2006年03月26日(日)  ヘレンウォッチャー【都電荒川線編】

荒川といえば、今日本では荒川静香だけど、わが地元では都営荒川線。その荒川線が今年の春休みクイズラリーのテーマに子ぎつねヘレンを抜擢。「『子ぎつねヘレン』をさがして!」と題して、3/18〜4/9まで実施中(くわしくはこちら)。「今井さん、一緒にどう?」と誘ってくれたのは、映画脚本デビュー作『パコダテ人』以来のおつきあいの前原星良ちゃん(大泉洋さん演じる古田はるおの愛娘まゆ役で出演)とママのせらまま。ちなみに、せらままいわく「板橋では荒川と言えば荒川RIVER」で、荒川静香が金メダルを取った朝、「荒川が大変なことに!」というのを聞いて、川があふれたか土手が決壊したかと思ったそう。

折良くというか悪くというか、昨日放映された『アド街ック天国』が「荒川線特集」。一位に輝いた地蔵通り商店街(とげぬき地蔵で有名。別名「おばあちゃんの原宿」)の終点にある庚申塚駅のホームには、あふれそうな人、人、人。車内もかつて体験したことのない混みようで、一日乗車券を買い求めようとしたら「売り切れです」。そう言う運転手さんにも余裕はなく、ダイヤの遅れを取り戻すのに必死。南の終着駅・早稲田駅近くにある早稲田自動車営業所で一日乗車券を買い求め、ラリー用紙を入手(荒川電車営業所でも入手可能)。いざ、ヘレン探しの旅へ出発! 星良ちゃんも元気いっぱい。


北へ北へと乗り降りを繰り返し、5つの駅に設置された「ヘレンボード」にいるヘレンを数えて用紙に書き込んでいく。ラリー用紙のヘレンが見えるほうを外側にして、さりげなく(わざとらしく?)満員の乗客にヘレンをアピールする大人2+子ども1人。一人じゃ淋しいクイズラリー、3人ならおしゃべりしながら楽しめる。21日にヘレンを観たばかりのせらままは「もう、泣いたわよー」。終映後の女子化粧室は涙でくずれたメイクを直す人でいっぱいだったとか。「わたしは号泣を覚悟してノーメイクで劇場へ行ったのよ」とせらまま。家族旅行でよく行く北海道の大自然にも感動したそう。

途中ブドウ糖が切れて町屋駅前のデニーズで休憩。ゴールの荒川電車営業所でラリー用紙を見せ、参加賞(ヘレンのポストカード、映画割引券、都電オリジナルレジャーシート)をもらい、くじを引く。大人二人はハズレで、せらちゃんは2等賞のヘレンのトートバッグをゲット。飛鳥山駅で下車して、飛鳥山公園の桜(すでに夜桜)を鑑賞。沿線の桜もとてもきれいだった。花見がてらぶらり都電旅もいいかも。いつも通りののんびりした混み具合になったら、もう一度乗ってみようかな。都電一日乗車券は400円と、とってもおトク。

2005年03月26日(土)  映画『いぬのえいが』→舞台『お父さんの恋』
2003年03月26日(水)  中国千二百公里的旅 移動編
2002年03月26日(火)  短編『はじめての白さ』(前田哲クラス)


2006年03月25日(土)  丸善おはなし会→就職課取材→シナリオ講座修了式

「『子ぎつねヘレン』映画記念 映画絵本版『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』 著者 いまいまさこさん えほんおはなし会」という長いタイトルのイベントに出演するため、丸善丸の内店へ。はじめて足を踏み入れた丸の内オアゾの5階The Orchid(ジ・オーキッド)で打ち合わせを兼ねて文芸社さんとお昼。絵本は映画公開後ぐんぐん売り上げを伸ばしているとか……という気分のいい会話をしながら、おいしくいただく。東京駅の線路を見下ろせるトレインビューの個室も、なかなか素敵。

今日は先日取材してくれた学生新聞キャンパス・スコープの記者さんのインターン先である株式会社 就職課の取材が入っていて、就職課で発行している学生新聞と、就職課とゲオ@チャンネルのコラボでの映像配信コンテンツ用のインタビューを受けることに。七人の学生さんと合流し、控え室で取材の打ち合わせ……のつもりがいつの間にかいつもの調子でしゃべりだしてしまい、学生記者さんたちは熱心にペンを走らせる。

予定時間の2時を少し過ぎ、「いまいまさこさんの登場です」と呼ばれて児童書コーナーに姿を現すと、おはなし会用に敷いたカーペットには、かわいい子どもたちとそのお父さんお母さんたちの姿が。パパママを後ろに控えさせて、かぶりつきスペースを陣取った子どもたちは早くも目がキラキラ。「みなさん、映画『子ぎつねヘレン』知ってますか?」と聞くと、「知ってるー!」「知らなーい!」と元気な返事。こんな感じでやっていけばいいんだ、とつかめて、アドリブを入れながら読んでいくことに。絵本を引き伸ばしたものを、文芸社広報担当の朽木嬢が話の進行に合わせて紙芝居風に見せていく。焼きたてのパンが登場するシーンで、「ヘレンパンはどれかな」と投げかけると、一斉にいくつもの小さな指が絵を指し示した。クマのぬいぐるみがボロボロに引き裂かれるシーンで「どうしてこんな風になっちゃったのかな」と問いかけると、「ヘレンの頭の中には悪魔が住んでいて、そいつが暴れて苦しかったから!」と利発な女の子。昨日観たばかりの映画の内容を見事に記憶。春から小学生という彼女は、質問コーナーで「謎の森の老婆」の正体について聞いてくれた。

