無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年02月04日(水) 入院日記3/またヘンな夢を見た

 窓の外は雪。天気予報だと、寒気はまだ続くとか。
 夕べも朝まで寝つけず、結局、昼寝してしまう。こういうのが体によくないのだが、慣れるまではもうしばらく時間がかかりそうだ。

 久しぶりに長編の夢を見る。
 父としげの3人で、世界旅行に出ている。豪勢な話だが、その晩泊まったのは、ヨーロッパのどこか分らない小さな国の一つで、ロジェ・ヴァディムの『血とバラ』に出て来るような古い、廃墟のような屋敷であった。でも中はなぜか日本間である。
 二階に上がって、部屋に通されると、そこには相部屋の先客がいた。高校受験にやってきた母親と娘二人の三人である。ヨーロッパでどうして日本人が高校受験、という疑問は当然夢だから浮かばない。足下には客用一人一人にテレビとビデオが設置されていて、私はその受験するというお姉さんのために、よい映画を見せてやろうと思いたち、レンタルビデオ屋に走っていって、ウッディ・アレンの『カメレオンマン』を借りてくるのである。なんでそんなものを、と理由を聞かれても困るのだが、その時の私は「これが受験の役に立つ!」と思いこんでいたのだから仕方がない。
 もう夜も更けて、みな蒲団を敷いて寝床に入っているというのに、私はわざわざそのお姉さんの足元のテレビにビデオを入れて、『カメレオンマン』を再生させ始めた。「面白いですよ、これ」と言いながら。お姉さんは黙っているが、見るからに迷惑そうな顔をしている。私は内心、「一度見出したらきっと面白くて気分がハレバレするにちがいない」とか勝手に思っていて、映画を見せ続けるのだが、これがどういうわけか全然面白くならない。というより、中身が『カメレオンマン』ではなくて、全く別のドキュメンタリーだったのである。
 お姉さんは俯いてしまっているし、私は居たたまれなくなって、寝たふりをすることにした。するとやがて妹が起き出してきて、テレビを切ってしまった。「なに考えてるの、こいつ」。妹の毒づく声が聞こえたが、全くその通りである。
 母娘は部屋にいることすら憚られたのか、突然蒲団から抜け出して外に出ていった。こんな夜中にどうしてだろうと訝しく思って窓から中庭を覗くと、そこに礼拝堂があって、母娘を含めてたくさんの人が行列を作って中に入って行く。ヨーロッパだから仕方ないよな、と思いながら何だか妖しいムードなので、父としげを起こして宿を発とうとしたが、空港からの連絡で、飛行機が誰かに勝手にキャンセルされてしまっているとのこと。
 「そんな、困りますよ、三席ちゃんと用意してくださいよ」と空港に電話で文句を言うが「ないものはない」の一点張り。しげは「だからあんたと旅行に行きたくないんよ」と文句タラタラである。どうして私のせいになるのだ。
 仕方なく、飛行機は諦めて列車で帰ることにした。家までは15時間もかかってしまったが、目覚めて考えてみたら、ヨーロッパまで列車で15時間ならすごく近かったんじゃなかろうか。夢ってホントにヘンである。


 咳が相変わらず止まらないので、看護師さんにお願いして、イソジンを頂く。病室内の洗面所でうがいをしていると、例の向かいのベッドの人が、「飴を差し上げましょうか?」と言ってきた。「うがい薬を頂きましたから、大丈夫です」と断ったのだが、席を外しているときに、20個近くものど飴が机の上に置いてあった。
 「いや、こんなにたくさん……」
 お節介な人なのだろうか。喋ってる言葉を聞くと、イントネーションが関西である。心からの親切なのか、やっぱり「うがいの音がうるさい」という謂なのか、判別に苦しむ。
 「ノンシュガーですから嘗めても大丈夫ですよ」と仰るが、ノンシュガーでも甘味のあるものは血糖値が上がるのである。かといって今更突っ返すわけにもいかず、ありがとうございます、と頭を下げたが、ちょっと一緒に居難い感じの人である。

