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JIROの独断的日記
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2007年06月15日(金) 「チャイコフスキー国際コン:弦楽器製作で日本人が1、2位」←「良いこと」は大ニュースにならないのか?/ご本人からコメント!

◆記事:チャイコフスキー国際コン:弦楽器製作で日本人が1、2位

【モスクワ杉尾直哉】「第13回チャイコフスキー国際コンクール」が13日、モスクワ音楽院大ホールで開幕した。

30日までの日程で行われ、ピアノ、バイオリン、チェロ、声楽(男女)の4部門で34カ国の約200人が競う。

音楽部門に先立って12日まで開かれた弦楽器製作コンクールのバイオリン部門で、

イタリアでバイオリン工房を開く菊田浩さん(45)=名古屋市出身=と高橋明さん(36)=大阪府枚方市出身=が

それぞれ優勝、準優勝を果たした。

94年にチェロ製作部門で橋本剛俊さんが優勝したのに次ぐ快挙。

両氏をかつて指導した岩井孝夫さん(53)=大阪府高槻市=のバイオリンも「最高の音色を出した」として特別表彰を受けた。

(毎日新聞 6月14日 0時09分)


◆コメント:良いニュースは好まれないのかね?

こういう、良いニュースはどうして取り上げないのかね。

今年、2月に、ローザンヌバレエコンクールで日本人の河野舞衣さんが2位に入賞した。

どこのマスコミも大きく取り上げなかった。

今回と同じく、文化的な事に最も理解がある毎日新聞(何せ、天下の「毎コン」を主催する新聞だからね)が取り上げただけだった。

そのとき、私は「バレエ:ローザンヌ国際コンクール 若手の登竜門、河野舞衣さん2位」←こういう事を大きく報じないから世の中暗くなる。(ココログ版では、ここにあります

という記事を書いた。

その記事もあまり読まれなかった。約3か月後、ローザンヌ・国際バレエコンクールの模様がNHKで放送されてから、

つまり、少し皮肉を交えるならば、河野舞衣さんの容姿が可愛いとわかった瞬間から、「河野舞衣」や「河野舞衣 ローザンヌ」で検索し、

アクセスする人が爆発的に増えた。ところが、流石は日本人で、約一ヶ月後には、殆どいなくなった。

が、それは、余談である。

私が繰り返し主張したいのは、テレビは暗いニュースを先に流す。

悲惨な事故、凄惨な、或いは猟奇的な犯罪、政治家、公務員の汚職・不祥事。枚挙に暇がない。

しかし、テレビで放送され、新聞で報じられることは、世の中で起きていることのほんの一部であり、

それが「全て」ではないこと、を認識するべきである。

実際には、良いこと、目出度いことは起きている。


◆日本人が作った「西洋音楽の楽器」が西洋人の作品に優る、と認められたわけである。

ローザンヌの河野さんに続き(本当はこの間にもいろいろなコンクールで日本人が受賞しているのだが、略す)、

今度は、日本人の弦楽器製作者が世界で最も権威のあるコンクールの一つ、

チャイコフスキー・コンクールの製作部門コンクールで1位と2位を取った。

菊田さんが45歳、高橋さんは36歳。楽器職人として脂がのってくる頃だが、何が凄いって、

「西洋音楽を演奏するための楽器を」
「日本人が作り」
「西洋人が作った楽器よりも優れていると認められた」


という事実である。

また、日本人を1位と2位にした西洋の人々のフェアな態度に敬意を表する。

但し、日本人が作った西洋音楽の楽器が西洋人に評価されたのはこれが初めてではない。

リヒテルという20世紀最高のピアニストはヤマハが彼のために作ったピアノを愛用した。

その話は1914年3月20日、100年に一人の天才ピアニストが生まれた。名をスヴャトスラフ・リヒテルといった。

「プロジェクト X」は、やはり、良い。(ココログ版はこちらです)に書いた。

管楽器も、ウィーンフィルのオーボエやホルンが日本製であることを御存知であろうか?

