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JIROの独断的日記
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2010年10月16日(土) 「中国3都市で大規模反日デモ 1万人超、日系店襲撃」←現象だけを見ても本質は分からないのです。

◆記事1:中国3都市で大規模反日デモ 1万人超、日系店襲撃(東京新聞 2010年10月16日 20時56分)

【北京共同】中国四川省成都など3都市で16日午後、計1万人を超えるとみられる大規模な反日デモが行われ、

成都では日系スーパーのショーケースなどが破壊された。沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で起きた中国漁船衝突事件をめぐり、

東京の中国大使館前で同日、尖閣諸島の領有権を主張する中国への抗議デモが行われており、

中国のデモ隊はこれに対抗、「日本は釣魚島から出て行け」などと叫んだ。

中国での大規模な反日デモは、日本の国連安全保障理事会常任理事国入り問題などがきっかけとなった2005年4月以来。

菅直人首相と中国の温家宝首相が今月上旬にブリュッセルで会談し、改善に向かい始めた日中関係は、再び緊張した。

新華社電によると、成都市での反日デモには2千人以上が参加。陝西省西安市でも7千人以上がデモ行進、

日系スポーツ用品メーカー、ミズノの店舗に押し掛けた。河南省鄭州市でもデモが行われたが、人数は不明。

北京の日本大使館によると、成都などの反日デモで、日本人が負傷したとの情報は入っていない。

成都の反日デモの群衆は、発生から約3時間後の16日午後5時(日本時間同6時)ごろに引き揚げた。


◆記事2:東京で中国政府への抗議デモ(NHK 東京で中国政府への抗議デモ)

