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JIROの独断的日記
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2012年06月15日(金) 情報の軽重を考えることは大切です。「欧州」「橋下」「高橋容疑者」「子供の脳死臓器移植」

◆一人で世界の全てを見渡すことは、勿論出来ませんが・・・・。

最近は、「ネットで読めるから」という理由で、紙の新聞を購読しない(買わない)

人が増えているようです。私は情報商売なので、正直、カネがかかって辛いのですが、

例えば、日経は電子版を購読し、紙は駅の売店で買っています。

しかし、これだけだと、経済問題が最優先になりがちなので、毎日新聞も購読してます。

どうしてか、というと。


新聞の報道のあり方、色々不満がありますが、紙の新聞、

全ての紙面が全く余白なく、記事や広告で埋められていますね?

あれって、結構芸術的な「技」です。


ぴったり決められた字数で記事を書くように、新聞記者は訓練されてます。

そして、新聞のトップ(1面)ならトップに、さらにどのようなニュースを

どういう情報量で配分してレイアウトして印刷するか、これは「整理部」という部署の仕事です。

この整理部は重要な仕事で、ここがいい加減だと、

「今日、この新聞が特に重要だと考えていることは、何なのか?」

が、はっきりしない、「だらしのない」紙面になってしまうのです。

つまり、新聞各社の「整理部」は、情報の軽重(けいちょう)、重要度を、

なるべく早く決める、というそのバランス感覚が大切ですが、

これは、マス・メディアのみならず、各個人においても意識すべきことです。


◆大騒ぎされていることが、世の中全体にとって重要なこととは限りません。

今日ならば、朝方、オウムの高橋容疑者が身柄を確保されたことが

最も派手に取り上げられました。逮捕がニュース速報になるのは当然ですが、

あれだけ、網を張り巡らしていたら、捕まるのは時間の問題。


そして、高橋容疑者が地下鉄サリン事件などで果たした役割と、逃げ続けていた

という事実を考えると、どうせ死刑確定だと思います(本当は、有罪判決を待たなければいけませんが)。


ですから、1日中騒ぐことではありません。


Twitterでは、もう何週間も、毎日、何百件、何千件という「橋下大阪市長批判」がTweetされてます。

これは、皆が気がついているということですから、まあ、正常です。小泉のときは稀代のペテン師である

ことに、有権者が殆ど気付いていない、ということ自体が問題でした。

橋下のことは考えなくても良いとはいいませんが、あれだけ世間にウォッチされているので

変なことを、言ったり行ったりすれば、直ぐにニュースになるでしょう。


◆「6歳未満で脳死と判定された男児からの臓器摘出」は逐次報道する必要を認めません。

これ、メディアが実に無神経ですね。

国内で、脳死判定された子供からの臓器提供は初めてであるのは事実ですが、

6歳未満のお子さんが亡くなった親御さんが、当然いるのです。

昨日、気丈に記者会見をして、コメントを発表してましたが、

幼子を亡くした親がいる、ということですね?


いくら、臓器提供を決心したからといっても、

我が子を亡くした両親は胸が張り裂けんばかりの悲しみの中にいます。


それは、100パーセント、聞くまでもなく明らかです。


そのご両親が、やれ、臓器摘出が始まった。

心臓が取り出された、肝臓が摘出が終わった。角膜も取り出した

と、逐一報道されて、どんな気持ちになるでしょうね?

そんなことは、いちいち「実況」しなくて良いのです。

どうしても報じたければ全ての臓器移植が終わった後で、

「全て無事に終了した」と、短く伝えればいいのです。

メディア報道を見ると好奇心が優先してます。

世の人々も逐次状況を知りたいと思っていない。

報道機関のデリカシーの無さに呆れます。


◆欧州金融危機

世界のメディア、政府・金融政策担当者などが、今一番緊張してます。

金融市場は、世界中が一つのネットワークになっています。

昨日、ムーディーズという格付け会社がスペインのソブリンを3段階格下げし、

17日にはギリシャで選挙がある。

ギリシャは、財政危機にあり、自分の国が発行した債券を返せなくなるかも知れない。

デフォルト、といいますが、これを避けるために、ユーロ圏の他国からの財政支援を必要とするのです。

但し、ただで支援してくれるわけではなくて、ユーロ圏の財政支援を受けたいならば、

ギリシャは債務の国内総生産(GDP)比率を2011年の165%から116.5%に低下させる必要がある。

その為には、ギリシャ政府は財政を引き締め、つまり、無駄使いをなるべく減らさなければなりません。

ところがギリシャは労働人口の4分の1が公務員ですし、社会保障が手厚い。手厚すぎるのです。

公務員年金は、現役時代の給料とさほど変わらない。

ギリシャ人は、今までそれが当たり前と思い込んでいますが、

緊縮財政政策を取るということは、公務員の給料や年金支給額を減らす必要がある。それはイヤだ、という人達が

世論調査ではまだ半分近いというのですが、財政立て直しをしないなら、ユーロ圏他国は財政支援してやらないよ?