それについては、ウィーンフィルのオーボエ 日本人技術者の執念(この頃、ココログは始めていませんので、悪しからず)をお読み頂きたい。


◆随想:楽器製作ってロマンティックですね。自分が逝った後も自分の楽器が何百年も世界中の人々を喜ばすのですよ。

「それをいうなら、まず作曲家だろう」と、いわれると、確かにそうなのですけどね。

作曲をしても、演奏してくれる人がいなければ、作曲家は評価されませんね。

演奏者は楽器がなければ演奏出来ません(声楽は別として)。そして演奏とは時間の経過と共に消えてゆきます。

録音は遺せますが、実際の演奏とは違います。

楽器というのは、当たり前ですが、「形があって見えるもの」ですね。非常に直接的に分かります。

楽器は、まさにその楽器が音を出すのですから。音楽の最終的な現実化の手段なわけです。

弦楽器は本当に神秘的です。

御存知の方も多いでしょうが、イタリアのクレモナというところで17世紀から18世紀にかけて、

ストラディバリ、ガルネリ、ガダニーニといった弦楽器製作の天才が続出したのですが、

300年前に木で作った楽器と弓が今でも弾ける、ということがまず奇跡的に思えます。

そして今の楽器よりも300年前の楽器の方がいい音がする。

但し、これに関しては、これは今の楽器が300年経てばいい音がするものが出るかも知れないので、

今の製作者の技術が300年前の名人に及ばない、とは言いきれません。

いずれにせよ・・・。

自分の作った楽器を名人が弾いて、それを聴いた人々が

「何という美しい音色だ!」


と、心を揺さぶられるのです。

たとえ製作者の名前を知らなくても、製作者に思いを馳せることがなくても、製作者は幸せだろうと思います。

そういうことを夢見て、楽器を作る人々。ロマンティックですねえ。



人間が使う道具で「器」の文字がつくものが少なくとも二つあります。

人を殺す道具を「武器」といい、人を喜ばせ感動させる音楽を奏でる道具を「楽器」と言います。

人を殺す道具は作るのも使うのも、難しくない。高校生がネットで調べて爆弾を作る。鉄砲を撃つための訓練は大人になってから始めれば充分です。

人を感動させる道具をは作るのも、使うのも、大変です。作る人は親方に散々怒られながら修業を積む。

使う人(演奏する人)は子供のころから毎日何時間も練習して、やっと人を喜ばせる音楽を奏でることが出来るようになる。

この国の指導者は、人を殺す道具を使う集団の事ばかり考えているようですが、そんなものを海外に派遣しても誰も尊敬しない。

もしも、私が日本の首相ならば、人を喜ばせる道具を作る人と使う人、そして、それを目指す若者を応援する国にしたい。

世界一教養のある、文化的で平和的な国をめざすでしょう。

そういう国が、尊敬されない訳がない、と思います。


◆【追加】受賞者のお一人、高橋さんご本人からコメントを頂きました。

エンピツをご覧の方はお分かりにならないので、追記させて頂きますが、この記事のココログ版に、

今回の受賞者におひとりである、高橋明さんご本人からコメントを頂きました。ので、

ご報告します。こういう事は滅多にあることではありません(ソプラノの森麻季さん以来です!)
無上の光栄であり、素人ながら物書き冥利に尽きます。

高橋さん、菊田さんに、心よりお祝い申し上げると共に、

高橋さんには、わざわざコメントを頂き、厚く御礼を申し上げますとともに、

お二方の益々のご活躍をお祈り申し上げます。


【読者の皆様へ】

折角、高橋さんご本人からコメントを頂いたことですので、

もし、よろしければ、菊田さん、高橋さんへのお祝いのメッセージなどを、

ご自由にココログ版のコメント欄にお書き下さい。

私(JIRO)宛(私経由)でなくて結構ですから、ご本人方に宛てて、お書き下さい。

喜んで下さると思いますよ。

【読者の皆様にお願い】

駄文をお読みになり、お気に召した場合、エンピツの投票ボタンをクリックしていただけると、幸甚です。

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よろしく御願いいたします。


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