無責任賛歌
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2004年09月14日(火) |
「宅間守」という“役者”の死/『ああっ女神さまっ』29巻ほか |
ここんとこ自分とこの日記を更新するのが手一杯で、ヒトサマの日記を覗きに行くことが少なくなっていた(いつものことという説もある)。 この日記は「エンピツ」の「アニメ/漫画」の項目に登録してあるのだが、同じ項目の方々の日記も覗きに行くのは「お気に入り」に登録して下さっている数人だったりするので、今まで殆ど気付いてなかったのだけれど、ここの方々、殆ど女性で、男って私一人くらいしかいないのね(^_^;)。 ……いや、今まで気付かなかったのがどうかしてると言われそうだけれども、私が最初に登録したときには人数そんなにいなかったから、登録者の男女比なんて、たいして気になってなかったし。それが今や、中高生の女の子たちが「アニメイト」でキャイキャイ言ってるところに、中年のオッサンがうっかりノソッと現れてしまったような、実に居たたまれない雰囲気になっているのである(-_-;)。 昔ほどにマンガの感想も書かなくなっているし(それどころか読んだ本のタイトルすら書かなくなってしまっていた)、どこか別のところに引っ越そうかとも思うのだけれども、適当なところがほかにない。「映画」の方に行っちゃおうか、相当考えたのだけれども、あちらは毎日更新してるような活発な日記が少ないので、ご近所さんを覗きにいく楽しみがあまりないのである。 マンガの感想用に別コンテンツ立てたはいいものの、そちらの更新もままならなくなっている。やっぱりこちらでちょっとだけでもいいから以前みたいにマンガの感想書いてったほうがいいかなあ、と考えなおしているところなのである。でも、そうなると相当思いきって短く書かなきゃなんないんだよね。そりゃわかってることなんだけれども、これがそう簡単にはいかないのである。 だいたい何で文章が長くなるかっていうと、「このマンガを紹介するためには、筋とかキャラクターとかもある程度書いとかなきゃ知らないヒトにはワケわかんないんじゃないか」なんて考えてしまうからなんだね。「要約プラス感想」なんてことしてりゃ、そりゃ文章長くなるばかりだって。 ほかの方々の日記を読んでると、そこんとこはもうすっ飛ばして、「読んでる人には説明不要」で感想だけ書いてるから、割り切ってそうしちゃえばいいのである。なんか、ここまで「看板に偽りあり」状態が続いていると、心苦しくて仕方がない。……いやねえ、これまで細々と目立たず日に五、六十件のアクセスしかなかったのが、ここんとこアクセス数が毎日100件越すようになっちゃったんで、なんか毎回内容のない駄弁りばっかり書いてるのも申し訳ない気分になっちゃってね。
というわけで、やっぱり思いきってマンガの感想もこれからちょっとだけ書くことにした。ただし、どんなに説明不足になろうと「(画面フルサイズで)五行以上は書かない」という枷をつけよう。でないと、本当に更新なんて不可能になってしまうのである。 今日読んだマンガの1冊目。まだ読んでたのかの藤島康介『ああっ女神さまっ』29巻。 ウルドがようやく1級神試験を受ける。もっともこれまでどれだけ1級と2級に差があるんだって感じだったんで、今更なんだけど。最近、藤島さんは絵柄をまた変えたけれども(一つの絵柄描き続けると飽きるんだそうな)、ファンじゃなきゃ気がつかない程度の差異なんだろうな。アオリでチチ強調したり、かなりエロ度増してるんだけどね。テレビアニメ化決定だそうだけど、かなり線を安定させるのが難しそうな今の絵柄でやれるのかなあ? もう1冊は、岡野剛『未確認少年ゲドー』1巻。懐かしの『ぬ〜べ〜』のマンガ家さんね。「妖怪」が「未確認生物」に変わっただけで基本的には同じマンガだ。しかし気になるのはゲドーの目で、「エジプトの壁画から取った」って書いてるけど、「ねこぢる」じゃないのか、アレは。かなりムリのある設定ばかりであまり面白くないんだけど『ぬ〜べ〜』の時も「絵柄が好み」ってだけで買ってたんだよなあ。
