< 喧嘩の種を贈るのですか >
こんな事で言い争うのは止めようと、 こんな事で喧嘩をするのは止めようと。
今にも泣きそうな貴女が、 俺にそう言ったのは、 既に三月も前。
貴女の地に在る物と、 俺の地に在る物と。
確かに其処には、 大きな違いが存在するけれど。
冷静に状況を見つめ。
余りの滑稽さに、 場にそぐわぬ不謹慎な笑いを、 隠す事が出来なかった。
「円やかなんだよ?」 「知らないもん。」
「有名だって!」 「知らないもん。」
そんな物は認めないと、 お互い意地を張り。
「スープも付いて無いの?」 「スープなんて付くの?」
「残り湯で入れるんだよ!」 「お湯は捨てるもんでしょ?」
そんな方法は邪道だと、 お互い譲らない。
「だったら持って来てよ!」 「嫌だよ。」
「何でよっ!!」 「探知機通す時に見られるんだよ?」
「は?」 「空港の係員に『ヤキソバ?(笑)』とか言われるんだよ?」
高が即席麺の一種に此処まで興奮し、 不毛の議論を繰り返す。
言い返せぬ貴女は、 旗色の悪化した事を切っ掛けにして、 其の馬鹿さ加減に先んじて気が付いたんだ。
ほら見ろ。
「ぺヤングの方が美味しいかも。」
貴女の敗北宣言に、 勝ち誇って見たけれど。
「沢山贈ってね!」
負け惜しみを含んで。
矢継ぎ早に、 立て続けに、 強請る貴女の言葉に。
今更ながら、 鼈の様な貴女の執念深さを感じずには、 居られないんだ。 |
2003年06月29日(日)
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