2006年11月17日(金)  関西映画『メアリ』!?

出産前に「ボッコーンと生まれはったらぜひお仕事させてください」と訪ねてくれた大阪のプロデューサーさんが再び上京。今度は具体的に企画の話。「……ちゅう話を、メアリみたいな感じで撮りたいんですわ」と説明される。「メアリ?」と聞き返すと、「ほら、あのフランス映画の」「それを言うなら、アメりちゃいます?」「せやせや、アメりですわ」と大笑いした後で、「壁に耳あり、障子にメアリ〜」。大阪弁の打ち合わせは、ほんま、おもろい。

2005年11月17日(木)  『天使の卵』ロケ見学4日目 電車でGO!
2002年11月17日(日)  学園祭


2006年11月16日(木)  映画『フラガール』に拍手

大阪に住む数学教師の父は、映画好き。60才以上1000円のシニアの特権を駆使して、せっせと映画館に通っている。先月、お宮参りで上京した際、「最近観て良かったんは『キンキーブーツ』ともう一本、あれ、なんやったっけ」とタイトルを失念。「どんな映画? 誰が出てる?」と聞いても「それも思い出されへん」。手がかりゼロだが「あれはええ映画やった」ということだけは鮮明に覚えている。「ああ、思い出したわ!」と父が素っ頓狂な声を上げたのは、お宮参りを終えた帰りのタクシーの中。「子ぎつねヘレンに出てた松雪泰子が炭鉱の町でフラダンスを教えるっちゅう、せやせや、『フラダンサー』!」。父の記憶力は心配だが、映画『フラガール』は安心して観られた。監督の李相日さんとの共同脚本は羽原大介さん。井筒和幸監督と共同脚本の『ゲロッパ!』『パッチギ!』も大好きな作品。「ハバラダイスケ」の名前は、わたしには「オモシロイヨ」の太鼓判。手話の要素を取り入れているフラダンスの振り付けはここぞという場面で名台詞になっているし、寒がりな椰子の木の使い方もお見事。

自分が踊っていたこともあって、ダンスものには弱い。学生時代にやっていたチアリーディングや教育実習のときにやった文化祭のミュージカル指導の記憶とともに、懐かしい感覚が蘇る。憧れの衣裳をまとったときの喜びと照れくささ、ステージに立つ前の緊張感、ライトと拍手を浴びる恍惚感、音楽の一部になったような高揚感……頭が真っ白になり、体が勝手に動き出すと、不思議な力が漲ってくる。自分以外の何かになれそうな、ここではないどこかへ飛んで行けそうな。北国の炭鉱の街を常夏のハワイに変えてしまうチカラだって、ダンスにはある。その未来を信じて懸けたフラガールたちと、彼女たちの熱意で仮面が溶けていくように優しい顔になっていく平山まどか先生が眩しくてしょうがなかった。

2005年11月16日(水)  『天使の卵』ロケ見学3日目 ミラクル


2006年11月14日(火)  マタニティオレンジ29 読書の秋

授乳のコツがつかめて慣れてくると、体の空いている部分を他のことに有効利用したくなる。パソコンは電磁波が気になるし、携帯メールはなんとなく不健康な気がするし、新聞はバサバサ言う音が嫌いらしく、読書に落ち着く。文庫本ではページも文字も小さすぎて安定感がなくて、単行本がちょうどいい。

立て続けに読んだのは、育児中の父親が書いたもの。一冊は10月22日の日記にも書いた『父の目1000日 赤ちゃん新発見―カメラとペンで綴ったわが子の3年間』。育児カメラマンの田沼武能さんが長男誕生から3才までのほぼ毎日を追いかけている。もう一冊の『自由が丘物語』は、翻訳家でエッセイストの井上一馬さんが33才になって突然つけ始めた日記。仕事のことや交友関係や日々感じていることがエッセイ風に綴られているが、4才と2才の娘のことが毎日のように登場し、筆者の人生における娘占有率の高さをうかがわせる。そうとはうたっていないけれど、わたしがこの本を知った新聞の書評欄では「育児日記」と紹介していた。文庫(自由が丘物語―33歳の父親日記)も出ているが、単行本ともどもamazonでは在庫切れ。ユーズド価格で9800円の高値がついているのは驚き。