本格的に仕事再開、初日でもうバテる。 何だかまた少し風邪を引いたみたいで、鼻水が詰まって息が苦しい。そろそろ涼しくなるかと思って、長袖で出勤したのも敗因。いやもう昼から暑い暑い。これでまたぐたっとなって、予定していた仕事が捗らず。仕事のやり残しは明日以降に響くからなあ。病み上がりだってのに持つのかオレ。 残業してもおっつかず、そぼ降る雨の中、くたびれて帰宅。今日はしげも早出の出勤で迎えに来れないので、バスで帰ろうとしたら今出たばかりで30分以上待たなきゃならない。トテモそんな元気はないのでタクシーで帰る。あまりムダ金は使いたくないのだけれども、今は体力温存のほう優先しないとしょうがないのである。
帰宅して、NHKBS2で、『コナン・ドイルの事件簿』第2話「惨劇の森」を見る。 昨日の第1回は映画に行ってて見損ねてた。イアン・リチャードソンのベル教授は肖像画の本人にソックリで、さすがはBBC、と拍手したくなる。ただ、全体的な雰囲気は悪くないんだけど、ベル教授があんなに事件に対して積極的ってのは、何かイメージが違う。もちろんそうしないと推理ドラマにならないってのはわかるんだけど。話自体はオリジナルなんだろうけれど、いかにもドイル的な因縁話。そのあたり、脚本家がいかにも原作を読みこんでる印象なんだけれど、それがイマドキおもしろいかどうかということになると、ちょっとだけ疑問符も付くのである。
アメリカの人気テレビ番組がこちらで放送されることはBS・CSでだって必ずしも多くはない。ドラマならばまだしも、バラエティ番組となれば殆ど見る機会なんかないと言っていいが、以前、『キネマ旬報』で紹介されていて、「うわ、これ見てみてえ!」と思った番組が一つある。それが『The Apprentice(見習い人)』なんだけれども、これ、ただのバラエティ番組ではない。 番組のホストはあちらの不動産王ドナルド・トランプ。 「28歳で独立し、市内の老朽化ホテルをよみがえらせ、1983年には世界一豪華といわれた黄金ビル『トランプ・タワー』を五番街に建設。1990年代の不動産不況で資産を失ったが、事業を建て直して不動産、ホテル、カジノ経営で、資産30億ドル超といわれる立志伝中の人物」だそうな。 番組は毎回、一般からの出演者を募り、数十人がトランプ氏のもとで13週に渡って勝ち残り方式で実業家訓練を受けていくシミュレーション方式。芳しい成績を上げられなかった参加者は、トランプ氏から、「You're fired!(首だ!)」の宣告を受けて脱落していく。最後に残った1人は、トランプ氏に“本当に”採用されて要職に就くことができるという、言ってみれば会社の採用試験をそのまんまバラエティ番組にしてしまったものである。まあ、日本にも似たような番組がこれまでになかったわけじゃないけれども、その規模のケタが違う。料理勝負とか、資金を何百万円か出してもらえるとか、そんなささやかなものじゃなくて、ムリヤリ日本でたとえるなら石原慎太郎が都庁の役員をバラエティ番組で選んじゃうようなもんだからだ(もっと凄いか?)。 アメリカさんはさすがに考えることが違うねえ、と感心してしまいそうだが、アチラでだって『The Apprentice(見習い人)』は相当に型破りな番組なのである。13日に、グローバル・ランゲージ・モニターが発表したテレビ流行語の新リストで、先ほどの「You're fired!(首だ!)」