無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年08月06日(金) 女の子がいっぱい

 今度の芝居、黒子として出演してくれる人が10人ほどいるのだけれど、一番若い子はまだ10代の高校生で、なかなかの美少女である。……こういうことを書くと、またぞろしばらくウチの練習場から足が遠のいていたヤツが覗きに来て妙なちょっかいかけやしないかと心配になるのだが、事実だから仕方がない。まあ、危険人物についてはウチの連中も対処の仕方を覚えているから、仮にホントにやってきたとしても、適当にガードしてくれるでしょう。余計な手間がかかって大変ではあるが。
 今日はその子を含めた二人と、しげと、最初の簡単な顔合わせ。台本とスケジュール表を渡して、練習に参加できる日程などを確認する。しげはどんな子が来るのか、話が合わなかったら困るなあとか、いろいろ心配していた。練習中、打ち合わせそっちのけで世間話だの人生相談だのオタク話だのし始めるヤツとかだと鬱陶しくてかなわないし、そんなヤツならゴメンだと思っていたのだが、実際に会ってみると素直そうで可愛らしい子だったので、安心した模様である。つか、いきなり気に入ったらしい。
 「何か言っとくことはないかい?」としげに言ったら「(この子たち)抱いていい?」と来た。……お前、感覚だけなら充分中年セクハラオヤジだぞ。……まあ、相手も笑ってただけだからいいけど。
 女性にはみな「レズ」の傾向があるという話を聞いたことはあるが、なんかしげのそれが人一倍強い気がするのは気のせいだろうか。


 今日はしげの通院の日。しげのいつもの普段着はへこたれたシャツにズボン、髪は適当に結んでつっかけ履き、化粧っ気はまるでなしで、とてもトシ相応のレディーの姿ではない。しげ自身、「オレって、端から見たらヘンなヤツ?」としょっちゅう私に聞いてくるのだが、もちろんその通りである。しげを見た人間に、「実はコイツ、精神科に通院してるんですよ」と告げたら、十人中七人は「なるほど」と膝を叩くことであろう。なんでフツーの格好ができないかな。
 今日もしげは他人の眼など一切気にせず、腰に『魁!! クロマティ高校』の校歌入り手拭いをぶら下げていた。……だから、それ、女の趣味じゃないってば(~_~;)。それどころか、カウンセリングのお兄ちゃん(としげは呼んでいる)に、「それ、クロマティ高校ですね?」と聞かれて、「あ! こいつ、『クロマティ高校』のこと知ってやがる! ……もしかしてオタク?」と思ったとか。……いやね、普通、そんなの知ってる人間より、現物を堂々とぶら下げてる人間の方が、かな〜りオタク度は高いと思うんだけどねえ。


 夕方から、株券譲渡の手続きのために、父の店に向かう。サインするだけなので、用事は5分で終了。
 しげ、「シーメイト」のチラシを父に渡して、保養に覗いてみるのはどうか、と勧めていたが、車持ちでなければあそこはちょっと行きにくい。一応は風呂も大広間もあるけれど、風呂もそれほど広くはないし、子連れ客と出くわしでもしたら、かなりうるさいだろう。値段が安いのがトリエではあるのだが。
 店の新聞を見ると、一昨日、近藤真彦が溺れかけた子どもを救った記事が載っている。4日の午前中、和歌山県の白良浜海水浴場で水上バイクを操縦中に、沖合約150メートルあたりをゴムボートにつかまったまま流されて助けを求めていた大阪府の小学2年生の男子を、たまたま水上バイク(ジェットスキー?)で通りがかったマッチが、海に飛びこんで助けたのだとか。
 実はついさっき、車の中でしげがそのニュースを話しながらウキウキしていたのである。「やるじゃんマッチ!」ということなのだが、しげがかつてはマッチの熱狂的なファンであったことは、知る人の少ない事実である。何しろ貧乏のどん底であった時代でも、親にせがんでマッチの映画にだけは連れていってもらっていたというのだから、ダン・エイクロイドを知る前のしげの完全無欠のヒーローはマッチだったのであろう。「なぜそこまでマッチに」と思わないでもないのだが、まあ、人の趣味はいろいろだからとやかくは言うまい。しかし、かつてのたのきんトリオの中で、「人助け」が一番似合うのは(まあ、似合う似合わないの問題ではないのだが)何と言ってもマッチであろう。その点、今回の件は言っちゃなんだが出来過ぎている。
 確か先週だったか先々週だったか、海外でもダスティン・ホフマンが行きだおれの女性を助けた、なんてニュースがあった。ホフマンなら、これまでに人命救助の3回か4回はやっててもおかしくない感じだが、善人のイメージの強い人物がまさにイメージ通りの行動を取るというのはなんだかかえって意外である。しげは、「善人のイメージがあるから、見捨ててはいけないでしょ」と言うが、逆にそのイメージがあるからこそ、関わらずに通りすぎてく人間だっているんじゃないかと思うけど、現実にはどうなんだかねえ、そこんとこ。
 ただ、マッチが「これをきっかけに、海難事故が減るといいと思います」とコメントしていたのは意味不明だった。……いや、別に海難事故は起こる時は起こるでしょうに。