質問コーナーでは「ヘレン・ケラーから子ぎつねをヘレンと名づけたとありますが、映画の中でその説明はありますか」という質問も。「ヘレン・ケラーを知ってますか?」と問いかけると、子どもたちの手が誇らしげに挙がる。おはなし会に来るような子は本をたくさん読んでいて、物知りなのかも。映画を観てくれたという丸善の担当者の女性は「原作を映画化するにあたり、何に気をつけましたか」と質問。「死んでしまって悲しい話より、出会えてうれしい話にしたかった。短いけれど精一杯生きた命がのこしてくれたおくりものを受け止めてもらえるように」と答えた。

サイン会は閑古鳥の心配をよそに、ペンがかすれるほどサインさせてもらう。はじめて会う人たちが「映画観ました」「これから観ます」と言って買い求めてくださり、感激。昭和ひと桁世代の余語先生とT氏をはじめ、知人、友人も駆けつけてくれ、懐かしい人との再会も。10年前に同じ忘年会に出ていたわたしを覚えていてくれた大学の後輩嬢。5年ぶりに会う他大学の応援団チア仲間は会社の後輩と、高校の同級生は二人のお子様と、留学時代の同期はヨチヨチ歩きの男の子とダンナさんと。

ご近所仲間のK家の0歳児まゆたんからは花束贈呈のサプライズ。丸善さんからも春色の花束をいただく。さらに、ハヤシライスとカレーライスの詰め合わせ『新厨房楽』も。ハヤシライスの生みの親は、日本初の株式会社・丸善創業者の早矢仕有的氏なのだそう。副店長さんからは店作りのコンセプトの興味深いお話もうかがえ、今度は客としてゆっくり訪ねてみたいと思った。そのときは書店の一角にあるエムシー・カフェでハヤシライスを食べよう。

場所を銀座の就職課オフィスに移し、ゲオ@チャンネル用のインタビューを収録。学生記者さんたちの質問に雑談のノリで答えながら「子ぎつねヘレン脚本に込めた思い」「脚本の書き方」などについて一時間半ほど話す。脚本の書き方については「書くルールは月刊ドラマや月刊シナリオを読めば覚えられるけど、大事なのは発想法と世界観」といった話をする。ただ原稿用紙を埋めるんじゃなくて、ト書きの1行、セリフの1行で世界観や人物像が見えるように書くことが大事。たとえば、主人公がお茶を飲む仕草ひとつ、クッキーの食べ方ひとつ取っても、性格を表すことができる……と実演しながら説明。

何を書くか、どうやったらシナリオが面白くなるか、は頭の中をひっかきまわして一人ブレスト。たとえば……と、「雑誌発想法」を使って、雑誌のページをめくりながら、出たとこ勝負で「この三人が強盗だったら」などとストーリーを作っていくのを実演すると、「へーえ」と面白がってくれる。「頭をやわらかくしておくことは、脚本家だけじゃなくて、どんな職業にも役立ちますよ」と話す。脚本家になってわかったのは、「人生、どんなことも無駄じゃない」ということ。出会いや体験を宝の山にするか宝の持ちぐされにするか、毎日を楽しくするかつまらなくするか、それは自分の気の持ちよう。第一志望の会社に就職できない人も多いだろうけれど、その仕事からも学べることはあるはずだし、与えられた環境が人生を決めると思うと窮屈だけど、今ある環境で何ができるかと考えれば、自分が主導権を握れる……といった話は、就職で人生の勝ち負けが決まると思いがちな学生さんたちには新鮮だったよう。

自分のやりたいこと、夢や目標を持ち続けていれば、情報や出会いがアンテナに引っかかってきて、着実にそこへ近づいていける。美大に行きたいと思ったけれど断念したものの、広告会社に就職してデザインに関わる機会に恵まれた。書くことが好きで書き続けていたら脚本家になれて、絵本を出したい夢も叶った。教職を取ったものの教師の道には進まなかったけれど、シナリオを教える仕事がめぐってきた。今すぐじゃないかもしれないけど、夢は、遠回りしても、見失わなければ、いつかたどりつける。

赤坂のシナリオ会館に移動して、シナリオ講座修了式。3週間に一度、半年間の講師は、毎回とても刺激的な時間だった。シナリオを教えながら、わたしも学び直すことが多かった。教え子の生徒たちにも「書き続けていれば、道はひらける」と話す。

2005年03月25日(金)  傑作ドイツ映画『グッバイ・レーニン!』
2002年03月25日(月)  脚本はどこへ行った?


