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JIROの独断的日記
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2012年07月09日(月) 【音楽】モーツァルト:クラリネット協奏曲。カール・ライスター=群馬交響楽団。

◆最近、余りにもやりきれないもので。

50過ぎたオヤジがカマトト(←意味が分からない人は辞書を引いてください)ぶる訳では

ありませんが、いくら何でも、最近の世の中を見ていると、人間の私欲とか残酷さとか、

身勝手さとか、とにかく、この生きものの余りにも汚い所ばかりを見せつけられて、

ときどき、冗談ではなくて、もじどおり吐き気を催すほどです。

あまりにも毎日、人間の醜さを見ているので、

今日は人間が創り出した、最も美しいものを聴きましょう。

音楽のなかでも、多分ありとあらゆる音楽、古今東西、人類史上、

本当の「天才」を挙げるとしたら、この人しかいないでしょう。

モーツァルトです。


映画「アマデウス」は、モーツァルトをライバル視していたサリエリが

晩年、過去を回想する、という設定ですが、あの映画の中で、サリエリが

モーツァルトが席を外した隙に、モーツァルトの作品(楽譜)を次々と読み

あまりの才能に愕然とするシーンがあります。


それから、何十年も経っているのに、サリエリは

あれは、奴(モーツァルト)が創ったのではない。奴の身体を使い、神が創り給うたのだ!

と、まだモーツァルトの才能に嫉妬していましたが、誠に同感で、普段信仰心も無ければ無神論の私としては

まるっきり矛盾するのですが、モーツァルトの音楽ばかりは、人間が書いたものというよりも、

それを超越する高みに存在する「何か」を想定したくなります。

要するに、人間が創り出したあらゆるものの中で、モーツァルトの音楽ほど

美しいものは、他に無いのではないかと思います。


◆モーツァルト:クラリネット協奏曲。カール・ライスター。豊田耕児指揮、群馬交響楽団。

今までに何度も書いたので、簡単にすませますが、まず引用元は、

モーツァルト:クラリネット協奏曲: カールライスター, 豊田耕児, 群馬交響楽団, ウィーン弦楽四重奏団です。

作曲家の故・柴田南雄氏が、カール・ライスター(元・ベルリン・フィル首席クラリネット)が上手いのは

当たり前として、伴奏の群馬交響楽団について、

これは、驚いた。音だけを聴いて、日本のオーケストラだと分かる人がいるだろうか?

と、大絶賛したので、余計に評判になりました。

豊田耕児さんという方は、ベルリン交響楽団のコンマスを長い間務めた方ですが、

群響に乞われて、音楽監督に就任して、猛烈に特訓したのです。


知ったかぶりは、ここまでにします。


モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622 第一楽章


Clarinet Concerto in A major, K. 622 I. Allegro



第二楽章は特に「天上の調べ」とはこのために存在する形容ではないか、と思うほどです。


モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622 第二楽章


Clarinet Concerto in A major, K. 622 II. Adagio



モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622 第三楽章


Clarinet Concerto in A major, K. 622 IIII. Rondo: Allegro



モーツァルトは「クラリネット協奏曲」を書いたときには、自分の余命が長くない事を悟っていました。

先日なくなり、9日に「お別れの会」が行われた、音楽評論家の吉田秀和氏は、
この曲では、この音楽の天才が、音楽と人生に別れを告げているのが、聞かれる。

と書きました。歴史を知って後からそう思って聴くから、ではなくて、あれぐらいの「音楽を聴く才能」のある人には

本当にそれが聞こえたのであろうと思います。


私が中学二年の時に、叔母(父の妹)が僅か48歳で他界しました。

葬儀では、故人の希望により、この「クラリネット協奏曲」のレコードが流れました。

当時、私は音楽の歴史とかモーツァルトの生涯、また吉田秀和氏のことを知らなかったので、

ちょっと聴くと「明るい」この音楽を葬儀で流して欲しいと言い遺した叔母の意図がわかりませんでしたが、

ずっと後に、吉田秀和氏の文章を読んで、ようやく意味が分かりました。

明るいけれども、悲しく美しい、西洋音楽2,000年の歴史における、最高傑作の一つだとおもいます。

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