無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年08月04日(日) 爆走……できねーなあ(^_^;)/『スーパーロボット烈伝』(石川賢)/『光の島』3巻(尾瀬あきら)/『黒ベエ』1巻(藤子不二雄A)ほか

 短くするとか言いつつ、また長くなってきてるぞ、書き出したら止まらない悪い癖だ。
 しかも休日だからDVDとか見まくってるし。こんなん全部感想書いてたら、原稿用紙が何10枚あったって足らんわ。できるだけ短めに書こう。できるのかホントに。

 朝寝したあと、DVD『刑事コロンボ』祭(^o^)。
 『野望の果て(Candidate for crime)』。
 原題は「犯罪立候補者」。あまりイキなタイトルではないね。概してコロンボシリーズ、邦題の方がうまい付け方をしてる。民放に移ってからはちょっとダサくなるけど。
 上院議員候補の犯人役を演じるのはジャッキー・クーパー。30年代、子役で有名ってことだけど、『チャンプ』とかに出てたんだね。私ゃリメイク版しか見てないけど。昔はこの人と、『チャップリンのキッド』のジャッキー・クーガンの区別がついてなかった。そういうことは映画ファンでも多いらしいので恥じゃない……ということもないが(^_^;)。
 子役は大成しない、というジンクスは東西共通のものらしく、この人もパッとしない時があったらしい。けれど、本作やクリストファー・リーブ主演の『スーパーマン』シリーズでホワイト編集長を演じたりと、ちょっとクセのある演技をするようになってカムバックした。その時代しか私は知らないので、なんだか大仰な人だなあ、という印象しか私にはない。
 悪徳政治家をコロンボが罠にかけていく様子は溜飲が下がるが、こんなバカに投票していいのか、とか思っちゃうな。声優は珍しくも中谷“弥七”一郎。コロンボシリーズは、日頃、声優をやらないような人を起用するところも楽しい。

 『二つの顔(Double shock)』。
 銀行マンと料理家の双子の二役を演じるマーティン・ランドー、こういう複雑な役のオファーはやっぱり『スパイ大作戦』(『ミッション・インポッシブル』のテレビ版だよ、と説明しとかないと今やわかんないよな)で変装の名人を演じてたからか。
 コロンボシリーズ初の「犯人あて」モノってことだけど、まあ、あまり工夫があるとは言えない。テレビで見たときトリックすぐ分かっちゃったし。
 コロンボがむりやりテレビ番組に引っ張り出されて、料理を作らされるギャグシーンがあるけれど、常識じゃあそんな飛び入り(しかも警察官)を許しゃしないよな。シリーズを重ねると、コロンボの別の一面も出そうと、こういう無理が生じるシーンを作ることも多い。ギャグがうまくハマると『逆転の構図』の救護施設のシーンみたいな名シーンも生まれるんだけどね。

 『意識の下の映像(Double exposure)』。
 原題はもともと「二重露出」の意味だけれど、これは当時まだ“subliminal”という単語が耳に新しかったからタイトルとしては意味不明、と思われるのを回避するためだろうな。実際私もこれで初めて「サブリミナル効果」の存在を知った。邦題も今だとなんだかまどろっこしい。
 サブリミナル効果については、本当に実効性があるのか疑問視する声の方が大きくなってるけれども、トリックとしては決して悪くない。「本人に喉の乾きがなければ、フィルムのひとコマにコーラの写真を挿入しても効果はない」ということは押さえてあるので、どうして被害者だけに効果が現れたかの説明になっているからだ。物語の中での整合性があれば、トリックは成り立つんである。
 犯人役のロバート・カルプはコロンボシリーズの常連で三度も出演しているけれど、今回の役が一番いい。
 ラストでトリックを見破られたあとも、自ら恃む思いに笑みを浮かべる憎々しさ。アチラで「理想の犯人役」と評されたのも分かる。声は毎回、梅野泰靖(『ラヂオの時間』のマネージャーさんですな。邦画ファンには『幕末太陽伝』の若旦那、と言ったほうが通りがいいか)がアテてるけれど、張りのある生意気な感じがいい味を出してる。


 アニメ『サイボーグ009』第41話「悪夢の未来」。
 作画がえらくイイと思ったら久しぶりの紺野直幸さん。この、紺野さん以外の作画がヘタレってのが本シリーズの一番のネックなんだよな。
 なんだか未来の描写がまんま『ターミネーター』なのが気になるが、ブラックゴーストが未来も存在してるってのは、『ヨミ編』ラストへの伏線かも。


 夜、こうたろう君に電話。
 彼も『スターウォーズ エピソード2』を親子連れで見てきたそうで、前半の退屈なシーンの連続には閉口したそうだ。
 「草の上を抱きあってゴロゴロって、どうしようかと思っちゃったよ」
 そりゃ、どうしようもないよ、ありゃ(^_^;)。
 やっぱり精神年齢が高校生で止まってるやつに映画作らせちゃなあ。
 いろいろまたまたここに書けない話など、1時間以上駄弁り。気がついたらWOWOWで録画してた『陰陽師』が終わっていた。全く、オタク話のタネは尽きない。


 しげが仕事から早めに帰って来たので、「びっくりドンキー」で食事。
 しげが「まだ飽きてない?」と聞くが、そりゃ何度か食べてりゃいつかは飽きは来る。ここのハンバーグもそろそろ味の見当がついてきたんだけれど、また「めしや丼」か「王将」に戻りたくはないし。
 というわけで(何が「というわけ」か)ハンバーグとスパゲティを食べる。