2006年03月23日(木)  ヘレンウォッチャー【松竹本社編2】

小池書院が発行する文芸誌『 大阪芸術大学 河南文藝』の取材のため、ヘレンモードの松竹本社へ。エレベーターホールの壁のヘレンコーナーには新たな記事が貼り足され、ぬいぐるみコーナーも増員。銀座松坂屋のヘレン展から帰ってきた特大へレン、その頭の上にはミニミニへレン。さらに、初日舞台挨拶のフォトセッションのときに小林涼子ちゃんが持ってた「大ヒット!」のパネルも。

会議室でのインタビューもへレンのポスターやグッズやぬいぐるみに囲まれて。その写真を撮りそびれたのは不覚。


3階の東劇にはヘレンUFOキャッチャーが登場。ゲームセンターでも大人気だそう。ひしめくぬいぐるみヘレンたちはなかなかすばしっこく、記者さんが挑戦したけど、するりと逃げられてしまった。掲載用の写真をここで撮影。フォトグラファーは尾形隆夫さん。

『河南文藝』3号目となる次号は映画特集とのことで、「旬の映画人」の一人として取材してもらえることになった。身に余るインタビューに抜擢し、聞き手になってくれたのは、会社時代の先輩の友人という縁でかわいがってくださっている映画ライターの小張アキ子さん。ヘレンの脚本に込めた思い、脚本を書くようになったきっかけ、会社を辞めて脚本に専念するようになった経緯などを話す。編集長の照井哲哉さんは昨日9才のお嬢さんと『子ぎつねヘレン』を観て、絵本『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』まで買ってくださっていた。編集部の平井敦貴さんも「CMを作るのと映画を作るのは何が違いますか?」などと面白い質問をどんどん投げてくれ、話が弾む。2時にはじまって、気がついたら6時。4時間しゃべってた。

インタビューが掲載される河南文藝vol.3は6月発売予定とのこと。

2005年03月23日(水)  高校生がつくるフリーペーパーanmitsu
2004年03月23日(火)  ENBUゼミ短編映画『オセロ』
2002年03月23日(土)  インド映画『ミモラ』


2006年03月18日(土)  ヘレンウオッチャー【公開初日編】

『子ぎつねヘレン』公開初日。丸の内ピカデリー初回上映(9:20〜)終了後の舞台挨拶めざして有楽町マリオンへ。ロビーは壁も床もヘレンがお出迎え。絵本『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』でお世話になった文芸社の編集・宇佐美さん、広報・朽木さんと物販コーナーの写真をパシャパシャ。

11時半からの舞台挨拶を客席のいちばん後ろから見る。河野圭太監督、阿部サダヲさん、小林涼子ちゃん、大沢たかおさん、松雪泰子さん、深澤嵐くん、田波涼子さん、原作者の竹田津実先生の順に登壇。大沢さんから一言ずつ挨拶。ヘレンは出演者やスタッフに本当に愛されていて、「この作品を一人でもたくさんの人に観て欲しい」という思いがスピーチから伝わる。

竹田津先生の「獣医としては失敗記です。助けてくれという信号に対して正確に応えられなかったというのは、ほとんどヤブ医者だと自分では考えております。それがこういう形で全国で公開されるというのはある意味ではすごく忸怩たる気持ちがあります。ああいう生き方をしたキツネもいたということだけ分かっていただければ、それはよしとするかという感じで思っております」という言葉には、原作者ならではの重みがこもっていた。先生が体験されたことは立派だし、真似ができないと思うけれど、それを「美談」にするのではなく、「精一杯生きた小さな命から何を学ぶか」を映画という形でたくさんの人に分かち合ってもらいたい……そんな思いで、わたしはこの作品に関わった。フォトセッションに続いて、サプライズゲストのレミオロメンが花束贈呈。会場も湧いたけど、わたしもびっくり。

劇場を出てエレベーターホールへ向かう途中にある物販コーナー前で売れ行きをしばらく観察。絵本とムックが売れた瞬間を見届けたら話しかけようかと思ったけど、人がいっぱいで何を買っているかまでは見えなかった。話しかけられても困ったと思いますが……。と、「今井さんですか?」とミュージシャン風の男性が声をかけてきて、「深澤嵐の父です」。なんて若いお父さん! いまいまさこカフェをちょくちょくのぞいてくださっているそう。

絵本で使われた田中伸介さんのイラストをあしらった絵本仕様ノート、絵本の「ヘレンスケボー」にヘレンを乗せられるキーホルダーも発見。

劇場近くの三笠会館バンケットルームに場所を移して、初日乾杯。関係者が集まり、記念撮影したり近況報告したり、ちょっとした同窓会。竹田津先生、大沢さん、松雪さん、涼子ちゃん、嵐くんも元気いっぱい。お互いを労い、初日をお祝し、ヒットさせよう!と盛り上がる。その合間に調子いいです!」と観客動員情報が入ってきて、イケイケムード。「こんなに気分のいい初日はなかなかないよ」とプロデューサー氏。公式ブログの人気者ヘレスケ(写真提供は記録の津嶋さん)も美酒に酔いしれてゴキゲン!?

パーティーの後は松坂屋で開催中(21日まで)のヘレン展へ。一階の入口にヘレンがお出迎えして7階催事場へ誘導。パネル展示、物販、ぬりえコーナー、記念写真コーナー、北海道物産コーナー……かなり広いスペースがヘレンワールドに変身。



物販コーナーは、ヘレン、ヘレン、ヘレン。ぬいぐるみは大・中・小・ミニ……とマトリョーシカ状態。特大へレンも「松坂屋限定」で販売中(たしか5万円ぐらいだった)。絵本『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』とムック『子ぎつねヘレン・ノベライズ&フォトブック』はカゴに入れられて、かわいくディスプレイ。
たんぽぽ畑で巨大へレンと記念写真を撮れるコーナーは、劇中でもカメラとプリンターでお世話になっているcanonさんの提供で、その場で写真を撮ってプリント(無料)してくれる。これがなかなかのクオリティで、いいお土産に。行かれた方はぜひやってみてくださいね。


