■東京では渋谷bunkamuraル・シネマでの単館上映ながら、「いい!」という評判をやたらと耳にする『大統領の理髪師』を観る。観ている間も、観終わっても、「傑作!」と何度も言いたくなる作品。これまで映画で描かれることがタブーとされていた韓国の圧制時代を、フィクションと言いつつ史実を踏まえ、なおかつ理髪師の家族の物語として描いたことで、歴史映画でありながらヒューマンドラマという絶妙なバランスが成立。ユーモアのまぶし方、中だるみのない展開、台詞回しも実にお見事。子どもの拷問シーンの描き方もギリギリのうまい表現だった。理髪師役のソン・ガンホは『JSA』でも『シュリ』でも存在感が際立っていたけど、表情で台詞を語れてしまうすごい役者さん。何たる引力。
2002年03月06日(水) 家族