といっているのです。そしてユーロ圏の支援を受け入れないのなら、共通通貨ユーロか出て行きなさい、と。


そこまで来て、初めてギリシャ人にも事の重大さが分かりました。

ギリシャは元々ドラクマという独自通貨をもっていましたが、経済力のない、つまりあまり信用が無い国、通貨だったので、

金利が高く、ギリシャ国民は借金をしづらかったのですが、統一通貨ユーロは、信用があるので、金利が低い。

ギリシャ国民は、ドラクマ時代よりも低い金利で借金ができるようになりました。

また、統一通貨ユーロ圏内は、たとえばドイツも同じユーロを使っているので、貿易をするにも

いちいち通貨を替える必要がないですね。為替リスクがなく、両替の面倒もない。だから、一時期、

ギリシャ人は調子に乗り、借金をしまくって、ドイツのポルシェを買いまくったので、

「ギリシャはポルシェを世界一多く保有している国」といわれていますが、これがユーロから追い出されて

ドラクマに戻ったら、弱小通貨ですから、ドラクマ安になる。つまり他国からの輸入品の値段がすごく高くなりインフレになる。

これが怖い。はっきり言って狡いのです。ユーロの信用力を享受したいのなら、日本人並は絶対に無理ですが、

いくら何でももう少し働け、と。民間で稼いで税金収めろと。いうことです。


17日の選挙では、2つの政党、緊縮策をとり、ユーロ圏の支援を受け入れようという、「新民主主義党(ND)」と

緊縮財政反対を掲げる(アホですな)ギリシャ急進左派連合(SYRIZA)のどちらが勝つか?が注目されています。


ギリシャ急進左派連合が勝利してしまうと、ギリシャは、ユーロ圏から放りだされます。

すると、ギリシャの銀行に投資していた、他のヨーロッパの銀行が資金繰りが危なくなり、

さらにそれら、ギリシャ以外のヨーロッパの銀行に投資していた、アメリカや中国の金融機関が大損して、

さらにそのアメリカの銀行に投資してた日本の投資家も潰れるんちゃうか?と、金融はそういう風に繋がってます。

日米欧の各国中銀が日曜日も出勤して、ギリシャ選挙の結果を注視するのは、万が一、ギリシャが、

ユーロ離脱ということになっても、ギリシャに投資してた銀行、その銀行に投資してた銀行・・・

がおカネを回収できなくなりそうだったら、直ぐに中央銀行(日本なら日本銀行です)が

金融市場に資金を注入する相談をしてるから、大丈夫だよ、としきりにパニックを予防しようとしてます。


とりあえずは、それで事態を沈静化できても、信用不安は残ります。つまり、

ヨーロッパのあの銀行、実は資本不足じゃないの?というような噂が流れただけで、

リーマン・ショックのときのような、信用収縮、つまり銀行ができるだけ貸出は安全運転に徹しようと。

信用収縮といいますけど、リーマンのときは、それで世の中全体のおカネの巡りが悪くなって、

世界中が同時に不況に突入してしまったのです。

リーマン・ショックは、2008年9月15日に発生しました。

昨年の初めの頃は、日本経済は、漸くその長い痛みから抜け出しかけていた。

それなのに、東日本大震災で、元の木阿弥になってしまったのです。

この上、欧州経済危機の影響を受けたら、また不況が長引きます。

全然、対岸の火事ではない。ものすごくきわどい状態です。


◆原発再稼働

欧州金融危機の説明が長くなってしまったし、大飯原発の再稼働については、

今までにも書きました。

時事通信が15日(金)に発表した世論調査では、大飯原発再稼働に関して、

「反対」が46%、「賛成」が39%で、辛うじて「反対」が「賛成」を上回りましたが、

私としては、福島第一原発の悲劇をみているのに、まだ約4割の回答者は原発再稼働に

賛成である、ということが驚きです。経験から何も学んでいないのがショックです。


◆まとめ:できるだけ色々なニュースを並行的にウォッチしている人が多いほど安心です。

あまり偉そうなことを書きたくありませんが、日本人のTwitterを読んでいると視野狭窄的で、

橋下大阪市長批判の人はそればかりだし、原発再稼働反対の人はやはり他のことを話さないし、

世の中の問題には、我、関せずでずっと音楽の話をしている人もいて、それぞれ自由なんですが、

社会と無縁でいられる人はいないので、色々な方面に意識的に注意を向けることが、

やはり大事なのではないか。

同時並行的に色々なことが視野に入っている人が多いほど、

世の中全体が安定的な状態に近づくのではないか、と思います。

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