帰り道、有楽町マリオンに戻ってきたら、ちょうど3時。マリオン時計の隣でナルニア国物語と並ぶヘレン看板をパシャリ。

2005年03月18日(金)  あなたのペンが「愛・地球博」にそびえます。
2004年03月18日(木)  アドフェスト1日目
2002年03月18日(月)  『風の絨毯』高山ロケ3日目 高山観光


2006年03月17日(金)  弘前劇場公演2006『職員室の午後』

SRTAYDOG出身の古川康大君が出ている弘前劇場の『職員室の午後』を観る。作・演出の長谷川孝治さんのことは、去年、同じく古川君に案内をもらって観に行った『FRAGMENT F.+2』で知り、なんだこのセリフのうまさは!と舌を巻いたので、今回も期待を膨らませ、芝居通のアサミ嬢を誘ってザムザ阿佐ヶ谷へ。この小さな劇場、芝居小屋のにおいがあって、好き。

とある高校の三年生の職員室で先生たちが延々と話をする。舞台上で流れる時間は現実のリアルな長さであり、会話の内容もとてもリアル。ありそうな話題、ありそうなリアクション、ありそうな展開。なのに飽きない、目が離せない。指導教科、係まで設定されたそれぞれの登場人物は、「本当にこういう人いるいる」というリアリティを肉付けされ、喋っているセリフは生身の人間の声として響いてくる。そこに登場しない、彼らが噂している生徒や先生も、どこかで存在していると信じられてくる。言葉の応酬だけでこんなにドラマティックな芝居が作れてしまうんだなあ。「いんやぁー、面白かったっすー」とアサミ嬢も絶賛。体育教師らしく頭を丸めた古川君の熱演も光っていた。

アフターシアターは、駅前から続くスターロードという昭和の香り漂う路地を抜けた住宅街の中にあるタイ料理『ピッキーヌ』へ。二階に上がって靴を脱ぎ、足を崩してちゃぶ台に向かう。友だちの家に来たみたいな居心地のよさと本格的な味に、大満足。今度ザムザで観劇するときも、また来よう。


弘前劇場公演2006 『職員室の午後』
【キャスト】
村松四郎(理科〈物理〉教務)……福士賢治・長谷川等
岡枝竜也(数学〈代数〉生徒指導)……山田百次
西一(体育〈水泳〉生徒指導)……古川康大
神成誠二(英語 渉外)……鈴木真
北山宗介(理科〈物理〉学校訪問)……高橋淳
遠藤崇(理科〈化学〉進路指導)……永井浩仁、
分田上良平(理科〈生物〉教育実習生)……林久志
金子公子(事務員)……濱野有希
藤田涼子(国語〈上代〉学担)……青海衣央里、
坂上耐子(保険外交員)……櫻庭由佳子・斉藤蘭
平出敦子(社会〈倫理〉教育実習生)……平塚麻似子・工藤早希子
【スタッフ】
作・演出/長谷川孝治
舞台監督/野村眞仁・中村昭一郎
照明/石黒真紀
舞台美術・音響/石橋はな
装置/鈴木徳人
制作/有限会社弘前劇場

2005年3月21日 弘前劇場+ROGO『FRAGMENT F.+2』

2002年03月17日(日)  『風の絨毯』高山ロケ2日目 イラン式撮影現場


2006年03月13日(月)  ヘレンウォッチャー【ヘレンパン編】

大阪のヘレンウォッチャーさんより「ヘレンパン出現」のレポート。cookhouse(クックハウス)というパン屋さんが期間限定で発売中。いまいまさこカフェの常連・さのっちさんからはレジの模様が、小中学校の同級生で「今井雅子応援団 堺市浅香山支部」を名乗るはるちゃんからはパンの画像が届く。「実物のヘレンパンはなかなか愛嬌のある表情〜手づくりなのでそれぞれがonly one♪」とさのっちさん。「食べるのかわいそうだったけど、ヘレンのクリームパンおいしかったよ」とはるちゃん。『ヘレンの小さな贈り物』という名前の5つ入りパンもあって、こちらは「昔あったカニパンみたいな感じ。シールつきのパッケージに入ってヘレンコーナーに並んでるの」とのこと。

そのさのっちさんから「いまいまさこカフェのメニューに『子ぎつねヘレン』公開記念として『ヘレンパン』が加わると嬉しい」とリクエスト。いまいまさこカフェの談話室のメニューの大半を仕入れさせてもらっているCafe Part2の管理人で素材作者のあいちゃさんに相談すると、オリジナルメニューの製作請け負います(価格表はこちら)とのことで、早速注文。

その日のうちに「きつねのイメージ」イラストが送られてきた。「ちゃんとキツネに見えて、しかもかわいいですね。これに、パン素材の雰囲気が足されたらおいしそうなキツネパンになりそう。ふっくら、こんがり、香りの立ちそうな焼き立てパンになればうれしいです」と絵本のヘレンパンイラストを添えて返事すると、すぐさまラフが6パターン送られてきた。「ラフでこれだけできていたらバンバンザイです」と返事し、「パン屋さんに売っている動物パンは、目や鼻がレーズンになってたり、チョコレートのクッキー地になってたりチョコレートで描いてたりして、そのパーツもおいしそうですよね。(実物の子ぎつねは)目も鼻も黒なのですが、鼻のまわりと耳の中が白っぽいので、その部分だけ白いクッキー地にするのもありかも。あと、パンであることを考えると、『ひげ』は食べられるものでできていたほうがいいかと。思いつくのはポッキーですが、チョコレートで描いててもいいと思います」と注文。