 映画と食事に、ダイヤモンドシティに回る。
 「フタバ図書」で本を物色して、フードコートでラーメンとサイコロステーキ。映画は『キング・アーサー』。伝説のそれではなく、“史実の”アーサー王を描く、という触れ込みだが、だったら円卓の騎士がいるのはヘンだと思うけどねえ。戦闘シーンが延々と続くだけで「大作」と言ってるわりにはいささか退屈な映画だった。

 「フタバ図書」で見つからなかった本があるので、「ブックセンターほんだ」に回り、ロイヤルホストで軽食。時計は12時をとっくに回っていたが、連休の前日なので、チョイと夜更かし。
 帰宅して、忙しくてこの一週間ずっと水替えができなかったカメの水槽を思いきり洗う。水をたっぷり入れたら、それまであまり遊ばなかったカメの遊び場でも遊ぶようになった。“水中の”跳びこみ台から“水中に”跳びこむ姿はさて、カメとして正しいのかどうか。ウチの亀は、しげに脅かされて以来、水の上に上がるのが好きではなくなってしまっているのである。

 読んだ本、バク天! 総合研究所『爆笑問題のバク天! 発表! 輝くバカテスト大賞』。……テストの珍答案を投稿させたものだけど、インチキ投稿の方が多いような気がするぞ。
 鉄拳『新編集 こんな○○は××だ! Pocket1』『Pocket2』。しげがほしいと言うので買ったけれど、全然面白くない。
 マンガ、高橋葉介『悪夢交渉人』。


 9月6日から始まるNHKBS2の新番組『BSアニメ夜話』のラインナップが決まった模様。岡田斗司夫さんの『オタキング・スペースポート』に『銀河鉄道999(劇場版)』、『ルパン三世・カリオストロの城』、『あしたのジョー』、『カードキャプターさくら』の4作品が紹介されている。
 制作会社のアマゾンのホームページには『機動戦士ガンダム』と『アキラ』をやるように書いてあったけど、岡田さんの情報の方が正しいらしい。『ガンダム』や『アキラ』が後回しにされたのは、あれについては語り出したら止まらない(けれどもウスイ)連中が腐るほどいそうだし、ゲストの選定とかに手間取りそうだからかな? どの作品も語りつくされた感のある作品だし、下手をしたら『マンガ夜話』のように「今更そんなこと解説されなくても知ってるよ」みたいな内容になりかねないのだが、後発で深夜だし、何より今回は岡田さんがメインになるのだから、オタクが随喜の涙を流すような分析とか薀蓄とか秘話の数々とかを期待したいものだ。……でも松本零士や宮崎駿のワルクチって、やっぱり言いにくくないかなあ。
 ああ、あと、『マンガ夜話』の「一作家一作品」の枠もアニメの場合は取っぱらってもらいたいものである。大多数の作り手の手になるアニメに「一作家」って判断基準は当てはめるべきじゃないし、手塚作品なんか、原作、構成、監督とか、関わった作品の中から一作だけとかいうことになったら、作品がごそっと抜け落ちて、アニメの歴史自体が語れなくなるぞ。