がトップになったが、それだけアメリカ人もみんなワクワクしながらこの番組に注目しているのだ。もちろんこの人気もブッシュ政権の赤字経済のせいで失業率が増加していったことなどと無関係ではあるまい。毎回トランプ氏が出演者たちに任せる事業は“現実の”子会社の経営なのであり、そこでのトラブルをいかに解決するか、本当の危機管理能力が試されているのである(らしい)。視聴者だって、これからの世の中、いかに自分たちが生き残っていくか、ある意味“本気で”この番組を見ているのであって、これは、大統領の無能な政策に対するトランプ氏の挑戦であると見ることもできるのだ。 アメリカで何か番組がヒットすると、追随したような番組が日本でも作られることが多いが、これはさすがに簡単にマネはできないだろう。だからこそこの番組そのものをちょっとだけでもいいからCSとかで放送してくれないかと願ってるんだけど、なかなかムズカシイかねえ。
2001年、大阪教育大付属池田小学校で児童8人を殺害した宅間守の死刑が執行。 死刑反対論者ででもない限り、妥当な結果、と考えている人も多いと思われるが、なんだかどうも釈然としない。事件自体もそうだが、死刑に至るまでのプロセスは全ては宅間死刑囚の独擅場だった。 「家庭が安定し、恵まれ、勉強できた人間でも、アホで大けがして展望のない腐りきった自分のようなおっさんに、たった五、六秒で刺されて死ぬ。そんな不条理さをわからせてやりたかった。いくら勉強できようとがいつ死ぬか分からん人生。世の中勉強だけちゃうぞと一撃を与えたかった」「エリートでインテリの子をたくさん殺せば確実に死刑になれると思った」などの手前勝手な主張を聞いて、我々は憤った。しかし考えてみると、宅間死刑囚の思惑は全て図に当たってしまっているのである。 被害者の子供たちは全く不条理に殺された。そして宅間死刑囚は死刑になった。けれどそれは全て彼が望んだ通りの結果なのである。 いや、宅間死刑囚は、最期には自分の罪をちゃんと認識していたぞ、というご意見もあるかと思う。一見、反省とも取れる言葉を、接見した東海女子大の長谷川博一教授に彼は語っているからである。「殺された子供の立場に立ったら無念だったろう」「自分のしたことで不幸になった人がいるのは分かっている」。けれど私に言わせればこんなのは悔悟の言葉でも何でもない。ただ自分のしたことの因果関係を事実として確認しているだけのことである。結局、彼は蕭然として自ら首を縊ったも同然である。 私がどうにも釈然としない、というのはここなのだ。 これは「死刑」ではなく、ただの「自殺」ではないのか。法は、彼に罰を与えるどころか、彼の自殺を手伝ったただけではないのか。もちろん、彼を死刑にするべきではなかった、などと言いたいわけではないが、“本人にとって何の罰にもなっていない”刑に、いったいどんな意味があるのか、どうしても納得し難いものを感じないではいられないのである。 これは、たとえ死刑になろうとも、法が宅間死刑囚の前に「敗北」した瞬間なのである。「劇場型犯罪」と呼ぶなら、これは、俳優・宅間の演技に我々が無理矢理脱帽させられてしまっているのである。悔しいとは思わないか? ……ドス黒い感覚であると知りつつ、あえて言おう。 宅間死刑囚にはどこかで自分の罪を悔悟してほしかった。そして、自分が死刑になる恐怖におののいてほしかったのだ。13階段を上りながら、「死にたくない! 俺が悪かった! 助けてくれ!」と身を捩じらせ醜く泣き喚く彼を死刑にしてこそ、我々の溜飲は下がったはずなのだ。しかし、どんなに時間をかけ、説諭を繰り返したところで、まさしく「腐りきった」彼にそんな瞬間が訪れることはなかっただろうと思う。 どんなに怒りが収まるまいと、我々は、彼が語ったごとく、腐りきった人間にごく普通の子供たちが(宅間死刑囚にとっては小学生でもエリートに映ったようだが)殺されてしまう“不条理”、それを、臍を噛みつつ、事実として受け入れるしかないのである。 ……せめてラクに死なせるんじゃなくて、指一本ずつ切ってくとか、なんかそういう苦しめて苦しめて苦しめた末に殺すくらいのことはしてやりたかったよ。
