「前田監督の映画、『キンチョー★ROCK』いうんやってね」と大阪の母より電話。「キンチョーやなくてガキンチョやけど」と言うと、「劇場に問い合わせたら、キンチョーて言われたよ」。劇場の言い間違いか母の聞き間違いか、キンチョーとは大阪らしい。前田監督に伝えたら「『ガチンコ★ROCK』と言う人もいる」とのこと。母は以前、『スリーパーズ』を「三人のパーの物語」と勘違いしていた。「ちょうど主人公の男の子が3人おってん」と言うが、「パー」に複数のSがつくかいな。父からは「黒川芽以ちゃんがラジオに出て、『屋根裏の野良猫』の話しとった」と電話があった。『路地裏の優しい猫』なんだけど。そんな両親の血を受け継いだわたしは、ショーンコネリー主演の『ザ・ロック』を伝説のギタリストの話だと決めつけて観に行った。ロック(アルカトラス島の別名)から脱走を図る囚人の話だとわかるのに20分かかった。最近は映画情報にも少し明るくなって間違いも減ったと思っていたら、電車の中吊り広告を見て、重大な思い違いに気づく。「ねえねえ『ファイティング・ニモ』じゃなくて「『ファインディング・ニモ』だったって知ってた?」と同僚たちに言うと、「ファイティングだと思ってた」という答え。「でしょでしょ、ニモの視点から見ると、ファイティングだよね」と同意を求めると、「っていうか、君がファイティング・ニモって連呼してたから」。ちなみにわたしの作品でいちばん間違われ率が高いのは、『パコダテ人』。聞きなれない造語のせいで、『ハコダテの人』と記憶されていることが多い。『箱だけ人』『パタゴニア人』『パンダゴテ人』……こうなると、もう別人。
2002年11月11日(月) 月刊デ・ビュー