2003年08月06日(水) 落ちていくのーねー♪/『ミステリー民俗学者八雲樹』5巻(金成陽三郎・山口譲司)/『クレヨンしんちゃん』36巻(臼井儀人)
2002年08月06日(火) プールサイドの妖精……誰が?/映画『パワーパフガールズ ムービー』ほか
2001年08月06日(月) 復活日記(笑)1・加筆もあるでよ/村上春樹『約束された場所で』ほか
2000年08月06日(日) まぬけ三態/『テレビ消灯時間2』(ナンシー関)


2004年08月05日(木) 尾篭なお話。

 昼日中、いきなり携帯が鳴り出したので何なんだと思ったら、また父からである。
 「また、お母さんの株券見つかったから、サインしに来てくれんか」
 ……母はいったいどれだけ株に金を注ぎこんでたんだろうか。
 今日は歯医者に行く予定なので、明日、仕事帰りに店に寄ると答えて電話を切る。
 今日の歯医者は女先生。この先生は男先生と違って、「こんにちは」と挨拶をしてくれる。治療がいつまでかかるか教えてくれないのは一緒だけれど。

 食事は久しぶりの「めしや丼」。しげは焼肉とロースカツ定食、私はハンバーグ定食。
 ご飯のお代わり自由がありがたいところだが、以前はウェイトレスさんを呼んでよそってもらっていた。それが今はセルフサービスになっている。初めそのことに気が付かず、ウェイトレスさんに「お代わりお願いします」と頼んだら、ちゃんと持ってきてくれた。しげが「お代わりあそこにあるんだよ」と言われて、指差されたところを見ると、なるほど大釜が置いてある。いちいち頼まなくても自分でよそえるのはありがたいのだが、なんとなく不衛生な気もする。
 しげが続けてウェイトレスさんに「お代わりお願いします」と頼むと、今度は「すみません、お代わりはあちらにありますので」と断られる。「お代わりのある場所、知ってるのになんで頼むんだよ」としげに言ったら、「だってあんたにはついでくれたから」と口をとんがらせる。知らずに頼んだ私と、知ってて頼んだしげとで、ウェイトレスさんの対応が変わるのは当たり前である。普段、客商売をやってるくせに、自分が客に回った途端にイヤな客になるのだから、今更ではあるがしげの性格の悪さに嘆息する。

 夜、グータロウ君からメール。実は最近、私の知り合いの知り合いが(直接の面識はない)女の子にチカンして逮捕されてしまったのだが、どこでそれを聞きつけたか、「いろんな人がいるねえ」とからかってきたのである。なんか、私も同類? みたいな言われ方はチト心外なのだが、そういう偏見で見られること、なぜか多いのである。そんなにオレってスケベ面してるかなあ? 一応、言っとくけど、無作為に100人の男を選んで、そのなかで一番スケベでないやつを選んだら、多分私はベストテンの中には入ると思う。そこにチチとケツがあれば、触ってあげるのが男の甲斐性、と思ってるような脳ミソが性器に侵略されててザーメン浸しのセクハラオヤジとは違うのである。もっともそれは、私が男としてのセックスアピールに著しく欠けているということでもあるのだが。
 中年男が若い女に入れあげたりするのは、「自分もまだまだ男としての魅力に溢れているのだ」と錯覚していたい「悪あがき」だという話であるが、ドン・ファンやカサノヴァや世之介じゃあるまいし、普通、人はトシを取ってもなお「もてたい」と思うほど気力、体力に満ち溢れちゃいないものである。このトシになると若い子とつきあうのにどれだけエネルギーが要るか、その手間隙を考えると、とてもじゃないがワリに合う話ではない。不倫だの失楽園だの痴漢だの、よくやるっつーか元気だねっつーか、そうなっちゃった人はそれはそれでしょうがないとは思うのだけれど、仮に目の前に素敵でナイスな(死語)異性が現れて、どんなに心がときめいたとしても、たいてい次の瞬間に「でもやっちゃったらあとがめんどくさいしな」とヒュン、と冷静になってしまうのが中年というものなのである。それもやっぱりしょうがないことなんだがね。
 ……と思うのだけれど、実際のところ、既婚者の浮気率って、どの程度なのかね? 離婚率が上昇の一途を辿ってるようなことを聞くと、確かに結構高いのかなあとも思うのだけれど。……いやまあ、誰とは言わんが知り合いでお盛んな人もいるしねえ(-_-;)。