2003年09月14日(日) タイトルを付ける元気もね〜や(;´_`;)。 2001年09月14日(金) カリメンしげ/『モーツァルトは子守唄を歌わない』1巻(森雅裕・有栖川るい) 2000年09月14日(木) 通院と残暑と誕生日プレゼントと/『世紀末アニメ熱論』(氷川竜介)ほか
2004年09月13日(月) |
『スウィングガールズ』&『ヴィレッジ』を見た日。……ああそうそう、それから妻の誕生日(^o^)。 |
しげの公式の誕生日。 しげももう31であるが、未だに20代前半みたいな童顔だから(つか、年齢不詳だね)、私と並んで歩くとホント、釣り合いが取れないのである。そう言えばこないだ救急車で運ばれた時に、救急員の人から「お父さん、大丈夫ですか!?」って声かけられたっけ。パッと見、私とじゃ20歳以上トシが離れて見えるから仕方ないんだけれども。それでもまだ白髪染めとかはあまりしたくない。
朝、日本映画専門チャンネルで市川崑監督版『吾輩は猫である』を見る。 公開当時は盛りあがりに欠けるだの何だの酷評されてたけど、もともと散漫な原作をよく纏めていて、市川崑の映画の中では佳作の方だろう。仲代達矢、波乃久里子、島田楊子、伊丹十三、岡本信人、篠田三郎、左とん平、前田武彦、神山繁、三波伸介、岡田茉莉子、篠ひろ子、緑魔子などなど、これだけの癖のある役者を集めてしかもそれをアンサンブルのように見事に演出して見せた腕の冴え、もっと評価が高くてもいいと思うのだがなあ。 原作にない、「吾輩」の死後を描いたラストが特に好きなのである。「あのときお前は泣いていたねえ」という苦沙弥先生(仲代達矢)の茫洋としたセリフが実にいいのである。
ちょうど休日出勤の代休だったので、昼から誕生祝を兼ねて外出。つか、私の目的は映画なんだが。 福家書店を回って、ゆうきまさみの『鉄腕バーディー』6巻、和月伸宏の『武装錬金』4巻、桑田乃梨子『豪放ライラック』1巻、『アニメージュ』と『Newtype』の10月号を買う(全部読んだけど、感想書いてるとキリないので省略)。 天神コアの食堂街で、和食。ランチプレートで、かしわ、焼き肉、揚げ出し豆腐、カツオのたたき、などがちょいちょいとあって、デザートにムースが付いてくる。ゆっくり一品ずつ味わうように食べながらふと向かいのしげを見ると、まだ5分と経っていないのにもう全て平らげている。 「早いな、もう食ったのか」 「だっておなかすいてたんだもん!」 ハラが減っている時ほどゆっくり食べないと、かえってくちらないものなんだが、そういうアタマもしげにはない。私はゆっくり食べたので充分おなかいっぱいになったのだが、先に食い終わったしげは、しきりに「おなかすいた」を連呼するものだから、鬱陶しくて仕方がない。コイツの背中に10リットル入りのボトル背負わせて、そこから四六時中、流動食を管で口に送りこんでやりたい気分だ。そうすりゃこいつのムダなおしゃべりも聞かずにすむし一石二鳥である。 慌ててかっくらったせいだろう、テキメンに腹を壊したしげ、「痛い痛い」と言いながら、岩田屋Z−SIDEでトイレに駆けこむ。だからいつも「慌てて食うな」と言ってるのに、学習能力のない猿はこれだからどうしようもない。しかもトイレから出て来たしげ、近くのケーキ屋のショーウィンドーを見て、もう「あれ食いたい!」と抜かしやがるのである。もういくらでも好きなもん食って、勝手に腹でも脳でも壊してしまえばいいのだ。脳はもう充分壊れてるか。