この注文を受けて送られてきたラフが、こちら。「ひげの部分は最初はパンの丸みから出ないようにするのに『無し』か『短い描いたもの』とも考えたのですが、キツネらしくなくなってしまったので、マジパンやクッキーチョコでもひげのようなものはできるだろうと線で表現しました」とのこと。「いろいろなサイトなどの動物パンを見てまわったところ、目などの部分にチョコ入り生地やドライフルーツを使っているお店が多く、その場合には違う素材の乗ったパンの部分のまわりは焼き目がつきにくく、白い(焼けていない)輪郭が残るようです。彩色の際には目や鼻のまわりには焼けていない色を使う予定です」と研究熱心なあいちゃさん。「この路線で進めてください」とお願いし、「耳の中はチョコのクッキー地だけにして、白いアイシングはなくてもいいかな。鼻もクッキー地にしてもいいかも。目をドライフルーツにするなら、レーズンよりチェリーのようなプルン、ツヤツヤとした質感のものがキツネの目っぽいかなと思います」とさらに注文。

そうして週末が明けると、なんと23種類のパンが焼きあがっているではありませんか。「目や耳や輪郭に少しずつ変化を付けてみました。目は小さいものはチョコで、大きいものはチェリーをイメージしてあります。耳もクッキー生地で黒くしたものも作ってみました」。あいちゃさん、仕事が丁寧すぎます。ブラボー!迷った末に1番をいまいまさこカフェ談話室のメニューに。名づけて「子ぎつねヘレン公開記念パン」。ロングランになれば、記念に表情違いも登場させるかも。公開終了後も、末永く定番メニューにするつもり。

これだけのパンを街のパン屋さんもびっくりのお値段で作ってくださったあいちゃさんの仕事ぶりに感謝して、いまいまさこカフェはこれからもCafe Part2を贔屓にします。……と思っているうちに、「リンクをさせて頂きました。また、おすすめ本のところでも紹介させて頂きました」とあいちゃさん。やはり仕事が早いです。ヘレンウォッチャーさんの一言からはじまった、こんなあったかい交流も楽しい。これはヘレンウォーミング!?

2005年03月13日(日)  宮崎美保子さんの四角い指輪


2006年03月09日(木)  ヘレンウォッチャー【松竹本社編】

子ぎつねヘレン公式サイトポッドキャスト用インタビュー収録で松竹本社へ。企画部や宣伝部のある12階をひさしぶりに訪ねてみると、エレベーターを降りて目に飛び込むヘレン!ヘレン!ヘレン! エレベーターホールの壁一面にヘレン関連記事が貼り出され、その足元には劇中に使われたくまのぬいぐるみと巨大へレンが並んでお出迎え。

視線を感じて床に目をやると、そこにはたんぽぽ畑ヘレン。さらに進むと、つぶらな瞳で見上げるヘレン。その奥には足あとがペタペタぺタ……とゴミ箱まで続いて、和ませてくれる。もう、ヘレンったら! ゴミ箱の右にある内線電話台もヘレンがジャック。左の掲示板には映画館でのキャンペーン告知ポスター。ヘレンウォッチャー今井が大忙しでパシャパシャ撮っている傍らを、「あ、ヘンな人がいる」と顔見知りのプロデューサーが笑って通り過ぎていく。
ポッドキャストの収録は公式ブログの女王アヤコ嬢のインタビューで和やかに進み、30分ほどで終了。来週15日以降に配信されるそう。公式サイト→メニューのpodcastからどうぞ。竹田津先生、河野圭太監督、小林涼子ちゃん、テレビ東京アナウンサーの大江麻理子さんと大橋未歩さんのインタビューをすでに配信中。

2002年03月09日(土)  映画『カンダハール』


2006年03月08日(水)  innerchild vol.11『PANGEA(パンゲア)』

昨年観た『遙(ニライ)』がすばらしかったinnerchildの『PANGEA(パンゲア)』を観る。第11回公演とあるが、第4回公演の再演。先日、舞台芸術のフリーペーパープチクリの発行に関わっている友人の山下プロデューサーに会ったときに「今度『パンゲア』を観ます」と話したら、「初演を観ましたが、あれは観とくべきですよ」と言われ、楽しみにしていた。

劇場は青山円形劇場。チア仲間の宮村陽子がいた劇団MOTHERの公演を、よくここで来た。舞台を客席が円く取り囲むせいか、テント張りの芝居小屋で観るような臨場感がある。円いステージには砂が敷き詰められ、裸足の登場人物がその上を歩くと、微妙に地形を変えていく。神話の住人のような衣裳や、手に捧げ持った器からこぼれ落ちる砂も、幻想的、神秘的な空気を醸し出している。前回公演『遙』のときも思ったけれど、精神世界を漂っているような不思議で心地いい浮遊感があり、今回は裸足で地面から十センチほど浮いているような感覚を味わった。

解離性同一性障害、いわゆる多重人格を扱ったストーリーで、多重人格の中に存在する人格がそれぞれ登場人物となって現れる。ひそかにファンの杉浦理史が出演していて、うれしい。救いのない苦痛に満ちたテーマではあり、聞いていて胸が苦しくなる台詞もあったけれど、ひとつに統合しようとする「人格たち」の葛藤が目に見える形で表現されている新しさに目を見開いた。G-upの赤沼かがみさんが案内してくださる公演にハズレなし。

