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2004年03月06日(土) |
「児童虐待防止法改正、『警官立ち入り』見送り」←どうして?虐待は犯罪だぞ。 |
◆記事1:児童虐待防止法改正、「警官立ち入り」見送り
児童虐待防止法改正案を協議していた与野党は4日、親から調査を拒否された場合の警察官の立ち入り権限について、今回の改正案に盛り込むことは見送り、3年後の見直し規定の中に検討事項として例示する方向で最終調整に入った。警察官の立ち入りは与党案の目玉で、虐待で児童の生命に重大な危害が生じるおそれがあり、他の手段がない場合、警察官がかぎなどを壊して家に入ることを可能にする内容だった。
ところが与野党協議では、野党側から「警察官の権限を拡大し過ぎることには問題がある」と異議が続出。4日の協議の結果、民主党側が主張していた裁判所の令状に基づく立ち入りも含めて今回の改正案には盛り込まず、今後、具体化を進めるべき項目として与党、民主の両案を付則に書き込む方向でそれぞれ党内協議することで一致した。(読売新聞)[3月5日3時15分更新]
◆記事2:警察に強制立ち入り権 自民が虐待防止法改正案(2月17日の記事)
児童虐待防止法の改正作業を進めている自民党の小委員会(委員長・清水嘉与子参院議員)は17日、虐待する親が児童相談所の立ち入り調査を拒否し、一時保護しないと子供の生命に危険が及ぶ恐れがある場合、警察が強制的に屋内に踏み込める権限を盛り込んだ改正法案をまとめた。
警察官の住居への立ち入り権は職務執行法にも規定があるが、児童虐待防止法に明記することで子供の保護をより確実に行えるようにする。小委員会は今後、党内手続きを進める一方、他党にも呼び掛け、今国会中に議員立法で成立させたい考え。
現行の虐待防止法は虐待の疑いがある家庭への児童相談所職員らの立ち入り調査権を定めているが、親に拒まれて断念するケースも少なくない。
小委員会は大阪府岸和田市の事件を教訓に、警察の関与強化が必要と判断し、改正案に盛り込んだ。(共同通信)[2月17日12時13分更新]
◆コメント:3年後の見直しまでに何人子供が殺されるか。考えろよ。
児童虐待の件数(役所が認知する件数と言ったほうが正確だろうが)は激増しており、2002年に児童相談所が処理した虐待の件数は2万4千件にも及ぶ。これは、1990年の20倍である。
状況が深刻化していることは明らかだ。手口も残虐になっているから、虐待=子供の生命の危機、と解釈するべきである。
人が殺されかかっているのに、政治家はあまり関心を持たない。私が記憶する限り、小泉純一郎内閣総理大臣が「児童虐待防止のために出来ることは、全部やれ」、と発言したことはない。それは、児童虐待を減らすよりも、景気を良くしたり、田舎に道路を作ったほうが、票に結びつくからである。
それは、ともかく、記事2に見られるように、当初、児童虐待防止法の改正案に、「必要と認めれられれば、警察官が強制的に家の中に入ることが出来る権限を与える」という内容が盛り込まれるはずだった。
私は、これを読んだ時、「国会議員もたまにはいいことをするじゃねえか。」とおもったのに、なんと言うことであろう。結局、見送るという。
この決定は、倫理的にも法的にも間違っている。どんどんエスカレートして行く虐待に対処するのに、児童福祉士だけでは、無理に決まっている。
第一に、数が足りない。年間2万4千件の虐待を全国で処理したというが、児童相談所は全国に182ヶ所しかないのだ。大都会は比較的多いが地方は少ない。そして、実際に虐待に対処する児童福祉士は日本全体で1,733人しかいないのである。皆、深夜残業、休日出勤を余儀なくされ、心身に変調をきたして辞めてしまう人も多いという。
第二に、虐待するような親には凶暴な奴が多いだろうから、そんな家に「児童福祉士」などという、少しも怖くなさそうな肩書きの職員が単独で乗り込んでも、子供を引き渡すわけが無いし、児童福祉士自身の身にも危険が及ぶ。
児童虐待には、なぐったり、タバコの火を押し付けたりといった、能動的な行為と、ネグレクトといって、食事を与えなかったり、病気になっても放置するという「不作為の行為」がある。しかし、法律上は不作為の行為も犯罪の構成要件を満たす。
そう。いずれにせよ、虐待は、暴行か傷害であり、れっきとした「犯罪」なのだ。犯罪が起きている場所、起きる可能性が高い場合、警察官は建物の中に入る権限がある。それは、「警察官職務執行法」という法律で定められている。
警察官職務執行法 第六条 警察官は、前二条に規定する危険な事態が発生し、人の生命、身体又は財産に対し危害が切迫した場合において、その危害を予防し、損害の拡大を防ぎ、又は被害者を救助するため、已むを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において他人の土地、建物又は船車の中に立ち入ることができる。
だから、児童虐待防止法に新たに規定を新設しなくても、警察官は虐待の現場に踏み込んでかまわないのである。しかし、児童虐待防止法に盛り込むことによって、警察を児童虐待防止に一層活用することが出来たはずである。
あきれるのは、記事1で報じられているとおり、この法律は次に見直すのが3年後なのだそうだ。年間2万4千件×3年=7万2千件。その間、危険にさらされる子供の生命と境遇を、国会議員たちは一体、どのように考えているのか。
2003年03月06日(木) <性犯罪者写真>ネット公示は合憲 米連邦最高裁判決←日本でもこの方法を採用すべきだ。