如何に、 同じ想いを共有して居ようとも。
其の解は、 一意的には定まらない。
其れ故に。
何方に重きを置くのか、 其の相違に。
時に、 意地を張り合って終うけれど。
本来は、 同一の想い故に。
其処に、 自身を突き通せぬ甘さが、 宿るのだろうか。
其れとも。
意固地の張り合いに負けた、 想いの弱さだろうか。
俺と。
子と。
別の存在と。
失う命への想いは、 数で、 勝って居る筈なのに。
遺す命への、 想いの目方が上回る。
「もう一人が。」 「私から消えた強さを私に返そうとしてるのも知ってる。」
「うん。」
「でも断ったよ。」 「あたしの方が強いんだから。」
あの子は。
自身が上位で在る事の自尊心を、 決して失わず。
「小坊主との時間が少しでも長くあるようにって。」 「子供呼んで来てくれたのも知ってる。」
「うん。」
「でも子供に親の命を背負わせちゃ駄目。」 「心に一生残ったら悲惨だよ。」
「そうだね。」
あの子は。
自身が母で在る気概も、 決して捨てない。
未だに、 俺には感知出来ぬ存在を。
「帰ってきた。」 「もう一人が呼んだみたいね。」
「そっか。」 「其れで少し胸の辺りが肌寒いのかな。」
「ふふ。」 「久しぶりだぁ。」
満喫しながら。
其れでも。
遺される側の事ばかりを。
あの子に、 想い続けさせて終うね。
---------- References Feb.28 2015, 「現世への寄す処でしょうか」 Aug.14 2013, 「足並みを揃えて祝いませんか」 Dec.04 2012, 「好きな場所は同じでしょうか」 Dec.01 2012, 「触れられぬ温もりでしょうか」
|