お芝居に行くと思いがけない知り合いに会うことが多いけれど、今日は後ろの席にサードステージの吉住さん、隣の席に『ブレスト』ドラマと絵本『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』でお世話になっている文芸社の松山さん。吉住さんはちょうど昨日、わたしの日記の『白い部屋の嘘つきチェリー』(サードステージの小宮山実花さん出演)の感想を読んだばかりだったそう。今日は太田緑・ロランスさんが出演。

innerchild vol.11『PANGEA(パンゲア)』
青山円形劇場


作・演出 小手伸也

古澤龍児 菊岡理紗 土屋雄 三宅法仁 宍倉靖二 小手伸也 真柄佳奈子前田剛(BQMAP) 町田カナ(reset-N) 杉浦理史(bird's-eye view) 伊藤修子(拙者ムニエル) 吉田晋一(カムカムミニキーナ) 太田緑・ロランス(サードステージ) 狩野和馬(InnocentSphere) 中谷千絵(天然工房) 櫻井無樹(千夜二夜) 秋山ひとみ 冨樫舞

2005年9月22日(木)  innerchild vol.10『遙<ニライ>』

2004年03月08日(月)  勝地涼君初舞台『渋谷から遠く離れて』
2002年03月08日(金)  言葉の探偵、『天国の特別な子ども』を見つける。


2006年03月07日(火)  ヘレンウォッチャー【全国からありがとう編】

街角でヘレンを見つけてうれしくなるのはわたしだけではないようで、毎日あちこちから画像が送られてくる。いちばん多いのはポスターを携帯で撮ったもの。渋谷で、新宿で、池袋で、ヘレンが続々キャッチされては「いたよ〜」と現地直送されてくる。元同僚のミチコは旅先の広島の商店街でヘレンを発見。さらに、文芸社前を通りがかったときにショーウィンドウの模様もキャッチ。


福岡のヘレンウォッチャー・たけちゃんさんは、デイリーストアからのレポート。店の前ではためくのぼりと、汚れ防止かビニール袋にしまわれたままレジに鎮座するぬいぐるみへレンをキャッチ。撮影を快諾してくださった福岡箱崎店オーナー山本さま、ありがとうございます。

さらにたけちゃんさんは、未来屋書店香椎浜店でもヘレンウォッチング。原作本の隣に『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』が平積みされているではありませんか。店長の山田さま、お取り扱い、そして撮影ご協力に感謝します。福岡の皆様、未来屋さんはヘレン本が充実していますよー。


ヘレンが縁でmixiの今井雅子コミュニティに参加してくださった名古屋のかおるこさんは、名古屋の書店の模様をmixiのアルバムでレポート。mixiの中だけじゃもったいないので、こちらにも拝借。これ、別々のお店なのでしょうか。ノベライズ&フォトブックのヘレンの目がらんらんと光ってます。ある書店員さんは、「この目は『連れてって』と訴えている」と断言していたとか。名古屋の皆様、迷わず連れて帰りましょう。レジ経由で。


かおるこさんが撮った写真の中で、わたしのお気に入りがこれ。なんとも愛らしい、カゴ乗りへレン。

2002年03月07日(木)  誤植自慢大会


2006年03月06日(月)  ヘレンウォッチャー

このごろの楽しみはバードウォッチングならぬヘレンウォッチング。行く先々でヘレンを見つけてはデジカメでパシャリ。『ブレーン・ストーミング・ティーン』の「影武者ウォッチャー」のノリ。これまでわたしが関わった作品とは規模がケタ違いな『子ぎつねヘレン』、当然出没率もケタ違い。街でヘレンを見かけない日はない、といってもいいほど。もちろんアンテナを張っているからキャッチ率も高いわけだけど。

週末に招かれた友人・伊藤家の食卓では、アニマルプラネットのヘレンウィークをキャッチ。何分かごとに「ヘレンウィーク」という文字が大写しに。後ろの画像がサルだったこともあったけど、動物好きの視聴者が多いチャンネルでのアピールは効果的と見た。サイトによると、3/13〜17の21:00〜22:00にキツネにちなんだドキュメンタリー映像などを放送とのこと。


昨日は『有頂天ホテル』を観に行った上野セントラルでヘレンをキャッチ。建物入口には左右の壁にバージョン違いのポスターと、棚にはチラシ。階段を昇った劇場脇のガラスケースの中はヘレンワールド(ちょっとうら寂しい博物館風展示)。写真には写ってないけど、その脇には巨大ポスター。

上野アトレの中にある書店「明正堂」では、『子ぎつねヘレンの10のおくりもの』(いまいまさこ作)と、『子ぎつねヘレン・ノベライズ&フォトブック』(今井雅子著)を発見。書店に並んでいるのを見たのは初めてで感激。人が多くて写真を撮らせてもらうのは断念。

都営線に乗ると、ヘレンのスタンプラリー(都電荒川線・春休みクイズラリー「子ぎつねヘレン」をさがして!)の告知ポスターがペタペタ。3/18〜4/7実施とのこと。近所なので、はじまったら、行ってみよう。ここでもたくさんヘレンをキャッチできそう。

