一つ一つの、 事柄は。
一つ一つが、 単独に、 仕舞い込まれる訳では、 無いから。
想いの詰まった、 欠片は。
幾つかの欠片を、 組み合わせた形で。
自身の奥底に、 保存されるのだ。
其れ故に。
永く、 永く、 脳裏に残存する為には。
より多くの、 印象深い出来事を。
立て続けに誘発させる必要が、 在るのかも知れない。
「美味しいね。」
「本当?」
「姫がこういうスープ作るの。」 「初めてじゃない?」
「そっかな。」 「暑かったから作らなかったんじゃない?」
食事時の会話に。
欠陥が、 形を潜めて居る事へ、 気付き。
慌てて、 平静を装った。
姫の料理に対して。
俺の想いが、 不足して居るから。
記憶に、 残らぬのだ。 |