『赤ちゃん新発見』はまさに自分が体験中のことが書かれているので、「うちも2か月で同じ感じだわ」と確認したり、「4か月だとこうなるのね」と楽しみにしたり。『自由が丘物語』の女の子たちには、わが子の2年後、4年後を重ね、「姉妹がいると、こんな感じなのね」と想像する。二冊の本からの教訓は、「短くても、記録は毎日つけたほうがいい」ということ。そういうわけで、こまめに写真を撮り、ときどきはコメントつきでビデオを回し、さぼりがちだった日記をせっせと書いている。日々の出来事を綴ることは、今しかできない。記録の積み立ては、コツコツ続けることで歴史という利息を膨らませる。

子育てものではないけれど、井坂幸太郎さんの『終末のフール』は一日で読み終えて、次の日にまた頭から読み直してしまったほど面白かった。少しずつ交錯し、重なっている連作短編のひとつひとつが傑作。「3年後に隕石が衝突して地球が滅びる」運命を突きつけられた人々が、大混乱の後の束の間の平穏を生きている。限りなく絶望的な状況下で、普通の生活やなにげない出来事や当たり前の風景が輝きを放つ。隕石が落ちてこようと、爪は伸びるし、おなかはすくし、恋にも落ちる。非日常の中で日常を続ける登場人物たちを見ていると、もしかしたら大丈夫なんじゃないかという希望さえ感じられてくる。

2005年11月14日(月)  『天使の卵』ロケ見学1日目 なつかしの京都
2004年11月14日(日)  『バニッシング・ポイント』@ルテアトル銀座


2006年11月13日(月)  マタニティオレンジ28 バリアフリーを考える

「バリアフリー」という言葉はずいぶん普及したけれど、自分が「バリア」に直面して初めて、その必要性を痛感する。昨日届いたベビーカーを押して、初めて電車でおでかけ。取扱説明書は「エスカレーターでの使用禁止」をうたっているけれど、エレベーターがなくてはどうしようもない。エスカレーターもないところは、ベビーカーをかついて階段を上り下りしないといけない。今日はファットバーニング(脂肪燃焼)のクラスで踊った後、大江戸線で去年まで勤めていた広告会社のある青山一丁目へ。元同僚とランチをし、メンバーを替えてお茶をし、内祝いを手渡す。通勤で何度も使った経路で帰ろうとして、「乗り換え駅、エレベーターあったっけ」。エレベーターの有りなしを意識して利用していなかったので、思い出そうとしても、思い出せない。結局、大江戸線で都庁前まで行き、エレベーターで上下して両国方面行きに乗り換え、春日で下りる。

春日駅の大江戸線から三田線への乗り換えにはエレベーターが使えないので、地上に出て、自宅までひと駅分歩くことに。30分の道のりは持たないかもと思い、春日駅上にそびえるシビックセンター(文京区役所)の子育てひろばで授乳とおむつ替え。利用登録ついでに見学もさせてもらう。親子で遊べるスペースや1才からの託児スペースがある。こういう拠点があるだけで、ずいぶん助かる。不安や孤独や閉塞感のバリアも取り除いてくれそうだ。今まで当たり前だったことを、支えられて成し遂げる、そのありがたみを感じる。

2003年11月13日(木)  SKAT.2@Wired Cafe


2006年11月12日(日)  マタニティオレンジ27 川の字 朝の字

「子どもと川の字で寝たい」というダンナの夢は、たまが生まれたその日にあっさり叶えられた。体重測定を終え、おむつを着け、初乳を飲ませると、「ではお布団敷きますね」と助産師さん。分娩室の和室がそのまま寝室となった。生まれたばかりのたまをダンナと挟んで、真ん中が極端に短い川の字。新生児にしては豊かな髪の毛にこびりついた羊水はほんのり甘い香りがする。助産師さんは「砂糖水のにおい」と言った。たまはすんすんと寝息を立て、立ち合いに疲れたダンナはすぐに眠りに落ちたけれど、わたしは寝付けなかった。さっきまで自分の中にいたのに、今はすぐ隣で小さな胸を上下させて眠っている。なんて不思議。