 読んだ本、コナン・ドイル『まだらの紐』(創元推理文庫)。シャーロック・ホームズシリーズの外典。小説ではなく、戯曲版の方である。
 マンガ、安田弘之『先生がいっぱい』1・2巻。
 岡崎二郎『アフター0 NEO』1巻。


 またまた教師のおマヌケな不祥事……らしいニュース。
 熊本県阿蘇郡内の県立高校(どこも校名発表してないなあ。根回しがうまくいったな)の30歳代の男性教諭が、携帯電話のカメラで自分の下半身の画像を撮影して、メールで送信していたことで、自宅謹慎の処分を受けた、とか。
 最初、それだけ聞いたら、メールを受けた相手が怒って訴えたりしたのか、と思ったのだが、どうやらそうではないらしい。先にこの教師にメールを送り付けてきた「女」、これがまず「謎」の存在なのである。
 6月下旬に、自称「20歳前後の女性」と称する相手から教諭の携帯電話にメールが届く。メールは、教諭の実名を挙げて、「先生のアドレスに間違いないか」と確認をする。自己紹介を交わした後、2日間でそれぞれ約20回のメール交換をした……というのだが、さて、いったいこの「女」はどうやってその教師を「納得」させたのだろうか。普通、実在しているかしていないかも分からない見知らぬ女からいきなりメールが送られてきたりしても、怪しんで親しいやりとりなどはしないものだろう。「知り合いのふりをした」とも考えられるが、それだとすぐにバレてしまうのではないか。それともこのセンセイ、人の言うことはすべて信じてしまうようなすごく素直でピュアなココロをお持ちだったのであろうか。
 なんたって、このメールをやりとりしている間に、相手から顔写真と下半身の画像を送ってきたので、このセンセイ、自分の画像もお返しで送信した、というのである。相手が稀代の詐欺師で、相当な手練手管を使ってダマシにかかったというのでなければ、自分の下半身を送る気になったというのは確かにピュアじゃなきゃできるこっちゃなかろう(^_^;)。
 ……で、その後、その相手から「(教諭からの)メールが複数の生徒に出回っている」とのメールが寄せられたというのだけれど。
 ……犯人、生徒じゃん(-_-;)。
 つまり、このセンセイのメアドを知った生徒か、生徒の関係者が、「コイツをちょっとハメてやれ」とイタズラを仕掛けた、ということなのだろう。当然、送られて来た写真とかは本人のものではなく、どこぞのエロ雑誌かサイトで取得したものなのであろう。犯人(あるいは犯人たち)が、果たして女性であるかどうかも疑わしい。センセイがまんまと引っかかって、下半身写真を送り返してきたもんで、犯人は大笑いでトモダチみんなにメールを送りまくったのだと想像される。……イタズラのレベルとしては、『ハレンチ学園』でヒゲゴジラたちを引っ掛ける山岸たちと対して変わらんが、だからこそ逆に思うのである。……こんなアホなワナに引っかかるなよ、センセイ(~_~;)。
 事件は、県教委に匿名の情報提供があって発覚した、ということであるが、その情報提供者が犯人自身である可能性も高い。相当嫌われてたんかな、このセンセイ。
 まあ、悪いのは確かに犯人である生徒(?)のほうだけれども、このセンセイが処分されちゃったというのも当然であろう。罪状は「マヌケ罪」か。謹慎が長引いてクビにでもなっちゃったらチトかわいそうではあるが、こういう脳みそつんつるてんな教師に教壇に立っててもらうのも確かに困りものではある。
 この学校の校長は、「教師としてあってはならないこと。生徒らに迷惑をかけて申し訳ない。綱紀粛正を徹底したい」と語っているそうであるが、それってつまり、先生の方は責めるけれども、生徒の方は責めない、あえて犯人探しは行わないってことなのかな? メールを受け取った生徒を探し出せば、その友人関係から、「最初にメールを送ってきたやつ」をつきとめることは可能だと思うんだが、そういう手間をかけることはしないってか。でも、先生の行状は行状として、こういう陰湿な生徒だって取り締まっていかなきゃ、教育は成り立っていかないと思うんだけれどね。報道に校名が挙げられていない点一つ取っても、この事件を「なかったこと」にしようって学校側の姑息なハラが見える。でも断言してもいいけど、そういう体質のままだとこの手の事件は絶対に続発する。しかも次はもっと巧妙になってね。仮に、この学校の教員全員にそういうメールが送られて、引っかかった教師が半数以上出た、みたいな事態になってしまったら、この学校、どうするつもりなんだろう。……まあ、なったらなったで、アホな学校が一つ消えて、メデタシメデタシ、っていうことになるのかもしれないけれど。つか生徒も、どうせ学校を追いつめるつもりなら、それくらいしちゃえばいいのにな。……煽ってんのか、オレ(^_^;)。
 ……タイトルの「尾篭」って単語、昔はよく使ってたけど、最近聞かなくなったなあ。若い人はやっぱり何のことかわかんないだろうか。

