍騎』は「鏡の世界での戦い」ってのがありきたりだし、やっぱりキャストの演技がみんな『アギト』以上にど下手クソで、見れたものではない。もっとも、あのシロウトっぽさがウケてるってんだったら、「演技とは何か」ってことを私は基本的に考えなおさなきゃならんのかも。 でもあのナイトと一緒にいた女の子はまあまあかわいくて好みだ。あれでセリフ回しがもちっとビシッとしてくれりゃファンになっちゃうのにな。 けど鏡の世界に入りこんだのにどうして龍騎もナイトも右利きのままなんだ。ディテールがいい加減だと視聴者はみんな見る気なくすぞ。 『どっかーん』は1話で一気にハナちゃんが嫌いになったので、次も見るかどうかは不明。現実にワガママ女を何人も相手にしてる生活してるのに、アニメの中までワガママを見て楽しくなれるものか。 『エンジェル』はギャグも作画もへタレ。 でもまあ、1話で全てを判断するわけにはいかないから、ちょっと様子見ってことで。
DVD『ガス人間第一号』。 しげから「LD持ってるのにまた買ったの?」と言われるが、なんたって、コメンタリーが八千草薫ご本人だからねー。 撮影当時は、八千草さん、谷口千吉監督と結婚したばかり。 しかもその谷口宅に足しげく通っていたのが『ガス人間』の脚本家の木村武。 八千草さんは当事者だからぼかして喋ってるけどさあ、木村さん、絶対に八千草さんに惚れてこの脚本書いてるんだよねえ。 「あの映画が八千草さんの映画の中で一番です」ってはっきり言ってるんだもの、木村さん。もちろん私も大賛成。女性の可憐さと魔性とを同時に表現したという点で、稀有の演技である。 もちろん、それはひたすら八千草薫を恋慕し、その情熱を捧げる土屋嘉男の名演と相俟っての効果でもある。 人間ドラマがへぼい日本の特撮映画の中で、この『ガス人間』は唯一、主役たちのドラマが“見られる”映画でもあるのだ。 関係ないが、ウチの親父のかつてのマドンナが八千草薫。 なんでまた二代に渡って八千草さんにイカレてるんだか(^_^;)。
アニメ『サイボーグ009』第16話「突入」。 原作の換骨奪胎で、『誕生編』のラストあたりをここに持って来た感じか。 計画の失敗に業を煮やしたスカールが、いよいよ自ら指揮を執るって設定だけど、作画はまあまあいいのに脚本がヘタレ。 なんかねー、セリフが定番過ぎて生きてないのよ。必然的にキャラクターも、人間としての演技がつけられなくなってる。 009が0013のくれた木彫りのウサギを見つめてるってのも、0013のエピソードから随分間をおいてないか? だったら間に番外編やらベトナム編を入れちゃマズイよな。リズムってのが壊れちゃうよ。 しかも009を慰めようってつもりなのか003、いきなり踊り出すし。 そんな百年も前の三文ドラマの演出、今更やるかあ? 動かしゃいいってもんじゃないんだぞ。フランス人だからそれくらいするとでも言いたいのか? そんなフランス映画があるなら言ってみろや。 ……『シェルブールの雨傘』? あれはミュージカルだっ!! それからスカール役の若本規夫さん、好きな人だけどあれはやっぱり違うよう。「ぬわぅあぅあーあにぃぃぃぃ!?」って、歌舞伎じゃないんだからさあ。 大西信介も脚本から離れてるし、紺野直幸が作画監督やったの、第1話だけだ。どうなってんだよ、このスタッフの枯渇ぶりは。
練習から帰ってきたしげを誘ってキャナルシティへ。 晩なら少しはすいているかと、ラーメンスタジアムへ行くと、それでも人気の店は相変わらず長蛇の列。 看板を見ると、1月の投票結果が出ていた。 九州ラーメン三軒VSそれ以外のラーメン五軒、結果は僅差で九州ラーメンの勝ち。しかし、今見た感じでも列が並んでるのは喜多方ラーメンや旭川ラーメンなんだが。 まあ、身びいきはあろうから、初めから3対5の対決にしたんだろうけど、かえって判官ビイキを招いたのかな。
