JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事:政府・日銀、国債格下げ契機に財政再建本腰が急務との声(ロイター 1月27日(木)22時41分配信) S&Pによる日本国債格下げを受け、政府・日銀内では、市場の信認をつなぎとめておくためにも、 ◆コメント:格付会社なんて、いい加減なんですよ。 スタンダード&プアーズ(Standard & Poor's=S&P。以下、S&P)はムーディーズは共にアメリカの
という「格」があるのです。CCCより悪いのもありますが、 省略します。 AAAからCCCまではプラスとマイナスが付く場合がある。 AAAのうち、特にAAA+が最高ランクです。 今回、日本が関係した部分までだけを細かく書くと、
つまり、今日の格下げによって、 日本国債の信用力は上から5番目から6番目になったのです。 私の個人的感情としては、この格付け会社ってのが大嫌いでして、 自分では何も創り出さずに、他人様の信用とか債券を頼みもしていないのに勝手に評価して、 そのランクを世界中に公表するのです。その情報料で食っているわけです。 結構高給取りなんですよ。格付け会社の「アナリスト」という連中は。 しかし、スタンダード&プアーズとムーディーズの評価が 本当に信頼できるのか。何となく昔から、この2社の評価が有り難がられてますが 今、世界が不況だったり、ヨーロッパが財政危機に陥っている大元は、 アメリカのサブプライムローンの不良債権化です。 アメリカは、2006年頃まで不動産バブルでした。 そこで、本来ローンなんか組めないような人達にまで、 ローンでカネを貸して、不動産を、その不動産自体を担保にして、買わせていたのです。 土地の値段が上がり続けていましたから、 「たとえ、ローンが返せなくなっても、担保の不動産を売れば、ローンを返済しておつりが来ますよ」 といって貸していたのですが、そうやって皆が買ったら、やがて買う人がいなくなるので 不動産価格は暴落します。バブルの崩壊です。 その結果、サブプライムローンを組んでいた低所得者層は、担保不動産を売ってもローンを 返済出来なくなりました。おカネを貸していた住宅ローン専門の金融機関は大量の不良債権を抱え、 次々と潰れました。問題は、それら住宅ローン専門の金融機関は、ローンという債権(おカネを回収する権利) を、債券(「券」の字が違うことに注意して下さい)化して他の金融商品と組み合わせて、 アメリカの大きな金融機関や、世界中の投資家(日本の銀行もいました)に買わせていました。 しかし、ローンが回収できなくなったら、つまり貸倒になるんですから、その権利を紙にしたものも 価値がなくなり、価格が暴落しました。これらを買っていた(投資していた)世界中の投資家が 巨額の評価損を出しました。リーマン・ブラザーズが潰れたのも、もとはと言えばその所為です。 そして、世界中の投資家が、サブプライムローン関連商品を買ったのは、格付け会社が これら証券化されたサブプライムローンにAAA+を付与していたのも一因です。 AAA+を付与しておきながら、スタンダード&プアーズは、リーマン・ショックの前年2007年11月、 ある債券に対する格付けをAAAから一気にCCC−まで18段階引き下げました。無茶苦茶です。 AAA。つまり「債務を履行する能力はきわめて高い。」だったのが、一瞬にして CCC−(債務者は現時点で脆弱であり、その債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、および経済状況に依存している。) になったら、それは金融市場は売れるうちにその債券を売ろうという人達が殺到し 大混乱になるに決まっています。実際そうなりました。 この時を契機に、「信用格付け会社を監督した方が良い」と、各国政府の意見が一致しました。 ◆日本では格付け会社は金融庁の監督下にあります。 少々乱暴に書くと、リーマン・ショック前後の世界経済の大混乱の 大きな要因のひとつに、格付け会社の不適切な格付けと格付け変更が存在していた、 と考えられるのです。 このため、日本では、2009年の金融商品取引法改正で、 信用してもまあ、良いだろうという格付け会社を 金融庁が指定することにしました。指定格付け機関といいます。 スタンダード&プアーズ、ムーディーズを含む6社だけが、一応「まともな格付け会社」 として、認められています。しかし、格付けが不適切だとか、問題がある、と金融庁が 見なしたら、業務停止命令をだしたり、甚だしい場合は指定登録を取り消すことが出来ます。
長期国債の格下げは、本来、国家の信用力の低下を意味するので、 格下げは(消費税引き上げを)早くやりなさいとの催促だ を読んで、私は「ははーん」と思ったのです。これは、「やらせ」かな、と。 「茶番」でも良いですけど。 政府の側から、格付け会社と水面下で交渉し、 日本にとって致命的な信用失墜にならない程度に1段階だけ格下げをし、 見通しを「安定的」に維持する(先行き見通し「ネガティブ」というのもあります)。 AからBに格下げされたら、本格的にヤバいことになりかねないので、そうならない程度に 格下げさせておき、国民には、 「消費増税して、一刻も早く財政健全化への道筋を示さないと、更なる信用失墜を招く」 と説明するわけです。そうすると、国民も「仕方ないのかな?」と納得するであろうと。 心理的な効果を狙った、作戦かな?と穿った(うがった)見方をすることが出来ます。 日本国債は大部分日本人が買っています。 また、以前からスタンダード&プアーズは、 「日本国債を格下げ方向で検討する」と言ってましたから、 タイミングは分かりませんでしたけど、スタンダード&プアーズかムーディーズ の格下げは、予想範囲内のことで、国債の投げ売りで国債価格が暴落し、 金利が急騰する可能性もさほど高く無い(一時的に売りはでるでしょうが)。 菅首相が格下げについてコメントを乞われて、「そういうことには疎いので」と 発言したのを真に受けている人が結構いますけど、疎い訳ないですよ。 あれは「日本国の宰相が、1民間格付け会社の評価でオタオタしない」という 「ポーズ」でしょう。 全て私が勝手に想像した「シナリオ」ですが、当たらずといえども遠からずでは ないかという気がします。 しかし、家計の可処分所得が増えていないのに、消費税率を引き上げたところで、 税収増が期待できるのか、私は非常に懐疑的です。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2010年01月27日(水) 【国会】鳩山内閣は集団的自衛権の行使を容認しない、と1月26日参議院予算委員会で首相が明言した記録。
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