2005年03月06日(日)  傑作韓国映画『大統領の理髪師』
2002年03月06日(水)  家族


2006年03月03日(金)  ちばっちと亀ちゃんの舞台『Soulmate』

STRAYDOGの森岡利行さんの紹介で知り合った数少ない脚本家の友人・ちばっち(千葉美鈴)とSTRAYDOGの公演後の飲み会で仲良くなったモデルで俳優のFRIDAYの亀ちゃん(亀蔦健一)が一昨日一緒に電話してきて、「突然ですけど今日から芝居やるんで観に来てください」と言う。この二人は出会った日からいきなり懐に入ってくる屈託のなさがかわいくて、若いけれどやる気にあふれていて、応援したくなるものを持っている。ちばっちが脚本を書き、亀ちゃんが出演している舞台とあれば、是が非でも見なくちゃ、と今日かけつける。

ちばっちとの出会いは、黒川芽以ちゃんの写真集『路地裏の優しい猫』の仕事をしたとき。森岡さんに頼まれてちばっちが書いたという「ヒロイン・治子の台詞」を読んで、「この人の言葉、とてもいいと思います」と森岡さんに伝えたら、シナリオ作家協会の忘年会で紹介してくれた。とてもみずみずしい台詞を書ける人。役者さんが演じた形で観るのは今日がはじめてだったけど、やっぱり台詞がいいなあと思った。登場人物一人ひとりのキャラクター付けと役割もしっかり練られていて、構成もとてもよくできている。演出のうまさもあって、ほとんど暗転なしにテンポよく物語が進み、最後まで飽きさせなかった。わたしより十才ほど若いはずだけど、この年でこれだけの力を持っていたら、これからが楽しみ。

亀ちゃんは「間」の取り方が課題だなあと思っていたのだけど、しばらく見ないうちに、その課題をクリアしていた。客席を引き付けて笑いを取るのが格段にうまくなっている。亀ちゃんが出てくるたびに観客が期待する、そんな空気が伝わってきて、うれしかった。劇中のコーラ一気飲みのせいか、横幅も成長したけど、役者としてもひとまわり大きくなっていた。

プロデュースはヒラタオフィスの松本さん。多部未華子さんが摩湖役で出演した『ブレスト』の記者発表のときに「今度、千葉さんと舞台やるんですよー」と話されていたのは、このことだった。原案・主役の川村早織梨さんと伊藤さやかさんはヒラタオフィス、大島信一さんはスリー・アローズ・エンターテイメントの所属。

スペースランド第1回公演  Soulmate
大塚・萬スタジオ
原案:川村早織梨
演出:IKKAN
脚本:千葉美鈴
出演:川村早織梨/大島信一/伊藤さやか/亀蔦健一/小池妙佳/加藤晃大/上杉晋平/滝澤翼

2005年03月03日(木)  南イタリア魚介料理『ラ・スコラーレ』
2002年03月03日(日)  文京区のスポーツクラブ


2006年03月02日(木)  シナトレ5 プロデューサーと二人三脚

脚本作りはプロデューサーと進める。書くのは脚本家だけれど、アイデアを出し合ったり、直しの方向性を探ったりする作業はプロデューサーとの二人三脚。プロデューサーが複数の場合もあるし、監督が最初から関わる場合もあるけれど、プロデューサーと脚本家がある程度まで本を詰め、会社のGOが出てから監督が加わるケースが多い。初稿から改訂を重ね、決定稿に持ち込むまでに、脚本は大きく変化し、成長する。脚本家一人だったらここまでダイナミックな変身はしないと思う。

そう考えると、コンクールに応募する脚本家の卵にもプロデューサーがいたら……となる。自分の書いたものを客観的に読み、意見やアイデアや方向性を与え、ときには喝を入れてくれる存在。自分以外の視点が入るだけで、見落としていたたくさんのことに気づかされる。わたしの場合は、彼氏と大阪の母と元同僚のアサミちゃんが「ご意見番」だった。彼氏は「おもしろい」か「つまらない」しか言わなかったけれど、彼が「つまらない」と言ったものはことごとく落選した。母の言いたい放題のコメントの中には、ときどき、ドキッとするほどの光るアイデアがあった。そして、わたしをデビューさせたいちばんの功労者はアサミちゃんだった。お芝居を観るのが大好きなデザイナーの彼女は、「一人の視聴者(観客)」として、「どうやったら、この脚本がもっと面白くなるか」を真剣に考えてくれた。その証拠となるものを先日、押入れの奥から発掘した。1999年に書いた『ぱこだて人』のシナリオを読んでの彼女の長い長いコメント。
うん、もうとにかく“シッポ”という素材が実にユニークで、映像化してみたい感じですね。ただ、細かいこと言うようで申し訳ないが、速報で長尾社長以下、重役の方々が謝罪し、「あれは副作用です」とシッポについてのお話しが公式にあったら、私だったら、損害賠償責任追及と同時に、整形外科で手術し、切除することを考えると思います。シッポがあることが、後天性原因不明の病気だとしたら、それはもしかしたら最初のうちは必死に隠そうとするかもしれない。例えばエイズのように。でもこの場合、原因は副作用にある、と判ってますから、それに同じシッポ人間、すでにマスメディアで謝罪かねがね放映されているわけで…。