2003年08月05日(火) 仕事ひと区切り/『金魚屋古書店出納帳』1巻(芳崎せいむ)ほか
2002年08月05日(月) いのち棒に振って/『おせん』其之四(きくち正太)/『ワンピースブルー』(尾田栄一郎)
2001年08月05日(日) ちょっとさよなら/『シルバー仮面・アイアンキング・レッドバロン大全 宣弘社ヒーローの世界』ほか
2000年08月05日(土) しまった、翌日になっちゃった/『人喰いの滝』(有栖川有栖・麻々原絵里依)ほか


2004年08月04日(水) 既知外にサッカー

 ここんとこ、トンガリさんとあまり顔を会わせなくてすんでいるので、精神衛生上、頗るよい。でもやってる仕事はトンガリさんの後始末。トンガリさんが秘匿しているデータを探り出して、経理上、問題がないかどうかをチェックしてるんだが、考えてみればこれってやってることまんまスパイだな。オレ、退職しても探偵社で務まるかも(ムリムリ)。
 案の定、会議に挙げてない出費がン万円もあって、これまでのものと合計すると、かなりな額になってしまう。よくよく調べてみれば、不正出費らしきものはあまり見当たらない(かつてはあったらしい)。要するにトンガリさんが「報告」だけしてくれれば何の問題も生じないのだ。結局、全ての元凶はトンガリさんの心のカベなんだよなあ。


 迎えに来たしげと、今日は久しぶりに「ジョリーパスタ」で食事。ここのスパゲティー、美味いことは美味いのだが、量が少なくて高いのが難点。しげはスパゲティーというと、いつもクリームソースばかりを頼む(こないだダイヤモンドシティで鴉丸嬢、其ノ他君と食事した時もクリームソースだった)。好みがあるのではなくて、目新しいメニューに飛びついて、自分の舌に合わない場合をひどく恐れているのである。……だったら自分が作る段になって、「創作料理」という名のゲテモノを食わせるようなマネはやめてほしいものだが。私はエビとホタテのウニソース。初めて食ったが、ウニがしつこくならない程度にパスタによく絡まっていて、風味のある上品な味。エビが殻付きなのがちょっと面倒だったが。
 そのあと「ブックセンターほんだ」に回ってもらう。昨日見た『箪笥』で、一部映像の意味がよく分からない部分があったので(メイントリックは冒頭で見破ったが、ディテールで見損ないがあったのである)、ノヴェライズを買って確認しようと思ったのだ。
 タイトルは映画とは違っていて『姉妹』(吉岡達也・著)。小説として読もうとすると退屈なことこの上ないが、それはそのはずで、これは映画を見た人が「あのシーン、どういう意味だったの?」というのを解説するために書かれているのである。だからくれぐれも映画を見ないで小説だけ読もう、なんて気は起こさないように。『箪笥』は「映像だからこそ成り立つ」トリックなのである。