天神東宝で『スウィングガールズ』。 矢口史靖監督の前作『ウォーターボーイズ』に比べると盛りあがりにも欠けるし、かなり地味な印象であるが、女の子がみんな可愛いからまあヨシ。でももう2、3曲は演奏シーンがほしかったし、谷啓さんをわざわざ出演させといてトロンボーンの演奏シーンが殆どないってのは、矢口監督、今一つのところで「わかってない」のである。 しげは「結局、『楽器がうまく演奏できるようになりました』ってだけの映画じゃん」と頗る機嫌が悪いが、でもそういう映画なんだからなあ。
そのあともう一度Z−SIDEに寄って、ケーキ屋で、モンブランのショートケーキ420円ナリ、を買う。ホールのデカイので3000円ってのもあったらしいが、そんなん買ったって食い切れないだろうし、確実に太るだろう。「ダイエット」とのべつ幕なしに口にするわりには全然決意が定まってないのである。舞台公演までに必ず痩せるって言ってたのはどうなったんだ。
いったん帰宅して、夜までひと休憩。 しげがあまりに「腹減った」とうるさいので、ありあわせの材料で親子丼を作ってやる。ドンブリに山盛りいっぱい作って、「二人分だから、俺の分残せよ」と言ったのだが、一人で全部平らげた。「だって美味しかったんだもん!」とまた言い訳。だから本気で芝居作る気もないくせに、見せかけだけ努力してるフリなんてするなってんだ。 で、私の食う分がなくなったので、仕方なく今度はうどんを作ったら、それまでピンハネしやがった。 「ええい、しげの胃袋はバケモノか!」(池田秀一の声で)
夜を待って、今度はキャナルシティでM・ナイト・シャマラン監督作品『ヴィレッジ』を見る。 毎回「ネタバレ禁止」のシャマラン作品だけれども、今度のは隠さなきゃいけないほどたいそうなもんじゃないんとちゃうか? 一応隠してやるけど。 つか、あのSF、このSFと、これまでやたらと使われて来たネタなんだよねえ。意外性がないっつーかさ、タイトルの「ヴィレッジ」と、冒頭5分の展開だけで、どういうオチだかSF慣れしてる人には(あるいはそうでない人にも)わかっちゃうだろう。私もわかったし(つか、まさかこんなつまんないネタで落とす気じゃなかろうなと思ったらその通りだった)。役者の演技はいいんだけどねえ、全体的に地味だし、見てる最中ずっと退屈で仕方なかったよ。 ところがしげは、『スウィングガールズ』よりこっちの方が面白かったと言う。 「だって面白そうに見せかけといて最後に脱力させるオチを楽しむのがシャマラン映画なんでしょ?」 というのだが、それって単純に「つまらない映画」ってことじゃないのか。
帰宅してしげ、「誕生日なのに携帯に『お祝いメール』が2件しか入ってない」と拗ねる。 実は今日のはしげのお父さんの届け間違いがそのまま戸籍に載っちゃったニセの誕生日で、本当の誕生日は明後日15日ってことなので、よかったらみなさん、15日にしげの誕生日を祝ってやってください。
2003年09月13日(土) 言論にはリスクが伴うということ/映画『羅生門』 2001年09月13日(木) コロニー落としの報復は/『ヘブン』『ヘブン2』(遠藤淑子)ほか 2000年09月13日(水) シゲオと誕生プレゼントと009と/『遊びをせんとや生まれけむ』(石ノ森章太郎)
2004年09月12日(日) |
スタジオジブリ、金のオゼッラ賞 |