ともかく喜多方や旭川には30分待っても入れそうにないので、「横浜 六角家(ろっかくや)」に入る。 しげは餃子を目当てにしていたが、どういうわけか「都合で餃子とシューマイは中止しています」の張り紙。 都合ってなんなんだ。料理屋でそういう不明瞭なことやってると、即、客足に響くと思うが。 空いてるとは言っても、それでも10分は待たされる。 カウンターにやっと座ると、比較的早くラーメンは運ばれて来る。 豚骨と鶏ガラの醤油スープ、表面にこってり油が浮いているので、どんなに濃いかと思ったら、そうでもなかった。もっとも待たされて結構腹が減っていたので、今日の舌はちょっとアテにならないが。どっちにしろ、麺が細麺なので、私の口には今一つ。 それでも食べているうちに口のなかがもっちゃりしてきたので、カウンターに置いてあったとんがらしを汁に混ぜたら、入れすぎて、臭みはなくなったが舌が痺れた。ちょっと失敗。
「あー餃子食べそこなった」 と、しげが口をとんがらせているので、もう一軒、「熊本 味千拉麺(あじせんらーめん)」に入る。 ここのラーメンは、豚骨スープに、秘伝のタレ「千味油」を混ぜたものとか。いや、これがまたムチャクチャ辛い。さっきとんがらしで痺れた舌が更に痺れるくらい辛い。 しかし、麺には腰があって、スープとまあまあ合っている感触。 しげはとりあえず餃子が食べられて満足のよう。
映画『ヴィドック』。 帝都の平和を守る名探偵・明智小五郎は、世紀の殺人鬼、黄金仮面を追っていた。 ついにある工場で黄金仮面を追いつめた明智だったが、逆に窮地に追い詰められ、奈落の底に身を落とす。 翌日の新聞は、大々的に「名探偵・明智小五郎死す!」の報を流した。 探偵事務所で留守を守っていた小林少年は悲しみに沈む。 そこへやってきたのは、明智小五郎の伝記を書いていた探偵作家、江戸川乱歩。 「二人で明智くんの敵を取ろう!」 乱歩と小林少年は、明智が捜索していた人々を辿り、黄金仮面の正体に迫ろうとする。
事件はもともと、二人の男が落雷で殺されたことに端を発していた。 その奇怪な殺人方法の謎が解けず、警視庁の波越警部は、明智に事件の捜査を依頼する。 明智は落雷した死体の帽子に、避雷針となる銀の櫛が残されていたことに気づく。それは謎の女、緑川夫人のものだった。
乱歩は、緑川夫人に会い、夫人もまた明智とともに事件の謎を追っていたと告げられる。 振り出しに戻った事件。 その間も、事件の鍵を握る人間が次々に殺されていく。 まるで乱歩の行く先々を狙いすましたかのように。 それでも黄金仮面の目的が、人体実験による不老不死の霊薬を作るという悪魔の研究にあることが見えてくる。
そして乱歩、小林少年、緑川夫人、波越警部は、明智の死を見届けた老人を発見する。彼は、まさしく明智が命を落とした工場に潜んでいた。 老人の口から語られる黄金仮面の正体は誰か。 彼は自らの仮面をも剥ぐ。 その姿に驚く一同を尻目に、おもむろに彼は言う。 「犯人はこの中にいる」……と!
え〜、冗談ではなく、『ヴィドック』はこういう筋です。 フランス・ミステリーが江戸川乱歩のルーツだってことが証明されたような映画でしたねー。これはもう、無条件でお薦めです。犯人やトリックはミエミエなんだけど、そんなこと言ってたら、この伝統的な「怪人対名探偵」の古典的ストーリーは楽しめませんな。 なんたって、ヴィドックは、実在の人物であるにもかかわらず、もと怪盗にして後の名探偵、変装の名人、フランス警察はおろか近代警察制度の基礎を作り上げた稀代の英傑。 ジャン・バルジャン、アルセーヌ・ルパンを地で行った……っつーより、モデルになった人物であります。もちろん、本邦においても、明智小五郎、獅子内俊次、多羅尾伴内ほかの名探偵の造型に、多大な影響を与えた。 こんなキャラをただの伝記もののキャラクターとして描いたって面白くない、つまりは遠山の金さんや鬼平が実在してるのに自由に脚色されてドラマ化されたように、ゴシックミステリーのキャラクターとして、最新の技術で映像化したのがこの映画というわけ。 いや、この映画の撮影に初めて使用されたというウワサの24pHD、この映像解析度のスゴサはどうだろう。『写楽』の江戸の町なんか目じゃあない、10世紀パリの頽廃を、抉るように毒々しく描出していく。 新人監督のピトフ、CFディレクター出身だというが、その映像センスが長編映画でも如何なく発揮されている。エロもグロもナンセンスも、見事に映像美として再現したその辣腕に拍手である。 これはもうぜひとも、『ヴィドック2 死美人劇場』とか、『ヴィドック3 奇形人間の妖奇』とか(タイトルはテキトー)、続々と猟奇的かつ妖美な世界を描いていってほしいものだ。 ヴィドックにはうってつけの俳優、ジェラール・ドゥパルデューの勇姿の再現と、謎の鏡仮面・アルシミストとの再対決をもう一度、というのは、誰もが願うことであるだろうから。