 ほかに読んだ本、マンガ、みなもと太郎『挑戦者たち』、『風雲児たち幕末編』5巻。
 井浦秀夫『弁護士のくず』1巻。
 山本英夫『ホムンクルス』3巻。


 俳優の渡辺文雄氏が、今日、急性呼吸不全のため死去、享年74。
 これだけのキャリアをお持ちの方が亡くなったのに、最初に渡辺さんの出演作で真っ先にアタマに浮かんだのが、「『ウルトラQ/カネゴンの繭』のヒゲオヤジ」だったのが、病膏肓である。普通は大島渚監督作品などを挙げるべきだろうにねえ。
 ご面相は、似顔絵を描けば全部マルですんでしまいそうなくらい、まんまるとした印象、『くいしん坊!万才』でのリポーターや、『連想ゲーム』のレギュラー、『ソルマック』のCMなんかで、お茶の間への浸透度、好感度もかなり高いだろう。役者さんが亡くなっても、若い人にそれを話すと、一様に「誰それ?」って反応しか返ってこないくらいに彼らはモノを知らないが、さすがに渡辺さんはみんな結構知っている。同じ大島グループでも、故・戸浦六宏さんにはあまりCMの声などかかりそうになかったが(失礼)、渡辺さんには視聴者の購買欲をそそる天性の明るさがあった。
 ただ、ドラマや映画では、その「善人顔」で損している面も結構あったのではないかと思う。実は善人役よりも、悪人役のほうが意外にも多いくらいなのだが、あまり極悪人を演じられても似合わないのである。手塚治虫キャラクターシステムに譬えるなら、ボス役のアセチレン・ランプほど悪辣ではないが、卑劣で機を見るに敏なハム・エッグあたりの役どころなら、いい味を出す、といった感じだろうか。『眠狂四郎人肌蜘蛛』の都田一閑とか、『子連れ狼 子貸し腕貸したてまつる』での柳生備前守とかを演じてもどこか不自然で浮いてしまっているのだが、『絞死刑』でレイプの様子を懸命に再現しようとする教育部長などを演じさせると、そのヒクツな小市民ぶりが実におかしくて、ああ、この人の本領はこういうところにあるのかなあ、と思わされるのである。
 渡辺さんの代表作と言えば、まさにこの『絞死刑』を真っ先に挙げねばならないのだが、逆に言えばこの役があまりにハマッてしまっているために、あれだけたくさんのドラマ、映画に出演していながら、他に印象に残る役が少ない。必ずしも「うまい」とは思わないが、もっと使いどころのある役者さんではなかったかと思う。後年、役者以外での活躍の方が目立つようになっていったのは、やはり、渡辺さんをうまく使うことのできなかった映画界の不明ではなかろうか。


