JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆NHK総合テレビ「あさイチ」10月3日放送分の説明文。 「やめたいのにやめられない 強迫性障害」 ◆コメント:徒に不安を煽り、偏見を助長するような番組構成はよろしくない。 あさイチというのはNHKの朝8時15分からの生活情報番組である。 ◆珍しい「病気」ではないし、治し方も分かっている。 こういう話題は、本来、医療従事者、しかも精神医療の専門家が書くことかもしれない。 キチガイはだまっていろ。 など、ひどいことをいう人がいるものだ。 私は自分の病気が自慢になる、などと考えたことは一度もないが、精神科患者であることを 敢えて書くのは、過去3300本の記事は罹患後に書いたものであり、 精神科の患者は知能が低くなるわけでもないし、論理的思考能力がなくなるわけでもない、 ということを世間に示し、多少なりとも、精神科、精神科患者、精神疾患への偏見を減じたいからである。 話がそれた。 詳しく書くこともできるが、長くなる。結論は、 強迫性障害はさほど珍しくないし、クスリで治療できる。 ということに尽きる。 何しろ10年以上、同じドクターに診て頂いている。 この先生は精神科の臨床医として約40年の経験を持つ、本当の専門はうつ病だが、 大抵の精神疾患の症例は診てきた、大ベテランである。 私は、今でも、そのベテランドクターに診て頂いているが、今までに色々な話をきいた。 いつだったか、何がきっかけか忘れたが、私が強迫神経症について質問したことがある。 先生の回答は明快だった。 ああ、強迫神経症は、結構多いですよ。全然めずらしくありません。あれは治ります。 とのこと。治療法は一種類ではないけれども、不思議なことに何十年も前から 抗うつ薬(うつ病の治療薬)として使われている、商品名「アナフラニール」(一般名:クロミプラミン)というクスリが 強迫神経症には、かなりの著効を示すそうだ。勿論、クスリというのは、向精神薬に限らず、 患者との相性があるから、これだけが選択肢ではないが、 私が強調したいのは、怯えることはない。症状が軽いウチに(これは何の病気でも同じだ)、 専門家の治療を受けなさい、ということである。治療開始が早いほど、一般的に治癒も早い。 番組では「カウンセリング」を用いた治療も紹介していた。 世間の人々は、クスリ嫌いが多く、特に「向精神薬」(狭義の向精神薬は精神科で処方される薬の総称)を 飲むようになったら、「おしまい」と勝手に決めつけている人が多いが、私は10年以上飲み続けて 廃人にもなっていないし、肝機能や腎機能に異常は認められない。 カウンセラーは一応「臨床心理士」というが、これは国家資格ではない。 民間資格である。臨床心理士は医師ではないから、クスリを処方することはできない。 カウンセリングは医療行為とはみなされないので、保健は適用されない。30分で5,000円も必要となるが、 治る保証はどこにもない。下手に相性の合わないカウンセラーに会うと症状が悪化することすら、あり得る。 最終的には、ご自分で決めるしかないが、私は精神科を薦める。 だれしも「強迫神経症」までならなくても、何度か施錠を繰り返したとか、 外出時にアイロンの電気を切ったことを確認した筈だ。 そういうことがたまにあったからと言ってもそれは治療を必要とするレベルではない。 「強迫」に限らず「神経症」とは、何かが気になって仕方が無く、気になりすぎて日常生活に 支障をきたす、ということになって初めて治療の対象となる。 強迫神経症から、より深刻な精神疾患になる、とか、まして強迫神経症自体で「死ぬ」ことはない。 とにかく、最初は嫌かもしれないが、「気になる」程度が常識の範囲を超えた、超えそうだ と思ったら、さっさと治療(多分、アナフラニールですよ)を受けることだ。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2011年10月03日(月) 「岩井俊二氏の小出裕章氏インタビュー作品「friends after 3.11 Koide Free」←あまりにも深い小出先生の苦悩。
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