マンガ、阿部川キネコ『萌えろ!杜の宮高校漫画研究部 辣韮(らっきょう)の皮』1巻(ワニブックス・819円)。 あ、イタタタタタタ! ま、マンガを読んだだけでこんなにグサグサと来るとは……! 先に忠告をしておく。 ココロに余裕のないオタクはこれを読んではいけない。 特にマン研で同人誌作った経験のあるヤツは(^_^;)。 オタクが歩いてきた道、歩こうとしている道、そこで「イタイ」経験をしなかったオタクはいまい。 しかし、それをバネにして、我々は道を切り開いてきた。 言わばその「イタイ」思いは、オタクであるための「通過儀礼」、イニシエーションであったのだ。さながら女性が「ブス」と言われた時から「女」にめざめるように(喩えが外道)、「オタク」は「気持ち悪い」と言われてオトナになるのだ(だから『夏エヴァ』のラストで腹を立てたオタクのみなさん、アナタがたはオタクとしてはまだまだ第一ステージです)。 アニメ『オタクのビデオ』あるいは『コミックパーティ』または永野のり子の諸作。 受難の道を描いた作品はこれまでにもあった。それらは、たとえオタクの「イタイ」姿を描きながらも、最後は「希望」で終わってくれていた。 けれどこのマンガは、某マン研の、現在進行形の物語なんである。ラストがハッピーエンドになるかどうかなんて、まだわからない。 だからイタイ。 ひたすらイタイ。 さあ、オタクはこの痛さにどこまで耐えられるか!
「スキですっ!! つつつきあってくっください!!」 「いやよ 滝沢くんて詩織の抱き枕(通販)抱いて寝てそうなんだもん」 図星だった。
ヒトコマ目からこれだよ。 詩織の抱き枕はないけど……アヤナミの等身大タオルケットなら……。あ、アニメイトで買ったやつ……。 あ、イタタタタタ!
「月子センパイ、イヴって何か予定入ってますか?」 「ん……多分コピー本の原稿をやってると思う……なんかもうすでにテンパっちゃってるんだるんだよねー まあ毎年のことなんだけどぉー(苦笑)」 やっぱそうだよね……わかってた……ボク ホントはわかってましたー!! この時期 破局をむかえる同人女は多いといいます……
これを読んで笑えない女性が、ウチの劇団には数人いる。 高校卒業してウン年になるのに、未だにこの状況つづいてるらしいし。ホントに人生、それでいいのカシラカシラ。
すんません。 今回、細かいストーリーを引用して説明していったら、私自身、すごく痛いんで、ちょっと控えます。修業が足りんなあ。 一応、あと一つだけ、しげの絡みのエピソードを。
「このマンガで、電車の中でコミケカタログ堂々と広げる女の子が出てくるでしょ」 「ああ、あの天然ボケのキャラね」 「でも隣にいた主人公が、『あの分厚い本が何なのか分るのもオタクだけだから恥ずかしくない』って言ってたじゃん」 「ああ」 「あれ、ホントだよね。オタクの行動の意味なんてオタク以外には分らないんだから」 「……それでホッとしたって?」 「うん」 「つまり、お前、自分で自分がオタクだってことを認めたわけだな?」 「……はああああああっ!」
なんか、無差別で読者にキズを作りまくってるよな、この本。 「ボクはオタクじゃない!! ただのアニメファンだ!! ←オタクの言いワケ」 アイタタタタタタタタ……(/_;)。
夜中にしげ、また「どこかに旅だとうか」なんて言い出す。 だからそこで私がホントにコワレちゃって、「いいよ、どこまででも行こう」なんて言い出したらどうするつもりなんだ。 やっぱ、破滅型のヤツとくっついちゃった苦労ってのは一生続くんだろうなあ。
2001年02月03日(土) 笑いの王国/『かめくん』(北野勇作)ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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