 中国で開催中のサッカー・アジアカップ、中国人の観衆が日本人選手への反日感情剥き出しの抗議行動(アジなんてもんじゃない)をエスカレートさせている状況に、ついに日本政府も中国政府に対して正式に抗議を申し入れたとか。ま、受け流されそうな気はするけど。
 最初はああいうお国柄だし、多少はあるよなあ、とか軽く考えてたんだけど、さすがに最近のニュースを聞くにつけ、ちと度を越していると思わざるをえなくなった。これはもうマナーが悪いとかそういうレベルではない。明らかな政治活動だし、規模は小さいが実質としてはテロである。……小泉さ〜ん、これ、テロなんですよ〜、認識してますか〜?
 それにしてもこれを政治問題としてキチンと取り上げようってマスコミは少ないねえ。やっぱりみんな、この問題、軽く見てない? 「歴史を直視し、アジア人民におわびし、釣魚島(尖閣諸島・魚釣島の中国名)を返せ」と書かれた横断幕を掲げる、『君が代』演奏のときにはブーイング、日本の勝利が決まり日本人サポーターが日の丸を取り出して歓声を上げると、周りの観衆が紙コップなどのゴミを投げつけて「帰れ、帰れ」とヤジを飛ばす。うっかりすると人死にまで出そうな気配なんだけど。テレビでは「小泉首相の靖国参拝反対」とか「こんなに何万人もの人と一緒に不満を表せる機会はなく、とても楽しい。けけけけけ」とか言って喜んでた若い男女が映ってたけど、どうにも気が狂ってるとしか見えない。
 言うまでもなく、スポーツは「政治」である。まあ、政治とスポーツは切り離されるべきだという「理想」はあるだろうが、そんな理想がこれまで現実化したためしはない。「親善」という美名はあれども、スポーツは、どの時代にあっても常に、クニとクニとの関係を象徴する政治・外交の道具として使われてきたし、場合によっては「代理戦争」の様相すら呈してきた。「政治」と「スポーツ」がイコールのものでなければ、どうして「靖国参拝」と「サッカー」という、何の関係もないものがあっさりと結びつけられるものだろう。日本人だって、これで日本が優勝すれば「ザマアミロ中国」と、「親善の気持ちなどどこかに吹っ飛んで中国人を嘲笑する」に決まっているのだ。
 それがイカンとは言わない。私は別に理想論など述べたいとは思わないから、スポーツが政治にどう利用されようが、知ったこっちゃないのである。ただ、あちらが明らかに政治的に「運動」を行っているのに、こちらがそれを傍観しているのでは、そりゃいつもの「弱腰外交」「負け犬外交」とののしられても仕方がない、ということなのである。抗議を申し入れたと言っても、「あくまでも平静に対応し、スポーツの交流なので反日感情をあおるようなことになってはいけない」なんてコトナカレなことを述べている程度で、まあ、何もしていないのと同じである。こちらが煽らなくても、向こうが勝手に反日感情募らせてるんだから平静に対応したって状況が改善されるはずがないじゃないの。何らかの報復措置を取らない限りは事態は悪化しかしないと思うんだが、なんで中国人観客をつまみ出すくらいのことができないのかね(政治とスポーツがあくまで別だと主張したいなら、少なくとも横断幕張った連中は追い出してしかるべきだろう)。結局は中国政府だって、内心、「日本人ごときが何を偉そうに文句つけてくるのか」とナメてかかっている、ということに日本の政治家は気付いているのかいないのか。
 中国人があれだけ根拠のない優越感でもって抗議ができるというのも、彼らの中に未だに「中華思想」が存在しているからであろう。ならば、彼らの「歴史を直視せよ」との主張を鑑みて、「中華思想」などという愚劣な思想も古代の遺物にすぎないという「歴史」だって、ちゃんと「直視」してもらわなければならないのではないか。このままでは北京でのオリンピック開催は不可能だ、という理由で、開催国を変更させるくらいのウラ工作を謀るくらいのことを日本政府もしてみたらどうかと思うんだけど、そこまで「強腰」に出られますかねえ。

2003年08月04日(月) 映画の話いくつか/『モンティ・パイソン・スピークス!』(デヴィッド・モーガン)/『だめっこどうぶつ』1巻(桑田乃梨子)
2002年08月04日(日) 爆走……できねーなあ(^_^;)/『スーパーロボット烈伝』(石川賢)/『光の島』3巻(尾瀬あきら)/『黒ベエ』1巻(藤子不二雄A)ほか
2001年08月04日(土) やっと入院準備/映画『猿の惑星』/『20世紀少年』6巻(浦沢直樹)ほか
2000年08月04日(金) 特許成金、夢じゃない?/『20世紀モノがたり』(紀田順一郎)ほか



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藤原敬之(ふじわら・けいし)