実際に受ける衝撃が、 果たしてどれほど大きい物か。
俺には想像すら付かないけれど。
一度同じ立場に据えられ、 そして既に其の座を去った者の、 純粋かつ完全な代替物として捉える事は、 まず不可能に違いない。
好意は好意だ。
しかしかつて其の座に居た者を、 自身の脳裏に焼き付けている者にとっては。
例え其の相手に好意を持っていても、 同じ立場の人間が二人存在すると言う現象は、 受け入れ難い。
「夜は外で食事しています。」 「時間が合ったら小坊主も顔出せますか?」
「相談があるんだけれど。」
俺のお袋が口にした言葉。
同姓の友人達と会食、 新たに始める仕事の相談であり、 現実には俺の勘違いであったけれども。
実母の横に、 違う雄が父として出現する可能性を示唆されただけで、 此処まで動揺する自分が、 同じ行為を小さな彼に与えて良いものなのだろうか。
死別で去った父と、 離別で去った父と、 両者に違いはあれど。
小さな彼が、 何処まで俺を受け入れるのか。
非常に気を遣う小さな彼が、 何処まで本心を開いてくれるのか。
今お袋に再婚相手が現れたとしたら。
俺はきっと、 心を開けないのに。 |