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JIROの独断的日記
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2010年10月17日(日) 【音楽】「ハイドン:トランペット協奏曲 第1楽章 聴き比べ」←多すぎたかもしれません。

◆特に理由は無いのですが、やってみたくなりました。

日本にも、クラシック音楽好きは大勢いますが、吹奏楽少年少女や、

自分でラッパを演奏する人以外は、ラッパなんかどうでも良いと、思っているフシがあります。

昨年、某掲示板で、「日本音楽コンクール」通称毎コン(毎日新聞が始めたコンクールなので、

長い間「毎コン」と呼ばれ、いまでも、「毎コン」という音楽関係者が多いです)に関する書き込みを

見ていたら、ピアノ・ヴァイオリンは関心が高いけれども「トランペット部門の1位なんてどうでもいいよ」と

書いている人がいて、トランペットを愛する私としては悲しくなりました。

今だにその程度の認識か、と。私はトランペットも好きですが、ヴァイオリンやピアノ、声楽のリサイタル、

オーケストラや室内楽、あらゆる楽器のリサイタル(フルート、リコーダーから、テューバまで)聴きに行ったものですよ。

若い頃は(扶養家族が出来て小遣いが少なくなり、それ以前に社会人となって四半世紀、学生時代のように好き放題は

出来ませんが)。色々な楽器や演奏形態による、色々な音楽を聴いた方が良いと思います。

これまで、当ブログでも色々紹介してきました。

今日は、非常に例外的ですが、トランペットという楽器が「どうでも良くない」ことを

色々な演奏を比較して頂くことにより、ご理解頂きたい、と思いました。

夢中になって、自分のライブラリーから拾っていたら、何と10名のトランペット奏者が見つかりました。

クラシック・トランペットをある程度本格的に勉強するなら、絶対に無視出来ない、ヨーゼフ・ハイドンの

トランペット協奏曲を聴き比べて頂きたいのです。

しかし、あまりにも多いので、全部をお聴きになる「必要」が無い事は勿論です。

気が向いたのからお聴き下さい。たかがトランペットというなかれ。どんな楽器でも協奏曲を人前で

演奏するのは大変なことです。当たり前ですが、同じ楽器なの全員、音色も違うし、音楽の解釈も違う。

ピアノやヴァイオリンと、何ら違いはありません。


◆ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調より、第1楽章。10人の演奏家。

それでは、早速。人数が多いので、私のゴタクは最小限にします。


モーリス・アンドレ



Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Maurice Andre



やはり、別格。特別な上手さだと思います。これだけ高音域でも音の柔らかさを保てる人、

どのような、音域でも完璧に音をコントロール出来る人、なかなかいません。トランペットのハイフェッツです。


ロルフ・スメドヴィック(Rolf Smedvig)



Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Rolf Smedvig



ボストン交響楽団で吹いた後、エンパイア・ブラスという金管アンサンブルで吹いています。

この人はモーリス・アンドレに師事したことがあるので、師匠譲りの柔らかい音色と、どのような音型、テンポ

でも、常に美しいタンギングが、目立ちます。もっと評価されて然るべき人だと思います。


ジェラード・シュワルツ(Gerard Schwarz)



Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Gerard Schwarz



今は指揮者ですが、元々ニューヨーク・フィルハーモニックの副首席です。

この人も無茶苦茶上手いです。カデンツァで特によく分かりますが、最低音から最高音域まで、

完全に音にムラガない。卓越した技術と音楽性を兼ね備えている、いそうで、なかなかいないトランペット奏者です。


ジョン・ウォレス(John Wallace)



Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by John Wallace



フィルハーモニア管弦楽団の首席を長く務めた人です。古い話ですが、チャールズ皇太子と故・ダイアナ妃が

セント・ポール寺院で式を挙げた時に、招かれて、御前演奏したのを覚えています。

フィルハーモニア管=シノーポリの「マーラー:交響曲第5番」での冒頭のソロもこのウォレス氏です。

このハイドンは、録音があまり良くない。本来もっと音に厚み・深みがあります。テクニックはジェラード・シュワルツ氏と

どうように最低音域から最高音域まで音が跳躍したり、ラッパにとって一番難しいことをさらりとやってのける余裕があります。


アドルフ・ハーセス(Adolph Herseth)


Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Adolph Herseth



オーケストラ・トランペットプレイヤーの神様みたいに言われています。

何と、シカゴ交響楽団の首席を半世紀も務めた人で、「絶対に間違えない」という定評がある。

絶対にミスをしないということは、人間ですから、あり得ないと思いますが、

要するにお客さんに明らかに分かるようなミスはしないのでしょう。それから、

「ここ一番」というところでは絶対間違えない。ということだろうとおもいます。いずれにせよ、

この録音を行ったときは既に60代ですから、音のふくよかさ、完璧な音程、安定したテクニックは流石です。


ハンス・ガンシュ(Hans Gansch)


Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Hans Gansch



ウィーン・フィルの首席トランペット奏者で今はソリスト。

最近の若い人には、何だかやたらと、ハンス・ガンシュを持ち上げますね。

上手いですよ。上手いですけど、今までの演奏と比べると分かるけど、神様みたいに上手くはないですね。

オーケストラでは多分素晴らしいトランペットでしたでしょうが、ソリストはちょっと違うんですね。

オーケストラでは、バランスを考えなければなりません。ラッパが常に目立ってはいけないのですが、

ソリストには「華」が必要です。ちょっとその点では地味。更に高音域で音に若干緊張感が出てしまいます。

あまりに評判がいいので、そのつもりで聴いた所為でしょうか。世界一上手いというほどではない、と思います。


セルゲイ・ナカリャコフ(Sergei Nakariakov)


Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Sergei Nakariakov



昔、NHKの朝ドラ「天うらら」のオープニング、小六 禮次郎(ころくれいじろう)氏作曲ですが、

それを吹いていたロシアの美少年もすっかりオッサンですが、テクニックは物凄いですね。但し、若干音色が粗くなる。

録音が原因か、原音がそうなのか、わかりません。そこがちょっと残念ですが上手いことは非常に上手いですね。


アリソン・バルサム(Alison Balsom)


Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Alison Balsom



イギリスの女性奏者です。これも録音が原因か分かりませんが、今一つ音の「抜け」が悪いのです。伸びがないというかですね。

相対的には非常に上手な部類かもしれませんが、男だったら、どのように評価されるかな?とはっきり言えばそういうことです。


ビビ・ブラック(Bibi Black)


Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Bibi Black



この人も女性ですが、フィラデルフィア管弦楽団というアメリカ屈指のオーケストラの

オーディションに受かって副首席にまでなりながら、1年半ぐらいで辞めてしまって、ソリストに転向した人です。

この人、それこそ音の「抜け」がひじょうによくて、輝かしい音色、切れの良いテクニック、音楽性、それぞれ

素晴らしいと思いますが、最近、何をしているのか、全然新譜も出ないし、残念です。もったいない。上手いですよ。


ティーネ・シング・ヘルセス(Tine Thing Helseth)



Haydn_ Trumpet Concerto In E♭ Major 1st Movment by Tine Thing Helseth



ノルウェー人。1987年生まれというから若干23歳で、これを録音したときは20歳ぐらいだと思いますが、

天才的な才能だと思います。楽器が非常に良く鳴っていて、発音が明瞭なので気持がいいですね。最低音から、

最高音域まで、音が堅くならないのは、無駄な力を抜くことを本能的に知っているかのようです。ソリスト向きです。

私は 

2009.01.16【音楽】新しい才能の発見。女性トランペット奏者、Tine Thing Helseth(ティーネ・シング・ヘルセス)。

と、一つの記事にしたぐらいで、相当期待しています。

というわけで、やたらと詰め込んでしまいました。

余程ラッパがお好きな方以外は、全部お聴きになる気がしないでしょうし、

1日では難しいかもしれませんが、同じトランペットでも、吹く人によって随分違う、ということを

知って頂きたいのです。気が向いたら、ボチボチお聴き下さい。

良い一週間になりますように。それでは。

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