夜泣きから逃れて家庭内ジプシー生活をしている先輩パパたちは「一緒に寝るのは無理」と言うが、今のところたまは夜泣きをしないので、三本の「川」の字を守れている。新聞を読んでいたら「朝という字を分解すると、十月十日(とつきとおか)になる」とあった。「おなかの中に子どもがいたときのように、朝の時間のふれあいを大切に」という記事。十月十日を重ねて朝を迎えるとは、美しい発見。朝目覚めて、寝ぼけ眼に小さな命が飛び込んでくるたびに、「ほんと、よく来てくれたね」「今日も生きていてくれて、ありがとね」と幸せな気持ちで満たされる。そして、新しい一日を始める。

2004年11月12日(金)  何かと泣ける映画『いま、会いにゆきます』
2002年11月12日(火)  棗
2000年11月12日(日)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)


2006年11月11日(土)  ウーマンリブvol.10『ウーマンリブ先生』

大人計画のウーマンリブ公演vol.10「ウーマンリブ先生」を観る。作・演出:宮藤官九郎。クドカンも劇団も勢いがあるけど、観客も負けてない。わたしの両隣さんは体を揺らせて笑いっぱなし。このパワー、発電できそう。

官能作家(松尾スズキ)が缶詰になっている旅館が舞台。そこはかつて殺人事件が起きた現場でもあり、殺された仲居の娘が仲居となって働き、刑事となった息子も出入りしている。作家のもとに「ウーマンリブ文学賞」の落選理由を告げに来る男女(古田新太、伊勢志摩)が作家の小説を朗読。こっぱずかしい性描写をマイクであっけらかんと。エロやグロを堂々とやるほど、客席も遠慮なく大らかに笑う。最初はちょっと引いたわたしも、いつの間にか笑いの渦に巻き込まれる。ナンセンスなバカ騒ぎを繰り広げているようでいて、殺人事件の真相に迫るサスペンスにもなっていたのは、さすが。場面転換の幕として、スクリーンとして大活躍する障子の使い方も面白かった。

チラシを見ていて、懐かしい名前を発見。ヘアメイクの大和田一美さんは、広告の仕事をやっていたときに知り合い、何度か髪を切ってもらっていた。登場人物たちのヘアスタイルを、近況報告を見るように、見た。

ウーマンリブ先生
作・演出:宮藤官九郎
11月2日(木)〜19日(日) サンシャイン劇場
夏祭冬助(作家):松尾スズキ
川西春(夏祭の妻):池津祥子
男島礼子:伊勢志摩
シズル:宍戸美和公
椎名あや:猫背椿
橋爪巌:皆川猿時
じゅん:荒川良々
アオバ:平岩紙
猿飼洋介:少路勇介
小田島:星野源
ミズホ:宮沢紗恵子
屋敷(編集者):宮藤官九郎
塩谷五郎:古田新太

2003年11月11日(火)  空耳タイトル
2002年11月11日(月)  月刊デ・ビュー


2006年11月09日(木)  マタニティオレンジ26 六本木ヒルズはベビー天国

今日は六本木ヒルズ六本木ヒルズのTOHOシネマズでママズクラブシアター。ヒルズのサイトを見てみると、子連れ歓迎の様子。せっかくだからついでにヒルズ探索をしてみよう、とビクス仲間のレイコさんと3か月のレミちゃん親子を誘ってGO。

森タワー2階のインフォメーションで無料貸し出しのベビーカーを借りる。たま&レミは初搭乗。わたしとレイコさんは「わあ、身軽でいいねー」と大はしゃぎ。ヒルズはバリアフリー動線をちゃんと考えた設計になっていて、エレベーターやスロープが完備。レストランの中もベビーカーですいすい。東京タワーが見えるテラス席でランチしながら「夢みたいだねー」としみじみ。

ヒルサイド地下2階のキッズルーム内にある授乳室は、天井が高くて開放感がある。おむつ替えスペースも広々、替えたらおむつゴミ箱にポイッ。ひねると調乳適温の50度のお湯が出る蛇口にも感激。哺乳瓶に粉ミルクを溶かし、いざ映画館へ。