 マンガ、永井豪原作・石川賢とダイナミックプロ作画『スーパーロボット烈伝』(双葉社/アクションコミックス・1000円)。
 スーパーロボットシリーズとか、世界観が違うモノをムリヤリくっつけたやつって、私にゃ全然面白くないんだけれども、一応原作者本人が描いてるんだからちったあマシかと思ったら、つまんねーったらありゃしない。デカイ敵出して突っ込ませりゃいいってだけの話だもんなあ。
 しかも最後はマジンガーZ、グレート、グレンダイザー、ジーグ、ゲッターGの全ロボットが合体して、完成したロボットの名前が、「ダイナミックサーガ」って……。ばか?
 一応、本シリーズとはパラレルな設定になってるんだろうけれど、どうせそうするんなら読切単発で適当に話を繋げるんじゃなくて、一本筋の通った話にしてほしかったな。
 後半に行けば行くほど絵が荒れ出すし、ロボットばかりで人間キャラが出なくなるし、たまに出たかと思ったら、石川賢じゃなくて安田達矢が描いてるし。ジーグだからそれはいいんだけども(よくわかんないひとのために注。一応、全部永井豪原作ってことになってるけど、実際にはジーグは安田達矢の原作・作画なんである)。
 こういう「夢の競演」ってやつに弱いファンもいるみたいだけど、余りやりすぎると安っぽくなっちゃうんだけどなあ。『仮面ライダー』や『ウルトラマン』だって、後半に行くほど「ヒーロー競演モノ」がつまんなくなっていったでしょ。マジンカイザーくらいに留めておくのが無難だと思うけどね。


 マンガ、尾瀬あきら『光の島』3巻(小学館/ビッグコミックス・530円)。
 ふと思い出したけど、私ゃ昔、尾瀬あきらのマンガって、かわいい女の子キャラ目当てで買ってたんだよな。いや、『夏子の酒』のころじゃなくて『初恋スキャンダル』のころ。f(^^;)
 「松本めぐむ」名義で『バビル2世』とか書いてたころはあまり女の子の絵、うまくなかったけど、『初恋』でちょうどあだち充から始まる少年マンガのラブコメブームに乗ったんだよな。尾瀬さん自身はそのころの記憶は封印したいかもしれないけれど、実はキャラクターの表情の作り方は、だいたい『初恋』と『飛べ!人類』のころに固まって、それ以来たいして変わってないのである。
 なんでこんなこと書いたかというと、今巻新登場の美幸を見てて、このキャラをきちんとヒロインにしたてることができたら、尾瀬さんもう一つ化けられるかもな、と思ったからだ。
 言っちゃなんだが、『夏子』以降の小瀬さんのマンガはどのキャラもみんな同じ顔をしていてつまらない。深刻そうにテーマを語り、誰かに向かって叫び、説教臭いばかりでかえってリアリティに欠けている。ここで俯く、ここで目を見開く、ここでコブシを握る、要するに、型にはまった芝居しかできていないのだ。
 美幸は今までの尾瀬キャラと少し雰囲気が違う。まずかわいくない。面長でおでこは広いし鼻は低い。性格はヒネクレている。過疎で子供がノドから手が出るほどに欲しい、言い返れば大人のエゴで子供をほしがっている唄美島に自ら行こうとする。何を考えているかわからないところがある。
 予定調和的に「実はいい子」で終わってしまう可能性はあるが、こういうキャラは得てして作者の手に余ることが多く、とんでもない行動を取ったりするものだ。いわゆる「キャラが勝手に動く」ってやつね。そうなればまたぞろ「愛は地球を救う」的な展開で終わっちゃいそうなこの物語に、少しは「破」が生まれそうな気がするのだけれど、もしかしたら私は尾瀬さんを買いかぶっているのかも知れない。
 しかし、尾瀬あきらのファンって余り聞かないなあ。『夏子』のころにはまだファンがいたように思うが、三里塚扱ったあたりから毛色が変わってきたかな。政治を扱ってるからどうの、というより、マンガをテーマ主義で描いてるせいでマンガとしての魅力が減殺されてると思うんだが。


 マンガ、藤子不二雄A『黒ベエ』1巻(ブッキング/藤子不二雄Aランド008・410円)。
 昔、中央公論から出てた「藤子不二雄ランド」のAさんの分だけ移籍して再出版。更に言えば、もっと昔、サンコミックスから出てたときは、表紙の絵柄が黒ベエのアップでおどろおどろしく、怖くて私は買えなかった(^_^;)。……今見るとかわいいとこもあるよな、恐らく若いファンはその存在も知らないだろう安孫子さんの隠れた名作である。
 いや、隠れた、と言っても『怪物くん』ほどには有名ではない、程度の意味である。『黒イせぇるすまん』や『魔太郎がくる!』の原型になっている、という点ではこれぞ安孫子さんの原典とも言えるだろう。
 サラリーマン社会や学校に舞台が限定されている『せぇるすまん』や『魔太郎』より、どこからやってきてどこへ行くのか、得体の知れない黒ベエの方が、描かれる世界は広くなる。軍事教練を行う会社の施設にフラリと現れる黒ベエ。黒ベエの魔力(?)は、当然、訓練と称して社員をシゴき、イビる上司たちに向けられるが、その結末の付け方、今日の人権擁護の見地から鑑みればちょっとヤバい気がしないでもないが(^_^;)、最近の腑抜けた『踊るせぇるすまん』なんかに比べると、宝石の原石のような輝きがある。
 ……って、旧作で渇を癒さなきゃならないのって寂しいよなあ。


 イカン、やっぱり長い(^_^;)。

2001年08月04日(土) やっと入院準備/映画『猿の惑星』/『20世紀少年』6巻(浦沢直樹)ほか
2000年08月04日(金) 特許成金、夢じゃない?/『20世紀モノがたり』(紀田順一郎)ほか



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