其処に、 確乎たる想いは存在して。
切に、 切に、 互いの幸を、 願い逢って居るのだけれど。
其処に在る、 確乎たる行為は。
寧ろ、 其の希う想いの具象化とは、 懸け離れて居る。
彼方に、 其の身体は在って。
永く、 永く、 其の姿を、 観続けて来たのだけれど。
眼前に在る、 其の身体へ触れる事は。
観続けた想いの、 具象化から。
其の身体を、 牽き契る事に他ならないのだ。
「気持ち良いよ。」
「俺も。」
腕の内に組み伏せた、 水路の街の人を。
一歩、 一歩、 深みへ惹き込んで行く。
願い続けた幸せの形と、 自身の行為は、 対極に位置すると。
警笛を、 鳴らし始めた左胸の、 痛みに。
一瞥をくれて。
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