 糖尿病教室は食事療法について。
 先生が随分若そうな女の子(と言いたいくらいに若い。見た目が10代なのである)で、どうも栄養士になりたてらしくて、説明の仕方がたどたどしくて分りにくい。
 さっきの同室の関西の人が、「肉とか魚とか、焼いたりしたら脂が落ちるでしょ、どれくらいカロリーに差が出るんですか?」と質問するが、うまく答えられない。脂が落ちるんだったら、その分のカロリーは計算に入れる必要がないから、そもそもこの質問自体が意味がないなあと思うのだが、その人続けて、「生で肉食べることはないでしょ? 調理したらどう変わるか教えてほしいんだけど」と聞いてきた。……ああ、これはただの意地悪だ。「生で食べることがない」のだから、頂いた食品交換表に載ってるのは当然調理済のもののカロリーなのである。この人、知っててわざと聞いているのだが、突然の質問にびっくりしてしまった栄養士さん、この人の悪意には気付かず、「……調べときます」と頭を下げた。
 ……いやな人だなあ。こういう人と同室ってのは、関わりあってるとツラくなりそうだ。今回は外出をなるべくしないつもりでいたのだが、一緒にいると余計なストレスが溜まりそうである。買い物だの何だのと理由を作って、昼間はできるだけ病室にいないようにしよう。


 消灯時間は9時なのだが、そんな時間に寝ていては、真夜中の2時とか3時に目覚めてしまうので、患者さんたちはみんな暗い部屋の中でテレビだけを点けて10時、11時くらいまでは起きている。見回りの看護婦さんもよくしたもので、12時までは見回りに来ないのである。
 だもんで、今週も『トリビアの泉』を見る。ネタはもう殆ど教育テレビの小学生向け番組レベルにまで落ちているのだが、「子供も見てるから」を言い訳にして、スタッフが手を抜いているのではなかろうか。
 「水戸黄門の旅、最大の遠出は鎌倉(61へぇ)」、テレビでも雑誌でも、これまで何度紹介されてきたか分らない「水戸黄門は諸国漫遊していない」ネタだけど、こんなの今更「トリビア」として取り上げなきゃならんのだろうか。背景をイラストで処理せずに月形龍之介の水戸黄門を流していたのは嬉しかったけれども。
 「韓国の『つまようじ』は食べられる(66へぇ)」。けど危険だから食べちゃダメなんだって。つまり「食べられない」のだな。これはもうちょっと表現の仕方を変えて、「韓国の『つまようじ』は(煮ると)食べられる(ようになる)」とすればよかったのである。その方が正確になるばかりか、わざわざ煮てまで食うかいというおかしみも加わるし。
 「ミツバチは巣にスズメバチが侵入すると蒸し殺す(87へぇ)」。これはまあ、表現の勝利かな。まあちとばかしドギツイけれども。
 「桜の木を切ったと正直に言った事で有名なワシントンは桜の木を切っていない(59へぇ)」。たしか元ネタが何かあったはずだ。そこまで調べてくれてたらねえ。
 「缶切りは缶詰ができてから48年後に生まれた(78へぇ)」。「48年後」がないとおもしろくも何ともない、当たり前のネタですね。ライフルで缶詰を空ける様子を見せるのは蛇足。
 「『OK牧場』は心理学用語である(64へぇ)」。正しくは「『OK牧場』という言葉は心理学用語としても使われている」だな。『OK牧場の決闘』が心理学用語から取られたわけじゃないだろうにねえ。下手すりゃスタッフも『OK牧場』ってガッツ石松が発明したと思ってるかもな。
 「『ベルサイユのばら』の舞台となった18世紀のパリはウンコだらけだった(63へぇ)」。これも世界史の授業を受けるとセンセイが必ず余談として披露するネタ。実際に『ベルばら』のコマと上田みゆきさんを使って解説したあたり、工夫はしてるが、ファンは激怒してないか。つか、激怒させようとわざとやってるな。どうも品がないことである。
 一番どうしようもなかったのが、「ラーメンに入っているなるとは鳴門のうず潮の506分の1(8分咲き)」という「トリビアの種」。なるとだって大きさは千差万別(平均取ったって意味はない)だし、渦も同様。つか、渦の直径ってどこからどこまでなんだよ。
 こんなん1000分の1の場合だって5000分の1の場合だってデッチアゲられるだろう。「ムダ知識」の「ムダ」だけあって、「知識」になってないんである。で、そんなの調べるのにわざわざ船出してメジャー渡そうなんてするなよ(-_-;)。
 たまには「おお」と唸らせられるようなの、出してもらえんものだろうか。

2003年02月04日(火) 予想通りに世の中が動くって味気ないね/DVD『パパ・センプリチータ』/『名探偵コナン 10+PLUS SDB』(青山剛昌)
2002年02月04日(月) チョコレート一本勝負/『何だかんだと』(ナンシー関)ほか
2001年02月04日(日) HOME,SWEET HOME/『犬の気持ちは、わからない』(押井守)



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