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2014年06月22日(日) |
【随想】「レッテル貼り」の罪悪。 |
◆あまりにも不順な気候が続くので久々に「風邪気味かも?」を経験しました。
トシの所為でしょうか。
今年は2月に多分40年ぶりぐらいに「インフルエンザ」に罹りました。しかし、
私は何十年も普通の風邪をひいたことがないのですが、
ここ数日はものすごく久しぶりに、微かに喉が痛いという感覚があり、感動してます。
生まれつき頑健などではありません。むしろ、小学校低学年の頃は、
毎月のように「風邪をひいて」休んでいましたが、あれはなんだったのか?と思います。
その時には確かに発熱など症状がありました。家族や親戚も「JIROは身体が弱い」というので、
「それじゃ、きっと弱いのであろう」と思っていたフシがあります。
それが変わったのは小学校3年生の夏休みです。
元来、「体育」って嫌いでしたが、嫌いで練習しないから、小学校1年2年までは全く泳げませんでした。
3年の夏休みに学校が毎年主催する「水泳教室」(半ば、強制)で、初めて5メートルだけ泳げるようになり、
それまでの「無級」から「9級」いなりました。水泳帽に白い線が一本入ります。
5メートルというのは要するに学校の小さい25メートルプールの横幅を、息継ぎもせず、とにかくがむしゃらに
足をプールの底につけないで、「進んだ」というだけですが、天にも昇る心だったのを思い出します。
そうしたら、それが何かのきっかけで「自信」になったのでしょうか(「自分はそれほどダメな者ではない、」というような?)
小学校3年生の2学期から見事に風邪をひかなくなりました。
そういうちょっとしたきっカケで、子供は、変わるのかもしれません。
◆人間は、プラスでもマイナスでも、周囲が貼る「レッテル」(=期待)に応えてしまうように思います。
逆に、「ダメだ」というレッテルを貼られると、あたかもその「マイナスの期待に応える」ようになるのでは、ないか?と思います。
小学校を通じてずっと「図画工作」5段階評価で「3」たまに「2」というのがものすごいコンプレックスでした。
今は、通信簿の付け方、どうなっているか知りませんが、当時は「相対評価」といって、
各クラスで、全ての教育科目に関して通知表で「5」から「1」がいなければならない、という馬鹿げた方式でした。
極端な場合、仮定上の話ですが、クラスの全ての生徒が算数のテストで96点、97点、98点、99点、100点だったとしたら、
自動的に96点が「1」になる、と、実にバカバカしいでしょ?
その採点方式だけが原因ではなくて、実際に私の「仕事」がいい加減だったのかもしれませんが、
通信簿で私は「図画工作」がずっと6年間「3」と「2」しかとったことがないし、周囲の大人も子供も
「JIROは手先が不器用だ」というレッテルを貼るのです。
先ほど述べたように人間はマイナスのレッテルを貼られるとマイナスの期待に応えようとするのです。
小学校においても美術(図工)は単科の先生でしたが、今から思うと割と細かい仕上がりなどを重視なさるかただった、
と思います。全く悪気はないのでしょうが、私がたとえば画を描いて、色を塗って、べた塗りが輪郭線をはみ出すようだと
かなり不愉快そうでした。「あなたは、ちゃんと塗ることが出来ないのだから」という言い方です。
今から思うとあの先生は、そうではなくて、「あなたもゆっくりやれば綺麗に塗れるはずだから」と言うべきだったのでしょう。
しかし、私は、「手先が不器用で」「画が下手」で「仕上げが雑」というレッテルのあたかも「応える」ように
いい加減な作業をしてしまったように思います。
◆勿論、芸術の才能はありますが、子供の「図工」ぐらいのレベルは「意識」の問題だとおもうのです。
たとえば、折り紙を二つに折る。最終的には折り鶴を作るとしましょうか。
最初に折り紙を二つに折る時点で、角をぴったりと合わせなければなりません。
こんなことは(後で分かったのですが)どんなに不器用な子供でも出来るのです。
ところが「不器用のレッテル」を貼られると、出来るのに、わざと角をずらしていた自分がいたことに
ずっと後で、気がつきました。
何十年も後、ロンドンにいた頃、折り紙で作る箱みたいなのにハマったことがありました。
布施さんという方が沢山本を出しておられる。箱のおりがみ 布施知子 (著) など。
ロンドンの冬は長く、外はどんよりと曇っているか、雨です。何を思ったのか、私はこの折り紙をはじめました。
れは一つの紙ではなくいくつものパーツを折ってそれを組み合わせて8角形の箱にしたり、いろいろあります。
やってみたら、学校の重圧や、周囲の「お前は不器用」洗脳もなかったせいでしょうか。綺麗に仕上がりました。
子供の頃から「折り紙」など何十年ぶりです。それまで特別に「手先を器用にする訓練」を自らに課したことは
もちろん、ありません。
思うに、子供の頃は、「JIROは手先が不器用だ」という「マイナスのレッテル」の呪縛にしばられていたようです。
◆人に安易にレッテルを貼ることの危険さ。
自分の経験が全ての子供に応用できるかどうか、わかりませんが、他人、特にまだ、どのような可能性があるのか分からない子供に
「お前はバカだ」とか「お前は算数がダメだ」「国語がダメだ」「脚が遅い」「音痴だ」などというレッテルを安易に貼ることの危険は、
大変大きいと思います。
私の経験など苦労のウチにははいりませんが、20歳まで九九を覚えていなかったのに、
名古屋大学で素粒子宇宙物理学を専攻するまでになり、その後、高校の数学の先生になった、
宮本延春(まさはる)先生の「オール1の落ちこぼれ、教師になる 」は、エピソード全体が感動的である、と同時に、
人間に、安易に「レッテルを貼る」ことの恐ろしさを、端的に物語っている、と思います。
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