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2011年03月06日(日) |
【音楽】森麻季さんの新譜、AVE MARIA←音楽に慰められる幸福。 |
◆文句の付けようがない名演奏。
「文句の付けようが無い」という表現は、誤解を招きやすいので
最初に書く。
音楽を聴くとき。それが生のコンサートやリサイタルであれ録音であれ
自分が聴いた演奏の「粗探し」をし、何らかの「問題」(音楽の解釈や
演奏そのものに於ける)を見出して難癖を付けようとして、音楽を聴くのが
「音楽通」だ、と勘違いしている輩がいるが、それは間違っている。
音楽を聴くのは、演奏や作品の粗探しをすることが目的ではない。
音楽を聴くときに大切なのは、「音楽によって慰められたい」という
魂の底からの素直な心である。
しかしながら、長年、多くの作品を色々な音楽家の演奏で聴いていると、
「粗探し」をするつもりがなくても、「どうも、自分の理想とはちょっと違う」
という違和感を感ずることがある。
これは、色々な音楽の演奏を聴いていると、聴き手にも一種の「音楽観」が形成され、
それが、演奏者の音楽観と一致しない場合に、起きることなのだろう。
ソプラノの森麻季さんの5枚目のアルバム、
アヴェ・マリアを聴いた。
「文句の付けようがない」とは、今までの森麻季さんのアルバムを聴いたときと同様に、
上述したごとき「違和感」を全く感じない。ということである。
森さんのアルバムは全て聴き、その度に、このブログに感想を書いている。
2006年09月17日(日) ソプラノの 森麻季という人、日本音楽史上最高の声楽家ではないかと思います。お薦めCD。(ココログ)
2006年10月26日(木) ソプラノの森麻季さんは世界最高水準の音楽家です。(ココログ)
2007年11月21日(水)音楽評論:CD「ピエ・イエス〜祈りを込めて」(ソプラノ・森麻季)(ココログ)
2009年12月04日(金) 【音楽】ソプラノ、森麻季さんの新譜、「麗しき瞳よ-ヘンデル・アリア集」素晴らしいです。(ココログ)
過去の自分の記事を読み、今、「しまった」と思っている。
毎回、同じようなことを書いている。
「文句の付けようが無い」は何度も使っている。恥ずかしい。
開き直る訳ではないが、毎回同じような絶賛になるということは、
私の、森さんの演奏に対する評価は、曲目がなんであれ、変わらない、ということだ。
◆世俗の辛いこと、嫌なことを忘れさせてくれる。
今回のアルバムは1月26日に発売されたのに、私は気付くのが遅れた。
この数ヶ月、愚痴になるので詳しくは書かないが、私事でちょっと取り込みがあったため、
そちらに気を取られていたのであろう。
数日前に、Amazonからの「お知らせメール」で、新譜がとっくに発売されていることを知り、
急いで買った。
森さんは、2枚目のアルバム、愛しい友よ イタリア・オペラ・アリア集を聴くと分かるが、
大変に高度なテクニックを持っていて、難しいコロラトゥーラを驚くほど正確に演奏することが出来る。
ところが、名人芸を披露するようなアルバムは今のところこの「アリア集」だけであり、
それ以外のアルバムには、宗教的な、或いは、世俗曲でも穏やかな、祈るような音楽を録れている。
テンポが遅く、穏やかで、めまぐるしい器楽的な音の動きがない、今回の「アヴェ・マリア」も
ちょっと聴くと簡単そうだが、そうではなく、コロラトゥーラまでの高い技術を会得した演奏家で
あるからこそ、「簡単そうに聞こえる」のである。
単に歌うだけならば、アヴェ・マリアに収録された歌は、
音大の声楽科の学生でも十分に歌えるであろう。
が森麻季さんの歌はもう一つ高い次元にある。
オペラにおいてしばしば見られるが、プリマドンナが難しいアリアを輝かしい高音で歌い上げ、
観客から歓声があがるとき、どこか白けてしまうことがある。
これは、演奏家が音楽そのものより、音楽を利用して「自我」をアピールしてしまうからである。
森麻季さんの演奏はその対極にある。つまり、まず「音楽」が先に聞こえる。
森さんは、その曲の美しさを純粋に再現するために、厳しい研鑽を積んで獲得した、
自らの演奏技術を用いている。
謂わば、「はじめに、音楽ありき」とも言うべき森麻季さんの演奏は、
だから、我々の心に沁み入るのである。
◆音楽。2曲だけ。
いくら言葉で説明しても演奏の素晴らしさは、演奏でしか伝えられない。
原資料からの引用という解釈で2曲だけここに森さんの演奏を載せることを
お許し頂きたい。
一曲目は、わたしが、昨年散々凝った、「カッチーニのアヴェマリア」である。
森麻季さんの演奏で。
カッチーニ:アヴェマリア
Caccini Ave Maria
聴くのは何度目かなのに、あまりの美しさに、また涙が出ちゃった。
もう一曲は、このアルバムの中では、マリア様の栄光を高らかに歌い上げる
やや技巧的な曲です。
クルデーリ:サルヴェ・レジーナ
Crudeli Salve Regina
技巧的な曲だけど、テクニック誇示にならないのが、森麻季さんの演奏の「品の良さ」です。
この他興味深いのは、このアルバムの為に服部隆之氏が書いた「アベ・マリア」。
美しい。言われなければ、日本人が書いた「アヴェ・マリア」とは誰も思うまい。
先に書いた透り、最近、私は私生活で、ちょっと気がかりなことがあり、
毎日が憂鬱だった。
ところが森麻季さんの「アヴェ・マリア」を聴き始めたら最後まで一挙に聴いた。
そして、その間、私は全く別の世界にいた。日常の雑事など、どうでも良いことに思えた。
これが、芸術の偉大さである。
その偉大を引き出すことが出来る森麻季さんは、やはり、日本音楽史上最高の声楽家ではないか
と思う。
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