映画は『7月24日通りのクリスマス』。大沢たかおさん、『子ぎつねヘレン』の矢島院長とは打って変わって、王子様キャラを好演。靴と足元の表情でヒロインの気持ちの変化を描いていくのがおしゃれ。パラパラ漫画やワインの小道具の使い方、くすりと笑える小ネタの数々、「うまいなあ」と思いながら観てしまう。脚本は『電車男』の金子ありささん。全編をクリスマスソングが彩る。そっか、もう来月か。ディズニーランド&シーでもクリスマスが始まっている。2週間後のママズクラブシアターは『プラダを着た悪魔』。前評判がとても高いので、これも観てみたい。

2005年11月09日(水)  『ブレーン・ストーミング・ティーン』がテレビドラマに
2003年11月09日(日)  小選挙区制いかがなものか
2002年11月09日(土)  大阪弁


2006年11月07日(火)  シナトレ6『原作もの』の脚本レシピ

シナリオ作家協会がやってるシナリオ講座の創作論講義で昼夜2時間ずつ話す。4月25日に「人生はネタの宝庫」をテーマに話して以来半年ぶりの2回目。今回は「『原作もの』の脚本レシピ」。今年放映あるいは公開された脚本作品5本のうち4本が原作もの(あと1本はサスペンスドラマ『ドクター・ヨシカの犯罪カルテ』)。原作といってもさまざまで、1月に放送されたドラマ『ブレスト〜女子高生、10億円の賭け!』は、わたしの原作『ブレーン・ストーミング・ティーン』を脚本化。3月公開の『子ぎつねヘレン』はノンフィクション『子ぎつねヘレンがのこしたもの』、7月期に放送された深夜連続ドラマ『快感職人』は漫画、10月21日から公開中の『天使の卵』は『小説が原作。「まず、使いどころを見つける」「訴えたいメッセージを決め、そこから逆算して人物やエピソードを組み立てていく」といった方法論を料理にたとえ、「原作という素材の良さを活かし、おいしく食べられる映画やドラマに仕上げるのは、料理人である脚本家の腕の見せどころ」「同じ素材を使っても、調理法やスパイスの使い方で料理人の個性が出る」と話す。「原作を読んだら、なるべくすぐ第一印象をプロデューサーに伝え、熱を共有する」といった心構えも紹介。

脚本家をめざす人たちだけあって、皆さん熱心に聞き、質問も活発に出る。「原作が史実の場合、どうやって脚色すればいいか」「ドラマや映画での禁句は?」「気分が乗らない原作の場合は?」などなど。それぞれ「誰の視点で描くかによって、同じ歴史上の事実でも違ったドラマになる。繰り返し映像化されている忠臣蔵のように。キャラクターを肉付けすることでも、ドラマに深みが出る」「テレビは放送コードに引っかかる表現は使えない。映画も観客の反応や反響を考えて表現を吟味している」「苦手なジャンルでも、どこかに自分との接点がないか探る。せっかく声をかけてくれたプロデューサーに応えたいという気持ちもある。難しそうな素材ほど、うまい調理法が見つかると攻略感がある」といったことを答えた。わたしは勘違いからデビューして、出会いに恵まれて今も書き続けている。デビューするチャンスは誰にでもあるし、自分の脚本がカタチになる楽しさをぜひ味わってもらいたいと思う。

去年研修科で教えた生徒さんが二人聞きにきてくれ、研修科の有志からという出産祝いを受け取る。布の人形とボールで遊べるボーリング。三週間に一度、半年だけの講座だったけれど、今でも「先生」と慕ってくれるのがとてもうれしい。

昼と夜の部の間に空いた3時間は、お茶して過ごす。4月の講義のときに見つけた「ピルエットカフェ&バー」と8月に見つけた「ファンソンカフェ」をハシゴ。出産後はじめて、2か月半ぶりのカフェめぐり。