今日は練習にドッグさんとこの公演もあったんだけれども、体力温存のためウチで一日ゆっくり。役者が揃うんなら無理してでも行こうかと思ったけれども、カトウ君が来ないことになったようなので。 カメの水の張り替えをして、日本映画専門チャンネルで『御用金』を見る。五社英雄時代劇の代表作と言っていいと思うけれども、これもずっと見たかった映画だったのに、今まで機会がなかった。インタビュー番組が先にあって、主演の仲代達矢が「当時共演の三船敏郎さんが降りたのは、『体調不良のため』ということになってましたが、実は私が酒の席で三船さんと喧嘩したせいでした」と告白していたが、映画を見ると役柄としては『座頭市と用心棒』の二番煎じみたいな役で、これは「軽く」演じてくれていた代役の中村錦之助の方が適役だったと思う。映画自体も骨太だし、三船さんがやるとどうしても豪快になるから、全体として「重く」なりすぎてしまう。そこをコメディリリーフ的な萬屋さんの演技がうまくバランスを取った格好になっていた。 でも物語としては「幕府の苛斂誅求に抵抗を試みる」という、当時やたらと流行った『影狩り』とか『子連れ狼』のパターンで、仲代達矢もどうしても室戸十兵衛みたいに見えてしまって(映画で十兵衛を演じたのは石原裕次郎だったが、ありゃやっぱり仲代さんの方が似合ってる役だ)もう一つ魅力に欠けるのがネックであった。ほぼ全編、雪山でのロケというのはなかなか迫力があったけれども。
昼メシは自分で湯がいて作ったそば。こないだそば食ったあとで吐いて腹痛に襲われたことを考えると、ちょっと怖かったのだが、今度は問題なし。もう完全に普通食に戻してよさそうである。 夜、七時半からNHKでようやく『名探偵ポワロとマープル』を見る。今回は「総理大臣の失踪・後編/真実はイギリスに」。 ええっと、これは誘拐された総理大臣は実は……っていう他愛ないトリックだったな。文字だと騙されるかもしれないけど、映像にしたら一発でバレバレになっちゃうから(だからこれも叙述トリックなのである)、そもそもこれを選んで映像化しよう、というスタッフの神経を疑うのだけれど、少しは映像的に工夫してるかと思ったら、全然してないのな。なんでそんなアホなことしたのかなあって考えたんだけど、NHKだし、「子供向け」ってことを考慮して、わざと「わかりやすいまま」アニメにしてるってことなのかもね。でも「子供騙し」なアニメは結果的には子供にもつまんなくなると思うんだけど。これを楽しめるのってせいぜい小学生までじゃないのかなあ。今時の学生って馬鹿も増えてるから、中学生でも面白がるやつはいるかもしれないけど。 技術的にも音楽だけがやたら過剰なだけで、アニメがそれに付いていっていない。人物はともかく、ポワロのマンションとか、背景ですらアップが多いのは、美術の手間を省いてるだけだろう。 あちこちから散々悪評判を聞かされていたので、どれほどヒドイもんかと思って見たけど、普通に面白味のないアニメでした。オー・エル・エム製作ならこんなもんでしょ。
第61回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門の授賞式が11日開催。 注目の金獅子賞は、下馬評通り、マイク・リー監督の『ヴェラ・ドレイク(“Vera Drake”)』が受賞。内容は「中絶が禁止されていた1950年代の英国を舞台に、不本意な妊娠をした女性たちに非合法中絶を施した労働者階級の主婦をテーマにした作品」だそうだけれど、何だか山田風太郎の荊木歓喜か『サイダーハウス・ルール』みたいな。 私は基本的に中絶反対派で、遊んでガキ作ってまた遊ぶのにジャマになるから降ろすとか、「今は中絶できるようになってラッキー」みたいな連中はこの糞野郎どもがという気分になってしまうのだが、「不本意な妊娠の中絶」まで禁止しろとは言わない。ただ、それでも母体への悪影響や、何よりどんな形で生まれてくるにせよ、既に意志の萌芽しつつある命を一つ奪うことに関しては、熟慮が必要だと思う。その辺の解釈について、マイク・リー監督がどんな「答え」を用意しているのかが気になるところだ。 