尖閣諸島沖で起きた中国漁船による衝突事件をめぐって、中国政府の対応に抗議するグループが、

16日に東京都内でデモ行進などを行い、警視庁が警戒に当たりました。

警視庁によりますと、デモ行進は16日午後、東京・港区内で行われ、およそ2800人が参加したということです。

デモ行進のあと、参加した人の一部は港区元麻布にある中国大使館を訪れ、中国政府への抗議文などを読み上げました。

中国大使館周辺には一時、大勢の警察官が配置され警戒に当たりましたが、大きな混乱はありませんでした。


◆コメント:5年前にそっくりですなあ。あまりまともに論ずる気になりません。

「あまりまともに論ずる気にならない」のは、中国人も日本人も、デモに参加している人達が、

歴史的事実や国際法を知った上で行動しているとは、思えないからです。

ところで、「5年前にそっくり」とは、どういうことかというと、2005年4月、

日本が国連の常任理事国になろうと、名乗りをあげていたことと、歴史教科書の問題が重なって、

中国の日本大使館や、中国各地の日本領事館の窓ガラスが割られる、というような事件があったのです。

国際法上、日本大使館や領事館の敷地内は、日本ですし、そもそも石を投げて問題が解決する訳じゃないでしょう。


そういう民度の低い国民に「正論」をぶつけても仕方がない。


それに、5年前も今日も共通しているのは、デモそのものはかなり騒然とした興奮状態なのに、

群衆は、2,3時間後に潮が引くように、一斉に引き揚げている。

日本政府は公式には云えないけど、皆さんお気づきのとおり、「やらせ」ですね。多分。

正確にいうと、対日強硬論を胡錦涛政権が抑圧しようとすると、失脚するかもしれないという、

中国共産党の内部事情があります。


◆胡錦涛政権は、共産党内部では、以前から対日関係「弱腰」と、強く批判されています。

今回の騒ぎを感情的に、或いは国際法的正論だけで理解しようとしても、分からないんです。

私もはじめは、国際法上、領海を侵犯したのは中国漁船で、日本の領海内で中国漁船が意図的に

海上保安庁の巡視艇にぶつかってきたのだから、当然、日本の法律に従って処分すべきだ、

と思っていましたが、これはあまりにも一面的な思考でした。

相手国の国家中枢の状況まで、分かった上で、どう対処するか決めるべきだったのです。


中国は、共産党による一党独裁支配ですが、共産党内部では昔からすさまじい権力闘争が繰り返されています。

派閥がいくつもあって、胡錦涛主席は「共産主義青年団グループ」という派閥の領袖です。

当然、これに対抗する派閥があり、胡錦涛指導部は盤石ではない。むしろどちらかと言えば脆弱な政権です。

独裁国家といっても、共産党が潰れることはないけど、胡錦涛氏は下手な政治的選択をすると失脚するのです。


特に対日関係で、問題が起きると、非常にヤバい。

胡錦涛政権は、2006年10月、当時の安倍晋三首相が靖国に訪問するかしないか、

態度をはっきりさせていなかったのに、胡錦涛氏自らの判断で、

これは、事実上、(安倍は靖国に)行かない、という判断だろう。

と断定し、5年間中断していた日本の内閣総理大臣による公式訪中を受け入れ、

2008年5月、公式来日の際、公式発言で、
歴史を語るのは未来のためだ。日本の明治維新とその後の近代化、戦後の平和的発展を高く評価する。

我々は進歩している日本の省エネ・環境技術に学びたい。

と、非常に日本に対して肯定的なメッセージを送りました。

四川大地震の後、日本は国際緊急援助隊を派遣しました。中国の歴史で外国の援助隊を受け入れたのは

これが初めてでした。そして胡錦涛氏は、洞爺湖サミットで来日したときに、援助隊のメンバーを北海道に呼んで、

自ら謝意を表明しました。また2008年6月長い間両国で揉めていた東シナ海のガス田問題で、「共同開発」を

提案しました。これらは、従来の中国指導部が、特に主権・領土問題で強硬的な姿勢を維持していたのと

対照的で、かなり勇気のある、というか中国の指導者としては、大胆なことなのです。


ところが、これら胡錦涛氏の「親日」外交は、中国共産党や、学者や、中国外務省から、

ものすごく批判され、外務省高官が「胡錦涛は許せん」と言ったほどだそうです。

だから、その後、胡錦涛は本来共産党の最高権力者、独裁者なのに、これら中国国内の反発勢力に

気を使わなければならなくなったのです。


最近、共産党内部、ネット上で見られる一般人や、制服軍人の論調は大変ラディカル(過激)です。

軍事闘争の準備をして、中国の海洋利権を確保すべきだ、という滅茶苦茶なんですけど、

上述したような事情があるので、胡錦涛は「そういうことを言ってはいかん」と迂闊に言えないのです。


そういう雰囲気なのです。そう言う状況下で、今度のように、船長を逮捕したらどういうことになるか。

外務省の中国専門家から見れば明らかだったようですが、岡田外務大臣は、とにかく原理原則に拘り、

外務省の東アジア局が意見を具申しても、聞こうとしないそうです。民主党は「政治主導」を掲げていますが、

外交も国政も専門的なテクニカルな部分があるので、それに通暁しているのは中央官庁の役人なのです。

政治主導でもいいけど、餅は餅屋です。対中国交渉のノウハウを蓄積している外務省役人の知識を利用しなかったから、

謂わば中国の扱いを知らないド素人がケンカを売ったら、予想外に中国が強行にでたので、たちまちビビって

弱腰になってしまったわけです。


しかたがないから、漸く役人の助けを借りざるを得なくなったのでしょう。

らちが開かないので、今月末、ハノイで日中首脳会談をやることにしました。
◆記事:日中首脳会談、月末にハノイで=関係修復へ本格対話(時事通信 10月14日(木)0時29分配信)

日中両政府は13日、ハノイで28日から開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の際に、

菅直人首相と温家宝中国首相による首脳会談を行うことで大筋合意した。複数の日中関係筋が明らかにした。

沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で悪化した両国関係は改善に向けた動きが出ており、

ハノイでの首脳会談で修復が図られる見通しだ。

外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長は13日、北京を訪れ、中国外務省幹部と会談。

4日にブリュッセルで行われた日中首脳会談で、戦略的互恵関係の進展で一致したことを受け、ハノイでの再会談に向けて調整した。

これに関し、中国の武大偉朝鮮半島問題特別代表(前外務次官)は13日、月末に首脳会談が実現するとの見通しを記者団に明らかにした。

こういう事務レベルのとりまとめは、いずれにせよ。外務省の役人(斎木局長)がやるわけです。

政治家だけでは、外交はできない。特に民主党は初めて政権をとったから、政治家にノウハウの蓄積は全くない。

最初、逮捕拘留したら、どういうことになるか、全然、岡田外相も菅首相も分かって無かったのです。

このハノイ会談で、どちらの国も「シャンシャン」と手打ちにするつもりではないかと思います。

それまで、あーだこーだいっても、大衆は感情で動いているだけなので、

「中国人のデモはけしからん」とか「日本でも反中国デモが行われた」

ということは、気持は分かりますし、或いは事実ですれども、死者でも出ない限り、あまり重要な事ではありません。

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