其処へ、 形が添えられた理由は。
想いを補完し、 想いを増幅する為では無い。
密に見えながらも、 あやふやな儘で在り続けた、 其の空気へ。
加えた、 昇華核に過ぎないのだ。
其れ故に。
其の輪に依存せず、 想いが在り続ける事など。
至極当然で。
増して。
其の輪の存在すら、 否定した姫に。
輪へ宿す想いなど、 在ろう筈が無いのだ。
指から外され、 放置された姫の輪に。
何時の間に。
姫は、 想いを宿したのだろう。
態と、 指から外し。
態と、 姫の輪に重ねて置いた筈の、 俺の輪は。
何時の間に。
其処から、 姿を消して居たのだろう。
「どこに置いたの?」
「洗面所に無い?」 「姫のに重ねて置いて居た筈だけれど?」
突然。
姫が、 其の所在を問い。
「姫のに重ねて置いて居た筈だけれど?」
「無いよ。」 「私のはずいぶん前に仕舞ったもん。」
「え?」 「じゃぁ何処に在るの?」
「知らないわよ。」
重ねて置いた筈の、 一方が。
拘りを嘲笑うかの様に、 消えた。
---------- References Jan.20 2007, 「其の輪に意思が居るのでしょうか」 Aug.23 2006, 「其の輪は柵の象徴なのでしょうか」 Apr.02 2006, 「閉じた扉を開けたのでしょうか」 Mar.25 2006, 「糸は切れたのでしょうか」
|