監督賞に当たる銀獅子賞には、これも観客の圧倒的な支持を受けていた『空き家(“3-iron”)』のキム・ギドク監督が、グランプリ(批評家賞)にはアレハンドロ・アメナーバル監督の『“Mar adentro”(“Out to Sea”)』が選ばれた。 注目の宮崎駿監督の『ハウルの動く城』だけれども、金獅子賞こそ逃したものの、製作会社であるスタジオジブリには「金のオゼッラ賞(技術貢献賞)」が贈られた。まあ、これだけでも充分たいしたことである。ただ、「金獅子賞」ではないことで、興行収入に多少の変化は出てくるかもしれないね。日本人って、オリンピックでもそうだけど、金メダル以外はあまり注目しないから(情けない)。 『ハウル』は公式上映後のスタンディング・オベーションがすごかったらしくて、日本の各紙も「金獅子賞最有力!」とか書いてたんだけれども、岡田斗司夫さんも「OTAKING SPACE PORT」の9日付近況報告で、「金獅子賞は確実らしいですよ」と、いかにもイワクありげな書き方していた。ああ、もしかして岡田さん、ヒミツの情報ルートを持っていて、既に結果を知っているのだろうか、とか考えていたのだけれども、今日の近況を見てみると、「リド島での上映後5分間のスタンディングオペレーションを見て、現地に駐在していた日本の新聞・TVマスコミ関係者たちも『ほぼ確定』と見込んでいたので、かなり意外です」とか書いてたんでガクッと来た。日本のマスコミ関係者の判断なんかアテになるわけないじゃん!(~_~;) スタンディング・オベーション自体が必ずしも審査結果に反映されないことは常識みたいなもので(全くない作品が受賞すればブーイングが起こるが)、期待と自国ビイキの願望コミの「確定」情報をまんま信じちゃうってのも、岡田さん、ちょっとどうかしてるんである。もちろん、『ハウル』は上映後の星取表でも満点の五つ星を取っていたし、だからこそ「最有力」とは言われていたのだけれども、「確実」ってことはない。日本にいたおかげで、ほかにも「最有力」な作品が目白押しであったことが海外通信を通して伝わってきていたので、「『ハウル』はきびしいかなあ」と客観的な判断ができていた。ヴェネチアにいたために、岡田さん、かえって状況が見えてなかったらしい。 岡田さんはさらに「アニメ夜話で某氏が『カンヌ選考委員の中にはアニメを映画や俳優に敵対するもの、と捉えてる人がいた』と楽屋で話していたのを思い出しました」と書いているが、これもかなり勇み足な記述である。と言うか「受賞確実」よりもこちらの方がずっとタチが悪い。そういう人がいないとは言わないが、選考そのものに偏向があったかのようにミスリードするのは、著述家としての姿勢を問われかねない大問題だ(しかも判断元はやっぱり「楽屋話」である)。現地の批評家はちゃんと『ヴェラ・ドレイク』が最有力と捉えていたし、観客の反応が最も高かったのは『ハウル』ではなくて『空き家』だった。別に選考結果に「おかしい」ところはない。不当ジャッジの証拠もないのにこういう身ビイキに取られる書き方をしてしまうと、かえって『ハウル』の評価自体を貶めかねないが、そんなことにも気付いてないのだろうか。まさかそのことが目的で書いてるんじゃないとは思うけれど。 サービス精神が旺盛と言うか、お祭好きなのは別に悪いこっちゃないけれども、余計なヒトコトが多いと言うか、2ちゃん情報レベルの憶測をよく吟味せずに垂れ流し続けるのは、岡田さん、あまりにシロウトっぽ過ぎると思うのである。我々シロウトの書く日記と、プロの書くそれとは自然、「重み」が違って来るからね。今更シロウトには戻れないんだから、もうちょっと考えた書き方してほしいもんである。 ……しかし、アニメ関係の日記書いてる一般の人たちの日記で、このニュースに触れてる人って少ないね。どうでもいい?