2006年11月03日(金)  マタニティオレンジ25 国産車か外車か

国産車か外車か、この数週間頭を悩ませていた。と言っても、ベビーカーの話。「外車は憧れだけど、重いのよねえ」「使い勝手を研究しているのは国産車よ」という先輩ママたちの声から、ベビーカーにも国産車と外車があるんだと知る。国産車はアップリカコンビが両巨頭。外車の筆頭、英国車のマクラーレン(Maclaren)はとくに都心部で人気が高いそうで、ご近所ママの観察によると「文京区のマクラーレン率は8割を超えてる」とか。鬼の角みたいなハンドルが目印。同じく英国車のシルバークロスも鬼角ハンドル。英国車といえば鬼角らしい。

さらにベビーカーには新生児から寝かせて使えるA型と、おすわりが安定する7か月頃からのB型に大分される。A型でも2才頃まで使えるが、B型はA型に比べて軽くて小回りが利くので、成長に合わせてAからBに切り替える人が多いとか(「二台目」と呼ばれる)。数か月A型をレンタルしてB型を買おうかと検討するが、レンタルのベビーカーはことごとくデザインが地味。定価5万を超えるものはレンタル料金もひと月で1万円を超えるので、だったらやっぱり買おうとなる。

ピンク地に白と水色のバブルというポップなデザインに一目惚れしたマクラーレンの「クエストモード2006 ピンクフルール」は3か月から使えるとのこと。気持ちは傾くが、6.1キロという重さと背面押しのみがネックに。赤ちゃんが小さいうちは、顔を見ながら押せる対面式がいい。

背面でも対面でも押せて、かわいい色づかいものが充実しているアップリカのA型を調べ尽くし、シャーベットオレンジの色が気に入ったWなMINIアイTOアイWサーモI690に決定。amazonで69000円が19800円に。amazonでベビーカーが買えるとは。4.7キロという軽さも魅力。ベビーザらスとアップリカが共同開発しているビーセレブ(Be Celeb)のデザインにも惹かれたけど、6キロ越えの重さに断念。ちなみに先輩ママによると、「対面で使えるのは、あっという間よ。体を乗り出せるようになったら、ママの顔なんかより景色を見たがるから」とのこと。ベビーカー到着は一週間後。試乗せずに買ってしまったけど、乗り心地はどうだろう。

2005年11月03日(木)  柴田さん、旅立つ。


2006年11月02日(木)  ハートの鍛え方

月刊誌『第三文明』のインタビューを受ける。テーマは「ハートの集め方」ではなくて「ハートの鍛え方」。ハートコレクションが撮影小道具として活躍。

2年前、『ブレーン・ストーミング・ティーン』を出版したとき、著者インタビューをしていただいた。一晩で読了し、「面白い!」と気に入ってくださった編集長の平木滋さんとはしばらくご無沙汰になり、新作の案内も出せずにいたのだが、封切り直後の『天使の卵』を偶然観てわたしの名前を見つけ、驚いてメールをくださった。映画館にあったフリーペーパーのbukuを手に取ると、そこにもわたしのエッセイを発見。折りしも第一回のタイトルは「脚本家はつなげるのが仕事」。「これも何かの縁ですね」という話になり、「じゃあ次号のインタビューで再会しましょう」となった。カメラマンの内藤恵美さん、ライターの岡尾一郎さんも2年前の取材の顔ぶれ。懐かしく、打ち解けた雰囲気で話ができた。

インタビューのやりとりはブレストのようでもある。質問を投げられると、普段使っていない頭の中の引き出しをかき回し、答えを見つけ出す。「どんなときに落ち込みますか」「どうやって立ち直りますか」。答えながら、「へーえ、わたしはこんな風に感じているのか」とあらためて気づいたりする。わたしはけっこう傷つきやすいし、落ち込むときはドーンと落ち込むけれど、立ち直るのも早い。別れや喪失を嘆くより、出会えた喜びに目を向けるようにしている。失敗を笑いのネタにする関西人気質と、作品のネタにしてやろうという脚本家根性にも救われている。無理に耐えたり強引に跳ねのけるのではなく、いったん受け止めて、しなやかに折り合いをつけるのがいい。悲しみや辛さの質量は事実として変わらないけれど、気の持ちようで重みをやわらげることはできる。

2005年11月02日(水)  ウーマンリブVol.9『七人の恋人』
2003年11月02日(日)  ロンドン映画祭にも風じゅーの風!
2002年11月02日(土)  幼なじみ同窓会

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