きっと突然変異のシッポ人間達はその画面を見て、「僕(私)だけじゃない」とホッとすると同時に、怒りへと気持ちが変わっていくと思われ…。ましてや男性から女性、女性から男性へと、チョンギッたり、貼り付けたりが可能な今世紀。なかなかシッポと共存の道は考えないんじゃないか。だとしたら、社長の謝罪は最後にもっていき、あくまで原因不明のままシッポが生えてきてしまった、古田さん以外にひかるちゃんはシッポ人間の存在を知らない、みたいな内容でお話が進んでいくというのはどうでしょうか。必死にかくす側とそれを追求し記事にしようとするハイエナのような側と、その中で、もう追い詰められたひかるちゃんがメディアに出る。メディアに登場した後のくだりはとてもオモシロイと思います。アイドル的存在のひかるちゃん。パコダテ言葉誕生。パーコードの服がバカ売れと、禍転じて福となすを絵に描いたような展開、とてもワクワクして読みました。

ただ、反パコダテ人派の勢力が弱い気がする。今井ちゃんの性格上、あまり意地悪やドロドロは苦手なのかもしれませんが、あとほんの少し、橋田寿賀子チックな陰湿な部分があっても良いかもしれない。それらに責められ悩むひかると家族。マスコミも、最初は美人シッポ人間とうたっておきながら、今度は反パコダテ人派の人間に躍らされ、あることないこと記事にしてしまう。それにより、パコダテフィーバーが一瞬火の消えてしまったようになる。でも冷静に考えるとパコダテ人もウルトラシップの被害者だし、みたいなところでマスコミの謝罪があったり、反対派との和解があったりってな具合に、ちょっぴり陰湿な意地悪チックなものが入ると、より今井節のエッジが立ってくるような気がします。

さらに、テレビドラマではなく映画ということも念頭に置いて考えると、全体的にこじんまりとまとまっている気がします。テレビなら、このくらいの規模で十分楽しめると思いますが、映画となると、お金払って見に行くわけで…。だとすると、もう1つ2つ、なにかエッセンスのようなものが加わるか、「一方、長尾製薬では」みたいな話が同時進行するかしたほうがいいかもしれない。シナリオ自体の厚みがもう少しあると映画的には良いのかなと思ったりします。

でも題材はとてもオモシロイ。下敷きはきっと突然変異だったりするのでしょうが、私が好きな突然変異物の作品は、ジョン・トラボルタの「フェノミナン」。コマーシャルでは愛と感動の物語みたいに宣伝されてましたが、まあその部分もあったけど、ジョン・トラボルタ扮する37才の平凡な男が、誕生日の夜、夜空に不思議な光を目撃した瞬間から知性が異常なまでに研ぎ澄まされ、天才になってしまうというお話。ここでオモシロイと思ったのは、夜空に光る星を見た瞬間の映像により、「あら、この話ってSFなの?」と思わせといて、次に子持ちのバツイチ女が現れる。「ハハァ、やっぱ愛情ものなんだ」と思っていると医者が出てきて「脳に腫瘍がある」と言う。「おやおや、病院ものですかぁ?」と思わせながらも涙あり笑いありで結構内容が七変化するところがオモシロかったなあ。そんなにブレイクしなかった映画でしたが。機会があったら見てください。

とにかく勝手言いたい放題でごめんね。でも感想文て面白いよね。自慢なんだけど、小学校5年生のとき、夏休み読書感想文コンクールで、あたしゃ千葉県大会銀賞受賞したことあるんです。それ以降、アホの道を転がり落ちるようにたどり、今に至るわけなんだけど。だから今井ちゃんのように文才のある人が側にいると、とても感化されます。私も再び書いてみようと思ったりするんです。また何かあったらいつでも協力します。

という原稿用紙にびっしり手書きの「感想文」に続いて、わたしが預けておいた原稿にポストイットがペタペタ貼られ、「『しっぽが数本落ちている』というのは、『しっぽの毛が数本落ちている』の間違いでは?」などと細かく指摘が入り、登場人物表にはイメージキャストまで書き込まれていた。

海外出張から戻ってアサミちゃんからの封書を開いたわたしは、「こりゃ全面的に書き直しだ!」となる。一日遅く勘違いしていた函館港イルミナシオン映画祭シナリオコンクールの応募締切り日は、なんとその帰国当日。24時ぎりぎりまでワープロに向かい、走って五分の郵便局に「今日の消印で!」と滑り込んだ。アサミちゃんの励ましがあったからこそのラストスパートは、準グランプリという結果につながった。アサミちゃんのアドバイスを受けずに応募していたら一次選考で落ち、審査員のじんのひろあきさんの手元に応募原稿が届くこともなく、前田哲監督の目に留まって映画化されることもなかったかもしれない。『ぱこだて人』だったタイトルは監督とプロデューサーの意向で『パコダテ人』とカタカナ表記になるが、感想文の時点で「パコダテ人」と表記していたアサミちゃんには先見の明もあった。今思えば、デビュー前にプロデューサーがついていたようなもの。持つべきものはご意見番、そして、その声を直しにつなげる意志と腕。

2005年11月01日(火) シナトレ4 言葉遊びで頭の体操
2005年10月12日(水)  シナトレ3 盾となり剣となる言葉の力
2005年7月27日(水) シナトレ2 頭の中にテープレコーダーを
2004年9月6日(月) シナトレ1 採点競技にぶっつけ本番?

2005年03月02日(水)  昭和十六年の教科書
2002年03月02日(土)  手づくり

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