東芝・ワーナーブラザース・日本テレビの均等出資で作った映画製作会社トワーニ(頭文字取っただけの名前なのな)が、映画『キューティーハニー』が興行収入わずか2億という惨敗に終わったことで、解散とのニュース。結局トワーニが作った映画って、『さくや妖怪伝』、『ドッペルゲンガー』、『天使の牙』に『ハニー』の4本だけだったんかね。 『ハニー』は企画から何から、「オタク」にしか観客対象をしぼってなかった映画だから、そのオタクから厳しい評価が下されてしまったら、惨敗も必至、撤退も余儀ないことだとは思うけれども、なんかもう、世のオタクどもってさ、えらそうなゴタクは並べるくせによ、単に「心が狭い」だけで、本気で映画も特撮もアニメも愛してなんかいやしないんじゃないかって気がしてくるよ。映画を見もしないで「サトエリだし」「アンノだし」で中身決めつけてた意見がどれだけ多かったことか。 そりゃあ確かに私だって「サトエリ=ハニー」にはムリがあるとは思う。けれど、「事前情報好き」のオタク諸氏ならば、各種インタビュー記事やキャンペーンなどを通して、庵野監督が、佐藤江梨子が、この映画にどれだけ「愛」を注いで没頭していたか、気が付かないはずはない。そこに意気に感ずるものがなくて何がオタクか。つくづく感じることだけれども、かつて岡田さんが展開していた「オタクエリート論」は完全に空中楼閣と化してしまったのだ。今、日本に蔓延してる「自称オタク」の大半はただのミーハーかスノッブだ。流行を追うようにあのアニメからこのアニメと渡り歩いて、空虚な自分の心を満たし癒されたいと思ってるだけで、文化総体としてのアニメ、特撮、映画という表現そのものを愛しているわけじゃない。「俺、オタクだけど、『ハニー』やアンノにも、もともと興味ないし」って人、だからアンタはオタクじゃないんだって。 『CASSHERN』が成功し、『ハニー』が失敗したという事実は何を物語るか。「本気で」オタクをターゲットにした映画は今後作られなくなるということである。『CASSHERN』が成功したのは明らかに「オタク以外の観客」を取り込むことができたからだし(オタク映画であんなにオシャレな女性客が殺到した風景を私ゃ見たことがない)、リメイク映画のラッシュだって、かつてのファンだけを対象にしているわけではなく、さまざまな「新しい観客層」の開発を試みようとしている。商売上、それは仕方がないことだけれども、その分、作品の中から「冒険」が消え、「センス・オブ・ワンダー」が消えていくのだ。 製作母体が消滅して、『ハニー』の続編は作られなくなってしまった。それどころか、庵野監督が今後作品を作っていけるのか、心配になってきた。『エヴァンゲリオン』のあと、『彼氏彼女の事情』、『式日』、『流星課長』と、決してヒットしてきたとは言いがたい監督作品を見れば、そろそろ「遺産」も尽きたかという気がしてくるのである。かと言って、『トップをねらえ2』(監督はしてないけど)はないよなあと思う。できれば大向こうを唸らせるような波瀾万丈なSFアニメをこそ作ってほしいと切に願うものなのだが。
2003年09月12日(金) 誉められ下手な話/『ガウガウわー太』7巻(梅川和実) 2001年09月12日(水) 誰かあの飛行機に「テロチルス」と仇名をつけたやつはいないか(^_^;)/『あずまんが大王』3巻(あずまきよひこ) 2000年09月12日(火) 打ち身とワンピースの続きと/『ONE PIECE』6〜15巻(尾田栄一郎)
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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