■インド映画『ミモラ』の試写会チケットをもらった。2名入場できるというので、気軽に誘える唯一のシナリオライター横山亮子ちゃんに声をかける。会場近くのインド料理屋でバイトしているので、ちょうどいい。チラシには「インド版『タイタニック』あるいは『風とともに去りぬ』」と書いてあったが、夢見心地なロケーションと豪華な衣裳、突然歌い踊るサマは、インド版『ムーランルージュ』。凧上げのシーンは空を舞う凧と地を舞う登場人物の共演が楽しく、印象的だった。ストーリーは「結婚したら心も体も(家同士が決めた)夫のもの」というインドの価値観に反発するヒロインが真実の愛を勝ち取るまでを描いたもの。わたしの幼馴染みのインド人、ポピーちゃんの披露宴に出席したとき、「花婿とは今日はじめて会う」と言っていたことを思い出しながら観る。幸いポピーちゃんは電子メールという文明の利器で事前に彼とコンタクトを取っていたので、メル友と結婚したとも言える。『ミモラ』のヒロインは、好きな人がいるのに無理矢理結婚させられてしまうのだが……。一見遠回りしているような前半部は、ドラマチックな後半部のための助走。途中でintermission(休憩)のテロップが入る3時間7分の大作だったが、ラストに近づくにつれて引き込まれていった。■台詞はヒンズー語と英語のちゃんぽん。何度か出てきた「愛」を意味するヒンズー語「ピャル」のかわいくて甘い響きが気に入ったのだが、「その言葉、厨房でよく聞くんだけど」と横山ちゃん。男性シェフどうしで「ピャル」を使うのはどういうシチュエーションなのか興味がある。店では『横山ジー』と呼ばれてる横山ちゃんは、『ジー』という呼び名に『先生』と字幕がついているのを観て、「わたし、先生だったのか!」と驚いていた。