ENBUゼミ俳優コースの前田哲クラス発表作品『オセロ』の脚本を書いた。生徒全員を出演させたいということで「全員が容疑者になる話を」というのが監督からのオーダーだった。容疑者が14名。全員がクロかもしれないし、シロかもしれない。「オセロっていうタイトルはどうですか?」と思いつくと、「それええやん」ということになった。まず、出演者14人が自身のプロフィールにもとづいたキャラクター像を作成。わたしがそれを膨らませ、肉付けし、個々のキャラクターと被害者のホステスとの関係やそれぞれに合った動機と言い逃れを考え、刑事とのやりとりを作っていった。実際には刑事は画面に映らないし、声も出てこないので、容疑者の受け答えだけを編集でつないでいくことになる。
果たしてどんな映像になったのか、今夜、ドロップシネマ・パーティーの上映を観た。冒頭とエンディングに、シロとクロの駒がひっくり返っていくオセロ盤が登場。その正方形の升目の中にクレジットが入る。去年の『隣のモンちゃん』は、血の雨をイメージした縦書きのクレジットだった。容疑者14人の証言が編集で細切れに出てくるので、かなり多い印象。今回は14人しばりだったけれど、最適な人数は半分ぐらいかもしれない。でも、出演者全員に光が当たるので、個々の役者さんの個性はわかりやすく、プロモーションの目的にはかなっているのではと思う。前日に観た同僚は「クロとシロは紙一重ってメッセージは伝わったけど、誰が誰なのか、頭が混乱してしまった」とのこと。彼は「今井さんはいつもカラフルなものを着ているから、自分にないモノクロの話を書きたかったの?」とも言っていた。人の感想は、思いがけないことが聞けて面白い。
2002年03月23日(土) インド映画『ミモラ』